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Trademark Appeal Case

結合商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2020−10892(T2020−10892/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,「モイストアップブースターローション」の文字を横書きしてなり,第3類「せっけん類,香料,薫料,化粧品,歯磨き」を指定商品として,平成31年1月23日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は,「本願商標は,『モイストアップブースターローション』の文字を普通に用いられる書体で横書きしてなるところ,うるおいを与える,あるいはうるおいを留める効果を謳った保湿用の化粧品等について『モイストアップ』の文字が一般に用いられており,また,その後に使用する化粧品が肌に浸透しやすくなる効果を謳った商品(導入化粧水,導入美容液等)であることを表すのに『ブースターローション』の文字が一般に用いられている実情が見受けられることから,全体として『うるおいを与える導入化粧水』程の意味合いが想起される。本願商標をその指定商品中『化粧品』に使用するときは,本願商標は,単に商品の品質を普通に用いられる方法で表したものと認められるから,商標法第3条第1項第3号に該当し,上記意味合いに照応する商品以外の化粧品に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから,同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知

当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲1ないし4に示す事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,令和2年10月28日付け証拠調べ通知書によって通知し,期間を指定して,これに対する意見を求めた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見

請求人は,上記3の証拠調べ通知に対して,要旨以下のとおり意見を述べた。

(1)本願商標は,「モイストアップブースターローション」という片仮名文字を,同書同大にまとまりよく書した,特定の観念を生じさせない一体不可分の請求人による造語である。

(2)「モイストアップ」や「ブースター」,「ブースターローション」の使用例は見受けられるものの,本願の指定商品を取り扱う業界において「ローション」の文言自体が「化粧水」の総称として,「ブースターローション」という文言よりも広く一般に用いられるから,本願商標は「モイストアップブースター」という造語と,「ローション」という一般に用いられている単語を組み合わせている造語であると看取・理解される。

(3)Googleホームページで「モイストアップブースターローション」ないし「モイストアップブースター」を検索すると,指定商品を取扱う市場において,当該文字を組み合わせた例の全ては請求人の使用例であり,当該文字の組み合わせが一般に使用されている事実も見当たらず,「モイストアップブースター」が請求人による造語であり,識別機能を有することは明白である。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号について

商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは,このような商標は,商品の産地,販売地その他の特性を表示記述する標章であって,取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を欠き,商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(昭和53年(行ツ)第129号,最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁)。

また,この趣旨に照らせば,当該商標が指定商品の品質等を表すものとして,審決時に取引者,需要者に広く認識されている場合はもとより,将来を含め,取引者,需要者にその商品の品質等を表すものと認識される可能性があって,これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときは,その商標は,同号に該当すると解するのが相当である。

(2)本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について

本願商標は,「モイストアップブースターローション」の文字を横書きしてなるところ,その構成中の「モイストアップ」の文字は,別掲1に示すとおり,「うるおいを与える」,「保湿」程の意味合いをもって,化粧品を取り扱う業界において,商品の品質や効能を表す語として使用されているものである。また,「モイストアップ」の文字を構成する「モイスト」は,「湿り気があること。また,そのさま。湿潤」を意味する語として,また,「アップ」は,「上がること。上げること。」等を意味する語として(いずれも「大辞泉第2版」株式会社小学館。以下「大辞泉」という。),我が国において親しまれたものであると共に,「レベルがアップする」,「ベースアップ」,「イメージアップ」のような「アップ」の文字に係る使用例がある(大辞泉)ことからすれば,「モイストアップ」の文字から上記意味合いを理解することは容易といえる。

そして,本願商標構成中の「ブースター」の文字は,別掲2及び3のとおり,洗顔後すぐに使用することにより,その後に使用する化粧品の浸透力を高めるための商品である「導入美容液」を表すものとして使用されている事実がある。また,本願商標構成中の「ローション」の文字は,「アルコールを含んだ化粧水の総称」を意味する語(大辞泉)であるが,別掲3及び4に示すとおり,「ブースター」や「導入美容液」と同内容の商品について,「導入液」,「ブースターローション」,「ブースターセラム」等のように称している事実が見受けられる。

そうすると,本願商標構成中の「ブースターローション」の文字部分は,前記「ブースター」と同じ「導入美容液」を認識させるか,又は「ブースター」(導入美容液)と「ローション」(化粧水)とを結合させたものとして,「導入美容液の化粧水」程の意味合いを認識させるものというべきである。

このような状況からすれば,本願商標は,全体として,「うるおいを与える導入美容液」又は「うるおいを与える導入美容液の化粧水」程の意味合いを認識させるというべきものであり,本願商標をその指定商品中,「導入美容液」又は「化粧水」について使用をしても,これに接する取引者,需要者は,前記意味合いを容易に理解し,当該商品が「うるおいを与える導入美容液」又は「うるおいを与える導入美容液の化粧水」であること,すなわち,単に商品の品質,効能を表したにすぎないものと認識するにとどまり,自他商品の識別標識としては認識し得ないものというべきである。また,「導入美容液」及び「化粧水」以外の「化粧品」に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。

したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

(3)請求人の主張について

ア 請求人は,「モイストアップブースターローション」という言葉は辞書等に掲載されている成語ではなく,請求人による造語であると主張すると共に,本願の指定商品を取り扱う業界において,「ローション」の文言自体が「ブースターローション」よりも広く一般に用いられている実情が見受けられることから,需要者・取引者が,本願商標は「モイストアップブースター」という請求人による造語と,「ローション」という一般に用いられている単語とを組み合わせた造語であると認識する旨主張する。

しかしながら,辞書等に掲載されていなくても,商標が自他商品の識別標識としての機能を有するか否かの判断は,査定時又は審決時において,本願の指定商品について,本願商標に係る言葉や文字の使用の実情を勘案し,需要者の認識を基準に判断すべきものであるところ,本願の指定商品を取り扱う業界において,本願商標を構成する「モイストアップ」及び「ブースター」又は「ブースターローション」の文字は,別掲1ないし4のとおり,それぞれ商品の品質や効能等を表すものとして使用されているものである。

また,別掲3のとおり,実際に「ブースター」の文字が,「導入美容液」を表すものとして使用されている事実があることからすれば,需要者が「ローション」の文字を除いた「モイストアップブースター」の文字部分に着目したとしても,当該文字部分から「うるおいを与える導入美容液」程の意味合いを理解させるにすぎないというべきである。

さらに,「モイストアップ」と「ブースター」又は「ブースターローション」との間に関連性が見いだせないというような事情が存するともいい難く,本願商標全体から「うるおいを与える導入美容液」又は「うるおいを与える導入美容液の化粧水」の意味合いが無理なく生じるといえることからすれば,「モイストアップブースターローション」の語が辞書等に載録のないことや,「ローション」の語が広く知られていることをもって,「モイストアップブースターローション」を造語とみるべき事情には当たらないというべきである。

イ 請求人は,インターネットで「モイストアップブースター」ないし「モイストアップブースターローション」を検索すると,指定商品を取り扱う市場での使用例は請求人のものであり,当該文字の組み合わせが一般に使用されている事実はない旨主張する。

しかしながら,商標法第3条第1項第3号の商品の品質に該当するというには,我が国の需要者,取引者が,商品の品質を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるものであり,本願商標が実際に使用されていることまでを要求するものではないと解されるところ(東京高裁平成12年(行ケ)第76号 同年9月4日判決),本願商標を構成する「モイストアップ」及び「ブースター」又は「ブースターローション」に係るそれぞれの文字の使用の実情は前記(2)のとおりであって,当該実情を踏まえれば,本願商標全体から「うるおいを与える導入美容液」又は「うるおいを与える導入美容液の化粧水」程の意味合いが生じるというべきである。

ウ したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用することができない。

(4)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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