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Trademark Appeal Case

不使用取消と使用立証

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2019−300813(T2019−300813/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4915777号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4915777号商標(以下「本件商標」という。)は、「FACTRIO」の文字を標準文字で表してなり、平成17年4月15日に登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置」及び第42類「気象情報の提供,建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,機械器具に関する試験又は研究,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,社会保険に関する手続の代理,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,理化学機械器具の貸与,製図用具の貸与」を指定商品及び指定役務として、同17年12月16日に設定登録がされ、現に有効に存続しているものである。

そして、本件審判の請求の登録日は、令和元年11月7日である。

また、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成28年11月7日から令和元年11月6日までの期間を、以下「要証期間」という場合がある。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。

1 請求の理由

被請求人である本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)は、少なくとも過去3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品及び指定役務のいずれかについても使用しておらず、また、本件商標は、専用使用権又は通常使用権の設定登録もなされていない。

すなわち、本件商標を使用している事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁

(1)乙第1号証について

被請求人は、本件商標の使用の事実を証明する書類として、本件商標権者が100%出資する販売関連会社であるリコージャパン株式会社が、2018年9月19日付に発行した「FACTRIO イージープロット 保守契約書」の写し(乙1)を提出している。

そして、被請求人は、「その契約書では弊社ソフトウェア製品『FACTRIO イージープロット』の保守契約及びその料金が記載されており、ソフトウェア及びその保守について取引が行われています」旨主張している(なお、保守契約の他方当事者である「甲」、またその条項、保守範囲などの詳細については、黒塗りされているため内容は分からない。)。

また、本号証の<別紙1>の1枚目には、「対象ソフトウェアの保守商品(消費税別)」として、商品名の項目に「FACTRIO イージープロット保守パック」の記載が、その下に保守内容の説明として「保守パック:『FACTRIO イージープロット』電話問い合わせ+1拠点・オンサイト2回」との記載がある。

さらに、本号証の保守対象明細書の2枚目及び3枚目には、「2)対象ハード一覧」として、保守対象ソフト情報の項目に「FACTRIO イージープロット」、対象ソフトウェアの保守商品の項目に「FACTRIO イージープロット 保守パック」の記載がみられる。

(2)参考情報

本件商標権者のウェブサイトによると、「ソフトウェア(ドキュメントソリューション)販売終了品」の一覧中に「FACTRIO イージープロット」が記載されており、そのリンク先には、「FACTRIO イージープロット(本製品は販売終了しております)」というタイトルとともに、「FACTRIOシリーズは2012年7月末日をもちまして販売終了いたしました。」との記載がある(甲3)。

(3)使用に係る商品及び役務について

ア コンピュータソフトウェア「FACTRIO イージープロット」

上記の参考情報のとおり、本件商標権者自らが、コンピュータソフトウェアとしての「FACTRIO イージープロット」をもはや販売していないことを認めているといえる(販売停止は2012年(平成24年)7月末日)。実際、「FACTRIO イージープロット」が現在でも新たに購入できる事実は見当たらない。

また、被請求人は答弁書において、コンビュータソフトウェアとしての「FACTRIO イージ一プロット」を販売した事実、つまり本件商標がコンピュータソフトウェアについて、要証期間に使用された事実及び証拠(取引書類、商品パンフレットなど)を示していない。

さらに、コンピュータソフトウェア以外の「電子応用機械器具及びその部品」についても、本件商標を使用していたことを明らかにするような事実を示すものが提出されていない。

したがって、「電子応用機械器具及びその部品」について本件商標が使用されていることは証明されていない。

イ コンピュータソフトウェア「FACTRIO イージープロット」の保守

本件商標については、上記のとおり、2012年7月末まで本件商標権者が販売していたコンピュータソフトウェアについて使用されていた商標である。そして、乙第1号証によれば、本件商標権者が顧客と保守契約を締結し、当該ソフトウェアの保守(契約書が黒塗りなので推測になるが、一般的にはトラブル発生時のシステムの修理やアップデータなどの提供であろうか)が未だに継続されているようである。

ところで、当該保守契約については、「FACTRIO」というコンピュータソフトウェアを購入したユーザへ向けた継続使用のための専用の契約といえる。そして、本件商標の使用態様の場合、当該ソフトウェアのユーザからすれば、あくまでも本件商標はソフトウェアの商品名として認識するのであって、通常であれば当該ソフトウェアから独立した包括的な保守サービスの名称としては認識し得ない。当該保守サービスは、単に今利用している「FACTRIO イージープロット」という商品を継続使用するための、当該商品の性質からしてそれ自体に当然に含まれる便宜(ただし費用は別途)としてなされているにすぎないように見えるからである。

確かに、このような保守契約は通常では1年若しくは数年おきに契約更新をし、別途、定期的に費用が発生することが多い。これは、ソフトウェアの購入時に長期間の一括払いとしてしまうと多額になってしまうためである。ただし、保守サービスが必須になるような特殊用途・業務用途の製品、とりわけ高額な電子機器や特殊な操作が必要になるようなソフトウェアは、買取型(又はリース型)の場合であれば、事後の保守サービスを念頭に置いて購入されるのが通常である。システムや機器自体の構成、使用方法があまりに複雑すぎて、メーカーのサポートなしで顧客自身が対応することは困難だからである。つまり顧客は、コピー機などの電子機器や特殊用途のソフトウェアと以後の保守サービスを合わせた全体を、一つのソフトウェアパッケージとして捉えて購入しているといえる。本件に当てはめてみると、顧客はコンピュータソフトウェアと事後のメンテナンスが一つのパッケージになった「FACTRIO」という製品を購入した(なお、2012年7月末にて販売停止。)のであり、つまり本件商標は既に当該ソフトウェアパッケージが販売・購入された時点で、既に商標としての機能は終了しているといえる。

そもそも「FACTRIO イージープロット 保守契約書」については、当該「FACTRIO」ソフトウェアのユーザ以外には利用できないのであって、不特定多数の需要者とは結べない契約である(そもそも「FACTRIO」のユーザ以外は契約する必要がない。)。つまり、ソフトウェア「FACTRIO イージープロット」を対象として便宜としての保守サービスを行っているにすぎないのであって、独立したサービスの商標として「FACTRIO」は何も使用されていない。あくまでも、2012年7月末まで販売されていたソフトウェアパッケージの商標として「FACTRIO」があるにすぎない。

以上のとおり、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供」について本件商標が使用されていることは証明されていない。

第3 被請求人の主張

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出した。

1 答弁の理由

(1)本件商標の使用事実の要点

乙第1号証は、株式会社リコーの100%出資の販売関連会社「リコージャパン株式会社」が、2018年9月19日付に発行した「FACTRIO イージープロット 保守契約書」であり、その契約書では同社のソフトウェア商品「FACTRIO イージープロット」の保守契約及びその料金が記載されており、ソフトウェア及びその保守について取引が行われている。

以上のことから、本件商標は、要証期間に本件商標の指定商品「電子応用機械器具及びその部品」及び指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供」について使用されていたことは明らかである。

(2)本件商標の使用の事実

ア 本件商標

本件商標については、上記第1のとおりである。

イ 商標の使用者

乙第1号証の2018年9月19日付発行の契約書には、株式会社リコーの100%出資の同社商品の販売関連会社の名称である「リコージャパン株式会社」、またその事業所の所在地である「東京都立川市曙町二丁目22番20号」が表示されている。

ウ 使用にかかる商品

乙第1号証には、本件審判の請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品」及び指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供」の商品名が記載されている。

エ 使用に係る商標

乙第1号証には、本件商標が記載されている。

オ 使用時期

乙第1号証の2018年9月19日付発行の契約書には、<別紙1>に契約期間が「2018年9月20日−2019年7月31日」と記載されている。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標は、要証期間において本件商標権者により指定商品「電子応用機械器具及びその部品」及び指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供」について使用している。

第4 当審における審尋

1 審尋

審判長は、令和2年9月18日付け審尋において、被請求人に対し、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解及び請求人提出の令和2年2月25日付け審判事件弁駁書に対する回答を求めた。

2 被請求人の回答

被請求人は,上記1の審尋に対し何らの応答もしていない。

第5 当審の判断

1 事実認定

証拠及び被請求人の主張によれば,以下のとおりである。

乙第1号証は、2018年(平成30年)9月19日を契約締結日とする保守契約書であって、「FACTRIO イージープロット 保守契約書」のタイトルの下、「○○(黒塗りされ名称を確認できない。)株式会社(以下、甲という。)およびリコージャパン株式会社(以下、乙という。)は、添付の保守・サポート共通事項及びサービス条項の内容につき合意に至ったため、その証として本契約書を2通作成し、甲乙記名捺印のうえ、各1通を保有します。」の記載がある。

その下の甲及び乙に関する欄には、乙については、「住所 東京都立川市・・・」、「会社名 リコージャパン株式会社」、「部署名 販売事業本部・・・」の記載があるものの、役職、氏名の欄は黒塗りされ確認できない。また、甲については、住所、会社名、部署名、役職、氏名の欄は全て黒塗りされ確認できない。

そして、本号証の2葉目ないし9葉目の「保守・サホート共通事項」の第1章から第6章の条文の表題を除いた部分、「保守・サポート 共通条項」及び「ソフトウェア保守・サポート サービス条項」は全て黒塗りされ、その内容は確認できない。

さらに、本号証の9葉目の<別紙1>には、「対象ソフトウェア」の項目に「商品名 FACTRIO イージープロット」及び「数量 1」の記載、「契約期間」の項目に「契約開始日 2018年9月20日」及び「契約終了日 2019年7月31日」の記載、その下には「対象ソフトウェアの保守商品(消費税別)」の項目に「商品名 FACTRIO イージープロット 保守パック」、「数量 1」及び「料金(税別) 128,326円」の記載がある。

2 判断

(1)上記1のとおり、2018年(平成30年)9月19日に本件商標権者の関連会社といい得るリコージャパン株式会社は契約先「甲」と「FACTRIO イージープロット 保守契約書」を作成し、2018年(平成30年)9月20日から2019年(令和元年)7月31日までの期間、「FACTRIO イージープロット」という商品(ソフトウェア)を対象とする、保守契約を交わしたことが推認できる。

しかしながら、契約先である甲がいかなる者であるか確認できないことに加え、当該保守契約の内容(「保守・サポート 共通条項」及び「ソフトウェア保守・サポート サービス条項」)についても確認できないため、上記商品(ソフトウェア)の保守に関する詳細は不明である。

(2)当該保守契約書には、保守契約の対象ソフトウェアの商品名として「FACTRIO イージープロット」と記載されているところ、当該文字は、単に、商品名又は役務名として表示されているものであり、これらの記載のみから本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を、商品「電子応用機械器具及びその部品」又は役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供」に使用した事実は確認することができない。

(3)小括

上記のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に本件商標権者が、本件審判の請求に係る指定商品及び指定役務について、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用したことを認めるに足る事実を見いだせない。

3 むすび

以上のことから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその請求に係る指定商品及び指定役務のいずれかについての本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。

また、被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品及び指定役務について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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