Trademark Appeal Case
「PT」商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2020−900146(T2020−900146/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第6232024号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1に示すとおりの構成からなり,令和元年5月20日に登録出願,第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」並びに第14類及び第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同2年1月30日に登録査定され,同年3月3日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標(以下,これらをまとめて「引用商標」という。)は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5347302号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成22年4月22日
設定登録日:平成22年8月20日
指定商品:第25類「コート,オーバーコート,レインコート,ジャケット,スーツ,ドレス,ズボン,ショートパンツ,ショーツ,パンツ,スカート,ワイシャツ類及びシャツ,ティーシャツ,セーター,ベスト,スウェットシャツ,ソックス,その他の被服(「和服」を除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」
(2)登録第5347303号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成22年4月22日
設定登録日:平成22年8月20日
指定商品:第25類「コート,オーバーコート,レインコート,ジャケット,スーツ,ドレス,ズボン,ショートパンツ,ショーツ,パンツ,スカート,ワイシャツ類及びシャツ,ティーシャツ,セーター,ベスト,スウェットシャツ,ソックス,その他の被服(「和服」を除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」
2 申立人が,登録異議の申立ての理由において,本件商標は商標法第4条第1項第10号,同項第15号及び同項第19号に該当するとして引用する商標は,アルファベット二文字の「PT」及び申立人が「PT」を要部であると主張する別掲4ないし別掲7に示す商標(以下,まとめて「使用商標」という。)であり,申立人が商品「ズボン」等(以下「申立人商品」という。)について使用し,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,アパレル業界取引者や消費者等の間で広く知られていたというものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,その指定商品中,第25類「全指定商品」(以下「申立てに係る指定商品」という。)について,商標法第4条第1項第10号,同項第11号,同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから,その登録は同法第43条の3の規定により取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第32号証を提出した。
1 理由の要点
(1)商標法第4条第1項第10号該当性について
ア 使用商標の周知性について
(ア)申立人は,「PT」をブランド名とするパンツ専業メーカーとして,2008年(平成20年)にイタリアのトリノにて設立された(甲2)。申立人は,世界40カ国以上で,毎シーズン8万着以上のパンツを販売しており,ミラノ,ニューヨーク,ミュンヘン,トリノ,東京にショールームが開設され,イタリアの高級パンツを代表するブランドとして世界的な評価を得ている(甲3)。申立人は,日本で販売をはじめて5年目の2013年(平成25年)に,「株式会社 PT Japan」を設立し,販売活動を続けている(甲4,甲5)。
(イ)申立人は,ブランド設立時から一貫して,アルファベット二文字の「PT」を使用してきた。ハウスマークとしては,アルファベット二文字「PT」を,太い黒字のシンプルなフォントで顕著に目立つ態様で表し,その下にイタリア語で「pantaloni torino」を配置した標章を使用してきた(甲6)。また,製品ブランドマークとしては,「PT」を冒頭に配置した「PT01」「PT05」等といった「PT」と数字からなるシリーズマークを使用してきた(甲6,甲7)。更に,2019年(平成31年)春夏シーズンからは,ブランドを全て統合し,アルファベット二文字「PT」を,太い黒字のシンプルなフォントで顕著に目立つ態様で表し,その下にブランドの本拠地を表す「TORINO」を配置したブランドロゴを使用している(甲8,甲9)。使用商標においては「PT」の二文字自体がブランドとして認知されるよう,常に強調され,顕著に目立つ態様で表示されている。また,「PT」の二文字自体は,アパレル業界において一義的な意味を持つ略語として使用されている事実がなく,要部であるアルファベット二文字の「PT」は,識別力のある独創的なブランド名称と認識される。実際,製品のタグや革パッチに「PT」のアルファベット二文字が記されており,需要者に強く印象づけられている(甲10,甲11)。
(ウ)申立人は,アルファベット二文字「PT」及び「PT」が顕著に示された商標を継続して使用しており,「PT」ブランドに関わるズボンを,2009年(平成21年)頃より,日本市場で販売している。輸入販売額,輸入販売本数は,2017年(平成29年)は,14万7千ユーロ(約1千8百万円),1,856本,2018年(平成30年)は,16万2千ユーロ(約1千9百万円),2,246本,2019年(平成31年)は,16万7千ユーロ(約1千8百万円),2,183本である(甲12〜甲14)。
使用商標が付されたパンツは,申立人の直営店のほか,百貨店やセレクトショップにおける販売イベントで購入することができる。2014年(平成26年)2月,2016年(平成28年)及び2019年(平成31年)4月には,百貨店やセレクトショップ等で販売イベントが開催されている(甲15〜甲17)。
また,使用商標が付されたパンツは,「MITSUKOSHI ISETAN」等の著名な百貨店や「Beams」等のセレクトショップに係るネット販売からも購入することができる(甲18)。ESTNATIONのオンラインストアで発表された「パンツ人気ランキング(メンズ)」では,「PT TORINO」のショートパンツが2020年6月現在,第1位となっている(甲19)。また,男性ファッション誌「LEON」では,オンラインショップで,「PT」ブランドのLEON別注モデルが販売されている(甲20)。
そして,申立人の「PT」ブランドは,ファッション誌(「MEN‘S CLUB」,「LEON」)でも紹介されている。
以上のとおり,申立人の「PT」ブランドは,世界的に評判のイタリアの高級パンツブランドとして日本でも人気であり,使用商標及びそのブランドロゴの表示で強調されるアルファベット2文字の「PT」自体が,ブランド化した商標として高い認知を得ている。よって,使用商標は,本件商標の登録出願日から現在に至るまで,申立人の標章として,日本のアパレル業界取引者や消費者の間で,周知・著名な商標である。
イ 本件商標と使用商標の類否について
本件商標は,アルファベット2文字「PT」をロゴデザイン化したものであるが,デザイン化の程度が小さいため,明らかにアルファベットの「P」と「t」から構成されることが認識できる。また,「P」の文字の下端と「t」の文字の横線が結合して一体的にデザインされているので,その称呼も一体的に「ピーティー」のみ生ずるものと言える。
一方,使用商標は,すべて「PT」が顕著に目立つ態様で表されており,「PT」部分が要部として認定できるから,「ビーティー」の称呼が発生する。
したがって,両者を比較すると,称呼は同一であり,観念は共に特定の意味が生じないため,比較対象とならず,外観の相違は多少あるものの,使用商標の周知性も考慮すると,両商標は相紛らわしい類似の関係にある。
ウ 商品について
本件商標の申立てに係る指定商品は,「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」であるが,使用商標に係る「パンツ」は,「被服」に含まれる商品である。
エ 小括
以上より,本件商標は,未登録周知商標である使用商標と類似するものであり,同一の「被服」について使用されるものであるため,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 使用商標の周知著名性について
上記(1)アのとおり,使用商標は,本件商標の登録出願日から現在に至るまで,申立人の標章として,日本のアパレル業界取引者や消費者の間で,周知・著名な商標である。
イ 本件商標と使用商標の類否について
上記(1)イのとおり,本件商標と使用商標は,相紛らわしい類似の関係にある。
ウ 本件商標の指定商品と使用商標の業務の関連性について
本件商標の申立てに係る指定商品は,「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」であるが,使用商標に係る「パンツ」は,「被服」に含まれる商品である。また,被服以外の商品も人が身につけるファッション関連の商品であり,一つのファッションブランドの下,全てのアイテムが取り扱われることも通常想定されうるので,業務上の関連性が深いことは明らかである。
エ 取引者,需要者の共通性について
上記ウのとおり,本件商標と使用商標に係る「パンツ」は,共に人が身につけるファッション関連の商品であり,一つのファッションブランドの下,全てのアイテムが取り扱われることも通常想定されうるので,両商品の取引者,需要者は共通するといえる。また,使用商標に係る「パンツ」は男性用のものだけでなく女性用も展開しており,需要者の性別に左右されないものである(甲25)。
オ 商標権者による本件商標の使用について
本件商標権者は,公式オンラインショップ等で,アルファベット文字の「Pt」及びその片仮名表示「ピーティー」のみ使用しており,本件商標のロゴの態様では使用されていないので,その態様で需要者に認識されることはなく,周知性はないものである(甲26〜甲29)。
カ 混同のおそれについて
以上を総合的に勘案すると,本件商標が指定商品に使用された場合,当該商品が申立人の商品に係るものであると誤信させるおそれが生じ,又は,当該商品が申立人との間に,いわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品か事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信する恐れがあることは明らかである。
したがって,本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 使用商標の周知著名性について
上記(1)アのとおり,使用商標は,本件商標の登録出願日から現在に至るまで,申立人の標章として,日本のアパレル業界取引者や消費者の間で,周知・著名な商標である。
また,申立人は,「PT」ブランドの下,世界40カ国以上で,毎シーズン8万着以上のパンツを販売しており,ミラノ,ニューヨーク,ミュンヘン,トリノ,東京にショールームを開設している世界的に展開しているズボンメーカーである。なお,「PT」ブランドに関わる商標は,イタリア,日本以外にも,米国,カナダ,中国,トルコ,チュニジアでも権利化されている(甲30)。
イ 本件商標と使用商標の類否について
上記(1)イのとおり,本件商標と使用商標は,相紛らわしい類似の関係にある。
ウ 不正の目的について
上記アのとおり,本件商標は,国内及び外国でも著名な使用商標と類似しており,これを関連性が深い被服及び指定アパレル製品に使用することは,需要者に混同を招く不正の目的があることを推認させる。さらには,上記(2)オのとおり,本件商標の態様で使用されておらず,より混同が生じやすい通常のフォントで「Pt(ピーティー)」と使用されていることも,不正目的を推認させる。
エ 小括
以上より,本件商標は,他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって,不正の目的をもって使用をするものであり,商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標と引用商標の類否について
本件商標は,アルファベット2文字「PT」をロゴデザイン化したものであるが,デザイン化の程度が小さいため,明らかにアルファベットの「P」と「t」から構成されることが認識できる。また,「P」の文字の下端と「t」の文字の横線が結合して一体的にデザインされているので,その称呼も一体的に「ピーティー」のみ生ずるものと言える。また,指定商品との関係で,「Pt」が特定の意味を有しないため,特段の観念は生じないものである。
一方,引用商標は,上下2段からなる構成の商標であるが,上段に「PTプラス数字」が顕著に目立つ態様,大きさで表されており,下段にはイタリア語読みの片仮名表示がされている。下段のイタリア語読み表記は,必ずしも日本において馴染みがあるものと言えず,上段について自然に読むと,「ピーティーゼロワン」,「ピーティーゼロイチ」など別の称呼が生ずると考えられる。よって,上段,下段それぞれに応じた複数の称呼が生ずると考えられるが,上段の構成中,数字部分は,「PT」ブランドファミリーにおけるシリーズのカテゴリーを表す識別力の弱い部分に当たるという実情を考慮すると,「PT」部分が要部であり,それに呼応した「ピーティー」のみの称呼も生ずると言える。
したがって,両者を比較すると,称呼は同一であり,観念は共に特定の意味が生じないため比較対象とならず,外観の相違は多少あるものの,使用商標の周知性などの事情も考慮すると,両商標は相紛らわしい類似する関係にある。
イ 商品の類否について
「ズボン」等の引用商標の指定商品は,本件商標の指定商品である「被服」などと類似の関係にある。
ウ 小括
以上より,本件商標は,先願に係る他人の登録商標に類似する商標であり,その指定商品と同一,類似の商品に使用するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
第4 当審の判断
1 使用商標の周知著名性について
申立人提出の証拠によれば,我が国において「PT01」又は「PT05」の文字からなる標章及び「PT」の文字と,その下又は横に「TORINO」又は「pantaloni torino」の欧文字を配した標章が,ズボン等に使用され,販売されている(甲7〜甲10,甲18〜甲24)ことは認められるものの,「PT」の文字が単独で使用されている例は,極めて少ない。
また,申立人は,「PT」ブランドにかかるズボンを2009年(平成21年)頃より,日本市場で販売していると主張し,2017年(平成29年)から2019年(平成31年)までの輸入販売額,輸入販売本数を示すインボイス(甲12〜甲14)を提出しているが,これは,外国語で記載されているにもかかわらず,訳文の提出がないため,その内容が明らかではない。
そして,その他に,申立人商品の我が国及び外国における,シェア,販売高,販売量などの販売実績及び広告宣伝の回数や宣伝広告費の額など,使用商標の周知著名性を数量的に判断し得る具体的な証拠は見いだせない。
そうすると,申立人が提出した証拠からは,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,使用商標が,申立人の業務にかかる商品を表示するものとして,日本国内又は外国において,需要者の間に広く認識されているものとは,認めることができない。
2 本件商標と引用商標又は使用商標との類否
(1)本件商標について
本件商標は,別掲1のとおり,ややデザイン化されたアルファベットの「P」の文字と,その縦線の最下部右端にアルファベットの「t」と思しき文字を結合した構成からなるものであって,全体としてまとまりのある一つのモノグラム図形からなるものといい得るから,これよりは直ちに特定の称呼及び観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標1は,「PT01」の文字及び「ピーティーゼロウーノ」の片仮名を上下二段に書した構成からなり,また,引用商標2は,「PT05」の文字及び「ピーティーゼロチンクエ」の片仮名を上下二段に書した構成からなるところ,いずれも下段の片仮名は上段の文字の読みを特定したものと認められるから,それぞれ「ピーティーゼロウーノ」,「ピーティーゼロチンクエ」の称呼を生ずるものであり,特定の観念を生じないものである。
(3)使用商標について
使用商標は,「PT」の文字を太字で大きく表し,その下に「pantaloni torino」の文字を筆記体で小さく表した構成からなるもの,「PT01」及び「PT05」の文字を横書きした構成からなるもの,「PT」の文字を太字で大きく表し,その下に「TORINO」の文字を小さく表した構成からなるものであるところ,各々の構成文字に相応して「ピーティーパンタローニトリノ」,「ピーティーゼロイチ」又は「ピーティーゼロワン」,「ピーティーゼロゴ」又は「ピーティーゼロファイブ」の称呼を生ずるものであり,いずれも特定の観念を生じないものである。
(4)本件商標と引用商標及び使用商標の類否について
本件商標は,上記(1)のとおり,「P」の文字と「t」と思しき文字を結合し図案化したモノグラム図形からなるものであり,一方,引用商標及び使用商標の構成は,上記(2)及び(3)のとおりであるから,両者は,外観上,全く別異の構成態様からなるものである。
また,本件商標からは,特定の称呼が生ずるとはいえないから,称呼上,本件商標と引用商標及び使用商標とは,相紛れるおそれはない。
そして,本件商標と引用商標及び使用商標とは,いずれも特定の観念を生じないから,観念上,両商標を比較することはできない。
(5)申立人の主張について
申立人は,使用商標は,すべて「PT」が顕著に目立つ態様で表されており,「PT」部分が要部として認定できることから,使用商標からは「ピーティー」の称呼が発生し,本件商標と使用商標は称呼を同一にする旨を主張している。
しかしながら,仮に申立人の主張するとおり,使用商標の構成中「PT」の文字を要部とみることがあるとしても,本件商標からは称呼を生じないことから,本件商標と使用商標は称呼を同一にするとは認められない。
したがって,申立人の主張は,採用することができない。
(6)小括
してみれば,本件商標と引用商標及び使用商標とは,観念において比較することができないものであるとしても,称呼及び外観において明らかに差異を有するものであって,全く別異の構成態様からなる商標というべきあるから,両商標は,相紛れるおそれのない非類似の商標である。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
上記2のとおり,本件商標と使用商標とは,類似の商標とは認められない。また,使用商標は,上記1のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,日本国内又は外国において,需要者の間に広く認識されているものとは,認めることができないものであるから,商標法第4条第1項第10号の要件を欠くものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第11号該当性について
上記2のとおり,本件商標と引用商標は,観念において比較することができないものであるとしても,外観において明らかに差異を有するものであって,全く別異の構成態様からなる商標であり,称呼においても別異のものというべきあるから,両商標は,相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって,本件商標の指定商品が,引用商標の指定商品と同一又は類似するとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記2のとおり,本件商標と使用商標とは,非類似の商標であって,使用商標は,上記1のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとは認められないものである。
してみれば,本件商標は,商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者をして申立人の業務に係る商標を連想又は想起させることはなく,その商品が,他人の業務と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
また,その他に,本件商標と使用商標とが取引者,需要者において出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
6 商標法第4条第1項第19号該当性について
使用商標は,上記1のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,日本国内又は外国における取引者,需要者の間で広く認識されているとは認めることができないものであり,また,本件商標と使用商標は,上記2のとおり,非類似の商標であって,本件商標が使用商標を連想,想起させるともいうことができないものである。
そして,本件商標の出願が使用商標の顧客吸引力を利用(フリーライド)する意図の下に採択された等の不正の目的をもって使用をするものであるとの証左は何ら示されていないし,かつ,他にこれを認めるに足る具体的な証拠も見いだせないから,本件商標は,不正の目的をもって使用するものと認めることはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
7 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号,同項第11号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものでないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
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