Trademark Appeal Case
地名と料理名の結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第5353号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第42類「上海料理その他の東洋料理を主とする飲食物の提供,日本料理を主とする飲食物(焼肉・しゃぶしゃぶ・すき焼きを含む)の提供,西洋料理を主とする飲食物(焼肉・ステーキを含む)の提供,アルコール飲料を主とする飲食物の提供,茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、平成7年3月29日に登録出願されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、指定役務の関係においては上海料理を表す『上海』の文字と、点心料理品である肉まんじゅうを指す『小籠包』(中国南部は『小籠包』、同北部は『小籠包子』という)の文字を一連に書してなるにすぎず、これを指定役務に使用しても、『上海の本場物の飲茶品の肉まんじゅう料理の提供』(近頃は冷凍された点心料理品も輸入されている)であることの役務の質の表示にとどまる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」として、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、別掲のとおり、「上海小籠包」の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるところ、その構成中前半の「上海」の文字は、例えば、(株)三省堂発行「コンサイス地名辞典」改訂版及び(株)岩波書店発行「広辞苑」第5版等に掲載されており、これらの掲載内容を総合すると、「上海」は、中国長江の河口近く、黄浦江下流部にある中央政府直轄の大都市であり、中国における金融・貿易・商工業の中心地としても有名なことが確認できるところであり、また、中国料理の四大系統の一つで、中国東部、揚子江下流一帯と東シナ海沿岸の上海、揚州、蘇州、杭州などの料理の総称である「上海料理」の名称にも使用されているものである。そうとすれば、飲食物を提供する役務において、「上海」の表示があれば「上海料理」と何らかの関係があると認識する場合が決して少なくないものである。
また、後半の「小籠包」の文字は、(社)全国調理師養成施設協会発行「改訂調理用語辞典」(524頁)の「シヤオロンパオ〔小籠包〕」の項に「小型の肉まんじゅう。豚皮を煮出した濃厚な煮こごりを加えた肉あんを、小麦粉の皮で包んで蒸す。煮こごりが溶けたあつあつのスープが中に含まれているのを、針しょうが入りの酢につけて食べる。上海地方の代表的な点心。」と掲載されているものである。
現に、「小籠包(シャオロンパオ)」が料理の名称を指す語として使用されていることは、例えば、1997年5月27日付け日刊スポーツ(19頁)に「中国・上海の名物料理「小篭包(ショーロンポオ)」を味わえる店が横浜駅にオープンした。・・・ギョーザやシューマイと並ぶ点心の一種だが、本場の小篭包を看板にしている店は少ない。」、また、1997年10月7日付け日本経済新聞(朝刊15頁)の「中国で点心を本格生産 大手商社 冷凍品、日本に輸出」の見出しの記事中に「・・・からこのほどエビギョーザ、小ロンパオ、桃型まんじゅうなど九品を輸入、スーパーに総菜コーナー用商材として供給した。」などと掲載されていることより明らかである。
前記した実情よりすれば、本願商標をその指定役務について使用した場合、これに接する需要者は、「上海地方の代表的な料理である小型の肉まんじゅうの提供」なる意味合いをもって、役務の質(内容)を表示したものと理解するにとどまり、自他役務を識別する標識たる商標とは認識し得ないものとみるのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定役務中、上記料理(小型の肉まんじゅう)の提供について使用しても、単に役務の質(内容)を表示するにすぎず、前記役務以外の役務に使用した場合は、役務の質(内容)についての誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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