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Trademark Appeal Case

色彩商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−3792(T2018−3792/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおり,色彩のみからなる商標であって,緑色(PANTONE554C)のみからなるものであり,第35類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務として,平成27年7月24日に登録出願され,その後,指定役務については,原審における平成28年12月1日付け手続補正書により,第35類「ノギス・マイクロメータ・ダイヤルゲージ及び測定機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は,「役務の提供の用に供する物や広告に使用される色彩は,多くの場合,それらの魅力向上等のために選択されるものであって,役務の出所を表示し,自他役務を識別するための標識としては認識し得ないものである。そうすると,本願商標をその指定役務の提供の用に供する物や広告に使用しても,これに接する取引者,需要者は,役務の提供の用に供する物や役務の広告に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標と判断するのが相当である。また,提出された証拠からは,本願商標が,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至っているものと認めることはできない。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知及びそれに対する請求人の対応

当審において,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲2に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人対して,平成31年4月4日付け証拠調べ通知によって通知し,期間を指定してこれに対する意見を求めた。

しかしながら,請求人は,上記証拠調べ通知に対し,何ら意見を述べていない。

第4 当審の判断

1 商標法第3条第1項第6号該当性について

請求人は,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するおそれがあるとしても,請求人による本願商標の使用の結果,請求人の業務に係る役務を表示するものとして自他役務の識別力を獲得しているから,商標登録を受けることができるものと確信する旨主張し,証拠として,資料1ないし資料51を提出しているので,以下において検討する。

なお,本審決においては,当該各証拠について,順次,甲第1号証ないし甲第51号証と読み替える。また,甲各号証の表記にあたっては,「甲1」のように省略する場合がある。

(1)本願商標の本来的な識別力について

ア 本願商標は,上記第1のとおり,緑色(PANTONE554C)の色彩のみからなる商標であって,第35類「ノギス・マイクロメータ・ダイヤルゲージ及び測定機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務とするものである。

イ 緑色は,「青と黄との間色。草木の葉のような色。」(「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)であり,三原色の一つであることからすると,本願商標は,特異な色彩からなるものであるとはいえない。

また,緑色は,原審の拒絶査定において示したとおり,現に,本願の指定役務の取扱商品であるノギス・マイクロメータ・ダイヤルゲージ及び測定機械器具を取り扱う業界において,請求人以外の第三者によって,これら商品の通信販売用のウェブサイトの装飾に使用されており,加えて,別掲2のとおり,小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(以下「小売等役務」という。)又はその他の役務の提供をする請求人以外の第三者によって,当該役務に係る看板や商品カタログにも,広く一般的に使用されている。

そうすると,緑色の色彩からなる本願商標をその指定役務について使用しても,これに接する需要者は,その役務の提供に通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,その色彩について,役務の出所を表示するものとして,又は自他役務を表示するための標識として認識することはないとみるのが相当である。

ウ したがって,本願商標は,その指定役務との関係において,本来的に自他役務の識別機能ないし自他識別力を有しているものと認めることはできない。

(2)使用による自他役務の識別力の獲得について

ア 請求人の提出した甲各号証によれば,以下の事実が認められる。

(ア)請求人及び請求人による本願商標の使用状況について

a 請求人は,家庭用金物雑貨の製造及び販売,度量衡器及び測定工具等の製造及び販売を行う会社である(甲1)。

b 請求人の業務に係るノギスやマイクロメータ等の測定機械器具に関する商品カタログ(Vol.110〜Vol.119)(甲32,甲34,甲36,甲38,甲40,甲42,甲44,甲46,甲48,甲50)には,主として表紙及び裏表紙に本願商標と同一性が認められる色彩(以下「本願商標の緑色」という。)が使用されており,当該各商品カタログに掲載された本願の指定役務の取扱商品に含まれるノギスやマイクロメータ等の商品自体にも,その一部分に本願商標の緑色が使用されていることが確認できる。

これらの各商品カタログには,発行日や印刷日の記載はないものの,それぞれに,カタログに掲載された商品に関し,Vol.110について「この総合カタログに記載しました商品は,2006年9月現在のものです」,Vol.111について同様に「・・・2007年9月現在のものです」,最新のVol.119について同様に「・・・平成29年11月のものです」の記載のとおり,平成18年(2006年)9月ないし平成29年(2017年)11月までの時期が記載されていることからすると.各商品カタログ(Vol.110〜Vol.119)は,上記の時期(平成18年9月〜平成29年11月)に発行又は印刷されたものと推認できる。

もっとも,これらの各商品カタログの一部において使用されている本願商標の緑色は,表紙において,(a)「SK」(やや図案化されている。以下同じ。)の文字の背景色やこれらの文字自体の色彩として使用されているか,(b)各カタログの表紙等において大きく目立つように表示された「SK」,「新潟精機 総合カタログ」,「TOOLS CATALOG」,「測定工具」等の文字及び各種商品を示す画像の背景色として使用されているか,あるいは(c)「SK」の文字,他の文字又は画像とともに使用されているものであり,本願商標の緑色が,これらの文字や画像と分離して,単独で使用されているものは見当たらない。

また,各商品カタログに掲載されたノギスやマイクロメータ等,測定機械器具の商品については,本願商標の緑色が,その一部分に使用されているものがあるものの,すべての商品に統一的に本願商標の緑色が使用されているものではなく,他の色彩が使用されているものも見受けられる。

さらに,本願商標の緑色が使用されている商品についても,その多くには,商品自体の目立つ位置に「SK」の文字や「nIIgaTaSeIKI」(やや図案化されている。以下同じ。)の文字が表示されていることが確認できる。

そして,これらの「SK」,「新潟精機」,「nIIgaTaSeIKI」の各文字は,いずれも,請求人を表すものと推認できる。

加えて,これらの各商品カタログが頒布された事実,頒布数量,頒布地域等に関する証拠は何ら提出されていない。

なお,これらの各商品カタログにおいて,本願商標の緑色が,請求人の業務に係る商品を表すものであることを示す記載はない。

c 本願の指定役務の取扱商品に含まれるノギスやマイクロメータ等,測定機械器具の商品に関する各種チラシ(甲27〜甲29)には,その一部分に,本願商標の緑色が使用されており,当該各種チラシに掲載された本願の指定役務の取扱商品に含まれるノギスやマイクロメータ等の商品自体にも,その一部分に本願商標の緑色が使用されているものがあることが確認できる。

これらの各種チラシのいくつかには,チラシに掲載された商品のセール期間を示す日付が記載されており,最古のものは,そのセール期間が平成24年(2012年)2月1日から同年3月30日である(甲29:1葉目)。

もっとも,これらの各種チラシにおいては,赤色,黄色,青色等の他の色彩が多く使用されており,本願商標の緑色は,(a)「SK」,「nIIgaTaSeIKI」又は「新潟精機株式会社」の各文字の背景色やこれらの文字自体の色彩として使用されているか,(b)当該文字又は他の文字とともに使用されているものであり,本願商標の緑色が,これらの文字と分離して,単独で使用されているものは見当たらないばかりか,赤色,黄色,青色等の他の色彩に比して,使用されている部分が少ないチラシも多数見受けられる。

また,各種チラシに掲載されたノギスやマイクロメータ等,測定機械器具の商品については,本願商標の緑色が,その一部分に使用されているものがあるものの,すべての商品に統一的に本願商標の緑色が使用されているものではなく,他の色彩が使用されているものも見受けられる。

加えて,本願商標の緑色が使用されている商品について,商品の細部が視認できるものの多くには,商品自体の目立つ位置に「SK」の文字が表示されていることが確認できる。

そして,これらの「SK」,「nIIgaTaSeIKI」,「新潟精機株式会社」の各文字は,いずれも,請求人を表すものと推認できる。

さらに,これらの各種チラシが頒布された事実,頒布数量,頒布地域等に関する証拠は何ら提出されていない。

なお,これらの各種チラシにおいて,本願商標の緑色が,請求人の業務に係る商品を表すものであることを示す記載はない。

d 本願の指定役務の取扱商品に含まれるノギスやマイクロメータ等の商品台紙及び外装箱(甲13〜甲16)には,その一部分,又はその大部分に本願商標の緑色が使用されていることが確認できる。

もっとも,これらの商品台紙及び外装箱には,製造日や出荷日等,時期を示す記載はなく,これら商品台紙及び外装箱を実際に使用した商品の販売の事実,販売数量を示す証拠の提出はない。

また,本願商標の緑色は,これらの商品台紙や外装箱の一部分又は大部分に使用されているものの,当該台紙や箱には,請求人を表すものと推認できる「SK」,「nIIgaTaSeIKI」,「新潟精機株式会社」等の文字,他の文字又は商品の形状を表す図形等が大きく目立つように記載されており,本願商標の緑色が,これらの文字又は他の文字と分離して,単独で使用されているものは見当たらない。

なお,これらの商品台紙や外装箱において,本願商標の緑色が,請求人の業務に係る商品を表すものであることを示す記載はない。

e 展示会の様子を示す写真類(甲26)によれば,請求人が,何らかの展示会において,本願商標の緑色が使用されたノギス等,本願の指定役務の取扱商品に含まれる商品を展示していたこと,及び当該商品を出展する請求人のブースの装飾に,本願商標の緑色が使用されていたことが確認できる。

もっとも,これらの写真類そのものからは,写真類の展示会の名称,開催時期,来場者数は確認できず,ほかに,写真類の展示会に関する客観的な証拠は提出されていない。

また,これらの写真類において,ノギス等の商品の写真は小さく不鮮明であるため,これら商品について,本願商標の緑色がその一部分に使用されていることは確認できるものの,詳細な使用態様については確認できない。

一方,何らかの展示会における請求人のブースにおいて,本願商標の緑色は,主に,(a)請求人を表すものと推認できる「SK」,「nIIgaTaSeIKI」の各文字の背景色又はこれらの文字自体の色彩として使用されているか,あるいは(b)商品の陳列棚,パネルの色彩又は看板等の線状の装飾の色彩として,「SK」,「nIIgaTaSeIKI」,「新潟精機株式会社」の各文字又は他の文字とともに使用されているものであり,本願商標の緑色が,これらの文字や画像と分離して,単独で使用されているものは見当たらない。

なお,これらの写真類からは,何らかの展示会において,本願商標の緑色が,請求人の業務に係る商品を表すものであることを示す展示が行われた様子は確認できない。

f 建物に看板が取り付けられた様子又は建物近くに看板が設置された様子を示す写真類(甲5,甲25)によれば,請求人の工場,営業所,倉庫等(以下「請求人関連施設」という。)において,本願商標の緑色を使用した看板が使用されていることが確認できる。

もっとも,上記請求人関連施設において,本願の指定役務が提供されていた事実を示す証拠の提出はないから,これらの写真類の看板が,本願の指定役務と関連づけられたものであると確認することができない。

なお,これらの写真類の看板において,本願商標の緑色は,(a)「SK」の文字の背景色,「新潟精機」等の文字自体の色彩として使用されているか,あるいは,(b)請求人を表すものと推認できる「SK」,「新潟精機株式会社」の文字のほか,「マスターゲージ事業部」,「校正事業部」,「ミクロ事業部」等の建物の場所を示す他の文字とともに,看板の中央に大きく表示された本願商標とは明らかに異なる薄緑色の色彩を取り囲むように使用されており,本願商標の緑色が,これら「SK」,「新潟精機」の文字又はその他の文字,あるいは本願商標とは異なる薄緑色の色彩と分離して,単独で使用されているものは見当たらない。

(イ)請求人の業務に係る商品の売上及び取引に関する書類について

a 「色彩のみからなる商標『緑色(PANTONE554C)』を使用している商品売上推移表」と題する表が記載された書類(以下「商品売上推移表」という。)(甲2)には,「商品名」を「ノギス」,「マイクロメータ」,「ダイヤルゲージ」,「その他」とする商品について,平成12年度から平成27年度までの年度別の売上金額が記載されており,その合計として,318,351万円の売上げがあった旨の記載がある。

また,当該商品売上推移表には,「証明者」として,請求人の代表取締役社長の記名及び押印がされ,「担当者」として,技術開発部部長の記名及び押印がされている。

もっとも,当該商品売上推移表は,その題名として「色彩のみからなる商標『緑色(PANTONE554C)』を使用している商品売上推移表」と記載されているほかには,本願商標に関する記載はなく,その他,当該「商品売上推移表」に記載された上記商品が,本願商標を使用した商品であること及び上記商品が実際に販売された事実を示す証拠の提出はない。

b 「商品発注書」(甲10),「商品の仕入履歴一覧表」(甲11)及び「資材発注書」(甲12)(以下これらの書類をまとめて「請求人の取引書類」という。)によれば,ノギスやマイクロメータ等の商品が顧客等と取引されていることが確認できる。

もっとも,上記請求人の取引書類においては,本願商標や本願商標に関する記載は確認できず,これらの取引書類により取引の事実が確認できるノギスやマイクロメータ等の商品が,本願商標を使用した商品であるのかを確認することはできない。

また,当該取引書類において取引が確認できるノギスやマイクロメータ等の商品と,上記(ア)bないしeにおいて,本願商標の緑色が使用されていると認定したノギスやマイクロメータ等の商品が,同一の商品であるのか否かについても,確認することができない。

(ウ)証明書類について

a 「商標法第3条第2項の証明書」について

「商標法第3条第2項の証明書」と題する文書(甲3,甲19,甲21,甲23)には,冒頭に,本願商標,本願の指定役務等の記載があり,その下に,「上掲色彩のみからなる商標,緑色(PANTONE554C)は,本願出願人の看板(精密測定マスタゲージ事業部林町工場,ウェアハウス大崎倉庫,ウェアハウス塚野目第2倉庫,ウェアハウス荒町倉庫)において同色が使用され,又,上記各指定役務において,上記緑色(PANTONE554C)と同一性が認められる緑色が使用され,本願出願人の使用に係る色彩のみからなる商標であることが,少なくとも新潟県,東京都及び大阪府並びに愛知県において,上記看板においては平成24年7月9日頃から,上記指定役務においては平成8年12月21日頃から,継続して使用された結果,周知,著名な商標となっていることに相違ないことを証明します。」の文章の記載があり,証明者である事業者が,日付の記入,記名,押印等していることが確認できる。

b 「表色系の証明書」について

「表色系の証明書」と題する文書(甲4,甲18,甲20,甲22,甲24)には,冒頭に,本願商標,本願の指定役務等の記載があり,その下に,「本願商標の詳細な説明中に記載の緑(PANTONE554C)は,上記指定役務を取り扱う取引者又は需要者において,本願出願人が製造販売するノギス,マイクロメータ,ダイヤルゲージ,その他の測定機械器具(台付直角定規...(略))に使用する緑色と同一性が認められる色であることを証明します。」の文章の記載があり,証明者である事業者が,日付の記入,記名,押印等していることが確認できる。

c 以上からすると,これらの証明書類は,いずれも,あらかじめ文章が記載された文書に,証明者である事業者等が証明日を書き加えた上で,記名,押印等をする形式のものである。

イ 使用による自他役務の識別力の獲得に関する判断

(ア)上記ア(ア)aないしeによれば,請求人は,家庭用金物雑貨の製造及び販売,度量衡器及び測定工具の製造及び販売等を行う会社であり,本願商標の緑色を,請求人の業務に係るノギスやマイクロメータ等,測定機械器具に関する商品カタログ及びチラシ,同商品カタログ及び同チラシに掲載されたノギスやマイクロメータ等の商品,ノギスやマイクロメータ等の商品台紙や外装箱,何らかの展示会において展示したノギスやマイクロメータ等の商品及び同展示における請求人の展示ブースに使用していたと認められるところ,上記ノギスやマイクロメータ等の商品は,本願の指定役務の取扱商品に含まれるものであるから,請求人は,本願商標を,本願の指定役務について使用していたと認めることができる。

そして,上記の商品カタログが発行又は印刷されたと推認できる時期の記載(平成18年9月〜平成29年11月)からすると,本願商標の使用期間は,約11年間である。

しかしながら,他方で,(a)上記カタログ,チラシ,商品台紙や外装箱,展示ブースにおける本願商標の使用態様は,主に,「SK」,「nIIgaTaSeIKI」,「新潟精機」,「新潟精機株式会社」の各文字の背景色やこれらの文字自体の色彩として使用されているか,目立つように表示されたこれらの文字,他の文字又は図形・画像等,あるいは赤色,黄色,青色等の他の色彩とともに使用されているものであり,本願商標が,請求人の出所を表すこれらの「SK」,「nIIgaTaSeIKI」,「新潟精機株式会社」等の各文字,他の文字・図形・画像等又は他の色彩から分離して使用されていたものとはいえないこと,(b)カタログやチラシに掲載されたノギスやマイクロメータ等の商品については,本願商標が,その一部分に使用されているものがあるものの,それら商品のすべてに統一的に使用されているものではなく,他の色彩が使用されているものも見受けられ,また,本願商標が使用されている商品についても,その多くは,商品自体の目立つ位置に「SK」等の文字が表示されていること,(c)上記カタログ,チラシ,商品台紙や外装箱において,本願商標が請求人の業務に係る商品を表するものであることを示す記載はなく,展示会においても,本願商標が,請求人の業務に係る商品を表すものであることを示す展示が行われた様子は確認できないこと,(d)上記カタログ,チラシが頒布された事実,頒布数量,頒布地域,上記商品台紙や外装箱が実際に使用された商品の販売の事実,販売数量,上記展示会の開催時期,来場者数等は明らかではないから,上記カタログ,チラシ,商品台紙,外装箱,展示会における本願商標の使用によっては,需要者による本願商標の認識の程度を推認することができないこと,(e)上記1(1)のとおり,本願商標は,特異な色彩からなるものであるとはいえず,本願の指定役務の取扱商品を扱う請求人以外の第三者によっても使用されていることが認められ,これら(a)ないし(e)を勘案すれば,本願商標は,それを構成する緑色の色彩のみが,請求人の出所を表す「SK」,「nIIgaTaSeIKI」,「新潟精機株式会社」等の文字から独立して,請求人の業務に係る役務の出所識別標識として,広く認識されたと認めることはできない。

(イ)上記ア(ア)fによれば,請求人関連施設において,本願商標を使用した看板が使用されていることが確認できる。

しかしながら,建物に看板が取り付けられた様子又は建物近くに看板が設置された様子を示す写真類からは,その看板が,本願の指定役務と関連づけられたものであると確認することができないから,このような看板に使用された本願商標の緑色と本願の指定役務の結び付きは弱く,看板に本願商標が使用されていることから直ちに,本願商標が,請求人の業務に係る役務の出所識別標識として,認識されたと認めることは困難である。

(ウ)上記ア(イ)aによれば,商品売上推移表には,「商品名」を「ノギス」,「マイクロメータ」,「ダイヤルゲージ」,「その他」とする商品について,平成12年度から平成27年度までの年度別の売上金額が記載されており,その合計として,318,351万円の売上げがあった旨の記載がある。

しかしながら,当該商品売上推移表には,その題名として「色彩のみからなる商標『緑色(PANTONE554C)』を使用している商品売上推移表」と記載されているほかには,本願商標に関する記載はなく,そのほかに,当該商品売上推移表に記載された上記商品が,本願商標を使用した商品であることを示す証拠の提出はない。

その上,当該商品売上推移表には「証明者」として,請求人の代表取締役社長の記名及び押印がされ,「担当者」として,技術開発部部長の記名及び押印がされているものの,かかる請求人会社の内部の者による記名及び押印のみによって,当該商品売上推移表に記載された金額等が事実に基づくものであると直ちに認めることはできない。

そうすると,商品売上推移表をもって,本願商標が本願の指定役務について平成12年から使用されていたと認めることはできず,仮に,使用されていたと認め得るとしても,本願商標を使用した商品の売上金額が平成12年度から平成27年度までで318,351万円であったことを直ちに認めることはできない。

また,上記ア(イ)bによれば,請求人の取引書類において,本願の指定役務の取扱商品に含まれるノギスやマイクロメータ等の商品が顧客等と取引されていることが確認できる。

しかしながら,当該取引書類においては,本願商標や,本願商標に関する記載は確認できず,当該取引書類により取引の事実が確認できるノギスやマイクロメータ等の商品が,本願商標を使用した商品であるのか否かについては,明らかではなく,また,当該取引書類において取引が確認できるノギスやマイクロメータ等の商品と,上記カタログ,チラシ,商品台紙,外装箱,展示会において,本願商標が使用されているとしたノギスやマイクロメータ等の商品が,同一の商品であるのか否かについても,確認することができない。

そうすると,当該請求人の取引書類により,本願商標を使用した商品が取引された事実を認めることはできない。

以上からすると,商品売上推移表及び請求人の取引書類は,本願商標の使用による識別力の獲得の立証に寄与するものとはいえない。

したがって,提出された証拠からは,本願商標を使用した本願の指定役務の売上げ,販売数量等を把握することができない。

(エ)上記ア(ウ)によれば,「商標法第3条第2項の証明書」及び「表色系の証明書」は,予め記載された定型文書に事業者等が証明日を書き加えた上で,記名,押印等をしたものであることからすると,これらの証明書は,請求人において画一的に作成した文章を各証明者らに示して単に確認をとる方法で作成されたものであることが推察され,このようにして作成された証明書においては,作成を依頼した者からの誘導に沿う方向で確認が行われ,その記載の細部についてまでは吟味が行われないこともあり得ることであるから,これら証明書の記載内容に過大な証拠価値を認めることはできない。

そうすると,「商標法第3条第2項の証明書」に,本願商標の指定役務における使用開始が,平成8年12月21日頃と記載されているとしても,その記載をもって,本願商標が平成8年12月21日頃から指定役務について使用されていたと認めることはできず,また,これらの証明書によって,本願商標が,使用による識別力を獲得していることを認めることはできない。

(オ)上記(ア)ないし(エ)を総合すれば,本願商標の緑色のみが独立して,請求人の業務に係る役務の出所識別標識として,我が国の需要者の間に広く認識されたものとは認めることができないから,本願商標は,その使用により自他役務の識別機能ないし自他役務の識別力を獲得したものと認めることができない。

(3)小括

以上のとおり,本願商標は,その指定役務との関係において,本来的に自他役務の識別機能ないし自他識別力を有しているものと認めることはできないものであり,かつ,その使用により自他役務の識別機能ないし自他役務の識別力を獲得したものとも認めることができないから,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標に該当するものというのが相当である。

したがって,本願商標は,商標法第3条1項第6号に該当する。

2 まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから,これを登録することはできない。

よって,結論のとおり審決する。

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