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Trademark Appeal Case

直火焼の記述性と誤認

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第4771号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、後掲に示すとおり、「直火焼」の文字を横書きしてなり、第29類「カレー・シチュー又はスープのもと」を指定商品として、平成4年11月17日に登録出願されたものである。

2 当審における新たな拒絶の理由

当審において、請求人に対し、新たに平成11年4月12日付拒絶理由通知書をもって本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1条第16号に該当するとして示した本願商標の拒絶の理由は、次のとおりである。

「本願商標は、その指定商品中『カレーのもと』との関係では『(フレーク状の該商品が)直火釜で少量ずつ丹念に焼き上げたもの』であることを表示する語として、該『カレーのもと』の業界で採択・使用されている『直火焼き又は直火焼』(エスビー食品,朝日食品)或いは『直火造り』(エバラ食品工業)を指称したと認められる『直火焼』の文字を普通に用いられる方法で書してなるから、これを本願指定商品中、『フレーク状のカレー・シチュー又はスープのもと』に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、商品の品質(製法)を表示したものと理解、認識するにすぎないものであり、また、前記以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認める。」

3 当審の判断

本願商標は、その構成後掲に示すとおり、「直火焼」の文字を書してなるものであり、第29類に属する前記の商品を指定商品とするものである。

ところで、「直火焼」の文字(語)は、食品関連の辞典等によれば、「じか火で焼くこと。一部が焦げるが、強熱によって特有の香りを生ずる。」(医歯薬出版株式会社発行 コツと科学の調理辞典「じかびやき」の項より)、「焼き物を焼く方法の一つ。材料を直接火に当てて焼くことにより熱を直ちに吸収させる方法で、放射熱を利用した焼き方である。」(社団法人全国調理師養成施設協会発行 調理用語辞典「じかびやき」の項より)の記載が認められる。

また、本願指定商品に含まれる「カレールー」に関する生産事情についてみると、例えば、丸善株式会社発行 丸善食品総合辞典の「カレーライス」の項によれば「カレー粉(本格的には20〜30種の香辛料を配合)、小麦粉を十分に炒めて香ばしい香りのカレールーをつくり・・・」と解説され、又、同文書院発行 総合食品辞典(第三版)の「かれーらいす」の項によれば「カレー粉は炒めすぎると焦げて風味がなくなるので、炒め方がたいせつである。」と解説され、或いは日本食料新聞(1997.10.29)掲載の「忘れられぬ味」と題する「エバラ商品社長・森村忠司社長」の取材記事によれば、「おいしく調理するには『直火』がベターであるのは言うまでもなく、外食も加工食品も直火調理に近づけるべく努力をしている。・・・カレールウは随分普及しているが最近、直火焼の食品も発売され始めた。蒸気焼と直火焼の差を比較しているが、直火焼の特徴が良く出る食品である。・・・」等の各解説にみられるように、「カレールー」は炒めることによりその香りが香ばしいものとなり、また、直火で炒める(焼く)ことによりその良さが増すものであることは、当業界においてすでに周知の事実と認められる。

そして、カレー料理のいわゆるレストラン、洋食店を紹介する雑誌等をみるに、以前より「2種類のカレー粉を加えて焦がさないように炒める」、「さらに弱火で炒める」、「小麦粉をフライパンでキツネ色になるまで約1時間炒める。」等の調理法が取り入れられていたことが認められる。

さらに、食品分野の業界新聞である日本食糧新聞や日刊新聞各記事或いは食品メーカー各社のインターネットホームページ情報によれば、以下の如く複数の食品関連会社により「直火焼き」或いはそれに類する「直火造り」等の文字(語)が使用されている状況が窺える。

(ア)朝日食品、自社ブランド強化......・・・発売したのは「アサヒコ フレークハヤシルゥ〈直火焼〉」。直火がまを使ってルーを焙煎し、まろやかな手づくり風に仕上げた。・・・昨年販売した「アサヒコ フレークカレールゥ〈直火焼〉」の取り扱いも強化した。(1997.3.27付 日経産業新聞)

(イ)フレーク状の溶けやすいルウ、エバラ食品工業......フレーク状で溶けやすいインスタントのカレールウ「横濱舶来亭、直火造りカレーフレーク」。ラードやスパイス、小麦粉、果実、香味野菜などを直火釜で丹念に焼き上げた。・・・(1997.7.22付 日経流通新聞)

(ウ)エスビー食品、専門店製法にこだわり「直火焼きカレールウ」など発売......エスビー食品は、このほど高級タイプの即席カレーなど“直火焼き”シリーズ三品を全国に新発売。・・・新製品は「S&B直火焼きカレールウ」「同ビーフシチュールウ」「同ハヤシルウ」の三品。専門店の製法にこだわった高級タイプの即席で、コクと香りなどが特徴。(1997.4.4付 同紙)

(エ)エム・シーシー食品、カレーフレークを発売......・・・直火焼きの工程で香り高く仕上げた同商品は、ブレンド香辛料をベースに各種エキス、マンゴチャツネなどを加えたもの。スパイスのキレ、後味のさわやかさが特徴。・・・(1997.9.12付 同紙)

(オ)CO・OP商品 商品ニュース1998掲載分一覧(参考掲載) 香りのカレーと風味のカレー 商品の特徴 ・・・直火焼き高温焙煎した香り高いルーと低温でじっくり焙煎したコクのあるルーをブレンドして、お好みの味に。・・・(http://www.co-op.or.jp/jccu/shohin/lineup/mr145-05.htm)

(カ)マースカレーゴールド誕生......オリエンタル自慢のマースチャツネを直火焼のルウに練り込み、さらに赤ワインで仕上げたこくのあるまろやかな味のカレールウです。(http://www.oriental-curry.co.jp/whatsnew.html)

以上によれば、「直火焼」の文字(語)は、その指定商品との関係においては、旨み、香り等を高め、手づくり風或いは高級タイプの商品にするための調理方法(加工方法)を表すものと容易に理解され、かつ、取引場裡においても、該加工方法を表すものとして普通一般に通用し、かつ、使用されているとみるのが取引の実情に照らし相当である。

そうとすると、本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、該商品の品質、加工方法を表示したものとして理解するに止まり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきであり、かつ、前記以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

してみれば、本願商標を商標法第3条第1項第3号および同法第4条第1項第16号に該当するとした上記拒絶理由は妥当なものであって、本願商標はこの理由をもって拒絶すべきものである。

請求人は、平成11年6月16日付意見書において、「直火焼」なる用語が用いられたのは、平成3年9月に請求人が「カレーのもと」に付したのが始めであり、それ以前には用いられた事実はなく、又、当審提示の拒絶理由中で指摘した商品が使用し始められた平成7年1月〜平成9年2月には「直火焼」は請求人の商標として周知著名となっていた旨述べている。

しかしながら、「直火焼」の文字は前述の如き意味合いの調理法(加工方法)を表すものとして現在はもとより以前においても普通一般に理解される語であり、又、レストラン等においては以前より普通に行われていた調理方法であること前記したとおりであるから、たとえ、本願商標の出願当時、蒸気釜で仕上げる蒸気焼がほとんどであったとしても(大量生産の場合)、前記事情よりして当時「直火焼」製法による調理法も一定程度知られていたものとみるのが相当であるから、該主張は俄に認め難く、また、請求人提出にかかる各証拠によれば、その使用商標のほとんどは「直火焼」の文字の左横に「コスモ」の仮名文字が書されているものであって、本願商標「直火焼」の文字それ自体が当該商品の出所識別の標識として機能していたとする点までは客観的に証明されないから、これらの点を述べる請求人の主張は採用することができない。

そして、出願にかかる商標が自他商品の識別力を有するか否かの判断時期は査定又は審決時と解されるものである。

よって、結論のとおり審決する。

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