Trademark Appeal Case
化粧品「花筏」の普通名称性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2020−900226(T2020−900226/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第6263459号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲に示すとおりの構成からなり,令和元年8月7日に登録出願,第3類「せっけん類,化粧品,歯磨き,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として,同2年6月3日に登録査定され,同月25日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第3条第1項第1号に該当するものであるから,その登録は取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
本件商標は,上段に英文字で「HANAIKADA」,下段に漢字で「花筏」と二段に横書きしてなるものであって,何人も本件商標からは「花筏(はないかだ)」を直感するものである。
「花筏」の語は,特許庁審査第一部商標課編「新商品区分に基づく 類似商品審査基準」及び特許庁商標課編「商品区分に基づく類似商品審査基準(改訂版)」において,第3類(旧第4類)に該当する商品として列挙されていること(甲1,甲2),及び,登録商標の指定商品に記載されていること(甲3)から,第3類においては普通名称として認識されるものである。
また,英文字「HANAIKADA」に漢字で「花筏」と二段に横書きしてなるものである本件商標は,「花筏」を直感するにすぎないものであり,普通に用いられる方法で表示したものと解される。
さらに,「花筏」は,辞書に「おしろい下に用いた油性香料の名」等の記載がある(甲4〜甲6)ほか,「化粧下」として販売されていたものである(甲7)。また,「化粧下」は「おしろい下」を指すものであることから,「花筏」は,「おしろい下として用いたもの」あるいは「おしろい下」を指す言葉として認識されるものである(甲6,甲8〜甲10)。
以上のことから,本件商標は,その指定商品に使用するときは,商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって,商標法第3条第1項第1号に該当する。
第3 当審の判断
1 申立人による主張及び同人が提出した証拠によれば次のとおりである。
(1)「新商品区分に基づく 類似商品審査基準」(特許庁審査第一部商標課編 昭和36年10月1日発行)及び「商品区分に基づく類似商品審査基準(改訂版)」(特許庁商標課編 平成2年4月25日改訂第6版2刷)において,「花筏」の語が,第4類「化粧品」の範ちゅうの商品として列挙されている(甲1,甲2)。また,1957年(昭和32年)9月に登録出願し,その後商標登録された登録商標に係る指定商品中に「花筏」が商品名として指定されていて,その商標権は現に有効に存続している(甲3)。
(2)一部の辞書及び辞典において,「花筏」の語は,「花が散って水面に浮かび流れるのを筏に見立てていう語」等の意味に続いて3番目又は4番目以降に,「おしろい下に用いた油性香料の名」程の意味を表すものとして記載されている(甲4〜甲6)。
(3)「東京小間物化粧品名鑑」(東京小間物化粧品商報社 大正2年9月15日発行)には,「化粧下」の品名として「花筏」の文字が使用されている(甲7)。また,辞書,辞典及び事典において,「化粧下」は「おしろい下」を指すものであることが記載されている(甲6,甲8〜甲10)。
2 商標法第3条第1項第1号の該当性について
本件商標は,上記第1のとおり,「HANAIKADA」の欧文字及び「花筏」の漢字を上下二段に書してなるところ,上段に書された欧文字は下段に書された漢字の読みをローマ字表記したものと認められるものである。
そして,上記1のとおり,本件商標の構成中の「花筏」の語が,大正2年頃に「化粧下」を表すものとして使用されていたこと,少なくとも,平成2年までは「花筏」の語が「化粧品」の範ちゅうの商品名として「類似商品審査基準」に例示されて,「花筏」を指定商品とした登録商標が存在していること,また,「花筏」の語が,一部の辞書類において「おしろい下に用いた油性香料の名」程の意味合いを表すものとして,本来の意味に続き3番目以降に掲載されていることなどは認められる。
しかしながら,当審において職権をもって調査したところ,本件商標の登録査定時において,本件の指定商品を取り扱う業界で,「花筏」の文字が商品の普通名称を表すものとして一般に使用されている事実は発見することはできず,また,本件商標に接する取引者,需要者が,当該文字を商品の普通名称を表示したものと認識していたというべき事情も発見することはできなかった。
そうすると,「花筏」の語が一部の辞書類及び大正時代や平成の初めに発行された書籍等に「おしろい下に用いた油性香料の名」程の意味合い又は「化粧下」を表すものとして掲載されているとしても,これらのことをもって本件商標に接する取引者,需要者が,本件商標の登録査定時において,商品の普通名称を表す語として理解,認識するとはいい難いというべきであるから,「花筏」及びそのローマ字表記である「HANAIKADA」の文字からなる本件商標は,その登録査定時において指定商品の普通名称を表示したものとはいえず,自他商品を識別する機能を果たし得たものと判断するのが相当である。
したがって,本件商標は商標法第3条第1項第1号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第1号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
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