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Trademark Appeal Case

商標と役務の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2020−900035(T2020−900035/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6198371号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第6198371号商標(以下「本件商標」という。)は,「arborist」の欧文字及び「アーボリスト」の片仮名を上下二段に横書してなり,平成30年12月5日に登録出願,第41類「セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」を指定役務として,令和元年10月2日に登録査定され,同年11月15日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議申立ての理由において引用する登録第4669749号商標(以下「引用商標」という。)は,「アーボリスト」の片仮名及び「ARBORIST」の欧文字を上下二段に横書してなり,平成14年8月9日に登録出願,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,運動施設の提供,娯楽施設の提供」を指定役務として,同15年5月9日に設定登録され,その後,同25年2月12日に商標権の存続期間の更新登録がされたものであり,現在有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同第11号,同第10号,同第15号,同第19号,又は,同法第3条第1項第3号,同第4条第1項第16号若しくは,同第3条第1項第6号に該当するものであるから,商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第29号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第7号について

本件商標に係る権利者(以下「本件商標権者」という。)は,本件商標の登録出願前に申立人が開催するセミナーに複数回参加していた。申立人は,第41類における「技芸・スポーツ又は知識の教授」その他について商標登録を受けている。本件商標権者は,申立人の商標登録が同じ第41類中の「セミナーの企画・運営又は開催」を指定役務として商標登録を受けていないことを奇貨として,本件登録出願に及んだ。

本件商標権者は,申立人が以前より長期にわたって使用している商標の使用独占をもくろみ,本件商標の登録出願を行ったものであり,明らかに公序良俗に反する行為であるといわざるを得ない。

2 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は,引用商標と類似であり,その指定役務中「セミナーの企画・運営又は開催」は,引用商標に係る「技芸・スポーツ又は知識の教授」に類似する。

3 商標法第4条第1項第10号について

International Society of Arboriculture(以下「ISA」という。)は,アメリカ合衆国ジョージア州アトランタに本部を置く国際組織であり,アーボリスト技術と知識の普及を目的とした団体である。ISAは,世界各国に支部又は公認提携団体を設置する団体であり,日本では,JAA (Japan Arborist Association (日本アーボリスト協会):以下「JAA」という。)が唯一のISAの公認提携団体であり,JAAの創始者である申立人は,ISAとの連携により,2010年にJAA内にアーボリストトレーニングチームをつくり,「ツリーワーカーセミナー1.2.3」の開催を開始,2013年にJAAからトレーニング部門を独立させ,アーボリストトレーニング研究所を新たに組織した。

「arborist」若しくは「アーボリスト」のいずれか一方又は双方による文字部分で構成される商標(以下「引用標章」という。)は,ISA,JAA及びアーボリストトレーニング研究所によって組織されるアーボリストトレーニングチームを表すものとして,JAA創始者でアーボリストトレーニング研究所の所長である申立人によって,引用商標として商標登録を受けており,ISA及びJAAと連携するアーボリストトレーニング研究所(申立人)が実施するアーボリスト技術(樹木に関する各種の業務に係る技術)を教授すること(知識の教授)について使用され,同時に,引用標章は,全国各地で前記技術の教授を示す商標として当該研究所(申立人)によって使用されている。

本件商標は,引用標章と同一又は類似の商標を,その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用するものであるから,商標法第4条第1項第10号に該当する。

4 商標法第4条第1項第15号について

引用標章は,遅くとも,本件商標の登録出願日において,本件商標の指定役務に係る業務において日本国内において著名な商標であるということができることから,これをアーボリストトレーニング研究所(及び代表者の申立人)又はこれに関係ある者以外の者が使用するときは,引用標章を使用する他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

5 商標法第4条第1項第19号について

本件商標権者は,アーボリストトレーニング研究所等が開催するセミナーに複数回参加しており,本件商標の登録出願前である2018年4月には,アーボリストトレーニング研究所が「arborist」及び「アーボリスト」の文字部分による商標を使用していることを知っていたことは疑う余地がなく,また,本件商標権者は,アーボジャパンなる屋号を用いて申立人(又はその所属団体)と同様の業務を行っている。

このような本件商標権者の行為は,自己の業務において,引用標章を使用することにより,不正の利益を得ようとする目的,又は申立人若しくは関連団体等に損害を与える目的を有しているといわざるを得ない。

したがって,本件商標は,日本国内において周知ないし著名な商標と同一又は類似の商標を不正の目的で使用するものであるから,商標法第4条第1項第19号に該当する。

6 商標法第3条第1項第3号,同法第4条第1項第16号について

仮に,上記各異議理由が認められないとしても,本件商標は,「arborist」及び「アーボリスト」の文字を普通に用いられる方法で表したにすぎないから,その指定役務中「アーボリスト技術」に関する役務に使用する場合には,単にその役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって,商標法第3条第1項第3号に該当する。

また,「アーボリスト技術」に関係するもの以外の役務に使用するときには,商標法第4条第1項第16号に該当する。

7 商標法第3条第1項第6号について

前掲の商標法第4条各1項各号に該当しないと仮に認定される場合であっても,「アーボリスト」及び「Arborist」の語は,アーボリストトレーニング研究所(又は申立人)のみならず,その許可を受けた複数の団体において既に使用されていることから,「arborist」又は「アーボリスト」を「アーボリスト技術」を内容とするセミナー,書籍,施設の提供その他これに類する役務について使用するときは,自他役務識別標識として機能しない。

したがって,本件商標は,「アーボリスト技術」を内容とするセミナー,書籍,施設の提供その他これに類する役務に関する限りにおいて,商標法第3条第1項第6号に該当する。

第4 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号並びに同法第3条第1項第6号該当性について

本件商標は,前記第1のとおり,「arborist」の欧文字及び「アーボリスト」の片仮名を上下二段に横書きしたものであるところ,下段の片仮名部分は上段の欧文字の読みを表したものと容易に理解されるものである。

そして,構成各文字は,同一の書体をもって,横一連に表されており,その構成全体から生じる「アーボリスト」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。

さらに,本件商標の構成中「arborist」の文字は,「材木専門家:樹木等の診断,害虫駆除などを含む栽培管理を行う」(ランダムハウス英和大辞典)の意味を有するものとして外国語の辞書に掲載されているとしても,我が国において広く一般に知られている語とはいえないものであって,特定の役務の質等を直接的かつ具体的に表示するものとして,取引者,需要者に,認識,把握されているともいい難いものである。

また,当審において職権をもって調査するも,当該文字が本件商標の指定役務の質を表示するものとして,本件指定役務を取り扱う業界において取引上普通に使用されている事実,また,当該文字が,多数の者によって一般的に使用されているという事実は,いずれも見いだせなかった。

してみれば,本件商標は,自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当であり,また,これを本件商標のいずれの指定役務に使用しても,役務の質について誤認を生じさせるおそれはないものといわなければならない。

したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号並びに同法第3条第1項第6号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第10号,同第11号,同第15号及び同第19号該当性について

(1)引用標章の周知性について

ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば,以下のとおりである。

(ア)ISAは,アメリカ合衆国ジョージア州アトランタに本部を置く国際組織であって,アーボリスト技術(樹木に関する各種の業務に係る技術)と知識の普及を目的とした団体であり,日本では,JAAが唯一のISAの公認提携団体である(甲11)。JAAは,2007年に設立された団体であり,創始者である申立人は,現在,ISAのBoard of Directorであり (甲13),ISAとの連携により,2010年にJAA内にアーボリストトレーニングチームをつくり,「ツリーワーカーセミナー1.2.3」の開催を開始した(申立人の主張)。また,2013年にJAAからトレーニング部門を独立させ,アーボリストトレーニング研究所を新たに組織した(甲14)。

(イ)引用商標は,ISA及びJAAと連携するアーボリストトレーニング研究所(申立人)が実施するアーボリスト技術(樹木に関する各種の業務に係る技術)を教授すること(知識の教授)について使用されている(甲14〜甲20)。

(ウ)アーボリストトレーニング研究所は,引用標章を使用して,2013年に,山梨県,岐阜県,長野県,愛知県,埼玉県において複数回のセミナーを開催しており(甲15),2014年にはこれらの他に,静岡県,愛媛県,神奈川県,東京都,宮城県,ウィスコンシン州(アメリカ),熊本県において開催している (甲16)。2015年には,上記以外に,京都府,シンガポール,フロリダ州(アメリカ)及びカリフォルニア州(アメリカ)においても開催している(甲17)。そして,2016年ないし2018年には,香港,群馬県,岡山県,奈良県,鳥取県,山口県,福岡県,栃木県,大阪府,京都府,鹿児島県,大分県などでも開催している(甲18〜甲20)。

申立人の主張によれば,上記セミナーにおいては,「ISA公認テキスト アーボリスト必携 リギングの科学と実践」 (甲21)や「ロープ高所作業(樹上作業)特別教育テキスト」(甲22)などの書籍が使用されており,上記セミナーに関する情報に関しては,公認トレーナーが経営等する企業等により,告知され,又は募集されており(甲24〜甲26),これらの告知等においても引用標章が使用されているとのことである。

さらに,上記「ロープ高所作業(樹上作業)特別教育テキスト」は,その内容と共に,「林業現場人 道具と技 Vol. 19 写真図解 リギングの科学と実践」(全国林業改良普及協会編)において引用されており(甲23),同書籍には,リギング技術に関する記事が特集されている。

上記セミナーの開催に当たっては,前述の公認テキストが制作,配布され(申立人の主張),開催場所としては,実際の作業ができるような山林等が選定され,その研修の状態が,YouTubeにアップされている(甲27)。また,アーボリストトレーニング研究所の許諾により,岐阜県立森林文化アカデミーでは,当該アーボリストトレーニング研究所による講義内容を画像と共に簡易な電子媒体で解説した記事がウェブページ上にアップされており(甲28),当該記事にも引用標章が使用されている。

イ 上記アからすれば,引用標章は,アーボリストトレーニング研究所(申立人)が実施するアーボリスト技術(樹木に関する各種の業務に係る技術)に関する知識の教授やセミナーのテキスト等について使用されていることがうかがえる。

しかしながら,上記各セミナーの募集定員は10名前後と少なく(甲15〜甲20),また,引用標章を使用した知識の教授やセミナーに関する我が国及び外国における売上高,営業利益,市場占有率等の実績並びに引用標章に係る広告宣伝の費用,方法,回数及び期間など,その周知性を量的に把握することができる証拠の提出はない。

してみると,引用標章が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,他人(申立人)の業務に係る役務を表示するものとして,我が国及び外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

(2)本件商標と引用商標及び引用標章の類否について

ア 本件商標

本件商標は,前記第1のとおり,「arborist」の欧文字及び「アーボリスト」の片仮名を上下二段に横書きしたものであり,その構成文字に相応して「アーボリスト」の称呼を生じるところ,当該語は,前述のとおり,「材木専門家」の意味を有するものとして外国語の辞書に掲載されているとしても,我が国において広く一般に知られている語とはいえないものであって,むしろ,一種の造語として理解されるとみるのが相当であることからすれば,直ちに特定の観念を生じないものである。

イ 引用商標及び引用標章

引用商標は,前記第2のとおり,「アーボリスト」の片仮名及び「ARBORIST」の欧文字を上下二段に書してなるところ,その構成文字に相応して「アーボリスト」の称呼を生じ,本件商標と同様に特定の観念を生じないものである。

また,引用標章は,「arborist」若しくは「アーボリスト」のいずれか一方又は双方による文字部分で構成されるものであるから,引用商標と同様に,「アーボリスト」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

ウ 本件商標と引用商標及び引用標章の類否

本件商標と引用商標を比較すると,両者は,外観においては,欧文字部分の小文字と大文字の相違及び欧文字と片仮名の上下の位置等の違いがあるものの,そのつづりを同じくするものであるから,外観において近似した印象を与えるものである。

そして,称呼においては,「アーボリスト」の称呼を共通にするものである。

また,両者は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念において比較することはできない。

してみると,本件商標と引用商標とは,観念において比較することができないとしても,外観において近似し,称呼を共通にするものであるから,これらを総合的に判断すると,両者は類似する商標というべきである。

また,引用商標と引用標章とは,その文字のつづりを同じくするものであるから,上記の引用商標との比較と同様に,本件商標と引用標章も,類似の商標といえるものである。

(3)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標と引用商標の類否

本件商標と引用商標は,上記(2)ウのとおり,類似の商標である。

イ 本件商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否

本件商標の指定役務と引用商標の指定役務は,前記第1及び第2のとおりであるところ,申立人は,引用商標の指定役務中,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」と本件商標の指定役務中,第41類「セミナーの企画・運営又は開催」とは,同一又は類似する役務である旨主張している。

しかしながら,「技芸・スポーツ又は知識の教授」とは,一般に,教養,趣味,遊芸,スポーツ,学習等の指導を行う教習所,学校教育法で定める学校及び自動車教習所,理容学校,洋裁学校等の各種学校が,他人に対し技芸・スポーツ又は知識を教授し又は教育するサービスを指すと考えられるのに対し,「セミナーの企画・運営又は開催」とは,他人のためにセミナーを企画・運営又は開催する者が,セミナーの企画・運営又は開催という労務について対価を得ることを目的として提供する役務であると考えられる。

そして,両役務は,その提供の目的・手段及び役務の提供者が異なるほか,前者は知識や技芸の習得を希望する者が主たる需要者であるのに対して,後者は,セミナーの開催を希望する個人,企業や団体等が主たる需要者であるから,需要者の範囲も一致しないものである

これらを総合して判断すると,本件商標の指定役務と引用商標の指定役務は類似しないものというのが相当である。

ウ 小括

本件商標と引用商標は,上記アのとおり,類似するものであるとしても,本件商標の指定役務と引用商標の指定役務は,上記イのとおり,類似しないものである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第10号該当性について

本号は,「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて,その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」と規定されている。

引用標章は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても,申立人の業務に係る役務を表示するものとして,我が国及び外国における需要者の間に広く認識されているものとは認められないものである。

してみれば,本件商標は,引用標章に類似するとしても,商標法第4条第1項第10号に該当しない。

(5)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 引用標章の周知性について

引用標章は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても,申立人の業務に係る役務を表示するものとして,我が国及び外国における需要者の間に広く認識されているものとは認められないものである。

イ 本件商標と引用標章との類似性の程度について

本件商標は,上記(2)ウのとおり,引用標章と類似するものであるから,その類似性の程度は高いものである。

ウ 本件商標の指定役務と申立人の業務に係る役務の関連性,需要者の共通性について

本件商標の指定役務中,「セミナーの企画・運営又は開催」と申立人が引用標章を使用して実施していると主張する「セミナーの開催」とは,同一又は類似の役務であって,その需要者を共通する場合があり,役務の関連性はあるものといえる。

しかしながら,申立人が引用標章の周知性を主張する「知識の教授」と本件商標の指定役務とは,その提供の目的・手段及び役務の提供者が異なるほか,需要者の範囲も一致しないものである。

エ 小括

上記アないしウのとおり,本件商標と引用標章の類似性の程度が高く,本件商標の指定役務は,申立人の業務に係る役務の一部と関連性を有し,その需要者の範囲を共通にする場合があるとしても,何より引用標章は,申立人の業務に係る役務を表示するものとして,需要者の間に広く認識されているとはいえないものである。

そうすると,本件商標は,本件商標権者がこれをその指定役務について使用しても,取引者,需要者が,引用標章を連想又は想起することはなく,その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというのが相当である。

その他,本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(6)商標法第4条第1項第19号該当性について

本号は,「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて,不正の目的(不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。

引用標章は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても,申立人の業務に係る役務を表示するものとして,我が国及び外国における需要者の間に広く認識されているものとは認められないものである。

また,申立人が提出した証拠からは,本件商標権者が,本件商標を不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。

してみれば,本件商標と引用標章が類似するとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第7号該当性について

申立人は,本件商標権者は,申立人らが現実に「セミナーの企画・運営又は開催」その他の役務において,「アーボリスト」又は「ARBORIST」を使用していることを知りながら,引用商標の指定役務に「セミナーの企画・運営又は開催」等の役務が含まれていないことを奇貨として,自らの名義において出願行為に至ったものである旨主張している。

しかしながら,本件商標と引用商標が同一又は類似するものであって,申立人が引用商標(引用標章)を使用しているとしても,前述のとおり,引用標章は需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。

そして,申立人の主張及び同人の提出に係る甲各号証を総合してみても,本件商標権者による本件商標の登録出願が,剽窃的なものということはできないばかりか,引用標章に化体した信用,名声,顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る等の目的をもってしたものとも認めることはできず、本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当すると認めるに足りる具体的事実を見いだすこともできない。

さらに,本件商標を,その指定役務について使用することが,社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反するということもできず,他の法律によってその使用が禁止されているものでもなく,国際信義に反するものでもない。

加えて,本件商標の構成自体が,非道徳的,卑わい,差別的,きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるような構成態様でもない。

その他,本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足りる証拠の提出はない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。

4 むすび

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第3号,同第6号,同法第4条第1項第7号,同第10号,同第11号,同第15号,同第16号及び同第19号のいずれにも該当するものでなく,その登録は,同法第3条及び第4条第1項の規定に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。

よって,結論のとおり決定する。

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