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Trademark Appeal Case

ラスティックオークの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2019−900313(T2019−900313/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6167543号商標の指定商品中,第19類「オーク材又はオーク材の木目模様を有する木材を用いた建造物組立てセット(金属製のものを除く。),オーク材の木目模様を施した建造物組立てセット(金属製のものを除く。),オーク材の木目模様を印刷した建造物組立てセット(金属製のものを除く。),オーク材,オーク材の木目模様を印刷した化粧シートを張付加工した木材,オーク材の木目模様を印刷した化粧シートを張付加工した木製床材,オーク材の木目模様を施した木材,オーク材の木目模様を印刷した木材,オーク材又はオーク材の木目模様を有する木材を用いた建具(金属製のものを除く。),オーク材の木目模様を印刷した化粧シートを張付加工した建具(金属製のものを除く。),オーク材の木目模様を施した建具(金属製のものを除く。),オーク材の木目模様を印刷した建具(金属製のものを除く。)」及び第20類「全指定商品」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第6167543号商標(以下「本件商標」という。)は,「ラスティックオーク」の片仮名を標準文字により表してなり,平成30年6月4日に登録出願,別掲1の商品を指定商品として,令和元年6月20日登録査定,同年8月2日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標はその指定商品(以下「申立てに係る指定商品」という。)商標法第3条第1項第3号又は同項第6号に該当するものであるから,その登録は,同法第43条の2第1項の規定により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨以下のとおり述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第73号証を提出した。

1 「ラスティック」及び「オーク」の識別力

本件商標中の「オーク」は,「ブナ科コナラ族の高木の総称」を意味するものとして一般に知られていて(甲2),本件商標の指定商品の属する建築材料,建具,家具等を取り扱う分野においては,商品が,「材質がオーク材であること,又は,化粧シート等を用いてオーク材の木目柄を施したものであること」を表示するものとして,一般に使用されている。

一方,前段の「ラスティック」は,「田舎の,質素な,素朴な,粗野な,粗面仕上げの」等の意味を有する英単語「rustic」(甲3)を片仮名表記したもので,国語辞典には,「素朴なさま。飾り気のないさま。また布地や建材などの表面が粗いさま。」を意味するものとして掲載されている(甲4)。

また,配色辞典には,「ラスティック」は,「田舎風」で「地味で渋い」調子の配色を表すものとして,掲載されている(甲5)。

ところで,建築材料,建具,家具等の分野では,本件商標の出願日前から,田舎風で素朴な雰囲気のインテリアスタイルを表すものとして,「ラスティック」の語が使用され,インテリアスタイルの新たなトレンドとして注目されている。このことは,例えば,インテリアや建築材料等に関する多数の記事において,「インテリアスタイルのトレンドとして注目を集めるラスティックスタイル。」(甲6),「近年人気上昇中の『ラスティックインテリア』」(甲7号),「今注目のラスティックスタイル」(甲8),「2018年のインテリアトレンド『ラスティック』」(甲9)等と紹介されていることからも明らかある(甲6〜甲20)。

また,住宅メーカー等の施工例を見ても,「ラスティック調の部屋」(甲21),「ラスティックなフォトスタジオ」(甲22),「ラスティックな雰囲気のファサード」(甲23)等,「ラスティック」なスタイルを取り入れた施工が,実際に需要者に支持されていることがうかがえる(甲21〜甲30)。「ラスティック」なインテリアスタイルでは,綺麗すぎない,粗さも含め素材そのものの味わいを活かしたり,意図的に粗野感や手作り感を表現したりすることが好まれている(甲31〜甲33)。そのため,建築材料等の分野では,「田舎風で素朴な」風合いを表現するために,木材の表面を粗面仕上げにしたり,荒れた古材のようなイメージを表現するためにわざと傷をつけたり,古びたイメージを表現するために,浮造りやチョークドフィニッシュといった加工を施したり,地味で渋い色彩の塗装をしたりした商品や,このような加工で表現する風合いを印刷で再現した化粧シート(甲34)や,このシートを表面に貼着した商品が種々開発,販売されている(甲31〜甲35)。そして,前述のような「田舎風で素朴な風合いを表現したものであること」を表示するものとして,「ラステイック」の語が広く一般に使用されている(甲31〜甲71)。

したがって,「ラステイック」及び「オーク」の語は,何れも,指定商品の品質や内容を表すものとして認識されるものであり,自他商品識別標識として機能しない語であるといえる。

2 「ラスティックオーク」の識別力

本件商標は,その指定商品の属する分野において,自他商品識別力のない「ラスティック」と「オーク」の語を,単に連結させたにすぎない。

そして,「ラスティック」が,上記1のような「田舎風で素朴な風合いを表現したものであること」を表し,「オーク」が「材質がオーク材であること,又は,化粧シート等を用いてオーク材の木目柄を施したものであること」を表すものとして一般に使用されていることからすれば,「ラスティックオーク」を指定商品に使用した場合,需要者は,「材質がオーク材,又は,化粧シート等を用いてオーク材の木目柄を施したものであって,前述のような田舎風で素朴な風合いを表現する加工を施した商品」であると認識し,商品の品質を表したものであると理解するといえるから,ラスティックオーク」全体としても,自他商品識別標識としては機能しない語であるといえる。

3 「ラスティックオーク」の使用例

「ラスティックオーク」は,建築材料,建具,家具等を取り扱う多数の事業者によって,商品のバリエーションのひとつを表すものとして,実際に広く使用されている(甲36〜甲58)。これらの使用例において,「ラスティックオーク」は,「オーク」等の材質や柄を表す語に並列して表示されていることや,トーンやカラーバリエーション,柄のひとつとして表示されていることから,商品の出所表示ではなく,品質表示として使用されていることは明らかである。

なお,本件商標の権利者自身も,他の事業者と同様に,「ラスティックオーク柄」と,商品の柄のひとつとして,「ラスティックオーク」を使用しているにすぎず(甲59),自己の商品の出所識別標識として使用しているわけではない。

また,語順を入れ替えたにすぎない,「オークラスティック」の語も,多数の事業者によって同様に使用されている(甲60〜甲71)。

しかも,このような使用を行っているのは,決して限られた事業者ということはなく,「日経アーキテクチュア」に掲載の「採用したい建材・設備メーカーランキング2018」で,タイルカーペットや複合フローリングの分野で上位の地位を占める建材分野の大手企業(甲72,甲36〜43,甲59〜甲61)をはじめ,様々な事業者によって使用されていることからも,「ラスティックオーク」や「オークラスティック」は,多くの需要者等に品質表示として認識されてきたといえる。

加えて,「ラスティックオーク」をGoogleで検索すると,関連する検索キーワードとして,複数社の社名の略や商標があげられる(甲73)。

このことからも,「ラステイックオーク」が複数の事業者によって,「材質がオーク材,又は,オーク材の木目柄を施したものであって,前述のような田舎風で素朴な風合いを表現する加工を施した商品」等,商品の品質を示すものとして,実際に使用されていることは明らかある。

4 結語

以上のことから,本件商標「ラスティックオーク」は,本件商標の指定商品について,商品の品質を表すものとして認識されるため,商標法第3条第1項第3号に該当する。

万一,「ラスティックオーク」が,商品の特定の品質を具体的に表すとまではいえない場合であっても,上記3のとおり,出願人以外の多数の事業者によって,「ラスティックオーク」が商品のバリエーションや柄の一つとして広く使用されていることからすれば,これに接する需要者が何人かの業務に係る商品であると認識することができないことは明らかであるため,商標法第3条第1項第6号に該当するといえる。

第3 当審における取消理由の要旨

当審において,本件商標権者に対し,「本件商標は,商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を令和2年6月30日付けで通知し,相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

第4 商標権者の意見

上記第3の取消理由に対し,商標権者は,指定した期間を経過しても,何ら意見を述べるところがない。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号該当性について

(1)本件商標を構成する語の意味合いについて

本件商標は,「ラスティックオーク」の文字からなるところ,その構成中の「ラスティック」の文字は,「素朴な。田舎の。飾り気のない。粗仕上げの。布地や建材などの表面が粗いさま」の意味を有し,また,「オーク」の文字は,「オーク材,カシワ,ナラ,カシ類の丈夫な木。その家具材。」(いずれもランダムハウス英和辞典,現代用語の基礎知識2018,コンサイスカタカナ語辞典,デジタル大辞泉参照)の意味を有する語であるから,これらを結語した文字全体からは,容易に「粗仕上げのオーク材」程の意味合いを認識させるものとみるのが相当である。

(2)「ラスティックオーク」の語の使用状況について

申立人の提出に係る証拠によれば,以下のア〜カのとおり,「ラスティックオーク」の語は,本件商標の登録査定時より前から,建築用又は構築用の専用材料,木材,家具等を取り扱う業界において,商品の色彩(柄),材質等を表す語として用いられていることが認められる。

ア 「LIXIL」のウェブページにおいて,「木の風合いとぬくもりを表現し,上質なデザインを追求したアルミ形材フェンス・門扉『フェンスAA』『開き門扉AA』新発売」の見出しの下,「なお,『フェンスAA』『開き門扉AA』のカラーバリエーションは,統一したコーディネートをお楽しみいただけるよう同一カラーを揃えています。近年の住宅トレンドに調和するカラーとして,本物の木の質感を再現した『チェリーウッド』『ラスティックオーク』『オーク』の3色を新たに追加し,定番の人気カラー4色を含む全7色からお選びいただけます。」との記載と共に,当該商品の見本(写真)が掲載されている(甲36)。

イ 「株式会社LIXIL」のウェブページにおいて,「システムキッチン リシェル SI カラーバリエーション」の見出しの下,「グループ1」の項に「ラスティックオーク」の記載と共に,当該商品の見本(写真)が掲載されている(甲38)。

ウ 「Shuko build」のウェブサイトにおいて,「2018.08.21/『大進』グレードUPキャンペーン!無償でワンランク上のフロア材に♪」の見出しのもと,「グレードアップキャンペーン」,「期間限定で標準のルームアートからMYフロア(全13色)へ無償で切り替えできます!」等の記載があるチラシの画像において,「13colors」の項に「ラスティクオーク柄」の記載と共に,当該商品の見本(写真)が掲載されている(甲39)。

エ 「シンコールインテリア株式会社」のウェブページにおいて,住宅用クッションフロアのカタログ「2019−2020 Ponleum cushion floor」に,「ラスティックオーク」の記載と共に,当該商品の見本(写真)が掲載されている(甲41)。

オ 「大和屋株式会社」のウェブページにおいて,「大和屋オークフローリングの商品一覧」の見出しの下,「大和屋オークフローリング ラスティックオーク/流れるような木目,迫力ある節。無垢材の魅力のひとつである“節”を大胆に活かした,ラスティックシリーズの誕生です。」の記載と共に,当該商品の見本(写真)が掲載されている(甲44)。

カ 「壁紙屋本舗」のウェブサイトにおいて,「ウッド・木目調」の見出しのもと,「【サンプル】クッションフロア/ビンテージウッド ラスティックオーク SS−3306」の記載と共に,当該商品の見本(写真)が掲載されている(甲51)。

(3)商標法第3条第1項第3号該当性について

上記(2)アないしカに掲げる商品,商品カタログ又は商品の販売に関するインターネット記事情報は,商品の取り扱い開始日や記事掲載日等を参照すれば登録査定日(令和元年(2019年)6月20日)前に掲載されていたといえるものであるから,本件商標の登録査定時において,「ラスティックオーク」の文字は,商品「建築用又は構築用の専用材料,木材,家具」等を取り扱う業界において,素材感を活かした自然な風合いの色彩(柄)又は材質等を示す語として,普通に使用されているものであるから,本件商標を

申立てに係る指定商品中,別掲2に示す指定商品に使用するときは,これに接する取引者,需要者が,商品の色彩(柄),材質等を表示するもの,すなわち商品の品質を表示したものと理解するにとどまり,自他商品の識別標識として認識し得ないものと判断するのが相当である。

してみれば,本件商標は,その登録査定時において,その申立てに係る指定商品中,別掲2に示す指定商品に使用するときは,その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえる。

したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 商標法第3条第1項第6号該当性について

商標法第3条第1項第6号は,同項各号の総括規定と解されているところ,本件商標は,上記1において述べたように,本件商標の申立てに係る指定指定商品中,別掲2に示す指定商品については,同法第3条第1項第3号に該当するものである。

そうすると,申立てに係る指定商品中に,その商品の品質を具体的に表示するものとして,自他商品の識別標識としての機能を有しないものがあるとしても,同法第3条第1項第6号を適用するまでもないものといえる。

一方,本件商標を別掲2に示す指定商品以外の指定商品に使用した場合には,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないとすべき事情を認めることはできないから,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に該当しない。

3 まとめ

以上のとおり,本件商標の登録は,第19類「オーク材又はオーク材の木目模様を有する木材を用いた建造物組立てセット(金属製のものを除く。),オーク材の木目模様を施した建造物組立てセット(金属製のものを除く。),オーク材の木目模様を印刷した建造物組立てセット(金属製のものを除く。),オーク材,オーク材の木目模様を印刷した化粧シートを張付加工した木材,オーク材の木目模様を印刷した化粧シートを張付加工した木製床材,オーク材の木目模様を施した木材,オーク材の木目模様を印刷した木材,オーク材又はオーク材の木目模様を有する木材を用いた建具(金属製のものを除く。),オーク材の木目模様を印刷した化粧シートを張付加工した建具(金属製のものを除く。),オーク材の木目模様を施した建具(金属製のものを除く。),オーク材の木目模様を印刷した建具(金属製のものを除く。)」及び第20類「全指定商品」については,商標法第3条第1項第3号に該当し,その登録は同条第1項に違反してされたものと認められるから,同法第43条の3第2項の規定により,取り消すべきものである。

しかしながら,本件異議申立てに係るその余の指定商品については,取り消す理由がないから,商標法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。

よって,結論のとおり決定する。

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