Trademark Appeal Case
割煎の品質表示と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2019−17494(T2019−17494/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標について
本願商標は,「割煎」の文字を標準文字で表してなり,第30類「米菓」を指定商品として,平成30年7月9日に登録出願されたものである。
2 原査定における拒絶の理由(要点)
原査定は,「本願商標は,『割煎』の文字を標準文字で表してなるものであるところ,本願の指定商品に係る業界においては,割り口にたれを浸み込ませた割り煎餅(割れ煎餅)や,単に割れてしまった煎餅を,『割りせん』,『わりせん』,『割れせん』,『われせん』のように称している事実がある。そうすると,『割煎』の文字からなる本願商標に接する取引者,需要者は,これをその指定商品『米菓』に使用したときは,本願商標を『割れる』の『割』の漢字と『煎餅』の『煎』の漢字とを組み合わせてなる,『割れた煎餅』ほどの意味合いを表すものと容易に理解し,その商品が割り口にたれを浸み込ませた割り煎餅であること,または単に割れた煎餅であることといった,商品の品質,形状を表示したものと認識するにとどまるというのが相当であるから,本願商標は,単に商品の品質等を普通に用いられる方法で表示するにすぎない標章のみからなるものといわざるを得ない。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,令和2年6月9日付け証拠調べ通知書によって通知し,相当の期間を指定して,これに対する意見を求めた。
4 証拠調べの結果に対する請求人の意見(要旨)
請求人は,上記3の証拠調べ通知書に対し,令和2年7月20日付け意見書において,提示された証拠は請求人の使用及び請求人が主催する「喜作心会」なる組織のメンバーによる使用を含むものであること,他者による使用があるとしても少量を取り扱うにすぎないこと,「割れ煎」の使用は存在するが,当該文字を使用している者は「割れ煎」の文字を「きゅうすけ(久助)」(割れた煎餅やあられのこと)の意味で用いている等,述べている。
5 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は,「割煎」の文字を標準文字で表してなるものであるところ,その構成中「割」の文字は,「割る」「割れる」の意味を表すのに用いられるものであり(株式会社岩波書店 広辞苑第六版),「煎」の文字は,本願の指定商品との関係において「煎餅」の「煎」の漢字と容易に看取させるものである。
そして,別掲における原審及び証拠調べ通知によって示した事実によれば,本願の指定商品に係る業界においては,煎餅を割ってから割り口にたれを浸み込ませた煎餅や,自然に割れてしまった煎餅を,「割煎」,「割り煎(割りせん)」,「割れ煎(割れせん,われせん)」のように称して販売されている事実がある。
そうすると,「割煎」の文字は,本願の指定商品における業界で使用されている「割煎」,「割り煎(割りせん)」,「割れ煎(割れせん,われせん)」の文字と同一又は送り仮名を除いた表記と容易に理解されるとみるのが自然であるから,本願商標を,その指定商品に使用しても,これに接する取引者・需要者に,その商品が,煎餅を割ってから割り口にたれを浸み込ませた煎餅,又は自然に割れた煎餅,すなわち,商品の品質を表示したものと認識させるにとどまるというべきであるから,本願商標は自他商品を識別する機能を果たし得ないと判断するのが相当である。
したがって,本願商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は,提示された証拠は請求人の使用及び請求人が主催する「喜作心会」なる組織のメンバー(以下「請求人等」という。)による使用を含むものであること,及び,他者による使用があるとしても少量を取り扱うにすぎないこと,本願商標は「ワリセン」と称呼されるのが自然であることなどを主張する。
しかしながら,請求人等による使用を除外しても,本願の指定商品に係る業界においては,上記(1)のとおり,割った煎餅(割れ煎餅)や割れた煎餅を,「割煎」,「割り煎(割りせん)」,「割れ煎(割れせん,われせん)」のように称して販売されている事実があることに何ら変わりはないうえに,加えて,請求人等においても「割煎」の文字を,割り口にたれを浸み込ませた割り煎餅を示す文字,すなわち指定商品の品質を表す文字として使用している事実があり,また,仮に請求人が「割煎」の文字を「ワリセン」と称しているとしても,これらの事実からすれば,本願商標が自他商品を識別する機能を果たし得るとみるべき理由にはならず,上記の判断が左右されるわけではない。
したがって,請求人の主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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