Trademark Appeal Case
総合栄養食の識別性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2019−12178(T2019−12178/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標について
本願商標は,「総合栄養食」の文字を標準文字で表してなり,第31類「ペットフード」を指定商品として,平成30年5月2日に登録出願,その後,本願の指定商品については,当審における令和2年7月27日受付の手続補正書をもって,第31類「犬用及び猫用ペットフード(加工品に限る。)」と補正されたものである。
2 原査定における拒絶の理由(要点)
原査定は,「本願商標は,『総合栄養食』の文字を標準文字で表してなるものであるところ,当該文字は,ペットフードの分野において,『ペットが必要とする栄養基準を満たし,毎日の主要な食事として与えるためのペットフード』程の意味合いとして使用されている語であるから,本願商標をその指定商品に使用したときは,上記商品であることを表したものとして理解させるにとどまり,自他商品の識別標識としては,機能しないものといえる。してみれば,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるというのが相当である。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
3 当審における審尋
当審において,請求人に対し,令和2年5月11日付けで,別掲のとおりの事実を示したうえで,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,その商品が「飼育に必要な栄養素をバランスよく(全て)配合したペットフード」であること,要するに,商品の品質,用途を普通に用いられた方法で表示したものと認識するにとどまることから,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する旨の見解を示し,期間を指定して,これに対する回答を求めた。
4 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は,上記3の審尋に対し,令和2年7月27日受付の回答書において,補正後の指定商品である「犬用及び猫用ペットフード(加工品に限る。)」との関係において,「総合栄養食」の文字は,「特定の品質を有するペットフード」についてのみ表示することが許された「独占性のある用語」であるなど本願商標は,自他商品の識別機能を有する旨,述べている。
5 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は,上記1のとおり,「総合栄養食」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中の「総合」の文字は「個々別々のものを一つに合わせまとめること。」を,「栄養食」の文字は「もっぱら栄養価に主眼を置いた食品または食事。」(いずれも株式会社岩波書店 広辞苑第7版)等を,それぞれ意味する文字であることから,構成文字全体として,「一つに合わせまとまった栄養価のある食品」程の意味合いを容易に理解させるものである。
そして,「総合栄養食」の文字は,本願の指定商品である「犬用及び猫用ペットフード(加工品に限る。)」を,製造・販売する事業者をはじめ当該ペットフードを紹介する新聞及び書籍において,「必要な栄養素が全て配合されたペットフード」又は「栄養素がバランスよく配合されたペットフード」程の意味合いをもって,商品の品質,用途(目的)を表す語として使用されている事実(別掲 1(2),1(3),2(1),3(2)〜(4))が認められるほか,「ペットフードの表示に関する公正競争規約施行規則」(別掲 3(1))においても,ペットフードの目的(用途)を表す語の一つとして掲載されている。
また,対象となるペットは異なるものの犬や猫以外のペットフードを製造・販売する事業者や当該ぺットフードを紹介する新聞及び書籍においても,上記と同様の意味合いをもって,商品の品質,用途(目的)を表す語として,使用されている事実が認められる(別掲 1(1),2(2))。
これらの事実を踏まえると,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,その商品が「飼育に必要な栄養素をバランスよく(全て)配合した犬用及び猫用ペットフード」であること,すなわち,商品の品質,用途(目的)を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにとどまり,自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきである。
してみれば,本願商標は,その商品の品質,用途(目的)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は,「総合栄養食」の文字は,「特定の品質を有するペットフード」についてのみ表示することが許された「独占性のある用語」であること,自己の協会員に対し「総合栄養食」の表示を義務付けていること,本願を団体商標に変更するために検討する用意があること,などを主張している。
しかしながら,「総合栄養食」の文字は,上記(1)のとおり,商品の品質,用途(目的)を表す文字として一般に広く使用されている文字であるうえに,請求人が主張するように特定の「品質」を有するペットフードに表示する文字でもあることからすれば,いずれにしても,当該文字は商品の品質等を表示し自他商品を識別する機能を果たし得ないことに何ら変わりはなく,このような文字は誰もがその使用を欲するものであるから特定の者に独占させることは適当ではないというべきである。そうすると,請求人がその協会員に「総合栄養食」の表示を義務付けているとしても,そのことをもって「総合栄養食」の文字が自他商品を識別する機能を果たし得ることにはならないといわなければならない。また,本願を団体商標に出願変更したとしても,その審査において自他商品識別力の有無について判断すべきところ,出願変更により「総合栄養食」の文字が直ちに自他商品を識別する機能を果たし得るとみるべき事情は見いだせない。
したがって,請求人のいずれの主張も採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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