Trademark Appeal Case
著名商標と混同のおそれ
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2019−12648(T2019−12648/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第25類「セーター,ワイシャツ類及びシャツ,被服,ズボン,外衣,ニット製被服,スカート,トッパーコート,皮革製被服,ティーシャツ,下着,ズボン下,靴及び運動用特殊靴,帽子,メリヤス下着,メリヤス靴下,手袋(被服),スカーフ,ネクタイ,ガードル」を指定商品として、平成30年3月7日に登録出願されたものである。
第2 原査定の理由の要点
本願商標は、香港所在の「コンド・ナスト・アジア・パシフィック・インコーポレイテッド」が、本願商標の登録出願前から商品「雑誌、被服」等に使用して著名な商標「Vogue」の文字をその構成中に有するものであるから、本願商標をその指定商品に使用するときは、その商品があたかも前記会社又は同会社と、組織的又は経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
第3 当審の判断
1 本願商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品又は指定役務に使用したときに、当該商品又は役務が他人の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品又は役務が上記他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標が含まれる。そして、上記の「混同を生じるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきものである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁)。
ア 「VOGUE」及び「Vogue」の欧文字の周知著名性について
別掲2で示した事実からも明らかなとおり、「Vogue」及び「VOGUE」の表示(以下、「Vogue」及び「VOGUE」を併せて「Vogue等」という。)は、香港所在の「コンド・ナスト・アジア・パシフィック・インコーポレイテッド」ないしそれと関連する会社(以下、「コンド・ナスト・アジア・パシフィック・インコーポレイテッド」とそれに関連する会社をまとめて、「CNAP関連会社等」という。)が発行するファッション雑誌の名称として、本願商標の登録出願日の時点において、我が国のファッション雑誌の取引者、需要者の間に広く認識された著名なものと認められ、その著名性は、現在においても継続しているものと認められる。
そして、本願商標の指定商品は、上記第1のとおりであって、ファッション関連商品であるところ、ファッション関連商品とファッション雑誌とは、いずれもファッションに関連する商品であって、ファッション雑誌はファッション関連商品等を広告宣伝するという密接な関係を有する。また、本願商標の指定商品及びファッション雑誌は、日常的に消費される性質の商品であり、その需要者は特別の専門的知識経験を有する者ではないことからすると、その需要者はともに一般消費者であって、これを購入するに際して払われる注意力は、さほど高いものでないというべきである。
そうすると、本願商標の指定商品とファッション雑誌は、ともにファッションに関連する商品であって、密接な関連性を有する商品であり、その需要者はともに一般消費者である。
以上からすると、Vogue等の表示の著名性は、我が国のファッション雑誌の需要者のみならず、本願商標の指定商品の需要者にも及んでいると認められる。
そして、Vogue等の表示からは、その構成文字に相応して「ボーグ」ないし「ヴォーグ」の称呼が生じ、CNAP関連会社等が発行するファッション雑誌の名称である「Vogue」及び「VOGUE」の観念が生じる。
イ 商標の類似度の程度
(ア)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、「OVV」の欧文字をモチーフとしてデザイン化したと思われる図形(以下「上段図形」という。)を顕著に表し、その下部に、中央揃えで、「Original Vogue & Value」の欧文字及び記号(以下「下段欧文字等」という。)を横書きしてなるものである。
そして、上段図形と下段欧文字等は、やや間隔が空けられているとともに、その大きさの著しい相違やデザイン化の有無の差異もあることから、構成上、明確に視覚的に分離して認識されるものである。
下段欧文字等は、「Original」の欧文字と「Vogue」の欧文字と「&」の記号と「Value」の欧文字とを、それぞれ空白を介して結合してなるものであるところ、「Original」及び「Value」の欧文字並びに「&」の記号は、いずれも広く親しまれた英単語ないし記号であって、それぞれ、「オリジナル」の称呼及び「最初の」程の意味、「バリュー」の称呼及び「価値」程の意味、「アンド」の称呼及び「および」の意味をもつものである。一方、「Vogue」は「ボーグ」ないし「ヴォーグ」と称呼され「流行」の意味を有する英単語であるとしても、これらの英単語と「&」の記号を空白を介して結合してなる下段欧文字等は、「オリジナルボーグアンドバリュー」ないし「オリジナルヴォーグアンドバリュー」の称呼がやや冗長である上、「最初の流行および価値」程の意味合いも全体として一種の熟語を形成するような関連性をもったものとは言い難い。これに対し、「Vogue」の欧文字は、上記イで認定した我が国においてその需要者の間に広く認識されている著名なVogue等の表示とつづり字を共通にするものであり、その前後に空白が設けられている。そうすると、下段欧文字等における「Vogue」の欧文字が、本願商標に接した取引者、需要者の注意を特にひく部分であるというべきである。
以上のことからすると、本願商標は、その構成中の「Vogue」の欧文字が独立して要部たり得るから、この欧文字より、上記アのとおり、「ボーグ」ないし「ヴォーグ」の称呼が生じ、CNAP関連会社等が発行するファッション雑誌の名称である「Vogue」及び「VOGUE」の観念が生じる。
(イ)Vogue等の表示について
Vogue等の表示からは、上記アのとおり、「ボーグ」ないし「ヴォーグ」の称呼が生じ、CNAP関連会社等が発行するファッション雑誌の名称である「Vogue」及び「VOGUE」の観念が生じる。
(ウ)小括
したがって、本願商標の要部である「Vogue」の欧文字とVogue等の表示とは、つづり字を同じくし、外観上、近似するものであって、称呼及び観念を共通にするものであるから、両商標の類似度は、高いものといえる。
ウ Vogue等の表示の周知著名性及び独創性の程度
上記アのとおり、Vogue等の表示は、本願商標の登録出願日の時点及び審決時において、本願商標の指定商品の需要者の間に広く認識された著名な商標である。
他方、Vogue等の表示は、成語であることから、その構成自体は独創的なものではない。
エ 本願商標の指定商品とVogue等の表示に係る商品との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品の需要者の共通性その他取引の実情
本願商標の指定商品とVogue等の表示に係る商品であるファッション雑誌とは、上記アの認定のとおり、いずれもファッションに関連する商品であって、密接な関連性を有する商品である。また、これらは日常的に消費される性質の商品であり、その需要者はともに一般消費者であって、これを購入するに際して払われる注意力は、さほど高いものでないというべきである。
オ 出所の混同のおそれについて
以上のとおり、本願商標は、Vogue等の表示との類似度が高いこと、当該表示は、独創的な構成からなるものではないものの、本願商標の指定商品の需要者間において広く認識されている著名な表示であること、本願商標の指定商品とVogue等の表示に係るファッション雑誌とは、いずれもファッションに関連する商品であって、密接な関連性を有する商品であり、需要者はともに一般消費者であって、これを購入するに際して払われる注意力はさほど高いものではないこと等を総合的に考慮すれば、本願商標をその指定商品に使用した場合は、これに接した需要者に対し、CNAP関連会社等の業務に係るVogue等の表示を連想させて、当該商品がCNAP関連会社等との間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信され、商品の出所につき誤認を生じさせるおそれがあるというのが相当である。
よって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標において、「Vogue」の文字はあくまで一構成要素にすぎない旨主張し、その根拠として、本願商標は、「OVV」の下に「Original Vogue & Value」をまとまりよく一体的に配した態様からなる旨、「OVV」は、その下の「Original Vogue & Value」とは比較にならない程のサイズの文字からなり、「Original」、「Vogue」及び「Value」の各語の冒頭の一文字である「O」、「V」及び「V」を同書、同大、等間隔で表したものであるから、「OVV」が看者の注意をひきやすく、かつ、看者に強く印象づける構成要素であるといえる旨、「Original Vogue & Value」からは、相応した「オリジナルボーグアンドバリュー」という一連の称呼が生じ得る旨、「OVV」は、それ自体としては特定の観念を生じない造語であるのに対し、「Original Vogue & Value」は、「独自の流行と価値」程の一連の意味合いや、本願指定商品との関係において、「独自にデザインされた、流行している価値のある服」程の一連の意味合いを想起させる旨、を挙げる。
しかしながら、上段図形が下段欧文字等と比べて顕著に大きいとしても、下段欧文字等は十分に視認できる大きさからなるものであり、上記(1)イ(ア)で認定したとおり、上段図形と下段欧文字等は、構成上、視覚的に分離して認識されるものである。また、上段図形が「OVV」の欧文字であって、「Original」、「Vogue」及び「Value」の各語の冒頭の一文字である「O」、「V」及び「V」を同書、同大、等間隔で表したものであり、「OVV」が特定の観念を生じない造語であると認識、把握されるとしても、そのことのみをもって、上記(1)イ(ア)の認定判断が左右されることはない。「Original Vogue & Value」から一連の称呼及び意味合いが生じるとの主張についても、上記(1)イ(ア)で認定判断したとおりである。
イ 請求人は、本願商標における「Vogue」の文字は、「OVV」よりも著しく小さいサイズで表され、「OVV」、「Original」、「&」、「Value」により取り囲まれた位置にあるため、これら他の構成要素よりも目立たない一要素にすぎない旨主張する。
しかしながら、下段欧文字等が十分に視認できる大きさからなることは、上記アで説示したとおりである。そして、「Vogue」の欧文字が他の構成要素に取り囲まれた位置にあることは、上記(1)イ(ア)の認定判断を左右しない。
ウ 請求人は、「Vogue」の欧文字は、「流行」等の意味合いをもつことから、本願商標の指定商品との関係において、生来的に識別力が弱い旨主張するが、上記(1)アで認定したとおり、当該欧文字に係る表示には著名性が認められるものであるから、「Vogue」の欧文字が「流行」等の意味合いをもつことは、上記(1)の認定判断を左右しない。
エ 請求人は、本願商標と「Vogue」の欧文字からなる表示とが非類似の商標である旨主張するが、上記(1)イ(ウ)で認定判断したとおりであり、その類似度は高いといえる。
オ 請求人は、ファッション雑誌社やその関連会社が自ら被服を製造・販売するということは、業界の実情として必ずしも一般的ではないから、本願商標に接する取引者、需要者は、直ちにCNAP関連会社等を連想、想起するとはいえず、そのことは、本願商標中の「Vogue」の欧文字が、語頭の一文字を除いて小文字からなるのに対し、「コンド・ナスト・アジア・パシフィック・インコーポレイテッド」が使用する著名商標「VOGUE」が大文字のみからなることに鑑みるとなおさらである旨主張する。
しかしながら、ファッション雑誌を発行する会社やその関連会社が自ら被服を製造・販売するということが、取引の実情として必ずしも一般的ではないとしても、本願商標の指定商品とVogue等の表示に係る商品であるファッション雑誌とは、上記(1)アの認定のとおり、密接な関連性を有する商品であり、需要者を共通にするものである。そして、原査定が認定したとおり、「Vogue」の表示もファッション雑誌に係る表示として著名であるし、また、仮に「VOGUE」の表示が著名であること(なお、請求人も認める。)のみから検討をするとしても、「Vogue」の表示は、「VOGUE」とつづり字を共通にするものであるとともに、頭文字のみを大文字にした表記は、固有名詞の表記手法として広く一般に用いられるものにすぎないから、本願商標に含まれる「Vogue」の欧文字が、全て大文字である「VOGUE」でないことをもって、上記(1)オの判断が左右されることはない。
カ 請求人は、「Vogue」の表示へのただ乗りの意図はなく、または、本願商標の登録による当該表示の希釈化のおそれもないものである旨主張するが、上記1(オ)で判断したとおりである。
キ 請求人は、過去の登録例や審決例を示した上で、他人の著名商標を構成要素に含む商標であったとしても、直ちにその構成要素を分離・抽出して出所混同のおそれを認定すべきでない旨主張する。
しかしながら、請求人の挙げる登録例等は、本願商標とは、構成文字や構成態様が異なるものであって、かつ、具体的事案の判断においては、過去の登録例等に拘束されることなく、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから、これらの事例の存在によって、上記(1)の認定判断が左右されるものではない
ク よって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
2 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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