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Trademark Appeal Case

GIAの識別力と称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2020−900107(T2020−900107/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6219611号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6219611号商標(以下「本件商標」という。)は、「GIAアクネス」の文字を標準文字で表してなり、令和元年11月25日に登録出願、第5類「薬剤,衛生用殺菌消毒剤,空気脱臭剤」を指定商品として、同2年1月16日に登録査定、同月24日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第2557084号商標(以下「引用商標」という。)は、「アクネス」の文字を横書きしてなり、平成元年8月25日に登録出願、第1類「化学品,薬剤,医療補助品」を指定商品として、同5年7月30日に設定登録され、その後、同16年7月21日に指定商品を、第1類ないし第5類、第8類ないし第10類、第16類、第19類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ、さらに、同25年6月18日にその指定商品中、第1類ないし第4類、第8類ないし第10類、第16類、第19類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品について、一部放棄による商標権の一部抹消の登録がされ、その後、同25年7月9日に第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」について、商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第133号証を提出した。

(1)本件商標

ア 「GIA」の意味

本件商標中の欧文字部分「GIA」は、その出願人の提出した早期審査に関する事情説明書(甲3)、ジアショップ次亜塩素酸ナトリウム専門ショップのウェブサイト(甲4)、GIA−Protect次亜塩素酸ウィルス除菌・消臭水のウェブサイト(甲5)によれば、本件商標に係る商品「弱酸性次亜塩素酸水溶液」中の「次亜」を欧文字の「GIA」と表示したものと容易に推認される。

本件商標権者のウェブサイト中のソリューション企画事業部紹介ウェブサイト(甲6)及び通販サイトロハコの販売ページ(甲7)では、「GIAアクネスは弱酸性次亜塩素酸水溶液のことです」と言及されており、本件商標権者が販売する「次亜塩素酸水溶液」商品のウェブサイト(甲8)では、その商標を「MISTEGIA」として「GIA」の用語を含めている。また、株式会社OZAWAのウェブサイト(甲9)では、GIAが次亜を示すことを示唆している。

さらに、甲第10号証ないし甲第12号証に示すウェブサイト等において、いずれも「次亜塩素酸」を示す語として「GIA」が表示されている。

「GIA」の部分が次亜塩素酸の「次亜」を表すことを想到でき、本件商標中「GIA」は商品の品質、すなわち、「次亜塩素酸」を単に表示するにすぎず識別力がないと認識するのが相当である。

経済産業省が2020年4月17日にアルコール消毒液に代わる新型コロナウイルスの消毒方法に絡み、塩酸や食塩水を電気分解した「次亜塩素酸水」は手指に適用可能との見解を示された(甲13)が、今後、将来的に次亜塩素酸水関連の商品は増加すると予想され、それに伴い、「GIA」には独占適応性がないものとするのが相当である。

イ 本件商標の称呼

本件商標は、上述のように識別力のない欧文字「GIA」と片仮名「アクネス」からなるもので、その書体の相違から容易に分断され、単に「アクネス」と称呼されることがあるのは明らかである。

(2)引用商標

引用商標は、片仮名「アクネス」という標準文字からなる(甲2)。「アクネス」という引用商標は、申立人が独自に創設した語である。つまり、申立人は、商品のコンセプトを考え、アクネスはニキビの原因である「アクネ菌」の「アクネ」に、「少なくする」という意味の「less」を結合させ「acness」とし、これを短縮して造語「acnes」を案出し、ニキビ菌の繁殖を抑えるという意味を暗示するように名づけた。それを外観上「Acnes」とし、それを片仮名で「アクネス」と表示して、ようやく引用商標を創設したものである。

かかる命名の歴史については、申立人のウェブサイトの「アクネスの意味は?」に説明のとおりである(甲14)。

(3)引用商標の周知著名性

引用商標は、申立人が創設したものであり、1993年7月30日に商標登録後、ニキビ治療薬、メディカルクリーム、メディカルローション、メディカルミスト及び化粧品について継続して大々的に使用されることにより広く知られ、周知著名性を獲得している。

引用商標は、新聞雑誌記事(甲15〜甲20)、使用証拠(甲21〜甲33)において、ニキビ治療薬等について使用されている。また、引用商標は、アクネスニキビ治療薬について、 販売店用の販促資料(甲34〜甲71)及び販売リーフレット(甲72〜甲76)に使用され各販売店により配布された。そして、引用商標に係る商品は、雑誌(甲77〜甲105)に掲載され広く知られる一因となっている。

商標「アクネス」に係るニキビ治療薬については1999年に発売し、商標「アクネス25」に係るメディカルクリーム、メディカルローション及びメディカルミストについては2014年に発売以来、引用商標を広く使用し今日に至っており、引用商標に係るニキビ治療薬、メディカルクリーム、メディカルローション及びメディカルミストの総販売数は約710万個に上り、総販売額は約47億1400万円に至っている(甲106)。特に、商標「アクネス」に係る化粧品については、化粧品の分野において、SRI化粧品標準循環の拡大推計値(甲107)に示すように、引用商標に係る化粧品は第1位にランクされている。SRIとは全国小売店パネル数値で、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター、ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約4000店舗より収集している小売店販売データであり、これにより上位にあるほど売れ行きが高いことを示している(甲108)。また、Amazonのニキビ治療薬の売れ筋ランキング(甲109)によれば、引用商標がニキビ治療薬について第4位、メディカルクリームについて第6位、メディカルミストb 100mLについて第13位、メディカルミストb 100mL×2について第24位、メディカルローションについて第41位にランクされており、需要者の人気が高く売れ行きが高いことが示されている。

引用商標は、甲第110号証ないし甲第133号証に示すとおり、かなりの量の広告がされている。

引用商標に係るニキビ治療薬その他の医薬品及び化粧品についての広告費は約38億6300万円に上る(甲133)。また、テレビ広告のGRP数値はかなり高い数値で示されている(甲110〜甲132)。さらに、「CMカルテ調査結果情報」として、テレビ広告の情報が詳しく記載されている(甲114〜甲118、甲122)。

以上の次第で、引用商標は、申立人が出願し登録を取得し、その後も上記のように永年継続して独占的に使用することにより広く知られるようになり、高い識別力を獲得し周知著名となり、今日に至ったものである。

(4)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、欧文字「GIA」と片仮名「アクネス」とが分断されて、「アクネス」と称呼されることがあり、引用商標と類似することは明らかである。

本件商標は、「GIA」と「アクネス」とで書体が異なり、観念上のつながりがないことを考慮すれば、これらは不可分一体とは考えられず、単に「アクネス」と称呼されることもあると考えられ、引用商標と相紛らわしく類似するものと考えられる。

したがって、本件商標と引用商標とは、いずれも「アクネス」の称呼を生じ、相互に類似するものである。

(5)商標法第4条第1項第10号について

ア 引用商標の周知性

引用商標は、申立人のみが大々的に使用し、その結果、広く知られるに至り、周知商標となっている。

イ 本件商標と引用商標との類似性

本件商標と引用商標とを比較するに、両商標は明らかに類似するものである。

本件商標は、需要者の間に広く認識されている引用商標「アクネス」と他の文字「GIA」とを結合した商標であり、「アクネス」と類似すると判断するのが相当である。

(6)商標法第4条第1項第15号について

ア 引用商標の著名性

引用商標「アクネス」は、申立人のみが大々的に使用し、その結果、広く知られるに至り、著名商標となっている。

イ 本件商標と引用商標との混同

本件商標は、申立人の著名な引用商標「アクネス」と他の文字「GIA」と結合した商標であり、引用商標と混同を生じるおそれがあるとするのが相当である。

また、本件商標の指定商品について使用された場合には、申立人の「アクネス」商標に係る商品と少なくとも経済的又は資本的に関係のあるものと認識され、出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知性について

ア 申立人の提出に係る甲各号証及び申立人の主張によれば、以下のとおりである。

(ア)申立人は、1999年6月10日よりニキビ治療薬「アクネスオフェンシブクリーム」及び洗顔料「アクネス薬用クリーミィウォシュ」を発売し(甲15)、また、2014年6月9日より大人ニキビの治療薬「アクネス25シリーズ」を発売した(甲16、甲17)。

(イ)「MERY」のウェブサイトにおいて、2019年6月9日付けの「市販のおすすめ【ニキビクリーム】9選。・・・」に「メンソレータムアクネス」(ニキビ治療薬、メディカルクリーム)が選ばれた(甲19)。

(ウ)引用商標は、申立人のニュースリリースにおいて、「にきびケア市場NO.1のアクネスブランド」「大人ニキビに。アクネス25シリーズ 誕生」と記載され、申立人の商品情報サイトにおいて、商品(クリームローション、スプレー)及びその箱に引用商標が表示されている(甲21〜甲33)。

(エ)申立人の販促資料である販売店用のロート製品一覧表(1999年〜2020年)によれば、ア行の欄にアクネスシリーズがスキンケア用品の医薬部外品、また、ニキビ治療薬の第2類医薬品として掲載され、当該商品に引用商標が表示されている(甲34〜甲71)。

(オ)申立人の販促資料である販売リーフレットにニキビ治療薬として紹介され、当該商品に引用商標が表示されている(甲72〜甲76)。

(カ)雑誌(Hana chu(ハナチュー)2008年2月号・5月号・7月号・9月号、ピチレモン2007年5月号・9月号・10月号、ニコラ2007年6月号・2008年12月号、duet(デュエット)2007年4月号・5月号・8月号、JUNON(ジュノン)2007年4月号・5月号・9月号、Myojo(ミョージョー)2007年7月号・9月号、Popteen(ホップティーン)2007年6月号・12月号、ラブベリー2007年5月号・6月号・9月号・2008年5月号)において、申立人のニキビ治療薬等が掲載され、その商品とともに引用商標が表示されている(甲77〜甲79、甲81、甲83、甲88〜甲105)。

(キ)申立人の作成した一覧表によれば、1999年発売のアクネスに係るニキビ治療薬及び2014年発売のアクネス25に係るメデイカルクリーム、メデイカルローション及びメディカルミストについて2019年までの総販売数は約710万個、総販売額は約47億1400万円である(甲106)。

(ク)2017年7月から2019年6月までのSRI(全国小売店パネル数値)化粧品標準環境の拡大推計値(カテゴリー:化粧品(標準)、ターゲット:アクネ、エイジング+アクネ、等)によれば、「アクネス」が第1位である(甲107)。

(ケ)2020年5月13日にプリントアウトされたAmazonのニキビ治療薬の売れ筋ランキングによれば、申立人のニキビ治療薬「アクネス」が第4位である(甲109)。

(コ)申立人は、1998年3月から2011年9月まで、テレビを介して申立人の業務に係るニキビ治療薬等を広告宣伝しており(甲110〜甲132)、申立人の主張によれば、引用商標に係るニキビ治療薬等についての1999年3月期から2019年3月期までの広告費は約38億6300万円である(甲133)。

イ 上記アによれば、申立人は、申立人の業務に係るニキビ治療薬等(以下「申立人商品」という場合がある。)に引用商標を表示して、1999年発売以来、継続して使用しているとはいい得るものの、申立人が提出した証拠において、引用商標が広く知られる一因とする雑誌は、2007年及び2008年のもののみであり、当該雑誌に申立人商品が掲載されたとする回数も決して多いとはいえず、また、販売リーフレットにおいても、その配布数量、配布地域、配布期間等は明らかではないし、さらに、テレビCMは2011年9月までであって、それ以降も継続して宣伝、広告等が行われたことを示す証拠の提出はないから、これらが引用商標の周知性の判断に使用できる程度の客観的な証拠とはいえない。

また、上記ア(キ)における総販売数及び総販売額は、その数字の多寡について、具体的に検討するための証拠の提示はなく、この証拠によっては、引用商標の周知性の程度を推し量ることができない。

そうすると、申立人が提出した証拠によっては、引用商標は、我が国において、申立人の業務に係るニキビ治療薬等を表示するものとして、その商品の需要者の間にある程度知られていることはうかがえるとしても、申立人商品の販売実績を裏付ける証左及びシェア等を示す証拠は見いだせないことから、我が国の需要者の間に広く認識されているものとまでは認めることはできない。

したがって、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものである。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標について

本件商標は、「GIAアクネス」の文字を書してなるところ、その構成文字は、同一の書体、同一の大きさ、等しい間隔をもって横一連に外観上まとまりよく表されており、また、その構成文字全体から生じる「ジーアイエーアクネス」の称呼も格別冗長とはいえず、無理なく一連に称呼し得るものである。

そうすると、本件商標は、その構成態様及び称呼からすれば、その構成全体をもって一連一体のものとして看取、把握されるものであり、また、その構成全体から特定の観念を生じないものとみるのが相当である。

したがって、本件商標からは、「ジーアイエーアクネス」の称呼のみを生じ、特定の観念は生じないというべきである。

なお、申立人は、「GIA」の文字が次亜塩素酸の「次亜」を表すことを想到でき、本件商標の構成中の「GIA」の文字部分は商品の品質(「次亜塩素酸」)を単に表示するにすぎず、識別力がないことから、本件商標は、単に「アクネス」と称呼されることがある旨主張する。

しかしながら、上記主張の証拠として提出された証拠(甲3〜甲12)によっては、本件商標の登録査定時において、「GIA」の文字が、本件商標の指定商品との関係において、商品の品質を表すものと認識されているという実情があると認めるに足りないものであり、また、他に本件商標から、「アクネス」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせないから、申立人の主張は採用できない。

イ 引用商標について

引用商標は、「アクネス」の片仮名を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して「アクネス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

ウ 本件商標と引用商標との類否

本件商標と引用商標は、それぞれ、上記ア及びイのとおりの構成からなるものであり、それぞれの構成中「アクネス」の文字を共通にするとしても、「GIA」の文字の有無に差異があり、その構成文字数が明らかに相違するものであるから、外観において紛れるおそれはない。

また、本件商標から生じる「ジーアイエーアクネス」の称呼と引用商標から生じる「アクネス」の称呼とは、前半部において「ジーアイエー」の音の有無に差異を有するものであり、両称呼を全体として称呼した場合には、その語調、語感が相違したものとなり、称呼において紛れるおそれはない。

さらに、本件商標及び引用商標は、共に特定の観念を生じないものであり、観念において比較することができない。

以上を総合すると、本件商標と引用商標は、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において紛れるおそれはなく、類似するものではないから、その外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して考慮すれば、両商標は非類似の商標というべきである。

その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき事情は見いだせない。

エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否

本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、同一又は類似の商品である。

オ 小括

したがって、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似のものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第10号該当性について

上記(1)イのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表すものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものである。また、上記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第15号該当性について

上記(1)イのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表すものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものである。

そして、本件商標と引用商標とは非類似の商標であって、類似性の程度は高いとはいえない。

そうすると、本件商標は、これをその指定商品について使用をしても、これに接する需要者が引用商標又は申立人を連想、想起することはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(5)まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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