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Trademark Appeal Case

商標使用の国内性判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2018−300155(T2018−300155/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5377235号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5377235号商標(以下「本件商標」という。)は,「YARD HOUSE」の欧文字を標準文字で表してなり,平成22年7月15日に登録出願,第43類「レストラン及びバーにおける飲食物の提供」を指定役務として,同年12月17日に設定登録されたものである。

そして,本件審判の請求の登録日は,平成30年4月2日である。

なお,本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは,平成27年(2015年)4月2日ないし同30年(2018年)4月1日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張

請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は,その指定役務について,継続して3年以上日本国内において使用した事実が存在しないから,商標法第50条第1項により取り消されるべきものである。

2 弁駁の理由

被請求人が主張する事実からは,以下のとおり,被請求人が要証期間に,日本国内において,本件商標又はそれと社会通念上同一の商標をその指定役務について使用したとはいえない。

(1)被請求人が,本件商標の指定役務について,日本国内での商標使用の事実を立証していないこと

ア 指定役務の提供場所について

商標法第50条第2項の「使用」は,日本国内における使用に限られている。したがって,登録商標を使用して指定役務が提供されているとしても,当該提供行為が日本国外で行われている場合は,同項の使用には当たらない。

そして,指定役務自体の提供が日本国外で行われている場合,日本において需要者は当該役務の提供を受けることができず,商標権者の日本における業務上の信用維持にもつながらない。そのため,日本国外で提供されている役務について登録商標を付した広告等の行為が日本向けに行われたとしても,当該行為は,指定役務に関する登録商標の使用(商標法第2条第3項)には当たらない(平成17年(行ケ)10095「PAPA JOHN’S判決」)。

イ レストラン予約サイトにおける予約ページが使用事実を証明しないこと

被請求人は,レストラン予約サイト「OpenTable」に設けられた被請求人の「Yard House」ニューポートビーチ店の予約ページを通して,日本に在住する消費者が,指定役務「レストラン及びバーにおける飲食物の提供」を受けようとして,同店の予約を行っていることをもって,本件商標の使用事実を主張する。しかし,同店が存在するのはアメリカ合衆国であり,指定役務は日本国外において提供されている(乙5)。上記アで述べたとおり,たとえ,本件商標が使用されている事実が掲載された予約ページが日本語で表示され日本の需要者による利用があるとしても,指定役務の提供が日本国内で行われていない以上,本件商標の使用(商標法第2条第3項各号の使用を含む)には該当しない。

したがって,乙第5号証は,本件商標の日本国内での使用を示すものではない。

ウ 被請求人ウェブサイト,FaceBookへの投稿記事が使用事実を証明しないこと

被請求人は,被請求人のウェブサイト(乙1,乙6)及びFaceBookアカウント(乙4)において本件商標と社会通念上同一の標章を使用しているとして,本件商標の使用事実を主張している。

しかし,被請求人のウェブサイト及びFaceBookへの投稿記事は全て英語で構成され,日本の需要者を対象としたものとして機能していない。これらのサイトに日本からアクセスし利用することが可能であっても,それはインターネットの性質上当然であり,日本における本件商標の使用の事実を示すものではない(前掲「PAPA JOHN’S判決」)。

また,被請求人の運営に係るレストランバー「YARD HOUSE」は,アメリカ本土を中心にハワイ州のホノルル等にチェーン展開されている。したがって,被請求人のウェブサイト及びFaceBookアカウントは,日本国外における役務提供に伴って開設されたものであり,これらにおける本件商標の使用はその指定役務への使用には当たらない。

さらに,被請求人は,被請求人のウェブサイト内に設けられた会員制度におけるメーリングリスト「e−Club」サインアップ用ページについて,日本のドメインを有する顧客も会員として登録されていると述べるが(乙7),当該メーリングリストにおいて提供されていたイベント等に関する情報提供も,日本国外の店舗における情報に関するものであると考えられる。

よって,当該情報提供は,日本国内における指定役務の提供に関して行われた行為とはいえない。

したがって,乙第1号証,乙第4号証及び乙第6号証は,本件商標の日本国内での使用を示すものではない。

エ 第三者のウェブサイトについて

旅行会社JTB,HIS及び日本ビアジャーナリスト協会が運営するウェブサイト(乙8〜乙10)について,被請求人は,これらのウェブサイトにおいて提供される情報は旅行者にとって有力で信用性が高く,実質的にはこれらのウェブサイトで使用される本件商標は,日本において自他役務識別機能を発揮しているとみても差し支えないと主張する。

しかし,商標法第50条第2項では,「商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれか」による使用と規定されているところ,上記会社及び団体は本件商標の商標権者ではなく,被請求人との関係も明らかではない。このような場合にまで,これらの第三者から提供される情報の需要者への影響を考慮して本件商標の日本国内における使用事実を認めることは許されない。

なお,そもそも,乙第8号証ないし乙第10号証も日本国外の店舗を取り上げているものであるから,本件商標の日本国内での使用にも当たらない。

よって,乙第8号証ないし乙第10号証は,被請求人による本件商標の使用の事実の有無を判断するに当たり何ら影響を及ぼさない。

オ したがって,被請求人が主張する本件商標の指定役務への使用は,いずれも本件商標の指定役務に関する日本国内における使用には当たらない。

その他,被請求人が提出する証拠において,本件商標をその指定役務について使用している事実は見当たらない。

第3 被請求人の主張

被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のとおり述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。

1 使用事実の概要

本件商標に係る「YARD HOUSE」は,商標権者が運営する,アメリカ本土を中心に,ハワイ州のホノルルなど,日本人に人気の渡航先の都市においてチェーン展開しているレストランバーの名称として採択したものである(乙1)。レストランバー「YARD HOUSE」は,1996年にカリフォルニア州ロングビーチに設立された。商標権者は,2012年にDarden Restaurants社に買収され,同社の子会社となっている(乙2,乙3)。

「YARD HOUSE」では,創作料理を中心に様々な料理を提供するとともに,クラフトビールを中心とする100種類以上のビールがあり,顧客は様々な種類のビールを試飲することができる人気の高いレストランバーである。

2016年からは,親会社であるDarden Restaurants社が,レストランの予約サイトである「OpenTable」の運営会社との間でインターネットを利用した同社予約システムの利用契約を締結したことにより,レストランバー「YARD HOUSE」は,予約サイト「OpenTable」を通じて,レストランの座席の予約を受け付けるようになり(乙4),アメリカ国外からの予約が非常に簡便なものとなり,利用者の増加に貢献している。

予約サイト「OpenTable」は,日本人の消費者をターゲットとした日本語のサイトも運営しており,日本に在住する消費者は,同サイトを通じて難なくレストランバー「YARD HOUSE」の予約を行い,現地において飲食物の提供に係るサービスを享受することが可能となっている(乙5)。

「OpenTable」から提供された情報として,要証期間において,日本在住の顧客から,実際に予約があった例(2016年7月ないし2018年3月の6例)を示す。

レストランバー「YARD HOUSE」は,「e−Club」と呼ばれるインターネットにおける会員制度を設けており(乙6),メーリングリストに参加するためにサインアップした人の中には,日本の需要者も数多く存在する。レストランバー「YARD HOUSE」では,過去数年間に200名を超える登録者が存在する(乙7)。

ハワイ州のホノルルにあるレストランバー「YARD HOUSE」は,日本人観光客に非常に人気があり,日本語によるメニューが店内に設置されているほどである。また,ホノルル店は,日本からの海外旅行者に渡航先として人気の高いハワイ州にあるところから,日本の有名旅行会社(乙8,乙9),さらに,ビールの品揃えで有名なレストランバーであることから,日本ビアジャーナリスト協会のウェブサイト等においても紹介されている(乙10)。

2 使用証拠

(1)乙第1号証は,被請求人のウェブサイトトップページの,2017年2月17日に保存されたインターネットアーカイブサイトのスクリーンショットであり,店舗の看板において,「Yard House」の欧文字と,その周囲を横長楕円形の輪郭図形を配した態様の標章が使用されている。同サイトにおいては,店舗で提供されるメニューの紹介,店舗検索のための検索機能の提供,「e−Club」と呼ばれるインターネットにおける会員制度を設けており(乙5),メーリングリストに参加するためにサインアップ機能等が提供されている。

(2)乙第4号証は,被請求人の所有するSNSサイト「FaceBook」上の公式アカウントにおける,2016年4月11日付けの投稿記事の写しであり,「Yard House」の商標とともに予約サイト「OpenTable」を通じた座席の予約の受付を開始した旨の投稿記事が示されている。

(3)乙第5号証は,被請求人,その親会社であるDarden Restaurants社が利用しているレストランの予約サイトである「OpenTable」の日本語版における,「Yard House−Newport Beach(ヤードハウス,ニューポートビーチ店)」の予約ページの写しである。なお,本証拠は,ウェブサイト上の検索機能を利用して表示されるウェブページに係るものであるところから,インターネットアーカイブサイトにおける保存情報を提示できないものである。しかるところ,ウェブページの下方に掲載された利用者からのコメントの日付として,要証期間である,例えば,2017年9月24日の日付が数多くみられるところから,要証期間においても存在していたものと優に推認できるものである。

(4)乙第6号証は,被請求人のウェブサイトトップページの,2017年2月17日に保存されたインターネットアーカイブサイトのスクリーンショットであり,被請求人が提供する「e−Club」と呼ばれるインターネットにおける会員制度におけるメーリングリストに参加するためサインアップ用のページである。「Yard House Restaurant」の標章が示されているとともに,被請求人が,飲食物の提供の役務に付随して,店舗で開催される各種イベント等に関する情報の提供を行っていた事実が示されている。

(5)乙第7号証は,被請求人が提供する「e−Club」と呼ばれるインターネットにおける会員制度における,日本のドメインを有する顧客のリストである。

(6)乙第8号証は,我が国の大手旅行会社JTBのホームページ上で公開されている,ホノルルにあるレストランバー「Yard House」の紹介ページの写しである。なお,ウェブサイト中に「最新更新日時2017年5月12日」の記載があることから,少なくとも,要証期間である2017年5月12日において,インターネット上でアクセスが可能であったことは明らかである。

(7)乙第9号証は,我が国の大手旅行会社HISのホームページ上で公開されている,レストランバー「Yard House」の2018年2月21日付け,紹介記事の写しである。

(8)乙第10号証は,日本ビアジャーナリスト協会のウェブサイトで公開されている,レストランバー「Yard House」の2016年4月28日付け,紹介記事の写しである。

なお,乙第8号証ないし乙第10号証に係る各ウェブサイトは,旅行会社「JTB」,「HIS」さらに,「日本ビアジャーナリスト協会」の運営するウェブサイトであって,被請求人自らが運営しているものではない。

ところで,旅行において,旅行先で「どのレストランやバーなどの飲食店で食事するか」は,旅行者にとって重要な決定事項の一つであり,その選定に際しては,旅行ガイドブック,旅行会社の提供するパンフレット,インターネットの情報を参照するのが一般的であるが,特に,情報を容易に収集できるインターネットが多く用いられると考えられるものである。インターネット上の膨大な情報のなか,現地の情報を豊富に持っている旅行会社が提供する観光情報は,旅行者にとって有力で,信用性の高い情報となっている。よって,形式的には,商標権者である被請求人の行為とは厳密にはいえないものの,実質的には,このような,日本の需要者に対する情報提供行為が,日本の旅行業者等を通じ行われていることにより,我が国の需要者間で人気が高まり,現に,インターネットの予約サイトを通じて,座席の予約がなされ,その日本の旅行者は,実際に店舗を訪れて,飲食物の提供に係るサービスを受けているのである。

してみると,本件商標は,現に我が国において,自他役務識別機能を発揮しているとみても差し支えないのであり,このような本件商標を保護することによって,日本の需要者の利益を保護することになり,ひいては,商標法の法目的にも資することとなるといっても過言ではない。

3 商標の社会通念上の同一性について

乙第1号証,乙第3号証ないし乙第10号証には,「Yard House」の欧文字と,その周囲を横長楕円形の輪郭図形を配して表したもの,普通に用いられた「Yard House」,「YARD HOUSE」の文字がそれぞれ使用されている。

ここで,商標法第50条における「登録商標」には,「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標,平仮名,片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標,外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む」とされるところ,本件使用商標は,本件商標と同じ「YARD HOUSE」からなるものであり,書体が同じもの及び書体のみに変更を加えた同一の文字からなるものといえる。

してみれば,本件使用商標は,本件商標と同一又は社会通念上同一の商標と認められる。

4 本件使用商標の役務と本件商標の指定役務の同一性について

乙第1号証,乙第4号証ないし乙第6号証においては,本件使用商標が被請求人の提供するレストランバーに係る飲食物の提供に付随して行われる飲食物の提供内容,提供場所やイベント等の情報を提供するウェブサイトに本件商標が付されている事実及び当該役務の提供を受けようとするためにアクセスした,商標権者との業務上の結びつきのある企業による予約ウェブサイト上で,予約のための情報入力画面等において,本件商標が使用されている事実が掲載されている。

本件使用商標に係る役務は,「レストラン及びバーにおける飲食物の提供」であることは明らかであり,本件取消審判に係る指定役務と同一の役務である。

5 商標法第2条第3項各号への該当性

乙第1号証,乙第4号証ないし乙第6号証は,役務に関する取引書類に標章を付したものを電磁的方法により提供したウェブサイトを印刷したものである。

よって,役務「レストラン及びバーにおける飲食物の提供」に関する取引書類を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為が行われた事実が証明された。

そして,このような使用態様は,少なくとも商標法第2条第3項第8号に規定される商標の使用行為に該当する。

6 結論

以上より,審判の請求の登録前3年以内に,商標権者が,本件商標と社会通念上同一の商標を,「レストラン及びバーにおける飲食物の提供」について使用していたことは明らかである。

第4 当審における審尋

当審において,令和2年3月3日付けをもって,商標法第50条第2項の規定による被請求人の証明について,要旨以下のとおり,暫定的見解を示したうえで,審尋を行った。

1 被請求人提出に係る乙各号証に関する暫定的な見解について

被請求人は,本件審判の請求に対し,平成30年7月17日付け審判事件答弁書において,本件商標の商標権者が,本件審判の請求の登録前3年以内に,本件商標と社会通念上同一の商標を,「レストラン及びバーにおける飲食物の提供」について使用していた旨主張し,証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。

しかしながら,被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によっては,我が国における使用の事実が見いだせないことから,日本国内において,商標権者が要証期間にその請求に係る指定役務について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしたことが証明されたということはできない。

そうすると,被請求人が商標法第50条第2項に規定する証明をしたものと認めることはできない。

2 審尋の内容

(1)被請求人は,本件商標を要証期間の3年間使用していないことについて正当な理由があることを明らかにするために,その事実を確認できる証拠を提出されたい。

(2)仮に,本件商標の使用をしていることについて新たな証拠によって使用を証明するときは,要証期間に日本国内で商標権者が指定役務のいずれかに本件商標を使用している事実が確認できる証拠を提出されたい。そして,その証拠が外国語によるものであるときは,訳文も添付されたい。

第5 被請求人の対応

被請求人は,上記審尋に対し何らの応答もしていない。

第6 当審の判断

1 被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば,以下のとおりである。

(1)本件商標権者は,アメリカ本土を中心に,ハワイ州のホノルルなどの都市においてチェーン展開しているレストランバーを運営している。

本件商標権者のウェブサイト「Yard House Restaurant」に係るインターネットアーカイブサイト(2017年2月17日に保存されたもの)において,「Yard House」の欧文字と,その周囲を横長楕円形の輪郭図形を配した態様の標章が掲載されている(乙1)。

(2)乙第5号証は,2018年7月17日出力のレストランの予約サイト「OpenTable」の日本語版であり,アメリカ所在の「Yard House−Newport Beach」の予約ページの写しである。当該予約サイトの「評価・口コミ」欄の一つに,2017年9月24日の来店者からのコメントが掲載されている。

(3)乙第7号証は,被請求人の主張によれば,被請求人が提供する「e−Club」と称するインターネット会員制度における日本のドメインを有する顧客リストである。

(4)乙第8号証は,2018年4月3日出力の旅行会社JTBのホームページ上で公開されている,ホノルルにあるレストランバー「Yard House」の紹介ページの写しであるところ,「ヤード・ハウス(Yard House)」の見出しの下,「基本情報」の欄に住所,営業時間等の記載とともに「最新更新日時」として「2017年05月12日」の記載がある。

(5)乙第9号証は,2018年5月10日出力の旅行会社HISのホームページ上で公開されている2018年2月21日付けの「ロサンゼルス観光ブログ」であって,アメリカ所在の「YARD HOUSE」の紹介がされている。

(6)乙第10号証は,日本ビアジャーナリスト協会のウェブサイトで公開されている「[コラム,ビアバー]2016.4.28」として,ハワイ所在の「Yard House WAIKIKI」が紹介され,店舗の看板において,「Yard House」の欧文字と,その周囲を横長楕円形の輪郭図形を配した態様の標章が使用されている写真が掲載されている。

2 上記1によれば,当審の判断は,以下のとおりである。

(1)本件商標権者(被請求人)は,アメリカ本土を中心にレストランバー「YARD HOUSE」をチェーン展開しており,アメリカの店舗における看板において,「Yard House」の欧文字と,その周囲を横長楕円形の輪郭図形を配した態様の標章(以下「使用標章」という。)が本件審判の要証期間に使用されたと推認できる。

(2)レストランの予約サイトに,要証期間にレストラン「Yard House−Newport Beach」を予約するための日本語版ページがあったとはいえるものの,当該店舗はアメリカ所在のものである。

(3)我が国の旅行会社及び「日本ビアジャーナリスト協会」のウェブサイトにおいて,レストランバー「Yard House」の紹介が認められるものの(乙8〜乙10),これらは,いずれもアメリカ所在の店舗であって,日本国内の店舗についての記載はない。

そうすると,本件商標権者は,要証期間にアメリカ所在のレストランバーにおいて,使用標章を使用したことは推認できるものの,いずれも日本国内の使用についての証拠とはいえないため,日本国内において,本件商標を使用している事実を確認することができないものである。

3 被請求人の主張について

被請求人は,乙第1号証,乙第4号証ないし乙第6号証をもって,レストラン及びバーにおける飲食物の提供に関する取引書類を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為が行われたと主張するが,これらは,すべて英語で表記されているインターネットのウェブページであって,我が国においてもアクセスが可能であり,また,我が国の検索エンジンによっても検索可能であるとしても,このことは,インターネットのウェブページである以上当然のことであり,これをもって日本国内による使用に該当するものということはできない。

また,被請求人が提供するインターネット会員制度「e−Club」において,日本の需要者も数多く存在すると主張する(乙7)が,アメリカ所在のレストランバーに関する会員に日本人が含まれるとしても,アメリカで提供される役務に係るものであって,これをもって,日本国内における本件商標の使用ということはできない。

したがって,被請求人の上記主張は理由がない。

4 小活

上記からすれば,被請求人は,本件商標について,日本国内での使用の事実を立証していない。

その他,被請求人が提出した証拠によっては,日本国内において,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の商標法第2条第3項各号にいう使用があったことを認めるに足る事実を見いだせない。

5 むすび

以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標権者,通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが,その請求に係る指定役務について,本件商標の使用をしていることを証明したということはできない。

また,被請求人は,本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。

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