結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2017−300502(T2017−300502/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4805259号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成12年9月29日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として、同16年9月24日に設定登録され、同26年5月27日に存続期間の更新登録がされたものである。
なお、本件審判請求の登録は、平成29年7月26日にされたものであり、この登録前3年以内の期間を以下「本件要証期間」という。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第36号証(枝番号含む。)を提出した(以下、証拠を表示する際は、「甲1」等と表記し、枝番の全てを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)。
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
(1)商標権使用許諾契約書について
被請求人は、本件商標を第三者「株式会社トランス・ファー」(以下「トランス・ファー社」という。)に使用させたと主張し、同社との2016年9月1日付の「商標使用許諾書」(乙1)のコピーを提出しているが、同契約書第3条(使用料)及び第4条(使用料の報告及び記録)が黒い墨で隠されている。
(2)商品に付されたデザインについて
乙2には本件商標と同一のデザインが描かれ、近年「スマイル・ブーム」として多様なデザインが市場に氾濫しているのに、本件商標と全く同一のデザインを選んで、契約先トランス・ファー社が商品を製造するのは大変不自然である。
(3)納品書について
乙3は、トランス・ファー社から取引先の「ファッションリンク株式会社」(以下「ファッションリンク社」という。)宛になっているが、その内容は合計僅か2点の商品の納品であり、前記のデザイン画2点について1着ずつ製造、納品したことになり、日本津々浦々の市場(商店)で本件商標を付した商品が販売されたとはいえない。
その上「商品説明」やファッションリンク社の住所も墨で消されており、大変不自然である。
以上を考えると、被請求人提出の証拠は本件取消審判の「使用証拠」とは認められず、本件取消審判の使用証拠を捏造する為に作成したものにしか思えない。
(4)「スマイル」は「スマイリー・フェイス」の略称であり、1963年末米国マサチューセッツ州ウスター市で「故ハーベイ・ボール」によって創作、著作されたものである。そして1960年代のアメリカの大不況に「スマイル・バッチ」を付けて乗り切った歴史があり、その後「スマイル」はアメリカで大ブームが起こった。
日本では、1970年(昭和45年)に当時の文具メーカーがアメリカの「文具ショー」を訪問し、その「スマイル大流行」を真似して日本で「ニコニコ・マーク」「ラブ・ピース」として大流行し、その当時から日本人では小学生からお年寄りまで知らない人はいない程に有名になっている。
「故ハーベイ・ボール」が2001年4月12日死去した後、息子であり、マサチューセッツ州の弁護士である「チャールズ・ボール」氏を会長として「ハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団」は設立され、創作、著作者の遺志を継いで「スマイルを世界平和の礎にする」の「社会貢献活動」を行っている。
(5)被請求人は上記の様な請求人の50年間程の努力等によって作られた「スマイル」の良いイメージや、過去の伝統、歴史、話題性の全てに便乗にして金儲けをする目的で、本件商標を商標登録したものであり、それ以前に日本では「スマイル」が有名であった事を知りながら、その人気と有名さを剽窃して商標登録したとしか考えられない。
被請求人は、日本を代表する繊維メーカーであり上場企業であるにも関わらず、企業の社会的責任(CSR)を果たすことなく、自己の利益のみに拘り「日米の友好」のシンボルである「スマイル」に対して、その社会貢献事業やボランティア活動を困難にする事を行っている事については大変残念であり、米国人としても憤りを感じている。
この様な被請求人の考え方は、他の「登録商標」においても行われており、POLOブランドの靴下や下着類を日本の権利者と組んで販売している。 請求人の聞いた限りでは、日本人の100%がその商品をラルフ・ローレンと混同して購入していると言われている(甲1)。
最近では、中国が日本で有名な名称を勝手に商標登録し、自国の合法性を主張し自国の中国産の商品にそれ等の使用を行っており、日本人の全てが嫌悪感を持っていると聞いているが、本件商標に対する被請求人の対応や行為はそれに同一するものである。
請求人は以上の様な日本国民の誤解について理解を得るために、これから別紙の新聞広告を各新聞に掲載する予定である(甲2の1ないし12)。
(6)被請求人への協力依頼の事実
被請求人は、本件商標を「自ら使わず商売をするわけでもなく、商標権の維持を目的として他人に対応する事」を繰り返している。
しかも、被請求人は日本を代表とする「下着メーカー」として多くの消費者に知られた「商標」(ブランド)を所有し、問題なく事業を展開しており、本件商標を必要とする余地は全く無いと考えられる。
単に請求人等の「スマイルを世界平和の礎にする」世界的な「社会貢献事業」や「ボランティア活動」を妨害する目的で本件商標を維持し、日米関係を妨害し、日本の若い世代の「スマイル」に対する尊敬を傷付ける事を繰り返している。
その為、請求人は被請求人の代表者、役員に対して、商標使用に関する一部商標権利の譲渡、一部商標使用の許可要請、共同事業の提案をしたが、全く回答がない(甲3、4、5)。
(1)「有限会社ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッド」は、計1,000件以上の「スマイル登録商標」を所有している。
(2)請求人は米国内で本件商標と類似のスマイル商標を登録しているが、それ等を日本で商標登録する為に本件商標が対象となり、過去20年間商標登録が出来ない事に請求人関連のアメリカ財団関係者は不満を持っている(甲6)。
(3)本件商標と被請求人が使用した商標とを比較すると、大きく異なっており、実際に使用したとはいえない。
(4)被請求人は、本件商標を自社の商品として使用する考えは無く、商標権の延命の為に使用実績を作る目的で下請会社に貸し出して、使用証拠を作っているにすぎない。
また、被請求人は、本件商標についての10回以上の文書や申し出に対して一度も返事をすることは無く、大企業としては非常識な態度を取り続けている。
(1)現在、請求人は「スマイル商標」を持っており(甲9)、第25類だけを被請求人が登録商標を有している。それについて、譲渡、共同使用、請求人に必要な分の登録を認める、共同事業等の提案や交渉を十数回行っているが一度も返事も回答もない。
(2)請求人は米国でスマイル図形について「著作権登録」を行い、日本で文化庁に「著作権登録」を行っており、また、中国政府「著作権局」に「著作権登録」を行っている(甲10、11、12)。これらを「取消審判」に反映して貰いたい。
請求人は日本で「スマイルの登録商標」を有し(甲13)、また米国で「スマイルの登録商標」を所有している(甲14)。
以上の理由により、速やかに本件商標の「取消」をして欲しい。
(1)乙1について
被請求人提出の契約書自体に疑問がある。「ライセンス契約」においては、年間最低補償額(ミニマムギャランティ)が設定されることが一般的であるが、提出された契約書には、その設定がなく、そのような「ライセンス契約」は存在しない。
本証拠は、被請求人が第三者からの「3年間不使用」による「取消審判請求」を回避するために、特別な「下請取引企業」に契約実績作りのために作成させた「契約資料」にすぎない。また、契約先であるトランス・ファー社のホームページに企業活動を「オリジナルブランドの企画・生産・販売・卸」及び「カシミヤアイテムのOEM」と書かれており、到底「スマイル商品」を一般消費者向けに販売しているとは考えられない。
(2)乙2について
提出写真の「スマイル商品」には大きく「LOVE EARTH」がデザインされているが、そのような文字をトランス・ファー社が強調することも不思議である。カシミヤの高級商品にあえて付けること自体考えられない。
(3)乙3について
トランス・ファー社の取引先であるファッションリンク社宛の納品書は、第三者からの「3年間不使用」による「取消審判請求」を回避するために、被請求人の特別な「下請取引企業」に契約実績作りのために作成させた資料にすぎない。乙2(審決注:第4号証は誤記と認める。)の「商品写真」の特別注文を裏付けるように発注数が「2着」となっていることから、2着のみを写真撮影用に見本制作させたにすぎない。また、ファッションリンク社の事業内容等から、被請求人の商品を販売することに適切な会社とは思えない。
(4)「スマイル」は「アメリカの文化であり、アメリカの誇り」である。スマイルを剽窃して、あたかも自己が創作著作したように振る舞うことに、アメリカ国民は怒りを感じている。
それに対して、特許庁が「先願主義」の盾にとり、大企業優先保護のような印象をアメリカ人は信じている様で、その不満が頂点に達している。
(5)歴史のあるスマイル・マークは、請求人が平成10年以来日本で商標登録を確立したいと希望したが、特許庁が20年近く拒絶査定の判断を出し続けていることに失望している。
(6)本件商標について、被請求人は、自社の主力商品を使用するのではなく、単に「アメリカ人の誇りを傷付け」、「日米友好を台無しにする」目的で本件商標の登録維持をしているとしかアメリカ国民は思っていない。被請求人は、多数の有名な「登録商標(ブランド)」、「SABRINA」、「BODY WILD」、「YG」、「GUNZE」等を所有しており、それにより多くの日本の消費者から強い支持を得て、被請求人の企業も円満に拡大し続けている。あえて本件商標を維持し、請求人自身の「原型スマイル」の使用を妨害し、それにより「日米関係を台無し」にして米国人の反感を持たれるような行為を行い続けることは、請求人関係者は理解できない。
(7)請求人は、平成10年以来、被請求人に様々な提案や対価の支払い、費用の負担等を申し出ているが、回答がなく、そのまま放置されている。このような対応は、企業の社会的責任を求める風潮に反するものである。
(8)最近はネット時代で瞬時に全世界で流行が始まり、世界中の人々の意思が統一される時代である。商標登録の早い者勝ちで一攫千金をみる世間の風潮は終わりにすべきである。
請求人自身も来日して、日本で自分たちのスマイルが権利として認められない事に対して日本のマスコミに不満を訴える計画も聞いている(甲19の1ないし3)。
請求人は、スマイルで日本を元気に、東日本大震災活動支援、熊本地震支援活動を行っているが、本件商標により活動が自由にできず、世界中から苦情がきている(甲20)。
以上から、特許庁も先願主義と同時に日本のグローバル化、ネット時代で世界が同一となっている事を考えてもらいたい。
(1)請求人は、長年、商標登録制度の「先願主義」の弊害を主張し続けてきた。本件事件もその典型的な弊害の一例にすぎない。
(2)先願主義の弊害を説明する資料を提出する(甲21ないし23)。
下記の理由で早期に本件審判事件を審理してほしい。
(1)請求人は、日本国内で「スマイル・ブランド」(商標)のライセンス契約による「商品化」を国内メーカーに許諾している。このたび、国内契約企業のファッションメーカー多数に「スマイル商標」の商品の製造、販売を許可した。それぞれのメーカーは現在、中国国内での下請け製作を行っており、3か月以内での輸入販売を企画している。「スマイル」類似商標を所有している被請求人と請求人関係の米国慈善団体(ハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団)との紛争が生じ、その結果、被請求人が所有する登録商標の「スマイル」類似商標に基づく販売差止等の対抗手段に出る可能性がある。
(2)20年間継続している「ワールド・スマイル・デー」イベントは全世界で1億人の支持者が「スマイルを世界平和の礎にする」目的で活動している(甲24)。
(3)請求人は、被請求人に対して20年間数十回の社長、役員に対しての交渉や呼びかけを行ったが、それに応えようとしない(甲25ないし28)。
(4)請求人は、直近1年半で1億円の広告費を投入して小売店やメーカーの理解を得て、日本での「スマイル」の価値を高めている(甲29)。
(5)被請求人は、アメリカのデザイナーの象徴である「ラルフ・ローレン」の「POLO」商品の「偽物商品」を販売し大きな利益を得ていることもアメリカ人の反感を買う大きな要因となっている(甲30)。
(6)請求人の20数回の「取消審判」は全て否決された(甲31)。
(7)「本件事件」で提供された「使用証明」の資料に疑問があるため、請求人は、被請求人が提出した証拠のそれぞれの提出人にその疑問について問い合わせたが、一切回答することなく放置されている(甲32)。
(8)請求人のこれまで20年間の「スマイル商標」は全て被請求人の登録商標を引用されて拒絶査定となっている。
(9)米国側は、登録商標権の権利主張を諦めて著作権主張に重点をおいている(甲29)。
(10)被請求人程の大企業であれば使用しない商標を保有する理由がない。
(11)「使用実績」重視のアメリカ人は、日本の「先願主義」を理解しない。
(12)日本の特許庁は「大企業優先」、「被請求人保護」と決めているとの誤解が米国内ではある。
(13)解決方法は「社会問題化」や「政治問題化」しかない(甲33)。
(14)既に、請求人は、日本の主要小売店への接触を求めている(甲34)。
(15)被請求人の「スマイルは自分達のもの」の主張にアメリカ人達の怒りは収まらず被請求人商品の「不買運動」が世界的に計画されている(甲35)。
(16)日本国特許庁に対する不満もある(甲36)。
(17)以上の説明のとおり、被請求人は、自ら「本件商標」を使用する意思はなく、数十回の全ての「取消審判」、「無効審判」等には自社の下請け企業等に商標権の延命のためのずさんな「使用証明」を提出しているにすぎない。「本件商標」の取消や無効は被請求人にとって全く損害が無いのであるから、取消や無効にすべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書、平成30年(2018年)4月5日付け口頭審理陳述要領書(以下「被請求人陳述書」という。)、同年4月26日付け上申書(以下「被請求人上申1」という。)及び同年6月11日付け上申書(以下「被請求人上申2」という。)、審尋に対する回答書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙1ないし乙20(枝番を含む。)を提出した。
被請求人は、トランス・ファー社に対し、本件商標についての通常使用権を許諾しているところ、同社は、本件商標を第25類「被服」について、本件要証期間に使用している。
(1)本件商標の構成
本件商標は、「LOVE EARTH」の欧文字の下に、円図形内の上部に、目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ、この2つの黒塗りの縦長楕円形の下に口と思しき両端上がりの弧線を描いた図形を表してなる商標であり、指定商品は、第25類「被服」である。
(2)通常使用権の許諾
被請求人は、トランス・ファー社に対し、2016年(平成28年)9月1日付けで本件商標に係る通常使用権の許諾を行っている(乙1)。本契約は2017年(平成29年)3月31日まで有効であるが、それ以降も別段の意思表示がなければ、1年間同一条件で更新され、以後も同様であるから、現在も効力を有している。
(3)通常使用権者の商標の使用態様
通常使用権者であるトランス・ファー社は、本件商標を付した「被服」を製造、販売している。
通常使用権者が製造、販売している品番「CC−62021」のセーター(以下「本件使用商品」という。)の表面には、本件商標が表されている(乙2)。
(4)本件使用商品の販売時期
トランス・ファー社は、本件使用商品を本件要証期間に販売している。この事実は、乙3の納品書によって明確に立証できる。
乙3の納品書は、通常使用権者が、平成28年(2016年)10月1日に、ファッションリンク社に対し、本件使用商品を販売した際の納品書であり、品番・品名の欄の最下段の「CC−62021 LOVEアーススマイルPO」が本件使用商品の品番である。
(5)結論
以上のとおり、通常使用権者であるトランス・ファー社は、本件審判の請求に係る指定商品第25類「被服」について本件商標と社会通念上同一の商標を本件要証期間に使用しており、かかる事実は、被請求人が提出した証拠によって十分に立証されている。
よって、本件商標が不使用であるとする請求人の主張は失当であり、本件審判の請求は成り立たない。
平成30年(2018年)3月6日付けの審理事項通知書(以下「通知書」という。)における合議体の暫定的見解に対し以下の通り回答する。
(1)契約書について(乙1)
「乙1の『商標使用許諾契約書』に記載の被請求人の住所が、本件商標権の登録上の住所と相違している。」旨の指摘を受けたが、かかる差異が生じたのは、契約書上の住所が大阪本社の住所になっていたためである。
乙1に記載の住所が、被請求人の大阪本社の住所であることは、乙4として提出の「四半期報告書(第122期第3四半期)」の冒頭の頁に「(大阪本社)大阪市北区梅田二丁目5番25号(ハービスOSAKAオフィスタワー)」との記載があることから明らかである。
(2)乙2の商品写真について
通知書において、「乙2の作成者、作成日などが不明である。」旨の指摘を受けた。乙2の資料は、被請求人の担当者が、トランス・ファー社からデータとしてもらっていたものであるが、作成日、作成者がより明確な証拠として、トランス・ファー社の商品一覧が掲載されたオーダーシート(Order Sheet CASHYAGE Ladies/2016 fall & Winter collection PART2)(乙5)を提出する。このオーダーシートの3頁には、21番の商品として本件商標が付された品番「CC−62021」のセーターが掲載されている。乙2は、乙5のオーダーシートの表の一部を切り取ったデータの写しである。このオーダーシートの作成者がトランス・ファー社であることは、乙5の1頁にトランス・ファー社の名称及び住所が記載されていることから確認できる。また、このオーダーシートは、1頁の「2016 fall & Winter collection」との記載があることから、平成28年(2016年)の秋・冬用の商品のオーダーシートであり、作成日は平成28年(2016年)の前半頃である。
(3)乙3の納品書について
通知書において、納品書(乙3)に関し「当該書面には押印などもなく、実際に使用又は交付された書面であるのか不明である。」旨の指摘を受けた。
この点、納品書(乙3)は、売り主であるトランス・ファー社が保管していた控えであるため、捺印がなされていないが、現在、買主であるファッションリンク社が保管している納品書等の書類を借りることができないかを同社と交渉中であり、入手できた場合には追って提出する。
また、通知書において、「当該書面に記載された商品の品番は、乙2に記載された商品の品番と一致するとしても、その商品のサイズや色彩をどのように表記しているのか不明である。」旨の指摘を受けた。
この点、トランス・ファー社の担当者から「納品伝票には効率化を図るため、品番、数量管理のみでサイズ・色の明記はない。」との回答を得ている(乙6)。
さらに、平成28年(2016年)10月1日に納品された商品の詳細は、ファッションリンク社の担当者からトランス・ファー社の担当者宛の同年9月26日付け電子メール(乙7)の記載を見れば理解できる。かかる納品は、乙7に基づき行われたものであり、乙7の添付ファイルを見ると、品番「CC−62021」のセーターの発注内容がグレー1着、チャコール1着であることが分かる。なお、乙7にはサイズの記載はないが、それは、当該商品のサイズバリエーションが1サイズのみであるからである。
合計請求書(平成28年[2016年]10月31日付け)(乙8の1)、納品書(平成28年[2016年]10月1日付け)(乙8の2)及び納品書(平成28年[2016年]10月5日付け)(乙8の3)を追加の証拠として提出する。乙8の1ないし3は、本件使用商品の取引の際にトランス・ファー社からファッションリンク社に提供されたものであり、「納品書」(乙8の2及び3)には捺印されていないが、合計請求書の右上にトランス・ファー社の社判と担当者の印鑑が押されている。また、合計請求書及び納品書には、品番、品名の欄に「CC−62021 LOVEアーススマイルPO」の記載があり、平成28年(2016年)10月1日及び同月5日に本件使用商品が販売されたことが分かる。
よって、これらの証拠により、トランス・ファー社からファッションリンク社に対し、平成28年(2016年)10月1日及び同月5日に本件使用商品が販売されたことは明らかであり、本件要証期間における本件商標の使用の事実は十分に立証されている。
オーダーシート(乙5)の配布方法に関し、トランス・ファー社が開催する展示会に来た顧客に紙で渡す方法と、郵送で渡す方法がある。
購入商品を記載したオーダーシートをトランス・ファー社に提出した時点で注文がなされたことになり、また、展示会後のオーダーは、FAX、郵送、電子メール等で連絡する場合が多く、ファッションリンク社への納品(乙8の2)は、電子メールによるオーダー(乙7)に基づくものである。
なお、乙5のオーダーシート掲載の平成28年秋冬物の商品は、平成28年8月、9月に開催された展示会にも出展されており、かかる展示会への商品の出展及び顧客へのオーダーシートの配布は、商標法第2条第3項第2号又は第8号の使用行為に該当する。
令和元年6月21日発送の審尋に対し、被請求人は以下のとおり、使用証拠の追加と主張の拡充をする。
(1)トランス・ファー社からファッションリンク社に対する商品の販売
通常使用権者であるトランス・ファー社は、ファッションリンク社に対し、平成28年10月1日に、品番「CC−62021」のセーター2着を販売したほか、同年10月5日に対象商品を4着販売し、それぞれ宅配便で納品した(乙9の1及び2、10の1及び2)。
また、トランス・ファー社の銀行口座の入金照会結果(乙11)によれば、平成28年11月25日に、ファッションリンク社からトランス・ファー社に対して、支払いがなされたが、同金額は合計請求書(乙12)の今回ご請求額に記載されている金額から振込手数料756円を差し引いた金額と合致する。
平成28年10月1日付けの商品の発注の事実に関し乙7の電子メールを提出しているところ、その宛先であるM氏は、乙8の2及び3の納品書記載のM氏と同一人物であり、電子メールの内容からしても、当該電子メールがトランス・ファー社の従業員であるM氏に宛てられたものであることは明らかであり、M氏はトランス・ファー社のウェブサイトにも掲載されている(乙13)。また、乙7の送信者は、電子メールの件名に「ファッションリンク」との記載があることから分かる。
さらに、乙7の電子メールにおいて発注された商品の内容は、添付ファイルからも明らかである。乙7の電子メールには、オーダーシートが添付ファイルとして添付されており、乙7の2頁目の右上の本件使用商品の項目をみると、LTグレー1着、チャコール1着の注文がなされている。
乙14の電子メールは、平成28年10月5日付けで、ファッションリンク社からトランス・ファー社のM氏に送信されたものであり、電子メールの本文中に「CC−62021(スマイル)/LTグレー 2点」、「CC−62021(スマイル)/31 チャコール 2点」の発送を依頼する記載があり、発注の事実は明らかである。
(2)オーダーシートの配布
オーダーシートの作成日について、オーダーシートのタイトルが「2016 fall & Winter collection」となっていること、乙7の電子メールの添付ファイルとして、本オーダーシートが添付されていることから、本オーダーシートが、2016年秋冬のシーズン前(少なくとも1年以内)に作成されたことは明らかである。
また、本オーダーシートのエクセルファイルの作成日を示すパソコン上の画面の印刷物(乙15の1)をみると、本オーダーシートの作成日が平成28年8月26日であることがわかる。また、写真のファイル情報を示すパソコン上の画面の印刷物(乙15の2及び3)をみると、本件使用商品の写真の撮影日が平成28年8月25日であることがわかる。
展示会に関し、乙16は、平成28年8月ないし9月にトランス・ファー社が開催した展示会の案内状であり、大阪での開催が平成28年8月30日〜9月1日、東京での開催が同年9月6日〜8日及び同月9月13日〜15日であることがわかる。
乙17の1は、平成28年9月1日に大阪で開催された展示会会場の写真であり、乙17の2をみると、乙17の1の撮影日が平成28年9月1日であることがわかる。
(3)輸入インボイス、商標使用料及びブログ記事
乙18のインボイスは、平成28年9月22日に本件使用商品を中国から輸入した際のインボイスであり、トランス・ファー社が品番「CC−62021」の商品を53着輸入した事実がわかる。また、乙19は、被請求人からトランス・ファー社宛ての商標使用料の請求書であり、被請求人からトランス・ファー社に対して本件商標の使用許諾料の請求の事実を証明するものである。
加えて、トランス・ファー社が、平成28年の秋冬のシーズンに本件使用商品を販売していた事実は、「UNIQUE SECOND」の店舗のブログ記事(乙20)からも裏付けられる。
(1)平成28年(2016年)9月1日付けの被請求人とトランス・ファー社の商標使用許諾契約書(乙1)には、該契約書の第1条(定義)の(1)に、許諾商標として、「登録番号:第4805259号」の記載があり、本件商標及びその指定商品が掲載されている。
また、第2条(使用権の許諾)の「1.」には、本契約に従い許諾商標の通常使用権を許諾する旨の記載がある。該契約書の最終頁の「甲」として「大阪市北区梅田2丁目5番25号 ハービスOSAKAオフィスタワー22階」及び「グンゼ株式会社」の記載、「乙」として「株式会社トランス・ファー」及び住所の記載がある。
なお、該契約書の「甲」として記載されている住所は、被請求人の大阪本社の住所と一致する(乙4)。また、本契約は2017年(平成29年)3月31日まで有効であるが、それ以降も別段の意思表示がなければ、3年を限度として、1年間同一条件で更新され、以後も同様である旨記載されている。
また、被請求人は、2016年12月22日付け「許諾商標使用料のご請求」において、トランス・ファー社に対して、許諾商標使用料の請求をし、翌年1月31日に入金された旨の記載がある(乙19)。
(2)トランス・ファー社作成の「Order Sheet CASHYAGE Ladies/2016 fall & Winter collection PART2」(乙5)には、4枚目(3頁)の右の上側に「CC−62021」の表示の下、セーター(本件使用商品)の画像があり、同商品の前面には、「LOVE EARTH」の文字とその下に、円輪郭内の上部に目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ、この2つの黒塗りの縦長楕円形の下に口と思しき両端上がりの弧線を描いた図形からなる商標(以下「本件使用商標」という。)が表示されている。
また、本件使用商品画像の下には、「Price」欄の横はマスキング(黒塗り)され、「Composition」欄の横に「カシミヤ100%」の記載、「color/size」欄の横に「36」、「color/size」欄の下二段に「3 LTグレー」及び「31 チャコール」の記載がある。なお、乙2は、乙5の本件使用商品を抜粋したものである。
そして乙5のオーダーシートのエクセルファイルの作成日を示すパソコン上の画面の印刷物(乙15の1)には、その作成日が平成28年8月26日と表示され、乙5の本件使用商品の写真のファイル情報を示すパソコン上の画面の印刷物(乙15の2及び3)には、本件使用商品の写真の撮影日が平成28年8月25日と表示されている。
(3)乙16は、平成28年8月ないし9月にトランス・ファー社が開催した展示会の案内状であり、大阪での開催が平成28年8月30日〜9月1日、東京での開催が同年9月6日〜8日及び同月13日〜15日と記載され、大阪で開催されたとする展示会会場の写真(乙17の1)の撮影日は、平成28年9月1日の記載がある(乙17の2)。
(4)ファッションリンク社担当者からトランス・ファー社担当者M氏へ送信したとされる電子メール(平成28年9月26日付け)(乙7)には、本文中に「早速、少量ですがオ−ダーを添付で送りますのでご確認をお願いします。全部で3型6枚です。とりあえず各1枚ですが、バイヤーは毎週出てきますので反応がよければフォローが来ますので。入荷後、即出していただいて店頭には10/5頃のスケジュールを予定しています。」の記載があり、乙5の3頁と同じものが添付されているところ、これには、「CC−62021」の「3 LTグレー」及び「31 チャコール」について、いずれも「1」の記載がある。
また、2016年10月5日10:36のファッションリンク社からM氏あての追加を件名とする電子メールの写し(乙14)には、追加要望として、CC−62021(スマイル)/3 LTグレー2点、CC−62021(スマイル)/31 チャコール2点の記載がある。
(5)2016年(平成28年)10月1日付けのトランス・ファー社からファッションリンク社に対する本件使用商品の納品書(乙8の2)には、「No.CO1497」、「CC−62021」及び「LOVEアーススマイルPO」の記載、その「数量」に「2」及び単位に「PS」の記載があり、同月5日付けの納品書(乙8の3)には、「CO1522」、「CC−62021」及び「LOVEアーススマイルPO」の記載、その「数量」に「4」及び単位に「PS」、手書きで「グレー ×2」の記載がある。
(6)トランス・ファー社からファッションリンク社に対する2016年(平成28年)10月31日締切分の合計請求書(乙12)には、左上に、「ファッションリンク株式会社 様」及び「お客様番号 0111」の記載、右上に「2016年10月31日 締切分」の記載、その下に「株式会社トランス・ファー CASHYAGE事業部」の記載、「伝票日付」の「16/10/01」の「伝票No」の欄に「C01497」、「品番・品名」の欄に「CC−62021」及び「LOVEアーススマイルPO」の記載、その「数量」に「2」及び単位に「PS」の記載、「伝票日付」の「16/10/05」の「伝票No」の欄に「C01522」「品番・品名」の欄に「CC−62021」及び「LOVEアーススマイルPO」の記載、その「数量」に「4」及び単位に「PS」の記載がある(乙8の1及び12)が、それ以外の記載は一部マスキングされている。また、「今回御請求額」の記載がある。
(7)乙11は入金照会表及び照会結果のタイトル、及び右上に「2016年11月28日16:04:20」の記載があり、照会口座として、トランス・ファー社及び「照会期間2016.11.23〜2016.11.28」との記載、取引日として「2016年11月25日」、取引区分として「振込1」、摘要に「ファッションリンク」及び入金金額の記載があり、その金額は、乙12の「今回御請求額」から振込手数料756円を引いた金額と一致している。
(8)トランス・ファー社からファッションリンク社に対する佐川急便発行の送付状(乙9の1、乙10の1)及び判取証明(乙9の2、乙10の2)によれば、トランス・ファー社が2016年(平成28年)10月1日及び同月5日に送付した荷物をファッションリンク社が同年10月5日及び同月8日に受領している。
(9)トランス・ファー社の輸入インボイス(乙18)には、2016/9/22の日付、商品名称「PURE CASHMERE SWEATER」、「CC―62021/PEACE−2B」、「M−L」及び「53」の記載がある。
(10)平成30年(2018年)3月19日付けのトランス・ファー社M氏からグンゼ株式会社経営戦略部知的財産室W氏あての送付状(乙6)には、「送付内容」として「カタログ資料(2016FW collectionsPART2)」及び「1通」、2段目に「2016年10月度 請求書コピー 3件」及び「3通」の記載、3段目に「2016年10月度 納品書コピー 2件」及び「2通」の記載がある。
また、「備考」の欄に「請求書の原本は取引先に捺印して送っておりますが、弊社の控えは、捺印しておりません。納品伝票には、効率化を図るため、品番、数量管理のみでサイズ、色の明記はありません。」及び「POとは、プルオーバーセーターというアイテム名称の略語になっております。」の記載がある。
(11)2016年(平成28年)10月28日の表示がある「UNIQUE SECOND BLOG」のブログ(乙20)には、「カシヤージュ新作入荷しました」の表題の下、「スマイルニット(CC−61021)及び価格の記載とともに本件使用商品の写真が掲載されている。
(12)小括
以上によれば、被請求人は、トランス・ファー社に対して、本件商標について、2016年(平成28年)9月1日から2017年(平成29年)の3月31日まで有効とし、それ以降も別段の意思表示がなければ同一条件で更新される「通常使用権」の許諾契約を締結した。
そして、トランス・ファー社は、2016年(平成28年)8月末から9月中旬に大阪及び東京で展示会を開催し、その開催前に、品番を「CC−62021」とするセーター(本件使用商品)が掲載されているオーダーシート(乙5)を作成したことが認められる。
また、トランス・ファー社は、2016年(平成28年)9月22日に、商品「PURE CASHMERE SWEATER」とする品番「CC―62021/PEACE−2B」を53点輸入し同社は、同年9月26日付け及び10月5日付けのファッションリンク社からの注文に対して、品番「CC−62021」の商品を同10月1日に2点、同月5日に4点送付し、ファッションリンク社がこれを前者について10月5日に、後者について10月8日に受け取ったことが認められる。
さらに、同年10月末頃には、「CC−62021」の記載がある本件使用商標が表示されたセーターが第三者のウェブサイトにおいて新商品として紹介されていることが認められる。
(1)本件商標の使用権者について
2016年(平成28年)9月1日に、商標権者である被請求人とトランス・ファー社との間で、本件商標の指定商品について、本件商標の使用を許諾する旨の通常使用権の許諾契約が締結され、当該契約は2017年(平成29年)3月31日まで有効であるが、それ以降も別段の意思表示がなければ同一条件で更新されることから、本件要証期間に含まれる2016年(平成28年)9月1日以降において、トランス・ファー社は、本件商標についての通常使用権者であったと認められる。
(2)本件使用商品について
本件使用商品「セーター」は、本件審判の請求に係る指定商品「被服」に含まれる商品である。
(3)本件使用商標の使用時期について
上記1によれば、通常使用権者であるトランス・ファー社は、本件使用商標を表示した品番を「CC―62021」とする本件使用商品を掲載したオーダーシートを遅くとも展示会の開催前である2016年(平成28年)8月下旬までに作成したことがうかがえ、また、同社は、同年9月22日に商品名「PURE CASHMERE SWEATER」、品番「CC―62021/PEACE−2B」とする商品を輸入し、同年10月1日及び10月5日にファッションリンク社へ品番「CC―62021」の商品をそれぞれ2着及び4着納品(譲渡)したことが認められるところ、上記オーダーシート、輸入に係る商品及びファッションリンク社に納品(譲渡)された商品の品番「CC―62021」が共通していることからすれば、これらは、同一商品ということができるものであり、本件要証期間である平成28年10月1日及び同月5日に、通常使用権者であるトランス・ファー社は、ファッションリンク社に対して本件使用商品をそれぞれ2点及び4点を納品(譲渡)したことが認められる。
(4)本件商標と本件使用商標との社会通念上の同一性について
本件商標は、別掲のとおり、「LOVE EARTH」の欧文字の下に、円図形内の上部に、目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ、この2つの黒塗りの縦長楕円形の下に口と思しき両端上がりの弧線を描いた図形を配した構成からなるものである。
他方、本件使用商標は、「LOVE EARTH」の欧文字の下に上記図形に黄色を配したものであり、本件商標と本件使用商標とは、構成要素(欧文字、図形部分の円輪郭・黒塗りの縦長楕円及び弧線)を共通にし、また、これらの構成全体として、人の顔を簡潔に描いてなる点において、外観における印象を共通にすることから、色彩に多少の差異を有するとしても、これらは、ほぼ同視される図形からなるものである。
よって、本件商標と本件使用商標は、社会通念上同一である。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば、本件商標の通常使用権者は、本件要証期間である2016年(平成28年)10月1日及び同月5日に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品「被服」に含まれる商品「セーター」に、本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を付した「セーター」を販売(譲渡)したことが認められ、この行為は、商標法第2条第3項第2号に該当する。
請求人は、被請求人が提出する商標権使用許諾契約書、商標のデザインが付されたセーターの写真の写し、納品書について、これらは本件取消審判の「使用証拠」とは認められず、本件取消審判の使用証拠を捏造する為に作成したものにしか思えない旨主張するが、これらが捏造されたとする証左はなく、被請求人の使用の事実については、上記認定のとおりであり、請求人の主張は採用できない。
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が、その請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条1項の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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