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Trademark Appeal Case

炎の形状の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−7479(T2018−7479/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおり,標章を付する位置が特定された位置商標であって,第11類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし,商標法第5条第4項に基づく「商標の詳細な説明」を願書に記載したとおりとして,平成28年1月29日に登録出願されたものである。

その後,本願の指定商品及び「商標の詳細な説明」については,当審における平成30年7月17日付けの手続補正書により,本願の指定商品については,第11類「対流形石油ストーブ」と,「商標の詳細な説明」については,「商標登録を受けようとする商標(以下『商標』という。)は,商標を付する位置が特定された位置商標であり,石油ストーブの燃焼部が燃焼する時に,透明な燃焼筒内部の中心領域に上下方向に間隔をあけて浮いた状態で,反射によって現れる3つの略輪状の炎の立体的形状からなる。図に示す黒色で示された3つの略輪状の部分が,反射によって現れた炎の立体的形状を示しており,赤色で示された部分は石油ストーブの燃焼部が燃焼していることを示している。なお,青色及び赤色で示した部分は,石油ストーブの形状等の一例を示したものであり,商標を構成する要素ではない。」とそれぞれ補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

1 商標法3条1項柱書きの適用性について

本願商標は,別掲1のとおりの図を記載し,商標の詳細な説明には,「商標登録を受けようとする商標(中略)は,(中略)3つの略輪状の炎の虚像からなる。」との記載があるが,虚像は,商標法施行規則第4条の6において規定する商標に係る標章(文字,図形,記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合に限る。)にはあたらないため,願書には位置商標である旨の記載があるが,本願商標は位置商標とは認めらない。

したがって,本願商標は,商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。

2 本願の商標法第5条第5項の適用性について

本願商標については,上記1のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないが,仮に,本願商標が,位置商標と認められたとしても,本願商標は,商標見本及び商標の詳細な説明の記載から把握されるものであるところ,商標の詳細な説明の記載は,商標登録を受けようとする商標を特定するものでなければならず,そのためには,商標見本に表された標章の構成及び態様と商標の詳細な説明の記載が表す標章の構成及び態様が一致している必要があるところ,商標見本に表された標章は立体的形状を認識させるものであるのに対し,商標の詳細な説明には,「3つの略輪状の炎の虚像からなる。」と記載のみで標章の形状の記載がなく,両者の構成及び態様が一致していないことから,本願商標を特定したものと認めることができない。

したがって,本願商標は,商標法第5条第5項の要件を具備しない。

3 本願商標の商標法第3条第1項第3号の適用性について

出願人は,商標の詳細の説明中の「虚像」を「立体的形状」に補正することで登録されるのであれば,商標の詳細な説明を補正することを検討する旨を主張しているので,仮に「虚像」を「立体的形状」に補正した場合について以下検討する。

本願商標は,商標見本及び商標の詳細な説明の記載から特定される商標からなるところ,一般に,商品等の形状は,商品等の機能により相当程度の制約を受けるものであるが,同一の機能を保持しつつも,なお,選択し得る形状に一定の幅があるのが通常である。そして,多くの場合,商品の機能や美感を発揮させるため,又は需要者の注意をひくための装飾等を目的として,出所を表示するための識別標識以外の種々の立体的形状が採用され,それに色彩が付されている実情がある。本願商標は,石油ストーブの燃焼部が燃焼する時に,透明な燃焼筒内部の中心領域に上下方向に間隔をあけて浮いた状態で現れる3つの略輪状の炎の立体的形状からなるところ,本願の指定商品との関係では,石油ストーブの通常採用し得る形態の一部を認識させるものである。

そうすると,本願商標を指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,単に商品の美感等を発揮するため又は機能の向上のために採用し得る石油ストーブの燃焼筒内部の一形状を表したにすぎないものと理解するにとどまり,単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものと判断するのが相当である。

したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。

4 商標法第3条第2項について

本願商標は,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていると認められず,商標法第3条第2項には該当しない。

第3 当審の判断

請求人は,その証拠方法として,原審において,参考資料1ないし参考資料20を提出し,さらに,当審において,参考資料21及び参考資料22を提出しているが,当該証拠の番号を,以下,甲第1号証ないし甲第22号証(枝番を含む。)と読み替える。

1 商標法第3条第1項柱書き及び商標法第5条第5項該当性について

本願商標の「商標の詳細な説明」については,上記第1のとおり補正された結果,本願の願書に記載の「商標登録を受けようとする商標」を具体的に特定しているものと認められる。

したがって,本願商標は,商標法第3条第1項柱書き及び同法第5条第5項の要件を具備するものとなった。

2 商標法第3条第1項第3号該当性について

(1)本願商標について

本願商標は,上記第1のとおり,「商標の詳細な説明」において,「石油ストーブの燃焼部が燃焼する時に,透明な燃焼筒内部の中心領域に上下方向に間隔をあけて浮いた状態で,反射によって現れる3つの略輪状の炎の立体的形状からなる。」とされているところ,当該「3つの略輪状の炎の立体的形状」を「本願形状」という。

(2)位置商標における商品等の形状

ア 立体商標における商品等の形状については,以下のとおり判示されているところ,本願形状のような位置商標における商品の形状についても,これと同じことがいえる。

イ 商品等の形状は,多くの場合,商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり,商品等の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって,商品・役務の出所を表示し,自他商品・役務を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように,商品等の製造者,供給者の観点からすれば,商品等の形状は,多くの場合,それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの,すなわち,商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また,商品等の形状を見る需要者の観点からしても,商品等の形状は,文字,図形,記号等により平面的に表示される標章とは異なり,商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し,出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。

そうすると,商品等の形状は,多くの場合に,商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり,客観的に見て,そのような目的のために採用されると認められる形状は,特段の事情のない限り,商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として,商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である。

また,商品等の具体的形状は,商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるが,一方で,当該商品の用途,性質等に基づく制約の下で,通常は,ある程度の選択の幅があるといえる。しかし,同種の商品等について,機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば,当該形状が特徴を有していたとしても,商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状として,商標法第3条第1項第3号に該当するものというべきである。

けだし,商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状は,同種の商品等に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから,先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは,公益上の観点から適切でないからである。

さらに,需要者において予測し得ないような斬新な形状の商品等であったとしても,当該形状が専ら商品等の機能向上の観点から選択されたものであるときには,商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば,同法第3条第1項第3号に該当するというべきである。

けだし,商品等が同種の商品等に見られない独特の形状を有する場合に,商品等の機能の観点からは発明ないし考案として,商品等の美感の観点からは意匠として,それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば,その限りおいて独占権が付与されることがあり得るが,これらの法の保護の対象になり得る形状について,商標権によって保護を与えることは,商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると,商品等の形状について,特許法,意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり,自由競争の不当な制限に当たり公益に反するからである(知財高裁平成19年(行ケ)第10405号,平成20年6月24日判決参照)。

(3)上記の観点から,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かを判断する。

ア 別掲2のとおり,請求人を出願人とする特許出願公告昭和63年55609号公報(甲18の3)において,「特許請求の範囲」の項には「2 燃焼炎や赤熱体から発する光が,金属被膜による干渉と屈折特性により多重かつ虹状に見ることが出来る特許請求範囲第1項記載の暖房器。」の記載,並びに,「発明の詳細な説明」の項には「・・・暖房器外部へ多量の暖房に適する熱線及び暖色光線を放射させると共に,燃焼筒は燃焼炎や赤熱体から発する光を分散干渉せしめ各種の色を発生する様にし,燃焼筒を虹色に輝かせるものである。」,「・・・この様にこの発明は透明若しくは半透明燃焼筒に金属被膜もしくは金属化合被膜を形成する簡単な構造によって暖房に最も適する波長の熱線を良好に透過せしめると共に,該被膜によって燃焼炎より発生する光を干渉させて各色に色付いた沢山の燃焼炎や赤熱体の像を形成して燃焼炎や赤熱体から発生する熱線が多方向から届く様になり,見せると共にリング状の凹凸部によるレンズ効果により,暖房効果を高めるものであり,更に各色に色付いた沢山の燃焼炎や赤熱体の像は非常に美しく,視覚的な暖房効果を高め,光の交差による優れたデザイン効果を生むものである。」及び「図面の簡単な説明」の項には「第1図はこの発明の一実施例を示す側縦断面図」の記載とともに,「第1図」として燃焼筒内に複数の燃焼炎の像(形状)が表示された図が掲載されている。

そして,当該特許は,1989年(平成元年)7月26日に登録され,2000年(平成12年)7月25日に存続期間が満了したものである(職権調査)。

イ 上記アの請求人を権利者とする特許公告公報における第1図は,暖房器の内側の燃焼炎の像(形状)は,点線の形で表された4つの像(形状)(以下「特許形状」という。)で示されており,像(形状)の数が異なるが,本願形状とその位置及び形状が近似するものである。

また,当該公報の記載からすれば,特許形状は,暖房器の燃焼炎や赤熱体から発する光が,金属被膜による干渉と屈折特性により多重かつ虹状に見ることができるものであって,当該特許の請求範囲に含まれるものである。

そして,特許形状は,燃焼炎より発生する光を干渉させて各色に色付いた沢山の燃焼炎や赤熱体の像を形成して燃焼炎や赤熱体から発生する熱線が多方向から届く様になり,暖房効果を高めるものであり,沢山の燃焼炎や赤熱体の像は非常に美しく,視覚的な暖房効果を高め,光の交差による優れたデザイン効果を生むものであるから,商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されたものであることは明らかである。

そして,本願形状と特許形状とは,それらに含まれる略輪状の炎の立体的形状の数が異なるとしても,機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであるといえる。

しかも,特許形状は,特許請求の範囲に含まれ特許法の定める要件を備え,独占権が付与されたものであるから,上記特許形状と同一性を損なわない本願形状に,商標権によって保護を与えることは,商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると,商品等の形状について,特許法による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり,自由競争の不当な制限に当たり公益に反する。

したがって,本願形状は商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されたものであって,機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであり,しかも,特許法の定める要件を備え,独占権が付与されたものであり,商標権によって保護を与えることは,特許法による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり,自由競争の不当な制限に当たり公益に反するから,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するというべきである。

3 商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて

請求人は,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものではないが,仮に,商標法第3条第1項第3号に該当するとしても,本願商標は使用による識別力を獲得しているので,同法第3条第2項の規定により,登録されるべきである旨主張するので,以下検討する。

(1)請求人の提出に係る証拠及びその主張によれば,次の事実が認められる。

ア 請求人について

請求人は,1949年(昭和24年)に創業した石油暖房器具を製造・販売する会社である(甲1の24,甲8の4〜6・8)。

イ 本願形状の使用方法及び使用開始時期について

(ア)本願形状の使用方法について

請求人の65周年記念誌の3ページに,「1980/世界で初めて対流型にガラスを採用した石油ストーブ RB−2」の見出しの下,「対流型にガラスを採用し,ガラスに特殊なコーティングを施して,ガラスに炎が『レインボー色』に映りこむストーブ。『レインボーストーブ』の愛称で親しまれ・・・トヨトミの代表するストーブの一つです。」の記載及び商品「石油ストーブ」の画像が掲載され,当該石油ストーブ(以下「請求人使用商品」という。)のガラス部分には,本願形状と同一性を損なわないと認められる形状が表示されている(甲1の24)。

(イ)使用開始時期について

請求人の65周年記念誌の3ページに,「1980/世界で初めて対流型にガラスを採用した石油ストーブ」の記載(甲1の24)及び請求人の商品カタログには,請求人使用商品が,1982年(昭和57年)ないし1985年(昭和60年),1987年(昭和62年)ないし1991年(平成3年),及び2005年(平成17年)ないし2016年(平成28年)のものに掲載されている(甲1の1〜9・12〜23)。

そして,請求人の主張によれば,1994年(平成6年)から2004年(平成16年)まで,請求人使用商品の製造を中止していた。

そうすると,請求人は,1980年(昭和55年)から1993年(平成5年)までの14年間及び2005年(平成17年)から2016年(平成28年)までの12年間,請求人使用商品を製造・販売をしていたから,少なくとも通算約30年間,請求人使用商品を製造・販売していたものと認められる。

(ウ)使用商品の販売額及びシェアについて

a 請求人の提出した「ガス・石油機器自主統計年報/2017(平成29)年6月/一般社団法人日本ガス石油機器工業会/調査統計委員会」発行によれば,76ページに「1.自然通気形開放式石油ストーブ(旧称:小型ストーブ)の表には,「数量」の項に「対流形」の2014年度(平成26年度)約12万7千台,2015年度(平成27年度)約10万台,2016年度(平成28年度)約10万2千台の記載がある(甲6)。

b 請求人は,日付が2016年(平成28年)10月から12月まで自社の全国各地の支店又は営業所からの出荷案内書(発行元控)を提出している。この取引書類には,「品名」の欄に「レインボー」の記載があるが,「お届先」の住所や名称の欄は,全てマスキングが施されている(甲5の1)。

c 請求人は,出荷台数等の記録を提出しており,「品名」の欄には,「レインボー」の文字の記載はあるが,「得意先」,「所属名」,「売上数」,「送付先名」及び「支店名」は,マスキングが施されている(甲5の2)。

(エ)広告宣伝の方法,回数及び内容について

a 請求人は,2012年(平成24年)10月から12月にかけて,請求人使用商品のテレビCMを「はなまるマーケット」,「ビートたけしのTVタックル」及び「報道特集」の番組において行っている。当該CMには,請求人使用商品の画像が使用されている(甲7の1)。

b 請求人は,報道番組に取り上げられたものとして,テレビ東京のニュース番組「ワールドビジネスサテライト」(2011年(平成23年)11月24日放送),CBCテレビが平日の夕方に放送している中京広域圏向けの報道・情報番組「イッポウ」(2014年(平成24年)12月10日放送),テレビ愛知の情報番組「工場へ行こう!〜ヒット商品誕生秘話」(2014年(平成24年)12月21日放送),NHK東海で夕方のニュース番組「ほっとイブニング」の1コーナー「東海モノ語り」(2011年(平成23年)11月16日放送)及び名古屋テレビ・メーテレの深夜情報番組「ジョシばな」(2014年(平成26年)12月5日放送)において,請求人使用商品が紹介されたと述べ,当該各番組における商品の画像が提出されている(甲7の2〜甲7の6)。

c 請求人は,雑誌(「瑞穂フリモ」2014年(平成26年)12月,「AUTO CAMPER(オートキャンパー)」2012年(平成24年)12月,「HCマーケット白書2011」2011年(平成23年)9月,「DIAMOND/HOMECENTER」2013年(平成25年)9月,「大人の逸品」2013年冬号)に請求人使用商品が紹介され,新聞記事(2017年(平成29年)2月9日 産経新聞,2017年(平成29年)1月25日 日経MJ(流通新聞),2016年(平成28年)11月11日 北海道新聞夕刊地方(帯広・十勝),2013年(平成25年)11月9日 中部経済新聞,同年8月24日 日本経済新聞,2012年(平成24年)9月25日及び2011年(平成23年)8月10日 中部経済新聞)に,請求人使用商品の記事が掲載されている(甲8の1〜甲8の12)。

d インターネットの通販サイト(Rakuten,amazon,価格.com)において,請求人使用商品のランキングが記載され,「レインボーは気になっていた商品で,炎がとても綺麗ですね!」,「火を着けると炎が明るく,本当に綺麗なレインボーが出て,ちょっと感動。」,「炎の明かりで視覚的にも暖かさを感じる」,「炎がガラス越しに三段構えで映り,暖気を数倍に感じることができる。」,「ランタンのようなデザイン。七色?の炎は美しく,見とれてしまいます。」等の使用者の評価が掲載されている(甲10〜甲12)。

e 請求人が加盟する業界団体である石油連盟の団体広告において,請求人使用商品の画像が使用されている(甲17)。

f 動画,個人のブログ,検索エンジン等にも,請求人使用商品の記事や画像が紹介されている(甲13〜甲15)。

g 請求人商品のストーブのカタログにおいては,実際にストーブを使用しているように,炎が付いた状態の画像を掲載しており,他社製品のストーブのカタログにおいても,同様に使用している状態で画像を掲載している(甲2)。

(オ)その他

請求人使用商品は,2005年(平成17年)にグッドデザイン賞を受賞している(甲16)。

(2)本件商標が請求人使用商品に使用して特別顕著性を獲得しているかについて

上記(1)で認定した事実を総合すれば,以下のように判断できる。

請求人は,1949年(昭和24年)に創業した石油暖房器具を製造・販売する会社であって,請求人使用商品の製造・販売を中止していた期間があるとしても,少なくとも通算約30年間,請求人使用商品を製造・販売していたことが認められる。

しかしながら,請求人使用商品は,請求人の商品カタログ,雑誌の広告,新聞記事等に使用され,本願形状は,主に,石油ストーブの炎の立体的形状を表したもので,上記のとおり,本願形状に対する需要者の評価は,「炎がとても綺麗」,「炎が明るく,本当に綺麗なレインボーが出て」,「炎の明かりで視覚的にも暖かさを感じる」及び「炎がガラス越しに三段構えで映り,暖気を数倍に感じる」等,石油ストーブの機能である暖かくすることや石油ストーブの見た目の良さや美しさを評価として挙げており,単に,本願形状を当該ストーブの機能や装飾的なものと捉えていること,また,他者のストーブのカタログと同様に,請求人使用商品も,実際にストーブを使用しているように,炎が付いた状態の画像が掲載されており,特に本願形状を,特別目立つように表示していないことからすると,本願形状が単独で出所識別標識としての機能を有するものと認識されるとはいえず,本願形状のみによって,請求人の出所識別標識として理解されるものということはできない。

そして,請求人の提出された証拠からは,対流型石油ストーブの業界全体の数量(2014年度〜2016年度)は確認できるが,請求人は,近年は年間約3万台を生産し,全国に出荷していると主張しているのみであるし,仮に近年年間約3万台生産しているとしても,そのシェアの対象を対流石油ストーブのみで評価しなければならない理由はなく,対流型ストーブを含むストーブ全体で評価すれば,市場シェアは著しく低いものと推認できる。

また,宣伝広告については,約30年の間に,テレビCMを2012年(平成24年)の10月から12月までの僅か3か月間放映されたのみで,報道番組には5回程度取り上げられ,雑誌の広告や新聞記事等がそれぞれ5件程度であり,決して多いものとはいえない。

さらに,動画,個人のブログ及び検索エンジン等に請求人使用商品が紹介され,請求人使用商品は,2005年(平成17年)にグッドデザイン賞を受賞しているが,テレビCMや雑誌等の宣伝広告を含め,これら宣伝広告等に使用されている請求人使用商品は,いずれも請求人使用商品全体の画像,つまり,石油ストーブであって,本願形状部分を特段目立つ様態で表示している等,本願形状を自他商品の識別標識として使用している事実は認められないものである。

以上よりすると,本願商標 ,需要者において,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識されるに至っているとはいい難い。

その他,請求人の主張及び同人提出の甲各号証を総合してみても,本願商標が,その使用の結果,請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者に認識されていると認めるに足りる事実は見いだせない。

したがって,本願商標は,商標法第3条第2項に規定する要件を具備しているとはいえない。

4 請求人の主張について

(1)請求人は,「・・・請求人が製造を開始してから,現在に至るまで,同業他社が同様の形態の石油ストーブを製造・販売している事実はない。・・・透明な燃焼筒を用いて,炎の虚像を表示する技術は,過去には特許を受けていた時期もあるほどに特徴的な構成である。また,・・・特徴的なストーブであることからこそグッドデザイン賞を得られているものである。・・・他社にはない特徴部分があれば,次回商品を購入する際にその特徴部分(略輪状の炎の立体的形状)が,需要者に美感を感じさせるという点に加えて,再度の需要喚起を図るための自他商品識別力の付与の観点をも併せ持っているものといえるので,本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。」旨を主張している。

しかしながら, 上記2のとおり,仮に,本願形状が,同種の商品等に見られない独特の形状であったり,グッドデザイン賞を受賞するような形状であったり,需要者において予測し得ないような形状であったとしても,本願形状は,発明の観点から,特許として,特許法によって独占権が付与されたものであり,また,美感の観点からデザインとして賞を受賞したものであって,本願商標は専ら商品等の機能向上の観点又は美感から選択された商品の形状であるというのが相当であるから,商標法第3条第1項第3号に該当するというべきである。

(2)請求人は, 「製品カタログ等において宣伝する際には,本願商標の特徴である,透明な燃焼筒内部の中心領域に上下方向に間隔をあけて浮いた状態で現れる3つの略輪状の炎の虚像,すなわち燃焼筒内部の炎の輪を強くアピールしている。」旨の主張をしている。

しかしながら,上記3のとおり,請求人使用商品の全体(石油ストーブ全体)を画像として掲載しているものがほとんどであり,商品「ストーブ」のカタログにおいては,燃焼部に火を付けた状態で商品を掲載することが上記(1)イ(エ)gのとおり,一般的であることからすると,請求人のカタログ等に掲載されている商品「ストーブ」の画像において本願形状が強く印象づけられるものとはいい難く,自他商品識別標識としては,認識し得ないものである。

よって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。

5 まとめ

以上のとおり,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であり,商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同条第2項に規定する要件を具備するものではないから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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