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Trademark Appeal Case

著名シリーズ商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2020−900207(T2020−900207/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6257074号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第6257074号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、令和元年7月26日に登録出願、第9類「コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),人工知能搭載のヒューマノイドロボット,スマートホン用アプリケーションソフトウエア,防犯用監視ロボット,センサー(測定機器)(医療用のものを除く。),教育支援用ロボット(産業用・医療用・遊戯用のものを除く。),ナビゲーション装置,携帯電話機,顔認識用コンピュータソフトウェア,カメラ(写真用のもの)」及び第28類「ゲーム用具,おもちゃのロボット,おもちゃ,積み木(おもちゃ),盤ゲーム,ゲーム用ボール,ボディビル用具,釣り具,アーチェリー用具」を指定商品として、同2年5月26日に登録査定され、同年6月4日に設定登録されたものである。

第2 引用標章

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、以下に掲げるとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。

1 登録第6149325号(以下「引用商標1」という。)(甲2)

商標の構成:「ALPHAGO」の文字を標準文字で表してなる商標

登録出願日:平成29年12月1日

設定登録日:令和元年6月7日

指定商品及び指定役務:第9類、第16類、第28類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

2 登録第6149324号(以下「引用商標2」という。)(甲14)

商標の構成:「ALPHACHESS」の文字を標準文字で表してなる商標

登録出願日:平成29年12月1日

設定登録日:令和元年6月7日

指定商品及び指定役務:第9類、第16類、第28類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

3 登録第6149326号(以下「引用商標3」という。)(甲15)

商標の構成:「ALPHAGO ZERO」の文字を標準文字で表してなる商標

登録出願日:平成29年12月1日

設定登録日:令和元年6月7日

指定商品及び指定役務:第9類、第16類、第28類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

4 登録第6149327号(以下「引用商標4」という。)(甲16)

商標の構成:「ALPHASHOGI」の文字を標準文字で表してなる商標

登録出願日:平成30年6月8日(優先日:2017年(平成29年)12月8日)

設定登録日:令和元年6月7日

指定商品及び指定役務:第9類、第16類、第28類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

5 登録第6188850号(以下「引用商標5」という。)(甲17)

商標の構成:「ALPHAFOLD」の文字を標準文字で表してなる商標

登録出願日:平成30年5月23日(優先日:2018年(平成30年)5月15日)

設定登録日:令和元年10月11日

指定商品及び指定役務:第5類、第9類、第10類、第16類、第35類、第41類、第42類及び第44類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

6 登録第6278046号(以下「引用商標6」という。)(甲18)

商標の構成:「ALPHAZERO」の文字を標準文字で表してなる商標

登録出願日:平成30年6月13日

設定登録日:令和2年8月7日

指定商品及び指定役務:第9類、第16類、第28類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

以下、引用商標1ないし引用商標6をまとめて、「引用商標」という場合がある。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第18号証(枝番を含む。)を提出した。

1 申立人及び申立人保有の商標「ALPHAGO」の著名性について

申立人であるディープマインドテクノロジーズリミテッドは、英国の人工知能(AI)開発を手掛けるベンチャー企業であり、2014年に米国企業グーグル インコーポレイテッド(その後、グーグル エルエルシーとなる、以下「グーグル社」という。)に買収され、その存在が世界的に広く知られることとなった。

グーグル社は、ビックデータ解析において、人工知能(AI)の重要性が注目されるなか、人工知能(AI)の一種である「ディープラーニング(深層学習)」の潜在的な将来性にいち早く注目し、「ディープラーニング(深層学習)」を専門に開発する申立人をグーグル社の傘下にし、人間が行う推論・学習・連想を可能とする人工知能(AI)の応用を見込んだとみられている(甲3)。

申立人が開発したコンピュータソフトウェアの中、世界的にも著名なソフトウェアが人工知能(AI)による囲碁のコンピュータソフトウェアである「ALPHAGO」である。

「ALPHAGO」は、2015年10月に人間のプロ囲碁棋士をハンディキャップなしで破った世界初のコンピュータ囲碁ソフトウェアとして、日本のみならず、世界的に著名であり、インターネット用語集等でも紹介されている(甲4)。

囲碁は、戦略的な思考が不可欠なボードゲームであり、チェス等他のボードゲームと異なり、その複雑さから、コンピュータが人間に勝利するのが困難なゲームであると考えられていた。

実際に、「ALPHAGO」が登場する以前は、コンピュータ用の囲碁ソフトウェアは、アマチュアの有段レベルに到達するのがやっとであった。

しかし、申立人の開発した「ALPHAGO」は、従来の人工知能(AI)と異なり、ニューラルネットワークを応用した「ディープラーニング(深層学習)」という技術を用いているのが特徴である。

「ディープラーニング(深層学習)」では、評価経験則が人間によってハードコードされていないため、代わりにソフトウェア自ら、自分自身との囲碁の対局を数千万回繰り返すことにより学ぶことを可能とし、この点において、囲碁ソフトウェアの革新的な発展に貢献している。

「ALPHAGO」に用いられている「ディープラーニング(深層学習)」の技術は、大量のデータに潜む特徴をコンピュータが自らの力で見つけ出すことを可能にするとともに、人間のプロの囲碁棋士を相手に勝利することにより、人間の脳をまねで情報処理を繰り返すことで、いつしか「ALPHAGO」に用いられたコンピュータが人間を超える知能を持つことができることを証明したのである。

申立人の開発した「ディープラーニング(深層学習)」の技術は、ロボットや病気を診断する人工知能(AI)への応用が期待されているものである(甲5)。

また、2015年10月に人工知能(AI)による囲碁のコンピュータソフトウェアが、人間のプロ囲碁棋士を破ったというニュースは日本国内で大きく取り上げられ、様々な記事等で報道された結果、申立人及び申立人の開発した人工知能(AI)による囲碁のコンピュータソフトウェア「ALPHAGO」は、日本国内において広く知られるものとなっている(甲6〜甲13)。

そうすると、申立人及び申立人の開発した人工知能(AI)による囲碁のコンピュータソフトウェア「ALPHAGO」が、本件商標の登録出願日である令和元年7月26日より以前から、我が国において、人工知能やコンピュータソフトウェアを取り扱うIT関連の事業分野における需要者・取引者をして広く知られるに至っていた事実は疑いようがなく、その状態が本件商標の登録査定時においても継続していたことは、客観的に明らかである。

2 商標法第4条第1項第15号について

商標法第4条第1項第15号は、「他人の業務にかかる商品または役務と混同を生ずるおそれがある商標」は、商標登録を受けることができない旨を規定している。

申立人は、「ALPHAGO」(引用商標1)のほか、「ALPHA」から始まる複数の登録商標(引用商標2〜引用商標6)を保有している。

加えて、「ALPHAGO」の日本における著名性を考慮すると、引用商標と同様に「ALPHA」から始まる本件商標が、引用商標に係る指定商品・指定役務と同一または類似の商品・役務に使用された場合、本件商標から、引用商標を容易に想起・認識し、申立人又は申立人に関連する者の業務に係る商品・役務であるかのように、その出所について混同して認識するおそれは高いというべきである。

よって、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(1)本件商標と引用商標との類似性の程度について

申立人は、引用商標を保有しており、引用商標は、いずれも、「ALPHA」から始まる商標であり、その構成中に、「GO」、「CHESS」、「GO ZERO」、「SHOGI」、「FOLD」など他の語を含んでいる。

しかしながら、「ALPHAGO」(引用商標1)は、人工知能やコンピュータソフトウェアを取り扱うIT関連の事業分野における需要者・取引者をして広く知られるに至っている商標であり、その著名性を考慮すれば、「ALPHAGO」(引用商標1)から、「申立人が開発した人工知能(AI)による囲碁のコンピュータソフトウェア」の観念が生じることと考えるのが必然である。

加えて、申立人の保有する引用商標2ないし引用商標6は、「ALPHAGO」(引用商標1)と出所を同じくするだけでなく、「ALPHA」から始まる商標の構成から、「申立人が開発した人工知能(AI)による囲碁のコンピュータソフトウェアに関連する商品」との観念を生ずる場合があり、少なくとも「申立人が開発した人工知能(AI)による囲碁のコンピュータソフトウェア」を想起・連想するのは明らかである。

してみれば、申立人の保有する引用商標と同じく、「ALPHA」から始まる本件商標についても、「ALPHA」から始まるという特徴的な構成と「ALPHAGO」(引用商標1)の著名性を合わせて考慮すると、本件商標が引用商標に係る指定商品・指定役務と同一または類似の商品・役務に使用された場合に、「申立人が開発した人工知能(AI)による囲碁のコンピュータソフトウェア」を想起・連想するのは必然であり、「申立人が開発した人工知能(AI)による囲碁のコンピュータソフトウェアに関連する商品」との観念が生ずる。

つまり、本件商標は、引用商標と観念上類似するから、本件商標と引用商標との類似性は高い。

(2)本件商標の指定商品と引用商標に係る指定商品等との関連性並びに商品の取引者・需要者の共通性

本件商標の指定商品と引用商標の指定商品・指定役務の関連性は極めて高いとともに、本件商標に係る指定商品と引用商標に係る一部の指定商品・指定役務の需要者・取引者は共通する。

(3)出所混同のおそれ

申立人保有の「ALPHAGO」(引用商標1)の著名性は、上記のとおりである。

加えて、「ALPHA」から始まるという特徴的な構成と「ALPHAGO」(引用商標1)の著名性を合わせて考慮すると、引用商標2ないし引用商標6は「申立人が開発した人工知能(AI)による囲碁のコンピュータソフトウェアに関連する商品」との観念が生ずる。

また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品・指定役務の一部は同一または類似であり、本件商標の指定商品の取引者層・需要者層と申立人の業務に係る商品・役務の取引者層・需要者層は共通しているから、本件商標の指定商品・指定役務の取引者・需要者が、引用商標及び申立人がその商標を付して提供している商品・役務を知っている可能性は極めて高い。

そして、本件商標は、取引者・需要者において、世界的に著名な引用商標を容易に想起・連想させる類似の商標である。

したがって、本件商標がその指定商品・指定役務について使用された場合、本件商標に接する取引者・需要者は、本件商標と類似する著名な商標である引用商標を容易に想起・認識し、申立人又は申立人に関連する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同して認識するおそれは高いというべきである。

(4)引用商標に化体した信用を害されるおそれ

申立人は自己のブランドイメージを維持し、より一層の発展をさせるため、世界中で展開するあらゆる事業においてその商品の品質、役務の質、ブランド戦略・運営等について厳重な管理を行っている。

すなわち、申立人保有の「ALPHAGO」(引用商標1)は、申立人に係る商品・役務を表示するものとして、日本はもとより世界中で一般の取引者・需要者の間に広く認識されている著名商標であり、申立人の提供する商品・役務に係る絶大な信用が化体した重要な財産である。

加えて、引用商標2ないし引用商標6についても、「申立人が開発した人工知能(AI)による囲碁のコンピュータソフトウェアに関連する商品」との観念が生じることから、申立人の提供する商品・役務に係る信用が化体していることは疑いがない。

したがって、万が一、本件商標の登録が維持されると、申立人と何ら関係のない者により、申立人の意図とは無関係に、申立人が現にその商標を付して使用している商品及び提供している役務とその取引者層・需要者層を同一にする商品について、引用商標と類似する商標、すなわち本件商標が自由に使用されてしまうことになる。

その結果として、劣悪な品質の商品が引用商標と類似する商標によって提供されるという事態が生じ得ることも否定できない。

このような事態が生じた場合、申立人が永年にわたり多大な努力を費やして培ってきた申立人及び申立人の開発した商品やそれに関連する役務のブランドイメージが著しく毀損され、申立人が多大な損害を被ることは明白である。

(5)小括

上述の事情および引用商標の著名性を総合的に勘案すれば、需要者・取引者に対し、引用商標が与える印象は非常に強い。

よって、そのために生じる連想作用等により、本件商標が、申立人の業務に係る商品であると誤認し、その商品の需要者・取引者が商品の出所について混同するおそれがあるのみならず、申立人又は申立人と経済的・組織的に関連するものにより提供される商品であるかのような誤認を生じさせ、結果として商品の出所に混同を生じさせるおそれがあることは明白である。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に規定される「混同を生ずるおそれがある商標」であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は認められないものである。

第4 当審の判断

1 引用商標の周知性について

(1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。

ア 申立人は、2011年(平成23年)に、英国にて設立された人工知能(AI)開発を手掛けるベンチャー企業であり、2014年(平成26年)に米国企業グーグルインコーポレイテッドに買収された(甲3)。

イ 我が国のウェブサイト(日本語)において、「AlphaGo」は、申立人の業務にかかる人工知能(AI)による囲碁のコンピュータプログラムである旨の解説記事が掲載されている(甲4)。

なお、「AlphaGo」は、日本語で「アルファ碁と表記される旨の記載があり、2016年3月に発行された新聞記事や雑誌等(甲6)の多くには、申立人の業務に係る囲碁ソフトウェアは、「アルファ碁」と記載されている。

ウ 申立人の業務にかかる人工知能(AI)による囲碁ソフトウェア「アルファ碁」及び「アルファ碁ゼロ」が、多数の新聞記事やインターネット記事等で取り上げられている(甲7〜甲13)。

(2)上記(1)によれば、申立人は、人工知能(AI)の技術開発を行っており、その技術を用いた囲碁ソフトウェア(コンピュータプログラム)が2016年(平成28年)から2018年(平成30年)に存在し、当該ソフトウェアは、「アルファ碁」又は「アルファ碁ゼロ」と称され、多数の新聞で取り上げられていることは認められている。

しかしながら、新聞記事等において引用商標1の「ALPHAGO」や引用商標3の「ALFAGO ZERO」が使用されている例は稀で、一般的には「アルファ碁」の標章が使用されており、また、引用商標1及び引用商標3を含むその他の引用商標が、新聞記事等で取り上げられている事実は提出された証拠からは確認できない。

また、掲載された記事は、同時期に集中的に掲載されており、引用商標に関する記事が継続的に掲載されていたことは確認できない。

さらに、提出された証拠において、申立人にかかる人工知能(AI)技術を活用したソフトウェア等の商品又はサービスが、需要者に実際に販売又は提供されていたのかは不明であり、それらの広告宣伝の実績(広告された期間・地域及び規模、広告費など)や販売地域、販売実績も客観的に明らかではなく、職権により調査するも、これらについて把握することができない。

その他、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の提供する商品又はサービスを表示するものとして、我が国の需要者の間において広く認識されていたことを示す具体的な証拠はない。

以上のとおり、申立人による主張及び申立人が提出した全証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標1が、申立人の業務に係る商品又はサービスを表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。

2 本件商標と引用商標との類否について

(1)本件商標について

本件商標は、別掲のとおり、デザイン化された書体にて、「AlphaMini」の欧文字を横書きにしてなるものであるところ、本件商標の構成文字は、同じ大きさ、同じ書体で、空白なく、等間隔にまとまりよく表されており、視覚上一体的に看取されるものであるから、本件商標は、構成文字全体を一連一体のものとして把握、認識されるとみるのが自然である。

そして、本件商標の構成文字に相応して生じる「アルファミニ」の称呼は、格別冗長というべきものでなく、無理なく一連に称呼し得るものである。

また、本件商標は、第1文字目の「A」と、第6文字目の「M」を大文字とし、他の文字を小文字で表記してなるものであるが、「Alpha」又は「Mini」のいずれかの文字が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではなく、構成文字全体をもって、認識、把握されるとみるのが相当であり、本件商標は、辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから、特定の意味合いを想起させるものではなく、一種の造語として理解されるものである。

したがって、本件商標は、「アルファミニ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。

(2)引用商標1

引用商標1は、「ALPHAGO」の文字を標準文字で表してなるところ、「ALPHAGO」の文字は、3件のウェブサイト(日本語)において、「AlphaGo」を表題とする、申立人の業務にかかる人工知能(AI)による囲碁のコンピュータプログラムについての解説記事が掲載されたものの(甲4)、我が国においては「アルファ碁」と表記されることが多く(甲4の1)、上記1のとおり、「ALPHAGO」の文字が、取引者、需要者に特定の者の取り扱いに係る商品又はサービスを表示するものとして、広く知られている等の特別な事情はなく、これが、特定の意味合いを生じるものと判断しなければならない特段の事情はない。

そうすると、引用商標1は、構成文字に相応して、「アルファゴ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないというのが相当である。

(3)引用商標2

引用商標2は、「ALPHACHESS」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから、特定の意味合いを想起させるものではなく、一種の造語として理解されるものである。

そうすると、引用商標2は、構成文字に相応して、「アルファチェス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないというのが相当である。

(4)引用商標3

引用商標3は、「ALPHAGO ZERO」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、前半の「ALPHAGO」の文字は、上記1のとおり、取引者、需要者に特定の者の取り扱いに係る商品又はサービスを表示するものとして、広く知られている等の特別な事情はなく、また、これが、特定の意味合いを生じるものと判断しなければならない特段の事情はない。

そして、引用商標3は、辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから、特定の意味合いを想起させるものではなく、一種の造語として理解されるものである。

そうすると、引用商標3は、構成文字に相応して、「アルファゴゼロ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないというのが相当である。

(5)引用商標4

引用商標4は、「ALPHASHOGI」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから、特定の意味合いを想起させるものではなく、一種の造語として理解されるものである。

そうすると、引用商標4は、構成文字に相応して、「アルファショギ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないというのが相当である。

(6)引用商標5

引用商標5は、「ALPHAFOLD」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから、特定の意味合いを想起させるものではなく、一種の造語として理解されるものである。

そうすると、引用商標5は、構成文字に相応して、「アルファフォルド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないというのが相当である。

(7)引用商標6

引用商標6は、「ALPHAZERO」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから、特定の意味合いを想起させるものではなく、一種の造語として理解されるものである。

そうすると、引用商標6は、構成文字に相応して、「アルファゼロ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないというのが相当である。

(8)本件商標と引用商標との類否について

本件商標と引用商標とを比較すると、これらは、構成文字数が明らかに相違することから、両商標の外観は、明確に区別し得るものであって、相紛れるおそれのないものである。

次に、称呼においては、本件商標から生じる「アルファミニ」の称呼と、引用商標1から生じる「アルファゴ」、引用商標2から生じる「アルファチェス」、引用商標3から生じる「アルファゴゼロ」、引用商標4から生じる「アルファショギ」、引用商標5から生じる「アルファフォルド」及び引用商標6から生じる「アルファゼロ」の各称呼とをそれぞれ比較すると、両称呼は、構成音数が相違し、かつ、第4音目以降の音に顕著な差異を有することから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が異なり、相紛れるおそれのないものである。

また、観念においては、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較できないものである。

そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、これらが需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両者は、非類似の商標というのが相当である。

(9)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について

引用商標の指定商品は、本件商標の指定商品と、同一又は類似する商品を含むものである。

(10)小括

以上によれば、本件商標の指定商品が、引用商標の指定商品と同一又は類似するとしても、本件商標と引用商標は非類似の商標である。

3 商標法第4条第1項第15号該当性について

上記2のとおり、本件商標の指定商品が、引用商標の使用商品と同一又は類似するとしても、本件商標と引用商標は非類似の商標である。

そして、上記1のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品又はサービスを表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたということはできないものである。

そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、需要者において、申立人や引用商標を連想、想起するということはできず、よって、その商品が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標とはいえない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

4 まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するという事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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