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Trademark Appeal Case

複合商標の要部抽出と類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2020−900078(T2020−900078/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6207266号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6207266号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和元年10月1日に登録出願、第33類「日本酒,清酒」を指定商品として、同年11月29日に登録査定、同年12月13日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、引用する登録第4044690号商標は、別掲2のとおりの構成からなり、平成7年10月31日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品とし、同9年8月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証を提出した。

(1)引用商標について

申立人は、1993年、自らが製造する辛口の日本酒に、ひきしまっていて冴えたイメージから、「きりっと」の文字を採択し、これを付して日本酒の販売を開始し(甲3〜甲5)、発売開始以来、現在に至るまで20年以上も継続して製造・販売を行っており、引用商標は、日本酒を取り扱う業界において、広く知られたものとなっている(甲6〜甲9)。また、引用商標を付した商品「白鶴上撰きりっと辛口 瓶1800ml」は、2018年4月ないし2019年3月において、その販売金額が1億1千万円を超えるものであり、同期間に販売された商品6412銘柄中、44位となっている(甲9)。

これらの実情から、引用商標が申立人に係る商品「日本酒」を表示するものとして、広く知られたものとなっている。

(2)本件商標について

本件商標は、毛筆体の「黄桜」の漢字の下に、大きく毛筆体で書した「呑」の漢字とその中央に重なるように小さく「どん」の平仮名を配し、さらにその下に「純米」の漢字と、やや小さく書した「きりっと」の平仮名を、全て縦書きで配した構成からなる商標である。

上記の構成からなる本件商標は、外観上、重ねて書した「呑」及び「どん」の文字部分は一体のものと看取されるものの、これと「黄桜」の文字部分、「純米」の文字部分、及び「きりっと」の文字部分がそれぞれ分離して看取されるものであって、これらの文字部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものである。

また、その構成中、「黄桜」の文字は、商標権者の略称を表し、「呑」及び「どん」の文字は、商標権者が製造販売する商品のシリーズ名称を表したものと理解され、「純米」の文字は、国税庁が定める「清酒の製法品質表示基準」にある「特定名称」の規格の一つである「純米酒」と認められる商品に表示するものとして広く使用されているものであることから、この商品が「純米酒」であると容易に理解されるものである(甲10〜甲13)。

さらに、商標権者は、自ら製造販売する「呑」及び「どん」の商標を付した商品を販売するにあたり、複数の商品をシリーズ化して展開していることもあり(甲14〜甲16)、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接する需要者は、商標権者の日本酒「呑(どん)」シリーズの商品の純米酒であると捉えたうえで、「きりっと」の文字が個別の商品名であると把握・理解するものといえる。

付言すると、「きりっと」の文字が「ひきしまっていて爽やかな味わいであるさま。」を表す語としても知られているものであるが(甲17)、上記の意味合いは、漠然としていて具体的な商品の品質を直接表すものではなく、これが自他商品の識別標識としての機能を発揮することは、引用商標が登録されていることからも明らかである。

したがって、本件商標は、その構成中、「きりっと」の文字部分のみをもって取引することが少なくないものであり、これに相応して「キリット」の称呼、「ひきしまっていて爽やかな味わいであるさま。」程の漠然とした観念をも生じる商標である。

(3)商標法第4条第1項第10号について

上述のとおり、本件商標は、その構成中「きりっと」の文字部分に相応して、「キリット」の称呼、「ひきしまっていて爽やかな味わいであるさま。」程の漠然とした観念を生じる商標である。

そして、「きりっと」の文字は、本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る商品「日本酒」を表示するものとして取引者・需要者間に広く認識されていたものである。

また、本件商標は、その指定商品「日本酒,清酒」に使用するものであり、これは、申立人の業務に係る商品「日本酒」と同一又は類似のものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標は、ともに「キリット」の称呼、「ひきしまっていて爽やかな味わいであるさま。」の観念を生じる類似の商標である。

そして、本件商標と引用商標の指定商品は、同一又は類似のものである。

さらに、本件商標は、需要者の間に広く認識された引用商標を含むものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(5)商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、本件商標の出願時において申立人の業務に係る商品「日本酒」を表示するものとして取引者・需要者に広く認識されていた引用商標と類似するものである。

したがって、本件商標は、その指定商品「日本酒,清酒」について使用した場合、申立人の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知性について

ア 申立人の主張及び提出した証拠によれば、以下のとおりである。

申立人は、申立人の業務に係る「日本酒」について、「白鶴 きりっと辛口」、「きりっと辛口」と表示して商品カタログ等に掲載している(甲3〜甲8)。また、業務用酒販店における日本酒販売金額ランキング(2018年4月〜2019年3月)においては、「白鶴 上撰 きりっと辛口 瓶 1800ml」が第44位に位置している(甲9)。

イ 上記アからすれば、日本酒について、「白鶴 きりっと辛口」、「きりっと辛口」の使用は認められるものの、引用商標「きりっと」のみの使用は見いだせないものである。

また、引用商標を付した商品に関する広告宣伝の規模や市場シェアを示す証拠の提出はない。

そうすると、申立人の提出に係る証拠からは、「きりっと」の文字からなる引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る「日本酒」を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標は、別掲1のとおり、毛筆体の「黄桜」の漢字の下に、毛筆体で大きく表した「呑」の漢字とその中央に重なるように小さく表した「どん」の平仮名を配し、さらにその下に「純米きりっと」の文字を、全て縦書きで配した構成からなる商標である。

上記の構成からなる本件商標は、外観上、重ねて表した「呑」及び「どん」の文字部分は一体のものと看取されるものの、これと「黄桜」の文字部分、「純米きりっと」の文字部分が、視覚的にそれぞれ分離して看取されるというべきである。

そして、本件商標の構成中、「純米きりっと」の文字部分は、同一書体でまとまりよく一連に表してなるものであるから、該文字に相応して、「ジュンマイキリット」の称呼を生じ、該文字は、辞書等に載録が認められないから、特定の観念は生じないものである。

他方、引用商標は、別掲2のとおり、「きりっと」の文字を縦書きしてなるものであるから、該文字に相応して、「キリット」の称呼を生じ、「ひきしまっていて爽やかな味わいであるさま。」(甲17)の観念を生じるといえる。

本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、上記のとおり、構成文字及び構成態様が異なり、外観上、相紛れるおそれはないものである。

そして、称呼においては、本件商標から生じる「ジュンマイキリット」の称呼と引用商標から生じる「キリット」の称呼とは、その構成音及び構成音数において明らかな差異を有するものであるから、明確に聴別できるものである。

また、観念においては、本件商標は、特定の観念を生じないものであり、引用商標からは、「ひきしまっていて爽やかな味わいであるさま。」の観念を生じるから、両者の観念は相違する。

そうすると、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのない非類似のものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について

ア 引用商標の周知性について

引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の商品を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものである。

イ 本件商標と引用商標との類似性の程度について

本件商標と引用商標は、上記(2)のとおり、その外観、称呼及び観念において紛れるおそれのない非類似の商標であり別異の商標である。

ウ 本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品の関連性、需要者の共通性について

本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品とは、同一又は類似の商品であって、その需要者も共通する。

エ 出所の混同のおそれについて

上記アないしウのとおり、本件商標の指定商品は、申立人の業務に係る商品と同一又は類似の商品であり、その需要者を共通にするとしても、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であり別異の商標であって、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとはいえないものである。

そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないとするのが相当である。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しない。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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