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Trademark Appeal Case

擬音語の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−12962(T2017−12962/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第9類及び第28類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし,平成27年9月2日に音商標として登録出願,その後,本願の指定商品については,原審における同28年12月21日付け手続補正書により,第9類「業務用テレビゲーム機用プログラム,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,電子出版物」及び第28類「遊園地用機械器具,おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具」と補正されたものである。

なお,当審における平成29年9月1日付けの手続補正書については,同30年10月2日付けをもって,願書に記載した商標の要旨変更を理由とする補正却下の決定がなされたものであり,当該決定は,既に確定している。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は,「本願商標は音商標として登録出願されたものであるが,本願商標には,音の種類に関する記載がなく,本願商標の『「キュキュキュキュキュインキュイーン」という音』という記載が,動物の鳴き声であるのか,電子音であるのか等,音の種類が不明であるため,本願商標を音商標と認めることができない。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審における審尋

当審において,請求人に対し,令和元年7月8日付けで,別掲2ないし別掲4に係る証拠を示した上で,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の審尋を発し,相当の期間を指定して,請求人に回答を求めた。

4 審尋に対する請求人の回答

請求人は,上記3の審尋に対して,何ら応答していない。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項柱書について

ア 商標法第3条第1項柱書は,自己の業務に係る商品又は役務について使用をする「商標」(文字,図形,記号,立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合,音を含む。商標法第2条第1項を参照。)については,商標登録を受けることができる旨を規定している。そして,音商標に係る登録出願に際しては,音商標である旨と商標登録を受けようとする商標を,願書に記載しなければならない(商標法第5条第1項及び第2項)。

また,「音」とは,「物の響きや人・鳥獣の声。物体の振動が空気の振動(音波)として伝わって起こす聴覚の内容。」(参照:「広辞苑 第7版」岩波書店)であるところ,音商標の登録出願に際して,その願書には,聴覚により伝わる音そのものは記載できないため,文字若しくは五線譜又はこれらの組み合わせを用いて商標登録を受けようとする音を特定するために必要な事項を記載することになる(商標法施行規則第4条の5)。併せて,その記載だけでは表すことができない,本願商標の聴覚による伝わる音としての具体的表現物は,物件(以下「音声ファイル」という。)として提出することになる(商標法第5条第4項)。

イ 本願の願書には,別掲1のとおり「本商標は,『キュキュキュキュキュインキュイーン』という音が聞こえる構成となっており,全体で約1秒間の長さである。」と記載されているところ,本願商標が音商標として出願されたことを踏まえると,当該記載は,文字での表現(擬音語)及びその他の文章を通じて,構成音(「キュキュキュキュキュインキュイーン」)及び全体の長さ(約1秒)を特定してなるもので,全体として,音からなるものであると理解できる。また,本願商標の記載において,音以外の要素の表現や,音商標と理解することを妨げる特段の矛盾や支障のある記載はない。

したがって,本願商標は,商標法第3条第1項柱書の要件を具備する。

(2)商標法第3条第1項第6号について

ア 本願商標は,別掲1のとおり,「『キュキュキュキュキュインキュイーン』という音が聞こえる構成となっており,全体で約1秒間の長さである。」からなる音商標であって,願書に添付された経済産業省令で定める物件(平成27年9月2日付け提出の手続補足書に添付の音声ファイル)とともに特定されたもので,その指定商品は上記1のとおりある。

イ テレビ,ラジオ又はインターネット等による商品の広告等においては,聴覚を通じて,商品の魅力を向上させるため,又は需要者の注意喚起若しくは印象付けなどの関心を引いたりするために,本願商標に係る音と同様の音を含め,多種多様な音が一般に広く使用されている実情がある。

そうすると,例えば,音が自他商品の識別標識としての機能を果たし得る言語等からなる又は音にそのような言語等が含まれている場合はともかく,そうでない場合には,その音は,通常,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として聴取され,認識されることはないとみるのが相当である。

そして,本願の指定商品を取り扱う業界においても,これらの事情を異にするとみるべき理由は見当たらない。

ウ 本願の指定商品を扱う業界においては,別掲2のインターネット情報によると,実際に多種多様な音がゲームのコマンド選択音や決定音等の効果音として公表され,使用されている。

エ 本願商標は,上記アのとおり,願書の記載及び手続補足書に添付の音声ファイルによれば,音のみで構成され,自他商品の識別標識としての機能を果たし得る言語的要素は含まれていないことは明らかであるから,上記イの実情を踏まえれば,本願商標をその指定商品について使用しても,これに接する需要者は,本願商標においても,聴覚を通じて,商品の魅力を向上させるため,又は需要者への注意喚起若しくは印象付けのための効果音と理解し認識するものであるから,自他商品の識別標識とは認識しないというべきである。

そして,本願商標を構成する「キュキュキュキュキュインキュイーン」の音は,上記ウのとおり,一般に広く使用されている効果音として聴取され得るものであり,また,本願商標の構成要素である「キュ」及び「キュイン(キュイーン)」の各音は,別掲3のとおり,企業名やロゴマークとともに,あるいはCMの効果音として使用され,さらに,別掲4のとおり,これらを2種以上組み合わせた音も,ゲームのコマンド選択音や決定音等の効果音として一般に広く使用されているものである。

オ そうすると,本願商標をその指定商品について使用しても,これに接する需要者は,商品の魅力向上又は需要者への注意喚起や印象付けなどの関心を引くものとして一般に広く用いられている効果音の一種として聴取,把握するにとどまり,本願商標が特定の者(請求人)の業に係る商品を表示するものとして認識することはないというべきである。

してみれば,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標である。

したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。

(3)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当し,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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