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Trademark Appeal Case

商標の要部抽出と類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2019−900262(T2019−900262/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6155051号の1商標の指定役務についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の登録第6155051号の2商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6155051商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成30年7月31日に登録出願、第35類「労働安全衛生法に基づくストレスに関するアンケート調査及びその結果の整理又は分析,企業の人事・労務管理及び求人活動に関する指導及び助言,市場調査又は分析,コンピュータデータベースへの情報編集」、第42類「電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」及び第44類「ストレスに関する医療的助言,職場における人的関係ストレスに関する医療的助言,メンタルヘルスに関する指導及び助言,医療情報の提供又は医療情報の提供に関する助言,健康診断」を指定役務として、令和元年5月21日に登録査定、同年6月21日に設定登録されたものである。

その後、当該商標権は、令和2年9月7日(受付日)付けの商標権の分割登録申請によって以下のように分割された。

(1)登録第6155051号の1(以下「本件商標権1」という。)

指定役務:第35類「労働安全衛生法に基づくストレスに関するアンケート調査及びその結果の整理又は分析,企業の人事・労務管理及び求人活動に関する指導及び助言,市場調査又は分析,コンピュータデータベースへの情報編集」

第42類「電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守但し、電子計算機用プログラムの提供を除く」

(2)登録第6155051号の2(以下「本件商標権2」という。)

指定役務:第42類「電子計算機用プログラムの提供」

第44類「ストレスに関する医療的助言,職場における人的関係ストレスに関する医療的助言,メンタルヘルスに関する指導及び助言,医療情報の提供又は医療情報の提供に関する助言,健康診断」

2 登録異議申立人が引用する商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録第6056357号商標(以下「引用商標」という。)は、「ストレスチェッカー」の片仮名を書してなり、平成29年10月4日に登録出願、第35類「企業の人事・労務管理及び求人活動に関する指導及び助言,市場調査又は分析,会社の福利厚生事務の代理又は代行,コンピュータデータベースへの情報編集」を指定役務として、同30年6月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、資料1ないし資料7(枝番号を含む。)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標は、全体を一体不可分のものとしてみるのでなく、「+」記号部分を省略し、「ストレスチェッカー」の片仮名部分を要部として、出所を識別することも少なくないことを踏まえると、本件商標と引用商標とは類似の商標であって、その指定役務も同一又は類似する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第10号該当性について

引用商標は、ストレスチェックに係るサービスの分野では、国内シェアNo.1の申立人によるサービスを表示するものとして広く認識され、著名となっている。

そして、本件商標と引用商標とは類似の商標であり、しかも、本件商標の指定役務は、ストレスチェック制度に準拠したストレスチェックサービスの一環と思われ、引用商標の使用役務と同一又は類似する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

引用商標の周知・著名性や本件商標と引用商標の類似性、さらに、本件商標の指定役務と引用商標の使用役務の密接な関連性を勘案すれば、本件商標は、申立人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第19号該当性について

引用商標は、申立人によるストレスチェックに係るサービスを表示するものとして広く認識され、著名となっている。

そして、本件商標と引用商標は類似の商標であり、しかも、申立人が利用者にとって紛らわしいと通知している(資料7)にもかかわらず、それを承知の上で、あたかも使用を中止するので猶予期間を求めているかのような返信をした上で、その数日後に本件商標の出願をし、登録に至ったものであり、これらの経緯を踏まえるならば、本件商標の出願・登録は、引用商標の周知・著名性にただ乗りし、希釈化させる不正の目的によるものといえる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審における取消理由

当審において、「本件商標は、登録第6056357号商標(引用商標)と類似する商標であって、引用商標に係る指定役務と類似の役務について使用をするものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する」旨の取消理由を令和2年6月18日付けで通知した。

5 商標権者の意見

本件商標権者は、上記4の取消理由に対して、要旨以下のとおり意見を述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第41号証を提出した。

(1)本件商標の登録が維持されるべき理由について

ア 本件商標について

本件商標は、「ストレスチェッカー」の片仮名文字のやや右斜め上に「+」の記号を同書、同大で書してなり、外観上まとまりよく一体的に構成されており、本件商標より生じる「ストレスチェッカープラス」の称呼も、格別冗長でなく、語呂良く一連一気に称呼し得る。

また、本件商標の構成中「ストレスチェッカー」の文字は、辞書等に載録はないが、本件商標の属する「ストレスチェック」に関する分野において、「ストレスの状態をチェックする商品・サービスの名称」として、新聞・雑誌記事等で一般的に使用されている(乙1〜乙5)。

よって、本件商標の構成中「ストレスチェッカー」の文字は、本件指定役務の属する分野における取引者、需要者に、「ストレスの状態をチェックする商品・サービス」といった意味合いを容易に想起させるものであって、

自他役務の識別標識としての機能が弱い部分といえる。

他方、「+」の記号は、「加号または正の数の符号。」といった意味のほか、本件指定役務との関係では、「加えること。足すこと。」(乙14)の意味合いで使用されることも少なくないから、自他役務の識別力を有するものといえる。

この点、ストレスや健康状態のチェックに関する分野において、「+」「プラス」の記号・文字が、「特定のサービスに何らかの付加価値をつけたものであることを表すための記号・文字」として使用されている例が多数見受けられる(乙15〜乙19)。

よって、「+」の記号は、単独では識別力が弱いとしても、他の文字と結合して使用される場合には、「何らかの付加価値をつける」といった意味合いを生じさせ、商標全体でまとまった観念を想起させる。

このように、役務の出所識別標識としての機能が弱い文字・記号同士がまとまりよく一体的に表され、かつ、よどみなく一連に称呼し得る本件商標においては、構成中の一部が、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと解されるべきではなく、むしろ、軽重の差なく、構成全体をもって一体不可分の造語を表したと理解されるとみるのが相当である。

そうとすれば、本件商標は、商標全体で「ストレスチェックに何らかの付加価値を加えたサービス」といった意味合いを想起させるものとして取引者、需要者に認識、把握されると解するのが自然である。

そして、過去の審決において、「+」の記号を含む商標が、構成全体をもって一体不可分の造語を表した商標と判断されている(乙20〜乙22)。

また、過去の登録例として、「+」の記号の有無に差異を有する登録商標が、それぞれ非類似の商標として併存して登録されている(乙23〜乙36)。

上述の審決例や登録例は、本件商標とは区分や商標の構成が異なるものもあるが、少なくとも、「+」の記号が文字部分のやや右斜め上に表されていたり、文字部分と色彩が異なっていたり、文字部分との間にスペースが設けられていたとしても、さほど強い識別力を発揮するものとはいえない文字部分と「+」の記号の結合商標にあっては、文字部分が独立して、取引者や需要者に商品・役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではないことを示している。

そうとすれば、本件商標にあっても、「+」の記号が文字部分のやや右斜め上に表されていることをもってして、文字部分と記号部分が分離されるものと判断されるべきではなく、(ア)「ストレスチェッカー」と「+」が同書、同大でまとまりよく表されていること、(イ)「ストレスチェッカープラス」の称呼が語呂良く一連一気に称呼し得るものであること、(ウ)「ストレスチェッカー」の文字部分の識別力が弱いこと、(エ)取引実情において、「ストレスチェッカー+」の商標全体で「ストレスチェックに何らかの付加価値を加えたサービス」といった意味合いが容易に想起できること等が十分に考慮され、一体不可分の商標と認められるべきである。

イ 引用商標について

引用商標は、「ストレスチェッカー」の片仮名文字を標準文字で表してなり、「ストレスチェッカー」の称呼が生じ、「ストレスチェックに関するサービス」程の観念が生じる。

ウ 本件商標と引用商標の対比

本件商標と引用商標は、その外観において、商標の末尾の「+」記号の有無に差異を有することから、明確に区別できる。

また、本件商標から生じる「ストレスチェッカープラス」の称呼と引用商標から生じる「ストレスチェッカー」の称呼は、「プラス」の音の有無という顕著な差異を有することから、明瞭に聴別できる。

さらに、観念についても、本件商標の「ストレスチェックに何らかの付加価値を加えたサービス」と引用商標の「ストレスチェックに関するサービス」とは、容易に区別することができる。

よって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼、観念のすべてにおいて相紛れるおそれのない非類似の商標である。

(2)本件商標の使用について

本件商標は、「精神科医師団が経営&運営するストレスチェックのトータルサービス」の名称として、本件商標の権利者であるメディカリューション株式会社によって、2016年3月23日より使用されている。

本件商標を用いたサービスは、ストレスチェックの先にある医師面接こそが重要であるとの考えのもと、医師面接を中核に据え、質間票によるチェックから精神科医による医師面談の設定までをトータルサポートするものであり、まさに、「ストレスチェックに独自の付加価値を加えたサービス」の名称として使用されている(乙37〜乙41)。

なお、本件商標は、引用商標の出願前からメディカリューション株式会社によって使用されているものであり、引用商標に対する不正の目的等は皆無である。

(3)むすび

以上より、本件商標と引用商標とは、取引者・需要者に役務の出所につき誤認を生じさせるおそれのない非類似の商標であり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

6 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標について

本件商標は、別掲のとおり、「ストレスチェッカー」の片仮名のやや右斜め上に「+」の記号を配してなるものである。

そして、本件商標の構成中、「ストレスチェッカー」の文字は、同書、同大でまとまりよく表されているのに対し、同構成中、「+」の記号は、「ストレスチェッカー」の文字のやや右斜め上に表されていることから、当該文字と記号とは、視覚的に分離して看取されるものである上、両者は、観念上の結びつきもないものであるから、常に一体不可分のものとして認識されるものではないというべきである。

そうすると、本件商標は、その構成中、前半に顕著に表された「ストレスチェッカー」の文字が、取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができ、当該文字を要部として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。

したがって、本件商標は、「ストレスチェッカー」の文字に相応して、「ストレスチェッカー」の称呼を生じ、また、当該文字は、辞書等に載録のないものであり、一種の造語とみるのが相当であるから、特定の観念を生じないものである。

イ 引用商標について

引用商標は、上記2のとおり、「ストレスチェッカー」の片仮名を書してなるところ、その構成文字に相応して、「ストレスチェッカー」の称呼を生じ、また、上記アと同様に、当該文字は、辞書等に載録のないものであり、一種の造語とみるのが相当であるから、特定の観念を生じないものである。

ウ 本件商標と引用商標の類否について

本件商標と引用商標とを比較すると、本件商標の要部である「ストレスチェッカー」の文字と引用商標は、その構成文字を共通にするから、外観において類似するものである。

また、両商標は、「ストレスチェッカー」の称呼を共通にするものであって、いずれも特定の観念は生じないから、観念において比較することができない。

そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観において類似し、称呼を共通にするものであるから、互いに紛れるおそれがある類似の商標というのが相当である。

エ 本件商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について

本件商標権1の指定役務、第35類「労働安全衛生法に基づくストレスに関するアンケート調査及びその結果の整理又は分析,企業の人事・労務管理及び求人活動に関する指導及び助言,市場調査又は分析,コンピュータデータベースへの情報編集」及び第42類「電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守但し、電子計算機用プログラムの提供を除く」は、引用商標に係る指定役務である第35類「企業の人事・労務管理及び求人活動に関する指導及び助言,市場調査又は分析,会社の福利厚生事務の代理又は代行,コンピュータデータベースへの情報編集」と、その提供の目的、提供に係る内容及び需要者の範囲などが一致するものといえるから、両者は、同一又は類似の役務というべきである。

オ 商標権者の意見について

(ア)商標権者は、「ストレスチェッカー」の文字は「ストレスチェック」に関する分野において、「ストレスの状態をチェックする商品・サービスの名称」として、新聞・雑誌記事等で一般的に使用されているから、自他役務の識別標識としての機能が弱い旨主張する(乙1〜乙5)。

しかしながら、商標権者が挙げる例は、「ストレスチェッカーシステム」等、「ストレスチェッカー」の文字以外の例も含まれる上、「ストレスチェッカー」の文字の使用例もさほど多いとはいえないことから、これらの証拠をもって、「ストレスチェッカー」の文字が、「ストレスチェック」に関する分野において、「ストレスの状態をチェックする商品・サービスの名称」として一般的に使用されているとはいえない。

また、職権をもって調査するも、当該文字が「ストレスの状態をチェックする商品・サービスの名称」を表示するものとして一般的に使用されていると認めるに足りる事実は見いだせない。

(イ)商標権者は、「+」の記号は、単独では識別力が弱いとしても、他の文字と結合して使用される場合には、「何らかの付加価値をつける」といった意味合いを生じさせ、商標全体でまとまった観念を想起させるものであるから、構成全体をもって一体不可分の造語を表したものと理解される旨主張する(乙15〜乙19)。

しかしながら、提出された証拠からは、「+」の記号や「プラス」の片仮名と他の文字が結合した使用例は確認できるものの、それぞれの使用例から、直ちに、「+」の記号が、他の文字と結合して使用される場合に、常に「何らかの付加価値をつける」といった意味合いで使用されているという事実を確認することはできない。

そして、本件商標は、「+」の記号部分と「ストレスチェッカー」の文字部分における観念上の結びつきはないものであるから、常に一体不可分のものとして認識されるものではないことは、上記アで示したとおりである。

(ウ)商標権者は、「+」の記号を含む商標が、構成全体をもって一体不可分の造語を表した商標と判断されている審決例や「+」の記号の有無に差異を有する登録商標が、非類似の商標として併存して登録されている登録例を挙げ、本件商標についても同様に判断されるべきである旨主張する。

しかしながら、商標登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かは、当該商標の登録査定時において、当該商標の構成態様と指定商品・役務との関係や、商品・役務の取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ、商標権者の挙げる審決例及び登録例は、「+」の記号以外の記号や図形の構成要素が記載されている例(乙20、乙21、乙26、乙28、乙29、乙32、乙36)や「+」の記号の有無のみに差異を有する商標ではあるものの、「+」の記号とそれ以外の構成文字が横一列に一体的に書されている例(乙22、乙34)であり、いずれも本件商標とは、商標の構成態様が異なるものであるから、事案を異にするものというべきであり、また、過去の審決例及び登録例が存在することをもって、本件商標の上記判断が左右されるものではない。

よって、商標権者の上記主張はいずれも採用できない。

カ 小括

以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、本件商標権1の指定役務、第35類「労働安全衛生法に基づくストレスに関するアンケート調査及びその結果の整理又は分析,企業の人事・労務管理及び求人活動に関する指導及び助言,市場調査又は分析,コンピュータデータベースへの情報編集」及び第42類「電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守但し、電子計算機用プログラムの提供を除く」は、引用商標に係る指定役務である第35類「企業の人事・労務管理及び求人活動に関する指導及び助言,市場調査又は分析,会社の福利厚生事務の代理又は代行,コンピュータデータベースへの情報編集」と同一又は類似するものである。

したがって、本件商標権1は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第10号該当性について

ア 引用商標の周知・著名性について

申立人の主張及び提出した証拠によれば、以下のことが確認できる。

(ア)株式会社GarageVenture(以下「GarageVenture社」という。)は、2015年10月6日より企業・団体向けの無料ストレスチェックツール「ストレスチェッカー」のオンラインでの提供を開始した(資料4の2)。

また、2017年3月1日付けの「CNET Japan」の記事によれば、GarageVenture社は、AIとビッグデータを活用して従業員が働きやすい職場づくりを支援することを目的とする申立人を設立した(資料4の3)。

そして、申立人のホームページには、左上方に「STRESSCHECKER」の文字が表示され、「ストレスチェック プラン比較」として、無料プラン「¥0/1000人以上の会社は1人¥120」、代行プラン「¥250/1人あたり(税別)※200人以下は5万円」、紙プラン「¥450/別途基本料金2万円(税別)」等のほか、「オプションサービス」が紹介されている。

また、同ホームページには、2017年12月1日に、「【新機能】ストレスチェッカー集計ツール」をリリースしたことが紹介されている(資料4の4)。

(イ)「国内39のストレスチェックサービスの特徴・料金まとめ」と題するサイトには、39社のストレスチェックサービスの特徴や料金が紹介されており、その中には、申立人の提供に係るサービス名として、「ストレスチェッカー」が紹介されている(資料5の1)。

(ウ)「HRTechナビ」のウェブサイトにおいて、「9カテゴリー390サービス掲載!HR Tech業界カオスマップ」の見出しの下、「ウェルネス」のカテゴリーに22社が紹介され、「priskHR(2,700社 2018/9)」を始め、「ストレスチェッカー(1,800社 2019/1)」等のサービス名の掲載があるが、いずれも提供元の記載はない(資料5の2)。

(エ)2019年7月29日付けの申立人のプレスリリースには、「『1800社導入・国内シェアNo.1 法人向け無料ストレスチェック代行サービス』・・・株式会社HRデータラボ/ストレスチェッカー」の記載(資料4の5)、2019年8月13日付けの「PR TIMES」の新聞記事には、「国内シェアNo.1のストレスチェッカー」の記載がある(資料4の6)ものの、申立人が国内シェアNo.1であることを裏付ける客観的な証拠の提出はなく、また、当該記載は、本件商標の登録査定日後のものである。

(オ)上記(ア)ないし(エ)からすれば、申立人は、ストレスチェックに関するサービスに引用商標を使用していることが認められるとしても、我が国及び外国における引用商標に関する市場シェア、広告宣伝の規模、売上等の事実等を裏付ける具体的な証拠の提出はなく、提出された証拠をもって、引用商標の周知性の程度を推し量ることができない。

したがって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の取扱いに係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。

イ 小括

上記のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の取扱いに係る役務を表示するものとして我が国又は外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものである。

したがって、本件商標は、引用商標と類似の商標であって、類似の役務について使用をするものであるとしても、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 引用商標の周知・著名性について

上記(2)アのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の取扱いに係る役務を表示するものとして、我が国又は外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。

イ 本件商標と引用商標との類似性の程度について

本件商標と引用商標は、上記(1)ウのとおり、観念において比較することができないとしても、外観において類似し、称呼を共通にするものであるから、類似性の程度は高いものである。

ウ 本件商標の指定役務と引用商標の指定役務の関連性及び需要者の共通性について

前記(1)エのとおり、本件商標権1の指定役務と引用商標の指定役務は同一又は類似の役務であるから、両者は関連性のある役務であり、取引者、需要者が共通するものといえる。

エ 小括

上記アないしウを踏まえると、本件商標と引用商標との類似性の程度が高く、本件商標権1の指定役務と引用商標の指定役務は関連性のある役務であり、取引者、需要者が共通するとしても、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の取扱いに係る役務を表示するものとして、我が国又は外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認められないものである。

そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。

また、その他に、本件商標が他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがあるというべき事情も見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第19号該当性について

前記(2)アのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の取扱いに係る役務を表示するものとして、我が国又は外国における取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認められないものであるから、本件商標と引用商標の類否に言及するまでもなく、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。

また、商標権者が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって本件商標を出願し、登録を受けたと認めるに足りる具体的な事実を見いだすこともできない。

なお、申立人は、利用者にとって紛らわしいので、本件商標の使用を中止するようにメールで求めた(資料7)ところ、商標権者はあたかも使用を中止するので猶予期間を求めているかのような返信を行っておきながら、その数日後に本件商標の出願をし、登録に至ったものであり、これらの経緯を踏まえると、引用商標の周知・著名性にただ乗りし、希釈化させる不正の目的によるものである旨主張する。

しかしながら、引用商標は、上記のとおり、申立人の取扱いに係る役務を表示するものとして、我が国又は外国における取引者、需要者の間に広く認識されていたとはいえないものであり、申立人が主張する上記経緯が事実だとしても、当該事実をもって、直ちに、本件商標の登録出願に不正の目的があったとは認められない。

よって、申立人の上記主張を採用することはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号には該当しないものの、本件商標権1は、引用商標に類似する商標であって、引用商標に係る指定役務と同一又は類似する第35類「労働安全衛生法に基づくストレスに関するアンケート調査及びその結果の整理又は分析,企業の人事・労務管理及び求人活動に関する指導及び助言,市場調査又は分析,コンピュータデータベースへの情報編集」及び第42類「電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守但し、電子計算機用プログラムの提供を除く」について使用をするものである。

したがって、本件商標権1は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであって、本件商標権1についての登録は、同条第1項の規定に違反してされたものといわなければならないから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

しかしながら、本件登録の異議の申立てに係るその余の本件商標権2については、その登録を取り消す理由がないから、商標法第43の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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