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Trademark Appeal Case

商標類否判断事例

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2020−900058(T2020−900058/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6203233号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6203233号商標(以下「本件商標」という。)は、「BluE Nexus」の文字を標準文字で表してなり、平成30年12月7日に登録出願、第7類「交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,起動器,電機ブラシ,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。)及び動力機械器具の部品,動力伝導装置,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。),ガソリンステーション用装置」、第9類「回転変流機,調相機,配電用又は制御用の機械器具,リチウム電池,DC−DCコンバータ,電池,電子応用機械器具及びその部品,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,磁心,抵抗線,電極」及び第12類「陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),陸上の乗物用の動力機械器具(その部品を除く。),自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,陸上の乗物用の機械要素」を指定商品として、令和元年9月9日に登録査定、同年12月6日に設定登録され、その後、本件商標に係る商標権は、その指定商品中、第12類「自転車用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),陸上の乗物用の動力機械器具(その部品を除く。),自動車並びにその部品及び附属品,自転車並びにその部品及び附属品,陸上の乗物用の機械要素(自動車用の機械要素を除く。)」については、同2年10月16日受付で、一部放棄によるその登録の一部抹消がされたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、以下の2件であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)。

(1)国際登録第748932号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:別掲1のとおり

国際登録日:2000年(平成12年)12月8日

優先権主張:2000年(平成12年)6月26日 France

設定登録日:平成14年2月22日

指定商品:第6類「Metal cables and wires (non electric); metal pipes.」及び第9類「Electric cables and wires; electronic cables and wires; telecommunications cables; winding wires (electricity), magnetic, telephone wires; connectors; switches; electric connections, electronic connections, optical connections; cut-outs; capacitors; converters; branching, splitter and junction boxes for electric, electronic and telecommunications cables and wires; junction sleeves and sheaths for electric, electronic and telecommunications cables and wires; components and accessories for connecting electric, electronic and telecommunications cables and wires; electric conductors; apparatus for processing information; apparatus for transmission and reproduction of sound, images or data; recorded computer programs for managing cable installations.」

(2)国際登録第753844号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:別掲2のとおり

国際登録日:2001年(平成13年)2月14日

優先権主張:2000年(平成12年)8月31日 France

設定登録日:平成14年2月22日

指定商品:第6類「Metal cables and wires (non electric); metal pipes.」及び第9類「Electric cables and wires; electronic cables and wires; telecommunications cables; winding wires (electricity), magnetic and telephone wires; connectors; switches; electric connections, electronic connections, optical connections; cut-outs; capacitors; converters; branching, splitter and junction boxes for electric, electronic and telecommunications cables and wires; junction sleeves and sheaths for electric, electronic and telecommunications cables and wires; components for connecting electric, electronic and telecommunications cables and wires; electric conductors; apparatus for processing information; apparatus for transmitting and reproducing sound, images or data; recorded computer programs for managing cable installations.」

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、その指定商品中、第9類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第37号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「BluE」と「Nexus」との間に一文字分のスペースを配して標準文字で表されてなる態様である。そして「BluE」は色彩の「青色」を表す英単語として一般に知られている「blue」を表したものと容易に認識され、前記1の第9類の指定商品との関係においては、商品の品質(色彩)を表示するものである。

また、「Nexus」は、「連鎖」、「結び」、「関係」等の複数の意味を有する語であるとして英和辞書等に掲載はあるものの、学習レベルは英検1級以上の単語であり(甲4)、日本国内における「blue」の一般認識度とは著しく異なる。

よって、本件商標に接する需要者が「Nexus」の意味を直ちに理解、認識できるものとはいえず、特定の観念は生じないため、「BluE」と「Nexus」とは観念上のつながりを有しないものである。

そうすると、これら二語の間にスペースが配されていることも相まって、「BluE」部分と「Nexus」部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど強く結合しているものと認められない。

したがって、「Nexus」部分のみからの称呼「ネクサス」が生じ得るものである。

他方、引用商標1は「NEXANS」の文字を普通に用いられる方法で表してなる態様である。そしてこれより、「ネクサンス」の称呼が生じるものである。また、引用商標2は、「Nexans」の「N」をややなだらかに表してなり、これより、「ネクサンス」の称呼が生じるものである。

よって、本件商標から生じる称呼「ネクサス」と、引用商標から生じる称呼「ネクサンス」との相違点は、中間位置にある撥音「ン」の有無である。

ここで、称呼の類否については、その音の種類、位置、アクセント等によって判断されるところ、相違する1音である撥音「ン」は口を開かずに発せられる弱音であり、さらに相対的に弱く聴覚される中間に位置している。さらには、両者は語頭の「ネ」において共通し、いずれも自然に称呼した際に強く響く音である。すなわち、共通する音が語頭に位置する同一の強音であるとともに、相違する1音は中間に位置する弱音である。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観は異なるものの観念は比較し得ず、全体的印象が近似して聴覚されるものであるから、類似の商標である。

そして、本件商標と引用商標との指定商品は、同一又は類似するものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

引用商標は、フランスの総合電線メーカーである申立人「NexansS.A.」(以下「ネクサンス社」という。)を表す語及びそのハウスマークである。

ネクサンス社は、総合電線やケーブルの製造販売等を事業内容とし、フランスに本社を置くとともに、日本を含む世界各地に拠点を有する上場企業であり(甲5〜甲8)、その主力製品及び事業は、電カケーブル及び光通信ケーブルである(甲9)。

そして、ネクサンス社は、本件商標の査定時における2019年において約67億ユーロ(約8200億円)の売上を有し(甲10、甲11)、長きにわたって電線業界を牽引する世界シェアトップレベルの大手電線メーカーである(甲12〜甲19)。

また、ネクサンス社は、日本においても10年以上前から事業を展開しており、日本の大手企業とも複数の取引がなされている実情がある(甲20〜甲26)。

さらに、日本国内に100%出資の子会社「日本ハイボルテージケーブル株式会社」を有しており、ハウスマークとして引用商標2を使用している(甲8、甲27、甲28)。

この日本ハイボルテージケーブル株式会社は、ネクサンス社が2006年に株式会社ビスキャスと合弁で設立し(甲29)、2017年にネクサンス社が100%子会社化したケーブル製造会社である(甲30)。

そして、株式会社ビスキャスは、古河電気工業株式会社と株式会社フジクラで設立された合弁会社である(甲31、甲32)。

また、2008年には、ネクサンス社と住友電気工業株式会社とが光ファイバケーブル事業で提携し(甲12、甲33)、2019年においても大規模な事業を継続している(甲34)。ここで、前記の住友電気工業株式会社、古河電気工業株式会社、株式会社フジクラは、「電線御三家」とも称される日本の大手電線メーカーである(甲35、甲36)。

すなわち、ネクサンス社は、これら日本の大手電線メーカーとの間において、10年以上前から商取引を行っている実情がある。

とりわけ、電線、ケーブル及びそれらの関連部品は主として、社会インフラの構築に供される資材であり、一般の消費者との取引を主体とするものではなく、電線類を扱う企業との取引を主体とするものである。そうした背景事情において、世界シェアトップレベルの電線メーカーであることに加え、日本の大手電線メーカーと長きにわたって取引があるネクサンス社及びそのハウスマークは、需要者たる日本の電線関連業界において周知であることは充分に推し量ることができる。

なお、ネクサンス社は前記のとおり、日本を含む世界中に拠点を有するグローバル企業であって、引用商標やその関連商標は、多くの国において商標登録されている(甲37)。

このように、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、ネクサンス社の商品を表すものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていた商標と認めることができるものであり、また、本件商標と引用商標とは互いに相紛らわしい商標である。

総じて、本件商標をその指定商品、特に電線及びケーブルに使用した場合、これに接する需要者は、引用商標を想起、連想して、ネクサンス社の業務に係る商品、あるいはネクサンス社と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知性について

ア 申立人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。

(ア)申立人は、フランスに本社を置く、総合電線やケーブルの製造販売等を事業内容とする総合電線メーカーであり、1897年創業、2000年にアルカテルより分離し、ネクサンスを設立した。電線業界では、世界2位であり、日本を含む世界各地に拠点を有する企業であって、その主力製品及び事業は、電力ケーブル(工業用ケーブル、電力連絡用ケーブル、屋内ケーブル)及び光通信ケーブル(電話連絡用ケーブル)であることがうかがえる(甲5〜甲9、甲12、甲13)。

(イ)申立人の損益計算書によれば、2019年において約67億ユーロ(約8200億円)の売上を有している(甲10、甲11)。

(ウ)経済産業省第1回インフラ海外展開懇談会(2020年4月24日開催)における事務局資料によれば、電線・ケーブルの世界シェアにおいて、申立人が2.7%のシェアを占めている(甲14)。

(エ)インターネットウェブサイト「ケーブル業界の世界シェアと市場規模と再編」によれば、「一目でわかる業界別シェア」の項において、電線・ケーブルの世界市場規模で「Geand View Pesearchによれば、電線・ケーブルの市場規模は、2017年で1861億ドルと推計されています。ネクサンスの2018年のアニュアルレポートによれば、ケーブルの市場規模は2200億ドルと推計されています。」と記載されている(甲15)。

(オ)申立人は、日本において事業を展開し、日本の大手企業とも複数の取引を行っている(甲20〜甲26)。

また、日本国内に100%出資の子会社「日本ハイボルテージケーブル株式会社」を有し(甲8、甲27、甲28)、日本の大手電線メーカーとの間において、商取引を行っている。

(カ)申立人は、引用商標やその関連商標を諸外国において商標登録している(甲37)。

(キ)引用商標を使用した商品の我が国における販売数量、売上実積等の販売実績及び広告宣伝実績を示す主張及び証拠は見いだせない。

イ 上記アによれば、申立人は、フランスに本社を置く、電線やケーブルの製造販売等を事業内容とする総合電線メーカーであり、我が国の電線及びケーブル業界において、ある程度知られていたことはうかがわれる。しかし、申立人は、引用商標の使用態様、使用商品、使用期間、使用場所及び広告宣伝状況等、並びに引用商標を使用した商品の市場占有率などについて立証するところがなく、提出された証拠によっては、引用商標の周知性の程度を推し量ることができない。

また、引用商標やその関連商標が諸外国において商標登録されているとしても、そのことをもって直ちにその商標が需要者の間に広く認識されているものとはいえない。

したがって、引用商標は、申立人の業務に係る商品「電線、ケーブル」等を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は、「BluE Nexus」の文字を標準文字で表してなるところ、「BluE」と「Nexus」の文字の間に1文字分の空白を有するとしても、同じ書体、同じ大きさでまとまりよく書されたものであって、その構成も格別冗長なものとはいえないものであり、その構成文字全体より生じる「ブルーネクサス」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。

そして、その構成中の「BluE」の文字が、「blue」に通じ、「青色」を表す英単語であるとしても、その指定商品との関係において、構成中の「BluE」の文字部分が商品の具体的な品質を表すとみるべき事情は見いだせないことから、該文字部分が自他商品の識別標識としての機能を有しないとはいえない。

そうすると、本件商標を「BluE」と「Nexus」とに分離する特段の事情はなく、その構成中「Nexus」の文字部分が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの、又はそれ以外の部分から出所識別標識としての称呼及び観念が生じないと認めるに足る事情は見いだせない。

してみれば、本件商標は、その構成文字全体を不可分一体のものとして捉えるべきであり、ことさらその構成中の「Nexus」の文字部分を抽出して、これを他の商標と比較し、商標自体の類否を判断することは許されないと判断するのが相当である。

したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「ブルーネクサス」の称呼を生じ、「Nexus」の語が「関連。結合。結びつき。」の意味を有する英単語であるとしても、構成文字全体として我が国で親しまれた語ではないから、直ちに特定の観念を生じないものといえる。

イ 引用商標

引用商標1は、「NEXANS」の文字を書してなるものであり、引用商標2は、第1文字が多少デザイン化されているものの、欧文字の大文字「N」と看取され、構成全体として「Nexans」の欧文字からなるものと認識されるものである。そして、「NEXANS」及び「Nexans」の文字は、辞書等に載録された既成語であるとは認められないから、引用商標はいずれも特定の意味合いを有しない造語であると認識されるというべきものであり、その構成文字に相応して「ネクサンス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

ウ 本件商標と引用商標との類否

本件商標と引用商標の類否を検討すると、両者はそれぞれ上記ア及びイのとおりの構成よりなるところ、外観において、両者は前半の「BluE」の文字の有無という差異を有するものであり、また、本件商標は欧文字の小文字と大文字から構成されているのに対し、引用商標1は欧文字の大文字から構成され、引用商標2は第1文字がデザイン化されているといった表記の差異を有するものであって、さらに、構成文字の比較においても、本件商標の8文字目が「u」であるのに対し、引用商標の4文字目及び5文字目が「AN」又は「an」であるとの差異を有するから、これらの差異が両者の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、外観上、相紛れるおそれのないものである。

次に、称呼においては、本件商標から生じる「ブルーネクサス」の称呼と引用商標から生じる「ネクサンス」の称呼とは、それぞれの構成音及び音数に明らかな差異があるから、本件商標と引用商標は、明瞭に聴別できるものであり、称呼上、相紛れるおそれはないものである。

そして、観念においては、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないから、比較することができない。

以上を総合すると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両商標が需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、非類似の商標というべきものである。

なお、申立人は、本件商標は「Nexus」部分のみからの称呼「ネクサス」を生じ得ると主張するが、本件商標及び引用商標から生じる称呼は上記認定のとおりであって、仮に、本件商標から「ネクサス」の称呼が生じるとした場合においても、引用商標から生じる「ネクサンス」とは、「ン」の音の有無において差異を有するものであり、この差異が4音と5音という比較的短い音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は少なくなく、両者をそれぞれ称呼したときには、聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。

その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき事情は見いだせない。

エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否

本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、同一又は類似の商品である。

オ 小括

したがって、本件商標と引用商標とは、非類似の商標というべきものであるから、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

上記(1)イのとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されているものとは認められないものであり、上記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標というべきものであるから、類似性の程度は決して高いものとはいえないものである。

そうすると、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、需要者において、申立人や引用商標を連想又は想記することはなく、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標とはいえない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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