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Trademark Appeal Case

要部抽出と称呼の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−16373(T2019−16373/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第21類「鍋類,土鍋,一人用調理鍋,食器類,皿,漆器製の皿,ガラス製の皿,木製の皿,陶器製の皿,磁器製の皿,金属製の皿,紙製の皿,プラスチック製の皿,重箱,弁当箱,椀,茶碗,丼,蓋付きの丼,ラーメン用の丼,急須,湯呑,土瓶,鉢,小鉢,飲料用食器,酒器,徳利,さかずき,カップ,グラス,タンブラー,米びつ」を指定商品として、平成30年3月22日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5241451号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成19年5月31日に登録出願、第35類「ガス湯沸かし器・なべ類・コーヒー沸かし(電気式のものを除く。)・鉄瓶・やかんの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食器類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,アイスボックス・氷冷蔵庫・携帯用アイスボックス・米びつ・食品保存用ガラス瓶・水筒・魔法瓶の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同21年6月26日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断

(1)本願商標

ア 本願商標は、黒色の横長長方形内に、毛筆体のデザインで、赤色で「旬」の文字を書し(以下「漢字部分」という。)、漢字部分の右側に、白抜きの「JAPAN」とその下段に「SHuN」の欧文字を2段書きした(以下「欧文字部分」という。)構成からなるものである。

イ 本願商標の構成中、黒色の横長長方形は、極めて簡単かつありふれた図形であって、背景図形の一種と認識される態様であることから、格別に看者の注意をひくものではなく、独立して自他商品の識別機能を有するものとはいえない。

また、本願商標の構成中、漢字部分と欧文字部分とは、重なることなく間隔を空けて配置されており、さらに色彩も異なることから、視覚上、分離して把握されること、及び両者を不可分一体のものとして把握しなければならない特段の事情は見いだせないことから、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものとはいえない。

そうすると、本願商標は、その構成中、漢字部分と欧文字部分が、それぞれ独立して自他商品の識別機能を果たし得るものといえる。

してみると、本願商標は、その構成中、「旬」の漢字部分を要部として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。

したがって、本願商標は、その要部の一である「旬」の漢字部分に相応して、「シュン」の称呼及び「旬」の観念が生じる。

(2)引用商標

ア 引用商標は、同じ大きさで異なる色の4マスを上下左右2マスずつ配してなる四角図形(以下「4マス図形」という。)内の中心部に、「旬」の文字を黒い影付きの白抜きで顕著に大きく太く表し、4マス図形の上部に、それと同じ幅で極めて細長の黒色の四角図形(以下「上部細長四角図形」という。)内に「市場365」の文字を小さく細く白抜きして表し、そして、下部に、上部細長四角図形と同大の赤色の四角図形(以下「下部細長四角図形」という。)内に「SYUN RAKU ZEN」の欧文字を小さく細く白抜きして表した構成からなるものである。

イ 引用商標の構成中、4マス図形、上部細長四角図形及び下部細長四角図形は、複数の色を用いているものの、極めて簡単かつありふれた図形又はその組合せであって、背景図形の一種と認識される態様であることから、格別に看者の注意をひくものではなく、独立して自他商品の識別機能を有するものとはいえない。

本願商標の構成中、上部細長四角図形内の「市場365」の文字、中央部の「旬」の文字、及び下部細長四角図形内の「SYUN RAKU ZEN」の文字は、重なることなく間隔を空けて配置されており、また、文字の大きさ、文字の間隔の幅、及びデザインが異なることから、視覚上、分離して把握される。

また、各文字部分を不可分一体のものとして把握しなければならない特段の事情は見いだせない。

そうすると、引用商標は、その構成中、各文字部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認めることはできない。

そして、その構成中の「旬」の文字は、大きく太く顕著に表されていることとも相まって、取引者、需要者に対し、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができる。

してみると、引用商標は、その構成中「旬」の文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して、商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。

ウ 以上からすれば、引用商標の要部の一である「旬」の文字よりは、本願商標の要部における場合と同様に、「シュン」の称呼及び「旬」の観念が生じる。

(3)本願商標と引用商標との類否について

ア 外観

本願商標の要部である「旬」の文字と引用商標の要部である「旬」の文字とは、同一の漢字である。また、両者とも、ややデザイン化してなるものの、容易に当該文字を表したものと看取される態様であるし、そもそも、文字にデザイン化して表すことは一般に行われていることからすると、本願商標の態様は、商取引において一般に用いられる程度のデザインにとどまるものであって、格別顕著に図案化されたものということはできない。

そうすると、本願商標の要部と引用商標の要部とは、デザインの相違があるとしても、それらの相違が需要者に強い印象を与え、その記憶に深く残るものではない。

イ 称呼

両商標は、「シュン」の称呼を共通にする。

ウ 観念

両商標は、共に「旬」の観念を生じる。

エ 以上からすると、引用商標の要部と本願商標の要部とは、外観においては、同一の漢字を表したものであって、両者がややデザイン化されているとしても、文字にデザイン化して表すことは一般に行われていることであって、格別顕著に図案化されたものということはできないことを勘案すると、両者の外観上の相違は、需要者に強い印象を与え、その記憶に深く残るものではない。そして、両者は称呼及び観念を共通にするものであるから、両商標について、上記の外観、称呼、観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察してみれば、本願商標と引用商標とを同一又は類似する商品又は役務に使用したときは、取引者、需要者をして、商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがある類似の商標というのが相当である。

オ したがって、本願商標は、引用商標と類似する商標といえる。

(4)本願の指定商品と引用商標の指定役務との類否について

本願の指定商品中、「鍋類,土鍋,一人用調理鍋」は、引用商標の指定役務中、「ガス湯沸かし器・なべ類・コーヒー沸かし(電気式のものを除く。)・鉄瓶・やかんの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る取扱商品である「なべ類」に含まれるものである。

また、本願の指定商品中、「食器類,皿,漆器製の皿,ガラス製の皿,木製の皿,陶器製の皿,磁器製の皿,金属製の皿,紙製の皿,プラスチック製の皿,重箱,弁当箱,椀,茶碗,丼,蓋付きの丼,ラーメン用の丼,急須,湯呑,土瓶,鉢,小鉢,飲料用食器,酒器,徳利,さかずき,カップ,グラス,タンブラー」は、引用商標の指定役務中、「食器類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る取扱商品である「食器類」に含まれるものである。

さらに、本願の指定商品中、「米びつ」は、引用商標の指定役務中、「アイスボックス・氷冷蔵庫・携帯用アイスボックス・米びつ・食品保存用ガラス瓶・水筒・魔法瓶の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る取扱商品である「米びつ」と同一である。

そして、商品の販売と、その商品を取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(以下「小売等役務」という。)とが同一の者によって行われることは、商取引上、しばしば見受けられるものであり、そのような場合、該商品の販売場所や需要者の範囲が、該役務の提供場所や需要者の範囲と一致することも、少なからずあるとみるのが相当であるから、本願の指定商品及び引用商標の上記指定役務は、それらに同一又は類似する商標が使用された場合、その出所について混同を生ずるおそれのある、互いに類似するものというべきである。

(5)小括

以上からすれば、本願商標は、引用商標とは類似の商標であり、その指定商品も引用商標の指定役務と類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(6)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標の構成中、漢字部分と欧文字部分の文字列全体とを比較した場合、その大きさは同等どころか欧文字部分の文字列全体の方が大きく、また、いずれの書体もデザイン性をもって特徴的に書かれた毛筆体調である旨、及び、漢字部分と欧文字部分との間は、近接して記載されている旨、さらに、欧文字部分と漢字部分の称呼については、「シュン」との称呼において共通し、欧文字部分が「日本のシュン」、すなわち「旬」を想起させることからすれば、観念上の繋がりが極めて強く認められるから、漢字部分と欧文字部分の結合の程度は非常に強いというべきであり、分離して観察することが取引上不自然であるほど強く結合しているといえる旨主張している。

しかしながら、本願商標の構成中、漢字部分と欧文字部分とは、著しく離れているとはいえないものの、上記(1)のとおり、重なることなく間隔を空けて配置されており、また、色影も異なることから、視覚上、分離して把握されるものである。また、たとえ、欧文字部分から「日本のシュン」なる観念が生じ、欧文字部分が漢字部分の称呼と同一の称呼を含むとしても、それらのみをもって、称呼を共通にするということはできないし、また、欧文字部分と漢字部分において、観念上のつながりが認められる事情は何ら見当たらないから、漢字部分と欧文字部分は、これを分離して観察することが取引上不自然であるほど強く結合しているということはできないものである。

そうすると、上記請求人の主張は、上記(1)の判断を左右するものではない。

イ 請求人は、本願商標と引用商標の類否について、その外観については、引用商標を構成する「旬」の文字は、固い印象を与える態様であり、引用商標における「旬」の文字を認識する際、異なる4色の四角形状のマスで構成される背景を認識せざるを得ず、色鮮やかな印象を与えるが、他方、本願商標を構成する漢字部分は、柔らかい印象を与える態様であり、本願商標には、漢字部分に近接して、同じく独特な毛筆体調の欧文字部分が配置されていることから、欧文字部分の有無が需要者に与える印象が極めて大きいことを踏まえると、本願商標と引用商標とは明々白々に異なる商標と認識せざるを得ないから、本願商標と引用商標の外観は類似するとはいえない旨主張する。また、称呼については、引用商標の称呼は、全体観察した場合には、「イチバサンロクゴ」、「シュン」、「シュンラクゼン」及びその組み合わせであるが、要部観察した場合には、「シュン」である。他方、本願商標の称呼は「シュン」、「ジャパンシュン」及びその組み合わせであるから、両者の称呼は、差異が生じる場合があると主張する。そして、観念については、引用商標は、要部観察した場合において、本願商標と同様、「物事を行うに適した時期」の観念を生じさせる場合もあるが、その指定役務が小売等役務であることも相まって、「最も適した時期の品物を取り扱う小売店」などという観念をも生じさせるから、本願商標と引用商標の観念は、差異が生じる場合があるといえる旨主張している。

しかしながら、本願商標と引用商標とは、商標全体の外観、及びそれらから生じる称呼や観念において、相違する場合があったとしても、上記(3)のとおり、本願商標の要部である「旬」の文字と引用商標の要部である「旬」の文字との類否については、外観においては、引用商標の要部と本願商標の要部とは、同一の漢字を表したものであって、両者がややデザイン化されているとしても、文字にデザイン化して表すことは一般に行われていることであって、格別顕著に図案化されたものということはできないことを勘案すると、両者の外観上の相違は、需要者に強い印象を与え、その記憶に深く残るものではない。そして、両者は称呼及び観念を共通にするものであるから、両商標について、上記の外観、称呼、観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察してみれば、本願商標と引用商標とを同一又は類似する商品又は役務に使用したときは、取引者、需要者をして、商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがある類似の商標というのが相当である。

ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。

(7)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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