sokuhyo

Trademark Appeal Case

要部抽出と称呼の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2020−900264(T2020−900264/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6279946号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6279946号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、令和2年5月8日に登録出願、第35類「写真機械器具及び写真材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同年7月8日に登録査定、同年8月13日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、引用する登録第6269307号商標(以下「引用商標」という。)は、「IROHAS CAMERA」の文字を標準文字で表してなり、令和元年5月9日登録出願、第35類「写真機械器具及び写真材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,写真機械器具の部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,中古の写真機械器具及び中古の写真材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,中古の写真機械器具の部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,デジタルカメラ及びその附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,中古カメラ及びその附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,広告業,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,経理事務の代理又は代行,財務書類の作成,広告スペースの貸与又は提供,広告用具の貸与,一般事務の代理又は代行,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースへの情報編集,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供,商品の売買契約の代理・媒介・仲介・取次ぎ・代行,マーケティング,競売の運営,インターネットによる競売の運営,オークションの企画・運営又は開催」を指定役務として、同2年7月14日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

(1)本件商標について

本件商標は、黄緑色で「IROHAS」(Oの文字の中央に赤いハートの図形が配されている)の文字を上段に、灰色で「SHOP」の文字を下段に、「SHOP」の文字の右側にカメラを様式化したような図形が黄緑色で配されてなるものである。

そして、第35類「写真機械器具及び写真材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として令和2年5月8日登録出願、令和2年8月13日設定登録されたものである(甲1)。

なお、本件商標の上段を構成する「IROHAS」の文字は辞書等に掲載がなく、特定の語義を有することのない一種の造語として認識されるものである。

一方、本件商標の下段を構成する「SHOP」の文字は、「店、小売店」を意味する英語(デジタル大辞泉)であって、我が国において親しまれたものであるから、「店、小売店」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。

そうすると、本件商標の構成中の「SHOP」の文字は、写真機械器具及び写真材料を取り扱う「店」であるという、役務の提供場所を認識させるといえ、該文字部分は、役務の出所識別標識としては機能し得ないものというのが相当である。

また、構成中の「IROHAS」の文字は、指定役務との関係において、役務の質や内容を表すものとはいえず、出所識別標識として機能し得るものであって、その外観も、本件商標の構成中、異なった色で配され、ひときわ顕著に表されているものである。

そうすると、本件商標においては、構成中の「IROHAS」の文字部分が、出所識別標識として強く支配的な印象を与え、これに接する取引者・需要者は、該文字部分をもって取引にあたる場合もあるというべきであるから、該文字部分を要部として、他の商標との類否を判断することも許されるというのが相当である。

してみれば、本件商標は、「IROHAS」の文字部分に相応して、「イロハス」の称呼を生じる。

そして、本件商標は辞書等に掲載がないため、特定の観念は生じないが、強いていえば、様式化されたカメラの図形とも相まって「IROHASというカメラ店」ほどの意味合いが生じる場合がある。

(2)引用商標について

引用商標は、「IROHAS CAMERA」の文字を標準文字で横書きしてなるものであり、上記2に記載の役務を指定役務として令和元年5月9日登録出願、令和2年7月14日設定登録され、現に有効に存続しているものである。

なお、引用商標を構成する「IROHAS」の文字は、特定の語義を有することのない一種の造語として認識されるものである。

一方、引用商標を構成する「CAMERA」の文字は、「カメラ、写真を撮影する光学器械」を意味する英語(デジタル大辞泉)であって、該語は我が国において親しまれたものといえるものであるから、「カメラ」の意味合いを容易に認識させるものである。

そして、引用商標を構成する「CAMERA」の文字は、「カメラ」を取り扱う店であるという、役務の質を認識させるものといえ、「CAMERA」の部分は、役務の出所識別標識としては機能し得ないものというのが相当である。

そうすると、引用商標においては、構成中の「IROHAS」の文字部分が、出所識別標識として強く支配的な印象を与え、これに接する取引者・需要者は、該文字部分をもって取引にあたる場合もあるというべきであるから、該文字部分を要部として、他の商標との類否を判断することも許されるというのが相当である。

してみれば、引用商標は「IROHAS」の文字部分に相応して、「イロハス」の称呼を生じる。

そして、引用商標は辞書等に掲載がないため、特定の観念は生じないが、強いていえば「IROHASというカメラ」ほどの意味合いが生じる場合がある。

(3)本件商標と引用商標との対比

ア 称呼について

本件商標からは「イロハス」の称呼が生じ、引用商標からも「イロハス」の称呼が生じるといえるから、両商標は、称呼上類似するものである。

イ 外観について

本件商標と引用商標は、「CAMERA」及び「SHOP」の各文字部分が相違するとしても、識別上重要な要素を占める語頭の「IROHAS」の文字が完全に一致しており、取引者・需要者に対して近似した印象を与えるものである。

ウ 観念について

本件商標と引用商標は、共に特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。

強いていえば、本件商標は、その構成中の様式化されたカメラの図形とも相まって「IROHASというカメラ店」ほどの意味合いが生じる一方、引用商標は、「IROHASというカメラ」ほどの意味合いが生じる場合がある。本件商標及び引用商標をそれぞれの指定役務「写真機械器具及び写真材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用する場合、両商標から生じる観念から「IROHASというカメラに関する役務」を提供するほどの意味合いが生じるため、両商標の観念は概ね同一と考えられる。

エ まとめ

そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができず又は観念が生じる場合は概ね同一の観念が生じ、称呼において共通し、外観においても若干の差異はあるものの、他の共通の要素を凌駕し得るほどの相違があるとはいえず、取引者・需要者に誤認を生じさせるおそれがあるといえる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。

4 当審の判断

申立人は、上記2の引用商標を挙げ、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する旨主張しているが、当該引用商標は、本件商標より先に登録出願されているものの、その設定登録日は令和2年7月14日であって、本件商標の登録査定時(令和2年7月8日)において設定登録されていないものであるから、当審は、かかる主張は本件商標が商標法第8条第1項の規定に違反して登録された旨の主張と判断し、以下検討する。

(1)商標法第8条第1項に違反するかについて

ア 本件商標

本件商標は、別掲のとおり、上段に「IR」及び「HAS」の黄緑色の各欧文字を配し、その間に青色の円形内に赤色のハートを配した図形(以下「青色円形図形」という。)を、下段に灰色で「SHOP」の欧文字とその右側にカメラと思しき黄緑色の図形を、それぞれ配した構成からなるものである。

そして、下段のカメラと思しき図形部分は、他の構成部分と視覚上分離して看取されるものであるうえに、該図形部分からは、特定の称呼及び観念が生じるものとはいえないことからすれば、他の構成部分とは、称呼及び観念的な結びつきはないものであるから、両者を常に一体不可分のものとみなければならない理由はない。

次に、青色円形図形は、その構成及び態様に徴すれば、該図形は、やや図案化されているものの欧文字の「O」を図案化して表したものと把握され得るものである。

そうすると、本件商標の構成中の上段部分は、全体として「IROHAS」の文字を表したものと認識できるものであり、下段の「SHOP」の文字部分とは、色彩は異なるものの、それぞれ同じ書体、同じ大きさであることから、構成文字全体が一体的にまとまりよく表されているといえ、これより生ずる「イロハスショップ」の称呼も簡潔な音構成であって、よどみなく一連に称呼するものである。

また、「IROHAS SHOP」の文字部分は、親しまれた既成語ではなく、指定役務との関係において直ちに何らかの意味合いを理解させるものでもないから、特定の観念は生じないというべきである。

したがって、本件商標は、その構成文字部分に相応して「イロハスショップ」の称呼のみを生じ、特定の観念は生じない。

イ 引用商標

引用商標は、「IROHAS CAMERA」の文字よりなるところ、構成各文字は、同じ書体、同じ大きさで表してなり、「IROHAS」と「CAMERA」の間に一文字程度の空白を有するとしても、外観上まとまりよく一体に表わされているといえるものである。

そして、たとえ、その構成中、「CAMERA」の文字が「カメラ(写真を撮影する光学器械)」を意味する英語であるとしても、かかる構成においては、「CAMERA」の文字部分を捨象し、「IROHAS」の文字部分のみをもって取引に資されるというよりは、むしろ、構成全体をもって一体不可分の一種の造語として認識し把握されるとみるのが自然である。

そうすると、引用商標は、その構成文字全体に相応して「イロハスカメラ」の称呼のみを生ずるというべきであり、特定の観念は生じない。

ウ 本件商標と引用商標との類否

本件商標と引用商標とは、それぞれ上記1及び2のとおりの構成からなるものであって、その全体の構成において、顕著な差異を有するものであるから、両者は、外観上、明確に判別できるものである。

また、本件商標から生ずる「イロハスショップ」の称呼と引用商標から生ずる「イロハスカメラ」の称呼とは、音構成及び構成音数において明らかな差異を有することから、称呼において明瞭に聴別できるものである。

そして、本件商標及び引用商標からは、特定の観念は生じないものであるから、観念において比較することはできない。

そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において互いに紛れるおそれのないことが明らかなものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であるというのが相当である。

エ 本件商標の指定役務と引用商標の指定役務との類否

本件商標の指定役務と引用商標の指定役務とは、同一又は類似のものである。

オ 小括

以上のとおり、本件商標と引用商標の指定役務は同一又は類似のものであるとしても、本件商標と引用商標とは、非類似の商標である。

したがって、本件商標の登録は、商標法第8条第1項に違反してされたものとはいえない。

(2)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものとはいえず、ほかに同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。