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Trademark Appeal Case

「成田屋」の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−12396(T2019−12396/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「成田屋」の文字を標準文字で表してなり、第16類及び第35類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成30年4月13日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、当審における令和元年9月18日及び同2年8月11日受付の手続補正書により、最終的に第35類「芸能実演家のファンクラブの企画・運営又は管理」(以下「本願役務」ともいう。)と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『成田屋』の文字を標準文字で表示してなるところ、当該文字からなる名称(屋号)が広く用いられている実情がうかがえるから、ありふれた名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。また、意見書を見ても、本願商標が使用された結果、何人かの業務に係る商品・役務であることを認識することができるに至っているとはいえない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における手続の経緯

当審において、請求人に対し、「成田屋」の語が店名を表示するものとして使用されている事実を示して、本願商標が商標法第3条第1項第4号に該当し、また、同条第2項の要件を具備しない旨の審尋を発し意見を求めたところ、請求人は、令和2年8月7日受付の回答書を提出するとともに、本願の指定商品及び指定役務を前記1のとおりの役務に補正した。

4 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第4号該当性について

本願商標は、「成田屋」の文字を標準文字で表してなるところ、原審において提示したインターネット記事及び当審において提示した前記3の事実のとおり、「成田屋」の語が店名を表示するものとして多数の者に使用されている。

したがって、本願商標は、ありふれた名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというのが相当であるから、商標法第3条第1項第4号に該当する。

(2)商標法第3条第2項該当性について

ア 請求人は、本願商標は、商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものである旨主張し、その証拠方法として、原審において資料1ないし資料13、当審において甲1号証ないし甲5号証を提出したところ、上記証拠及び請求人の主張並びに職権調査によれば、以下の事実が認められる。

(ア)請求人は、歌舞伎俳優の十一代目市川海老蔵氏が代表取締役を務める株式会社である。

(イ)江戸歌舞伎を代表する名門である、市川団十郎(以下、「団」の字は「團」の旧字も含める。)、市川海老蔵等の市川宗家の屋号は「成田屋」であり、初代団十郎が成田不動を信仰したことにちなみ、元禄十年(1699年)の「兵根元曽我」の上演から使用されたとされているものであって、三代目歌川豊国の浮世絵に「市川成田屋」(資料7)、東洲斎写楽の浮世絵に「成田屋三傑」(資料8)の文字が使用されており、現在に至るまで継続して日本国内において使用されている。

また、別掲1のとおり、「成田屋」の文字(語)は、広辞苑等の各種辞書、教科書及び新聞(テレビ番組の記事を含む。)などに、市川団十郎、市川海老蔵等の市川宗家の屋号を表す語として、多数掲載されているものである。

(ウ)本願役務を取り扱う業界は、別掲2のとおり、音楽事務所、アーティスト・タレント、及びエンターテイメント分野の企業向けに、ファンクラブを企画・運営又は管理し、顧客獲得につなげるための各種サービスを提供するなどしているものである。

(エ)請求人は、「成田屋 市川團十郎・市川海老蔵 公式Webサイト」を管理し、当該サイトにて「成田屋後援会のご案内」を掲載している(資料4)。

(オ)なお、本願商標と同一の商標である「成田屋」は、第41類「演劇の演出又は上演」等を指定役務として、商標法第3条第2項の要件を具備するものとして商標登録されている(商標登録第6016990号)。

イ 判断

本願役務は「芸能実演家のファンクラブの企画・運営又は管理」であるところ、上記(ウ)によれば、本願役務の主たる取引者、需要者は、アーティストやタレント及び彼らが所属する芸能事務所などエンターテイメントを業とする芸能関係者であるといえる。

そして、「成田屋」の語は、上記(イ)のとおり、1699年から現在に至るまでの約300年間、歌舞伎俳優市川団十郎、市川海老蔵等の市川宗家を指称するものとして使用されており、また、各種辞書、新聞等への掲載や、テレビ番組での紹介もされていることから、本願役務の主たる取引者、需要者である芸能関係者の間に広く知られているものといえる。

また、請求人は、「株式会社成田屋」であって、十一代目市川海老蔵氏が代表取締役を務める株式会社である。

そうすると、本願役務が、エンターテイメント事業と深い関わりのあるものであって、本願役務の取引者、需要者は芸能関係者であることに照らせば、本願商標は、本願役務の取引者、需要者に、本願商標から請求人との関連を認識することができる程度に広く知られていると認められる。

さらに、当審における職権調査によれば、本願役務を取り扱う業界において、「成田屋」の文字を他人が使用している事実は、発見できなかった。

してみれば、本願商標は、請求人により使用をされた結果、その役務の取引者、需要者の間で、何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものと判断するのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するものの、同法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであるから、原査定は、取消しを免れない。

その他、本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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