Trademark Appeal Case
周知商標の立証
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2020−900182(T2020−900182/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第6259746号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、令和元年5月10日に登録出願、第41類「野菜栽培に関する資格付与のための資格試験の実施及び資格の認定・資格の付与,野菜栽培に関する資格取得に関する知識の教授,野菜栽培に関する知識の教授,野菜栽培に関する資格相談会・受験相談会・講演会・シンポジウム又はセミナーの企画・運営又は開催,野菜栽培に関する電子出版物の提供,野菜栽培に関する書籍の制作,野菜栽培に関するビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),野菜栽培に関する興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」を指定役務として、同2年6月5日に登録査定され、同月15日に設定登録されたものである。
第2 引用標章
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、申立ての理由として引用する標章は、「野菜栽培士」の文字からなり(以下「引用標章」という。)、申立人の業務に係る役務「野菜栽培に関する資格付与のための野菜栽培の知識の教授及び資格の認定」の提供に際し、申立人が付与する資格の名称「美味安全野菜栽培士」の略称として使用するものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号について
申立人は、平成21年以降10年以上にわたり「日本園芸協会」の商号を用いて第41類「野菜栽培に関する資格付与のための野菜栽培の知識の教授及び資格の認定」を行う通信講座「野菜講座」を販売し、講座修了生に「美味安全野菜栽培士」の資格を発行し、その略称として「野菜栽培士」を使用してきており、甲第1号証および甲第2号証に示す新聞広告のほか、雑誌広告、インターネット広告で広く一般に宣伝を行ってきた。
2 むすび
したがって、本件商標の指定役務(以下「本件指定役務」という。)の分野の需要者は、「野菜栽培士」の漢字を含む本件商標が、本件指定役務について使用された場合には、申立人の業務に係る役務と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかであり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
第4 当審の判断
1 引用標章の周知性について
(1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
ア 申立人は、東京都渋谷区に所在する法人である。
イ 申立人の主張によれば、申立人は、「日本園芸協会」の商号を用いて、平成21年以降10年以上にわたり、「野菜栽培に関する資格付与のための野菜栽培の知識の教授及び資格の認定」(以下「使用役務」という場合がある。)を行う通信講座「野菜講座」を提供し、講座修了生に「美味安全野菜栽培士」の資格を発行し、その資格の略称として「野菜栽培士」を使用している。
ウ 日本園芸協会は、平成21年12月7日付け毎日新聞に「野菜栽培士養成講座(通信教育)」と記載した広告、同22年3月6日付け朝日新聞に「野菜栽培士の資格を認定」と記載した広告を掲載した(甲1及び甲2)。
(2)上記(1)によれば、平成21年12月と同22年3月の新聞広告の掲載の事実から、日本園芸協会は、同時期に、「美味安全野菜栽培士」の略称として引用標章を使用したことは推認できる。
しかしながら、申立人による主張及び申立人が提出した全証拠に照らしても、申立人と日本園芸協会の関係が明らかではなく、平成22年以降、申立人又は日本園芸協会が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、継続して引用標章を使用したことを確認できる証拠の提出がないため、引用標章が付された使用役務の提供期間は不明である。
また、申立人が「美味安全野菜栽培士」の略称として使用すると主張する引用標章が、同資格の略称として、我が国の需要者の間で広く知られたことを示す具体的な証拠はない。
さらに、申立人又は日本園芸協会による引用標章が付された使用役務の提供地域、提供実績(売上高、提供件数、提供店舗数、市場占有率(シェア)など)、甲第1号証及び甲第2号証の2件以外の広告宣伝の実績(広告された期間・地域及び規模、広告費など)、引用標章に類似する他の標章の使用状況、同業他社の同一又は類似役務の提供実績などは明らかではなく、それらを裏付ける証拠は提出されていない。
その他、引用標章が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の提供する役務を表示するものとして、我が国の需要者の間で広く知られたことを示す具体的な証拠はない。
(3)以上のとおり、申立人による主張及び申立人が提出した全証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用標章が、申立人又は日本園芸協会の業務に係る役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたということはできない。
2 本件商標と引用標章との類否について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲のとおり、上段に図形を配し、下段に「野菜栽培士」の文字を青色で横書きしてなるところ、上段の図形と下段の文字は、同系色の色彩から構成されるものの、近接して配された構成ではないことから、視覚上分離して認識、把握されるものである。
そして、上段の図形は、抽象的な図形であり、特定の事物を想起させるものではなく、下段の文字と称呼上及び観念上のつながりも見いだし得ないことから、図形部分からは、特定の称呼及び観念を生じないものである。
また、本件商標の構成中の「野菜栽培士」の文字は、構成する各語の持つ語義が一般に知られているものであるから、これより「野菜を栽培する技術を身につけた者」のような意味合いが生じるものというのが相当である。
そうすると、本件商標は、その図形及び文字を、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいい難く、図形と文字とがそれぞれ自他役務の識別力を有する要部とみるのが相当であるから、本件商標は、その要部の一である「野菜栽培士」の文字に相応して「ヤサイサイバイシ」の称呼及び「野菜を栽培する技術を身につけた者」の観念を生じるものというのが相当である。
(2)引用標章について
引用標章は、「野菜栽培士」の文字を横書きしてなるところ、前記(1)と同様に、当該文字に相応して、「ヤサイサイバイシ」の称呼及び「野菜を栽培する技術を身につけた者」の観念を生じるものというのが相当である。
(3)本件商標と引用標章との類否について
本件商標の要部の一である「野菜栽培士」と引用標章は、前記(1)及び(2)のとおり、構成文字を共通にするものであるから、外観において同一又は類似するものといえる。
そして、両者は「ヤサイサイバイシ」の称呼及び「野菜を栽培する技術を身につけた者」の観念を共通にするものであるから、称呼及び観念において同一又は類似するものといえる。
そうすると、本件商標の要部の一である「野菜栽培士」と引用標章とは、外観、称呼及び観念において同一又は類似するものであるから、相紛れるおそれのある同一又は類似の商標又は標章というべきである。
(4)本件商標の指定役務と引用標章の使用役務との類否について
本件商標の指定役務と、引用標章の使用役務は同一又は類似する役務である。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記2のとおり、本件商標が引用標章と類似する商標であり、本件商標の指定役務が、引用標章の使用役務と同一又は類似するとしても、上記1のとおり、引用標章は、申立人又は日本園芸協会の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたということはできないものである。
そうすると、本件商標は、これをその指定役務に使用しても、これに接する需要者において、申立人又は日本園芸協会や引用標章を連想、想起するということはできず、よって、その役務が申立人あるいは申立人又は日本園芸協会と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれがある商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとはいえず、ほかに同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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