Trademark Appeal Case
結合商標の識別性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2020−900053(T2020−900053/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第6220736号商標(以下「本件商標」という。)は、「ドライバーズジョブ」の片仮名を標準文字により表してなり、平成30年12月3日に登録出願、第35類「求人情報の提供,自動車の運転手のあっせん,職業のあっせんの情報の提供,市場調査,職業のあっせん」を指定役務として、令和元年12月19日に登録査定、同2年1月30日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、本件の指定役務中、第35類「求人情報の提供,自動車の運転手のあっせん,職業のあっせんの情報の提供,職業のあっせん」(以下「本件申立役務」という。)についての登録は、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
本件商標は、「運転手の」を意味する「driver’s」の称呼を片仮名で表記した「ドライバーズ」と「仕事」を意味する「job」の称呼を片仮名で表記した「ジョブ」とを結合した「ドライバーズジョブ」を表記したものであり、「運転手の仕事」という観念を生じるものであるから、本件申立役務に使用しても、当該役務の提供の場所、質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当する。また、本件商標を「運転手の仕事のあっせん,運転手の仕事に関する求人情報の提供,運転手の仕事のあっせんに関する情報の提供」以外の「求人情報の提供,職業のあっせんの情報の提供,職業のあっせん」に使用した場合は役務の質の誤認を生じる。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
そして、仮に、同法第3条第1項第3号に該当しないとしても、「運転手の仕事」という観念を生じ、既に使用されている事例も見受けられるため、本件申立役務に使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標に該当する。また、本件商標を「運転手の仕事のあっせん,運転手の仕事に関する求人情報の提供,運転手の仕事のあっせんに関する情報の提供」以外の「求人情報の提供,職業のあっせんの情報の提供,職業のあっせん」に使用した場合は役務の質の誤認を生じる。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。
第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、前記第1のとおり、「ドライバーズジョブ」の片仮名を標準文字により表してなるところ、その構成中「ドライバーズ」の文字は、「(車などの)運転手」(「コンサイスカタカナ語辞典」株式会社三省堂発行)の意味を有する「ドライバー」の文字と名詞の所有格語尾(「ジーニアス英和辞典」株式会社 大修館発行)を表す「’s」の称呼を片仮名表記した「ズ」の文字とを結合させたものであり、同構成中「ジョブ」の文字は、「仕事」(同「コンサイスカタカナ語辞典」)の意味を有するものとして、それぞれ親しまれた語であることから、本件商標は、その構成全体から、「運転手の仕事」程の意味合いを想起させる場合があるとしても、「ドライバーズジョブ」の文字が、本件申立役務との関係において、役務の質(内容)を直接的かつ具体的に表示したものとはいい難いものである。
また、申立人の提出した証拠において、「ドライバーズジョブ」の文字が、「運転手の求人サイト」上に使用されている例が見受けられるとしても(甲3〜甲5)、当該使用例は、わずか2件(決定注:甲第4号証及び甲第5号証における「ドライバーズジョブ」の使用者は同一人と認められる。)にすぎず、当該使用例をもって、本件商標が、役務の質を表示するものとして普通に使用されているということはできない。
そうすると、申立人が提出した証拠は、「ドライバーズジョブ」の文字が役務の質を表示しているものといえる直接的かつ具体的な証拠とみることはできない。
そして、当審において職権をもって調査するも、本件申立役務を取り扱う業界において、「ドライバーズジョブ」の文字が、具体的な役務の質を表示するものとして、取引上一般的に使用されている事実を発見することができず、取引者、需要者が当該文字を役務の質を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。
してみれば、本件商標は、本件申立役務との関係において、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえないものであり、また、役務の質について誤認を生じさせるおそれもないといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
2 商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、上記1のとおり、本件申立役務との関係において、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえないものであり、十分に自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。
そして、本件申立役務を取り扱う業界において、「ドライバーズジョブ」の使用例もわずかにすぎず、取引上一般的に使用されている事実を発見することもできないことから、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標とはいえないものであり、また、役務の質について誤認を生じさせるおそれもないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
3 申立人の主張について
申立人は、商標法第3条第1項第3号が適用され拒絶査定となった他の審査例(甲6)を挙げ、本件商標も拒絶されるべき商標である旨主張する。
しかしながら、商標の自他商品・役務の識別性についての判断は、当該商標について、当該判断時の取引の実情などを勘案しつつ、個別具体的に判断されるべきものであるところ、申立人の挙げた上記判断事例と本件商標とは、商標の構成態様において異なるものであるから、その事例を直ちに本件商標に適用して自他商品・役務の識別性についての判断をすることは適切とはいえない。
そして、申立人の提出に係る証拠を総合してみても、本件商標が、本件申立役務との関係において、役務の質を表示するものであることを認めるに足りる事実は見いだせない。
したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものではなく、その登録は、同法第3条及び第4条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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