第1 本件商標
本件登録第6105384号商標(以下,「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成30年3月9日に登録出願,第35類「フランチャイズ事業の運営及び管理,インターネット・携帯電話を利用した商品の通信販売に関する情報の提供,インターネット・携帯電話を利用した商品の通信販売の媒介又は取次ぎ,インターネットにおけるショッピングモール事業の運営及び管理,インターネット又はカタログを利用した商品の売買契約の媒介又は取次ぎ,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,インターネットによる商品の販売に関する情報の提供,コンピュータによる顧客管理,事業の管理及び組織に関する指導及び助言,他人の商品及びサービスのライセンスに関する事業の管理,ウェブサイト経由による事業に関する情報の提供,商品・役務の買い手及び売り手のためのオンライン市場の提供,商取引の媒介・取次ぎ又は代理,人事管理に関するコンサルティング,商取引の受注管理,事業所の移転の助言,スポンサー探し,販売を目的とした、各種通信媒体による商品の紹介,販売促進のための企画及び実行の代理,マーケティング,インターネットにおけるウエブサイト上の広告スペースの提供,インターネットにおけるウエブサイト上の広告スペースの貸与,広告場所の貸与,広告用具の貸与,輸出入に関する事務の代理又は代行,インターネット・携帯電話を利用した通信販売の注文・受付・配送に関する事務処理代行,文書又は磁気テープのファイリング,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第43類「ラーメンの提供,ラーメンを主とする飲食物の提供,飲食物の提供,飲食物の提供に関する指導・助言及び情報の提供,簡易食堂における飲食物の提供,軽食堂における飲食物の提供,カフェテリアにおける飲食物の提供,喫茶店における飲食物の提供,レストランにおける飲食物の提供,セルフサービス式レストランにおける飲食物の提供,バーにおける飲食物の提供,和食の提供,ケータリング(飲食物),調理用機械器具の貸与,家庭用電気式ホットプレートの貸与,家庭用電気トースターの貸与,家庭用電子レンジの貸与」を含む,第35類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,同年11月13日に登録査定,同年12月7日に設定登録されたものである。そして,その後,商標法第43条の2に基づく登録異議申立により,指定役務中の第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第43類「飲食物の提供,飲食物の提供に関する指導・助言及び情報の提供,簡易食堂における飲食物の提供,レストランにおける飲食物の提供,セルフサービス式レストランにおける飲食物の提供,バーにおける飲食物の提供,和食の提供,ケータリング(飲食物)」については,商標登録を取り消すべき旨の決定が令和2年2月6日にされ,その確定登録が同年4月10日にされているものである。
第2 引用商標
請求人が,本件商標の登録の無効の理由において引用する商標は,以下の52件の商標であり,いずれも現在有効に存続しているものである。
1 登録第5229916商標(以下「引用商標1」という。)は,「宝」の文字を標準文字により表してなり,平成19年7月2日に登録出願,第35類に属する別掲2のとおりの役務を指定役務として,同21年5月15日に設定登録され,同31年4月16日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
2 登録第5229915号商標(以下「引用商標2」という。)は,「TaKaRa」の文字を標準文字により表してなり,平成19年7月2日に登録出願,第35類に属する別掲2のとおりの役務を指定役務として,同21年5月15日に設定登録され,同31年4月16日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
3 登録第5229917号商標(以下「引用商標3」という。)は,「タカラ」の文字を標準文字により表してなり,平成19年7月2日に登録出願,第35類に属する別掲2のとおりの役務を指定役務として,同21年5月15日に設定登録され,同31年4月16日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
4 登録第5938244号商標(以下「引用商標4」という。)は,別掲3に示すとおりの構成からなり,平成27年12月17日に登録出願,「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,同29年4月7日に設定登録されたものである。
5 登録第57800号商標(以下「引用商標5」という。)は,別掲4に示すとおりの構成からなり,大正元年12月30日に登録出願,第39類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同2年3月5日に設定登録され,その後,7回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,平成16年7月21日に第5類「薬用酒」,第32類「ビール」及び第33類「日本酒(「清酒,合成清酒及びみりん」を除く。),洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」とする書換登録がされたものである。
6 登録第85292号商標(以下「引用商標6」という。)は,別掲5に示すとおりの構成からなり,大正6年2月25日に登録出願,第39類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同6年4月27日に設定登録され,その後,7回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,平成20年9月24日に第33類「みりん」とする書換登録がされたものである。
7 登録第401453号商標(以下「引用商標7」という。)は,別掲6に示すとおりの構成からなり,昭和25年8月5日に登録出願,第40類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同26年8月2日に設定登録され,その後,5回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,平成14年8月21日に第30類「氷」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」とする書換登録がされたものである。
8 登録第462126号商標(以下「引用商標8」という。)は,「TAKARA」の欧文字を横書きした構成からなり,昭和28年9月16日に登録出願,第39類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同30年3月10日に設定登録され,その後,4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,平成18年8月30日に第32類「ビール」及び第33類「洋酒,果実酒,中国酒,虎骨酒,にんじんきなてつぶどう酒」とする書換登録がされ,同26年12月16日に指定商品を第33類のみに減縮して商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
9 登録第462127号商標(以下「引用商標9」という。)は,「タカラ」の片仮名を縦書きした構成からなり,昭和28年9月15日に登録出願,第39類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同30年3月10日に設定登録され,その後,4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,平成18年8月30日に第32類「ビール」及び第33類「洋酒,果実酒,中国酒,虎骨酒,にんじんきなてつぶどう酒」とする書換登録がされ,同26年12月16日に指定商品を第33類のみに減縮して商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
10 登録第496369号商標(以下「引用商標10」という。)は,別掲7に示すとおりの構成からなり,昭和30年12月15日に登録出願,第38類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同32年2月14日に設定登録され,その後,5回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,平成20年10月15日に第5類「薬用酒」及び第33類「日本酒,薬味酒(虎骨酒・にんじんきなてつぶどう酒を除く。)」とする書換登録がされたものである。
11 登録第980690号商標(以下「引用商標11」という。)は,「タカラ」の片仮名を横書きした構成からなり,昭和38年9月4日に登録出願,第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同47年9月18日に設定登録され,その後,3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,平成16年6月2日に第32類「ビール」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」とする書換登録がされ,さらに,同24年5月8日に指定商品を第33類のみに減縮して商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
12 登録第980691号商標(以下「引用商標12」という。)は,「TAKARA」の欧文字を横書きした構成からなり,昭和38年9月4日に登録出願,第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同47年9月18日に設定登録され,その後,3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,平成16年6月2日に第32類「ビール」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」とする書換登録がされ,さらに,同24年5月8日に指定商品を第33類のみに減縮して商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
13 登録第1149884号商標(以下「引用商標13」という。)は,別掲8に示すとおりの構成からなり,昭和33年5月16日に登録出願,第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同50年9月1日に設定登録され,その後,3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,平成19年7月18日に別掲9のとおりの商品とする書換登録がされたものである。
14 登録第1535559号商標(以下「引用商標14」という。)は,別掲10に示すとおりの構成からなり,昭和48年5月14日に登録出願,第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同57年8月27日に設定登録され,その後,3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,平成16年6月2日に第30類「茶,コーヒー,ココア,氷」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」とする書換登録がされたものである。
15 登録第1558517号商標(以下「引用商標15」という。)は,「TAKARA」の欧文字を横書きした構成からなり,昭和45年9月2日に登録出願,第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同57年12月24日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,平成16年7月14日に第1類「人口甘味料」,第5類「乳糖,乳児用粉乳」,第29類「食用油脂,乳製品」,第30類「調味料(しょうゆ・食酢・ウースターソース・ケチャップソース・マヨネーズソース・ドレッシング・酢の素・ホワイトソースを除く。),香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」,第31類「ホップ」及び第32類「ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」とする書換登録がされ,同24年10月30日に指定商品を第29類,第30類及び第32類に減縮して商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
16 登録第1558518号商標(以下「引用商標16」という。)は,別掲11に示すとおりの構成からなり,昭和45年9月2日に登録出願,第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同57年12月24日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,平成16年7月14日に第1類「人口甘味料」,第5類「乳糖,乳児用粉乳」,第29類「食用油脂,乳製品」,第30類「調味料(しょうゆ・食酢・ウースターソース・ケチャップソース・マヨネーズソース・ドレッシング・酢の素・ホワイトソースを除く。),香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」,第31類「ホップ」及び第32類「ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」とする書換登録がされ,同24年10月30日に指定商品を第29類,第30類及び第32類に減縮して商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
17 登録第1610421号商標(以下「引用商標17」という。)は,「宝」の文字を書してなり,昭和50年12月3日に登録出願,第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同58年8月30日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,平成15年12月17日に第32類「ビール」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」とする書換登録がされ,さらに,同25年5月7日に指定商品を第33類のみに減縮して商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
18 登録第1648395号商標(以下「引用商標18」という。)は,「宝」の文字を書してなり,昭和56年5月28日に登録出願,第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同59年1月26日に設定登録され,その後,3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,平成16年10月20日に第30類「茶,コーヒー,ココア,氷」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」とする書換登録がされたものである。
19 登録第1648396号商標(以下「引用商標19」という。)は,「タカラ」の片仮名を横書きした構成からなり,昭和56年5月28日に登録出願,第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同59年1月26日に設定登録され,その後,3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,平成16年10月20日に第30類「茶,コーヒー,ココア,氷」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」とする書換登録がされたものである。
20 登録第1648397号商標(以下「引用商標20」という。)は,「TAKARA」の欧文字を横書きした構成からなり,昭和56年5月28日に登録出願,第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同59年1月26日に設定登録され,その後,3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,平成16年10月20日に第30類「茶,コーヒー,ココア,氷」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」とする書換登録がされたものである。
21 登録第2066598号商標(以下「引用商標21」という。)は,「タカラ」の片仮名及び「宝」の文字を上下二段に横書きした構成からなり,昭和56年1月20日に登録出願,第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同63年7月22日に設定登録され,その後,3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,平成22年2月3日に第1類「人工甘味料」,第5類「乳糖,乳児用粉乳」,第29類「食用油脂,乳製品」,第30類「調味料(但ししょうゆ・食酢・ウースターソース・ケチャップソース・マヨネーズソース・ドレッシング・酢の素・ホワイトソースを除く。),香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」,第31類「ホップ」及び第32類「ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」とする書換登録がされたものである。
22 登録第2164234号商標(以下「引用商標22」という。)は,別掲12に示すとおりの構成からなり,昭和59年6月20日に登録出願,第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成元年8月31日に設定登録され,その後,3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,平成22年10月13日に第30類「茶,コーヒー,ココア,氷」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」とする書換登録がされたものである。
23 登録第2275116号商標(以下「引用商標23」という。)は,別掲13に示すとおりの構成からなり,昭和59年6月20日に登録出願,第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成2年10月31日に設定登録され,その後,3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,同14年2月27日に第32類「ビール」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」とする書換登録がされたものである。
24 登録第2279011号商標(以下「引用商標24」という。)は,別掲14に示すとおりの構成からなり,昭和62年2月4日に登録出願,第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成2年11月30日に設定登録され,その後,3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,同14年3月27日に第32類「ビール」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」とする書換登録がされたものである。
25 登録第2312832号商標(以下「引用商標25」という。)は,「宝」の文字を書してなり,昭和58年3月3日に登録出願,第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成3年6月28日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,同16年5月26日に別掲15のとおりの商品を指定商品とする書換登録がされたものである。
26 登録第2312833号商標(以下「引用商標26」という。)は,「タカラ」の片仮名を横書きしてなり,昭和58年3月3日に登録出願,第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成3年6月28日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,同16年5月26日に別掲15のとおりの商品を指定商品とする書換登録がされたものである。
27 登録第2312834号商標(以下「引用商標27」という。)は,「TAKARA」の欧文字を横書きしてなり,昭和58年3月3日に登録出願,第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成3年6月28日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,同16年5月26日に別掲15のとおりの商品とする書換登録がされたものである。
28 登録第2430759号商標(以下「引用商標28」という。)は,「TAKARA」の欧文字を横書きしてなり,昭和50年2月17日に登録出願,第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成4年6月30日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,同18年9月20日に別掲16のとおりの商品とする書換登録がされたものである。
29 登録第2430761号商標(以下「引用商標29」という。)は,「宝」の文字を書してなり,昭和50年2月17日に登録出願された商願50−18289号を原出願とする,商標法第10条第1項の規定による分割出願として,同58年11月11日に登録出願,第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成4年6月30日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,同18年9月6日に別掲16のとおりの商品とする書換登録がされたものである。
30 登録第2491034号商標(以下「引用商標30」という。)は,「タカラ」の片仮名を横書きしてなり,昭和57年4月22日に登録出願,第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成4年12月25日に設定登録され,その後,同15年2月18日付けで商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,同17年2月2日に別掲17のとおりの商品とする書換登録がされ,さらに,同24年10月30日に指定商品を第29類ないし第31類の商品に減縮して商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
31 登録第2566324号商標(以下「引用商標31」という。)は,別掲18に示すとおりの構成からなり,昭和60年7月12日に登録出願された商願60−72276号を原出願とする,商標法第10条第1項の規定による分割出願として,平成3年4月22日に登録出願,第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同5年8月31日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,同15年10月8日に第30類「菓子」とする書換登録がされたものである。
32 登録第3129606号商標(以下「引用商標32」という。)は,「TaKaRa」の欧文字を横書きした構成からなり,平成5年6月29日に登録出願,第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として,同8年3月29日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
33 登録第3161895号商標(以下「引用商標33」という。)は,「TaKaRa」の欧文字を横書きした構成からなり,平成5年6月29日に登録出願,第31類「うるしの実,コプラ,麦芽,ホップ,未加工のコルク,やしの葉,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),蚕種,種繭,種卵,飼料,果実,野菜(「茶の葉」を除く。),茶の葉,糖料作物,種子類,木,草,芝,ドライフラワ―,苗,苗木,花,牧草,盆栽」を指定商品として,同8年5月31日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
34 登録第3170048号商標(以下「引用商標34」という。)は,「TaKaRa」の欧文字を横書きした構成からなり,平成5年6月29日に登録出願,第32類「ビ―ル,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュ―ス,乳清飲料,ビ―ル製造用ホップエキス」を指定商品として,同8年6月28日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
35 登録第4066233号商標(以下「引用商標35」という。)は,「TaKaRa」の欧文字を横書きしてなり,平成5年6月29日に登録出願,第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,みそ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),穀物の加工品,(但し,強化米を除く。)サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,酒かす」を指定商品として,同9年10月9日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
36 登録第4278682号商標(以下「引用商標36」という。)は,別掲13に示すとおりの構成からなり,昭和59年6月20日に登録出願,第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成11年6月4日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,同22年9月22日に第1類「人工甘味料」,第5類「乳糖,乳幼児用粉乳」,第29類「食用油脂,乳製品」,第30類「調味料(但し,しょうゆ,食酢,ウースターソース,ケチャップ,マヨネーズ,ドレッシング,酢の素,ホワイトソース除く),香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」,第31類「ホップ」及び第32類「ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」とする書換登録がされたものである。
37 登録第4348726号商標(以下「引用商標37」という。)は,「タカラ」の片仮名を横書きした構成からなり,平成10年11月18日に登録出願,第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として,同12年1月7日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
38 登録第4643150号商標(以下「引用商標38」という。)は,「タカラ」の片仮名及び「宝」の文字を上下二段に横書きした構成からなり,平成12年10月18日に登録出願,第30類「イノシン酸・グルタミン酸ソーダを混合して成る粉末状のだし用うま味調味料,その他の化学調味料」を指定商品として,同15年2月7日に設定登録され,同24年10月30日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
39 登録第5352111号商標(以下「引用商標39」という。)は,「たから」の文字を標準文字により表してなり,平成22年2月18日に登録出願,第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として,同年9月10日に設定登録され,令和2年3月30日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
40 登録第5790570号商標(以下「引用商標40」という。)は,「宝」の文字を書してなり,平成27年5月14日に登録出願,第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ」を指定商品として,同年9月4日に設定登録されたものである。
41 登録第5851573号商標(以下「引用商標41」という。)は,別掲3に示すとおりの構成からなり,平成27年12月17日に登録出願,第31類「生花の花輪,ホップ,野菜,糖料作物,果実,麦芽,飼料」を指定商品として,同28年5月20日に設定登録されたものである。
42 登録第5851574号商標(以下「引用商標42」という。)は,別掲3に示すとおりの構成からなり,平成27年12月17日に登録出願,第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」を指定商品として,同28年5月20日に設定登録されたものである。
43 登録第5896398号商標(以下「引用商標43」という。)は,別掲3に示すとおりの構成からなり,平成27年12月17日に登録出願,第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」を指定商品として,同28年11月11日に設定登録されたものである。
44 登録第5896399号商標(以下「引用商標44」という。)は,別掲3に示すとおりの構成からなり,平成27年12月17日に登録出願,第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,氷,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,パスタソース,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用グルテン,食用粉類」を指定商品として,同28年11月11日に設定登録されたものである。
45 登録第6050524号商標(以下「引用商標45」という。)は,「たから」の平仮名を標準文字により表してなり,平成29年9月5日に登録出願,第31類「ホップ,野菜,糖料作物,果実,麦芽,飼料」を指定商品として,同30年6月8日に設定登録されたものである。
46 登録第6084711号商標(以下「引用商標46」という。)は,「宝」の文字を標準文字により表してなり,平成29年11月6日に登録出願,第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,氷,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料(「ウースターソース・グレービーソース・ケチャップソース・しょうゆ・食酢・酢の素・そばつゆ・ドレッシング・ホワイトソース・マヨネーズソース・焼肉のたれ」を除く。),香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,チョコレートスプレッド,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,パスタソース,食用酒かす,ふ,ふやき菓子,みそ汁・すまし汁の具として用いられるふ,みそ汁・すまし汁の具を挟み込んだふやき菓子」を指定商品として,同30年9月28日に設定登録されたものである。
47 登録第3369540号商標(以下「引用商標47」という。)は,「TaKaRa」の欧文字を横書きしてなり,平成4年7月7日に登録出願,第35類「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,書類の複製,速記,筆耕,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」を指定役務として,同10年5月1日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
48 登録第5851576号商標(以下「引用商標48」という。)は,別掲3に示すとおりの構成からなり,平成27年12月17日に登録出願,第35類「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースへの情報編集,求人情報の提供,自動販売機の貸与」を指定役務として,同28年5月20日に設定登録されたものである。
49 登録第4051657号商標(以下「引用商標49」という。)は,「TaKaRa」の欧文字を横書きしてなり,平成4年7月7日に登録出願,第42類「飲食物の提供」を含む第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,同9年9月5日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
50 登録第5364208号商標(以下「引用商標50」という。)は,「宝」の文字を標準文字により表してなり,平成22年4月22日に登録出願,第43類「飲食物の提供」を指定役務として,同年10月29日に設定登録され、令和2年9月29日に存続期間の更新登録がされたものである。
51 登録第5364209号商標(以下「引用商標51」という。)は,別掲19に示すとおりの構成からなり,平成22年4月22日に登録出願,第43類「飲食物の提供」を指定役務として,同年10月29日に設定登録され,令和2年9月29日に存続期間の更新登録がされたものである。
52 登録第5851584号商標(以下「引用商標52」という。)は,別掲3に示すとおりの構成からなり,平成27年12月17日に登録出願,第43類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与,家庭用電気トースターの貸与,家庭用電子レンジの貸与,家庭用ホットプレートの貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,食器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,おしぼりの貸与,タオルの貸与」を指定役務として,同28年5月20日に設定登録されたものである。
以下,上記引用商標1ないし引用商標52をまとめていうときは,「引用商標」という。
第3 請求人の主張
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)引用商標について
本件商標は,請求人の所有に係る引用商標と類似するものである。
なお,引用する商標は,請求人の所有に係る多数の「寶(宝/夕力ラ)」印と称呼観念される商標のうちの,代表的な登録商標を挙げたものである。
(2)引用商標の周知・著名性について
ア 請求人は,大正14年(1925年)9月に「寶酒造株式会社」として設立され,以来,わが国屈指の酒類及び調味料・飲料・食料品,ならびに醗酵・醸造技術に裏付けられたバイオ関連製品の総合メーカーとして成長を遂げ,平成14年(2002年)4月1日付で,持株会社「宝ホールディングス株式会社」へと移行したものであって,子会社として新たに設立し国内の酒類・調味料事業を担う「宝酒造株式会社」や,海外で日本食材卸事業や酒類事業を展開する「宝酒造インターナショナル株式会社」,バイオ事業を担う「タカラバイオ株式会社」などを傘下に置き,宝グループ全体の経営を統括するものである。
イ これらの宝グループの製品にはいずれも,「寶(宝/タカラ)」印と称呼観念される,「寶(宝)」「タカラ」「TaKaRa」の文字からなる商標,あるいはこれらを要部とする商標が,ハウスマーク及びその業務に係る商品の商標として永年に亘って使用されており,これらの商標は,本件商標の出願前には既に,取引者・需要者において広く認識されるに至っていたものである。
ウ 「寶(宝)」商標は,設立以前の前身の個人経営・合名会社の時代から現在に至るまで焼酎及びみりんについて使用されており,早くに著名性を獲得していることは,東京高裁昭和36年(行ナ)第65号判決(甲62)並びにその上告審である最高裁昭和38年(オ)第914号判決(甲63)によって法律的判断が確立しているところであり,さらにその後の東京高裁昭和55年(行ケ)第234号判決(甲64)並びにその上告審である最高裁昭和56年(行ツ)第141号判決(甲65)においても確認されているところである。
エ 片仮名の「タカラ」商標も,前記「寶(宝)」商標と並んで,みりん,焼酎,料理用清酒,チューハイ等のソフトアルコール飲料等について永年使用され,著名な商標となっている。
オ 英文字「TaKaRa」商標は,チューハイ等のソフトアルコール飲料や,タカラバイオ株式会社の業務に係る大多数の商品について,また,八稜鏡輪郭内に「寶」の文字を表した図形とともに,宝ホールディングス株式会社や宝酒造インターナショナル株式会社,タカラバイオ株式会社等のハウスマークとして使用され,日本国内外に広く知られている。
カ 八稜鏡輪郭内に「寶」の文字を表した構成よりなる商標は,宝ホールディングス株式会社及び宝グループ各社のハウスマークとして,また,みりんや焼酎・チューハイ等の商品について,大々的に使用されている。
キ 「寶(宝/タカラ)」印と称呼観念される「寶(宝)」「タカラ」「TaKaRa」商標は、特許情報プラットフォーム(J−PlatPat)の「日本国周知・著名商標検索」データ(甲60,甲61の1)や、AIPPI・JAPAN」発行「FAMOUS TRADEMARKS IN JAPAN/日本有名商標集」(甲67)にも収録されており、これらの商標が周知・著名なものであることは、特許庁においても顕著な事実として確立している。
ク 以上のとおり,「宝(寶)」「タカラ」「TaKaRa」商標は,請求人及び請求人グループ会社のハウスマークとして,また,その業務に係る商品の商標として,酒類や,みりん・料理用清酒等の酒類調味料,加工食品の分野において,本件商標の登録出願前には既に,全国的に周知・著名なものとなっていたものである。
(3)本件商標と引用商標の比較
ア 本件商標は,勢いのある毛筆体で表された「寳龍創房」の文字と,その下に,その読みを表したとみられる「HORYU」と「SOBO」の英文字を配し,これらの右に,外側が太く内側が細い線よりなる二重の円輪郭,いわゆる母子円輪郭内に,肉太め毛筆体の「寳」の文字を表した図形を配した構成よりなるところ,この「寳」の文字を含む図形部分は,他の文字部分とは,図形と文字である点において著しく相違し,また書体も異なるから,視覚上,他の文字部分から分離・独立して看取されることは明らかである。 してみれば,本件商標は,「寶」の文字を含む図形部分のみを抽出した分離観察も妥当といえる。
この「寶」の文字は,「宝」の異体字であって,「宝」と同義・同音の同じ文字として広く通用している文字である。(甲68)
したがって,本件商標は,「寳」の文字に相応して,「タカラ(宝)」の称呼及び観念を生じる。
イ 引用商標は,それぞれ前記したとおりの構成よりなるから,「宝」「タカラ」「TAKARA」「TaKaRa」「寶」の構成文字に相応して,「タカラ(宝)」の称呼及び観念を生じることは明らかである。
ウ してみれば,本件商標は,引用商標と,「タカラ(宝)」の称呼及び観念を共通にし,「寳」と「宝」の同じ文字の異体字表記として構成文字も共通にする,出所混同のおそれのある類似の商標であり,かつ,その指定商品・指定役務も,引用商標の指定商品・指定役務と抵触する。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)「寶(宝/タカラ)」印と称呼観念される「寶(宝)」「タカラ」「TaKaRa」商標は,請求人及び請求人グループ会社のハウスマークとして,また,その業務に係る商品の商標として,殊に,酒類や,みりん・料理用清酒等の酒類調味料・加工食品の分野において,本件商標の出願前には既に,全国的に周知・著名なものとなっていたものである。
(2)請求人の旧商号は,「寳酒造株式会社」であって,異体字による表記「宝酒造株式会社」とともに長く使用されており(甲55),「寳」の文字は,請求人の商号の一部として親しまれてきた事実がある。
(3)本件商標の指定役務は,酒類及び加工食品の小売に係る役務の第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」や,酒類等の飲食物を提供する役務及びこの周辺役務である,第43類「飲食物の提供,飲食物の提供に関する指導・助言及び情報の提供,簡易食堂における飲食物の提供,軽食堂における飲食物の提供,カフェテリアにおける飲食物の提供,喫茶店における飲食物の提供,レストランにおける飲食物の提供,セルフサービス式レストランにおける飲食物の提供,バーにおける飲食物の提供,和食の提供,ケータリング(飲食物)」を含んでいる。
これらの役務は,酒類や加工食品を取り扱い提供するものであるから,酒類・加工食品の商品と密接な関連性を有する。
(4)そうとすれば,本件商標が,その指定役務について使用された場合,これに接する取引者・需要者は,顕著に表された「寳」の文字部分に着目し,周知・著名な請求人及び請求人グループ会社の「寶(宝/タカラ)」印と称呼観念される「寶(宝)」「タカラ」「TaKaRa」商標を直ちに想起して,当該役務があたかも請求人及び請求人グループ会社の業務に係る役務であるかのごとく誤認して取引に当たる蓋然性が極めて高く,役務の出所につき混同を生ずるおそれがあるといわざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
第4 被請求人の答弁
被請求人は,請求人の上記主張に対し,何ら答弁していない。
第5 当審の判断
1 本件審判の請求の利益について
本件審判請求に関し,利害関係については当事者間に争いがなく,当合議体も,請求人は,本件審判の請求適格を有するものと判断するので,本案に入って審理する。
2 本件審判請求に係る指定役務について
本件商標は,その商標登録原簿の記載によれば,前記第1のとおり,登録異議の申立てがされた結果,その指定役務中,第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第43類「飲食物の提供,飲食物の提供に関する指導・助言及び情報の提供,簡易食堂における飲食物の提供,レストランにおける飲食物の提供,セルフサービス式レストランにおける飲食物の提供,バーにおける飲食物の提供,和食の提供,ケータリング(飲食物)」について取消決定がされ,その確定登録が令和2年4月10日にされている。(以下,取消決定が確定した役務を「取消確定役務」という。)
そして,上記取消決定の確定により,本件商標に係る指定役務中,当該役務に関する商標権は,初めから存在しなかったものとみなされる結果(商標法第43条の3第3項),本件審判の請求は,その指定役務中,上記取消確定役務に係る請求については,その請求の対象物が存在しない不適法なものであって,その補正をすることができないものである。
したがって,本件審判請求に係る指定役務中,上記取消確定役務についての審判の請求は,商標法第56条第1項において準用する特許法第135条の規定により,これを却下すべきものである。
以下,本件審判請求に係る指定役務中,取消確定役務を除いたその余の指定役務を,「無効請求役務」という場合がある。
3 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は,別掲1に示すとおり,筆書き風の書体で表された「寳龍創房」の文字と,当該漢字の「龍」から「房」の文字の下にやや小さく「HORYU」及び更に小さく「SOBO」の文字を二段に横書きし,当該「寳龍創房」の文字に続いて,外側を太く内側を細い実線で表した二重円輪郭に内接するように太字で表された「寳」の文字(「寳」は「宝」の異体字。以下同じ。:「漢字源改訂第四版」株式会社学習研究社)をそれぞれ配した構成からなるものである(以下,「二重円輪郭に内接するように太字で表された『寳』の文字部分」を「太字『寳』部分」という。)。
そして,本件商標中,「寳龍創房」の文字の下段に表された「HORYU」及び「SOBO」の欧文字は,その上段に記された漢字「寳龍創房」の音読みをローマ字表記したものと認識されるものであることから,これらの漢字と欧文字からは,一連一体となった「ホウリュウソウボウ」の称呼が無理なく生じ得るものであり,両者に称呼上のつながりがあることから,それらはまとまりの良い一体的なものとして把握されるものである。また,本件商標中,上段末尾に表された二重円輪郭及び太字「寳」部分は,輪郭により漢字一文字を囲む態様からなるものである。
そうすると,称呼上のつながりによって一体的に見て取れる「寳龍創房」並びに「HORYU」及び「SOBO」の文字部分と,二重円輪郭及び太字「寶」部分とは,その構成態様が異なるものであるから,視覚的に明確に分離して把握されるものであって,これを分離して観察することが,取引上,不自然であると思われるほど不可分に結合しているものとはいえず,他にこれらの部分を常に一体にみなければならない特段の事情も見いだせない。
してみれば,本件商標の構成中,二重円輪郭及び太字「寳」部分も,独立して本件商標の要部として自他役務の識別機能を果たし得るものである。
そして,太字「寳」部分と二重円輪郭とが観念的に密接な関連性を有しているとは考え難い上,二重円輪郭は,単なる輪郭であることを超えて,「寳」の文字を特徴づけ,「寳」の文字以外の観念を与えるような特殊な意味合いを有するものと認めることもできないから,「宝」の異字体である「寳」の文字が自他役務の識別標識としての機能を果たし得ると判断するのが相当である。
してみると,本件商標は,その構成中の太字「寳」部分のみを抽出し,他人の商標と比較して商標としての類否を判断することが許されるものであるから,当該文字に相応した「タカラ」の称呼及び「宝(貴重な品物。大切な財物。)」の観念(以下「『宝』の観念」という。)が生ずるものである。
(2)引用商標
引用商標は,前記第2のとおり,「宝」,「TaKaRa」,「タカラ」,「TAKARA」,「たから」の文字からなるか,又は,「宝」の文字,ややデザイン化された「宝」の異字体「寶」の文字(「漢字源改訂第四版」株式会社学習研究社)を要部とするものである。
してみると,引用商標は,いずれもその構成文字又はその要部の構成文字に相応して,「タカラ」の称呼を生じ,「宝」の観念を生ずるというのが相当である。
(3)本件商標と引用商標との類否
ア 外観について
本件商標と引用商標を比較するに,外観については,両者は全体の外観において差異を有するものであるが,本件商標の要部である太字「寳」部分と引用商標(引用商標31についてはその要部。)を比較すると,両者は,円状輪郭の有無,漢字と欧文字又は片仮名等の文字種において差異を有するものの,「寳」と「寶」又は「宝」は,同じ「宝」の漢字又はその異体字であり,また,商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記したり,デザイン化したりすることが一般的に行われている取引の実情があることも考慮すると,上記の差異は,本件商標と引用商標が全く別異のものであることを認識させるほどの外観上の顕著な差異として,強い印象を与えるものではないというべきであり,両者の外観における差異が,商標の類否全体に大きな影響を与えるものとまではいえない。
イ 称呼について
本件商標及び引用商標からは,共に「タカラ」の称呼を生じるものであるから,両者は称呼において共通する。
ウ 観念について
本件商標及び引用商標からは,共に「宝」の観念を生じるものであるから,両者は観念において共通する。
エ 小括
以上のとおり,本件商標と引用商標は,「タカラ」の称呼及び「宝」の観念を共通にするものであり,外観において差異を有するとしても,その差異は,本件商標及び引用商標に接する者に対し,称呼及び観念を共通にすることによる類似性を凌駕する程の外観上の差異として認識されるとはいえないものであるから,両者の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのある類似する商標と判断するのが相当である。
したがって,本件商標は,引用商標と同一又は類似の役務に使用された場合に,当該役務の出所について誤認混同を生ずるおそれのある類似する商標といわなければならない。
(4)無効請求役務と引用商標の指定商品及び指定役務の類否について
ア 無効請求役務中,第35類「フランチャイズ事業の運営及び管理,インターネット・携帯電話を利用した商品の通信販売に関する情報の提供,インターネット・携帯電話を利用した商品の通信販売の媒介又は取次ぎ,インターネットにおけるショッピングモール事業の運営及び管理,インターネット又はカタログを利用した商品の売買契約の媒介又は取次ぎ,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,インターネットによる商品の販売に関する情報の提供,コンピュータによる顧客管理,事業の管理及び組織に関する指導及び助言,他人の商品及びサービスのライセンスに関する事業の管理,ウェブサイト経由による事業に関する情報の提供,商品・役務の買い手及び売り手のためのオンライン市場の提供,商取引の媒介・取次ぎ又は代理,人事管理に関するコンサルティング,商取引の受注管理,事業所の移転の助言,スポンサー探し,販売を目的とした、各種通信媒体による商品の紹介,販売促進のための企画及び実行の代理,マーケティング,インターネットにおけるウエブサイト上の広告スペースの提供,インターネットにおけるウエブサイト上の広告スペースの貸与,広告場所の貸与,広告用具の貸与,輸出入に関する事務の代理又は代行,インターネット・携帯電話を利用した通信販売の注文・受付・配送に関する事務処理代行,文書又は磁気テープのファイリング」は,引用商標47及び引用商標48の指定役務中,第35類「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,輸出入に関する事務の代理又は代行,文書又は磁気テープのファイリング,広告用具の貸与」等と,同一又は類似の役務であり,同じく,本件審判請求に係る役務中,第35類「食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を「小売等役務」という。)は,引用商標1ないし引用商標4の指定役務中の「飲食料品の小売等役務,酒類の小売等役務,食肉の小売等役務,食用水産物の小売等役務,野菜及び果実の小売等役務,菓子及びパンの小売等役務,牛乳の小売等役務,清涼飲料及び果実飲料の小売等役務,茶・コーヒー及びココアの小売等役務,加工食料品の小売等役務等と,同一又は類似の役務である。
イ 無効請求役務中,第35類「食肉の小売等役務,野菜及び果実の小売等役務,菓子及びパンの小売等役務,牛乳の小売等役務,清涼飲料及び果実飲料の小売等役務,茶・コーヒー及びココアの小売等役務」は,引用商標7,引用商標13ないし引用商標16,引用商標18ないし引用商標22,引用商標25ないし引用商標31,引用商標33ないし引用商標36及び引用商標40ないし引用商標46の指定商品とは,小売等役務とその取扱商品の関係にあり,これらは一般的に同一業者によって提供又は販売され,需要者の範囲も一致することから,互いに類似するものである。
ウ 無効請求役務中,第43類「ラーメンの提供,ラーメンを主とする飲食物の提供,軽食堂における飲食物の提供,カフェテリアにおける飲食物の提供,喫茶店における飲食物の提供,調理用機械器具の貸与,家庭用電気式ホットプレートの貸与,家庭用電気トースターの貸与,家庭用電子レンジの貸与」は,引用商標49ないし引用商標52の指定役務中,第43類「飲食物の提供,ルームクーラーの貸与,家庭用電気トースターの貸与,家庭用電子レンジの貸与,家庭用ホットプレートの貸与」と,同一又は類似の役務である。
(5)小括
以上によれば上記(3)のとおり,本件商標は引用商標と類似する商標であり,上記(4)のとおり,無効請求役務と引用商標(上記(4)に記載のものに限る。)の指定商品及び指定役務とは,同一又は類似するものである。
したがって,本件商標は,その指定役務中,無効請求役務について,商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
商標法第4条第1項第15号は,「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第10号から前号までに掲げるものを除く。)」と規定されている。
したがって,本件商標は,上記1のとおり,その指定役務中,無効請求役務について,商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同項第15号の括弧書きの規定により,同号に該当するとはいえない。
5 むすび
以上のとおり,本件商標は,その審判請求に係る指定役務中,第35類「フランチャイズ事業の運営及び管理,インターネット・携帯電話を利用した商品の通信販売に関する情報の提供,インターネット・携帯電話を利用した商品の通信販売の媒介又は取次ぎ,インターネットにおけるショッピングモール事業の運営及び管理,インターネット又はカタログを利用した商品の売買契約の媒介又は取次ぎ,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,インターネットによる商品の販売に関する情報の提供,コンピュータによる顧客管理,事業の管理及び組織に関する指導及び助言,他人の商品及びサービスのライセンスに関する事業の管理,ウェブサイト経由による事業に関する情報の提供,商品・役務の買い手及び売り手のためのオンライン市場の提供,商取引の媒介・取次ぎ又は代理,人事管理に関するコンサルティング,商取引の受注管理,事業所の移転の助言,スポンサー探し,販売を目的とした、各種通信媒体による商品の紹介,販売促進のための企画及び実行の代理,マーケティング,インターネットにおけるウエブサイト上の広告スペースの提供,インターネットにおけるウエブサイト上の広告スペースの貸与,広告場所の貸与,広告用具の貸与,輸出入に関する事務の代理又は代行,インターネット・携帯電話を利用した通信販売の注文・受付・配送に関する事務処理代行,文書又は磁気テープのファイリング,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第43類「ラーメンの提供,ラーメンを主とする飲食物の提供,軽食堂における飲食物の提供,カフェテリアにおける飲食物の提供,喫茶店における飲食物の提供,調理用機械器具の貸与,家庭用電気式ホットプレートの貸与,家庭用電気トースターの貸与,家庭用電子レンジの貸与」については,商標法第4条第1項第15号に該当しないとしても,同第11号に該当し,その登録は同項の規定に違反してされたものであるから,同法第46条第1項の規定に基づき,無効とすべきものである。
また,本件審判請求に係る指定役務中,第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第43類「飲食物の提供,飲食物の提供に関する指導・助言及び情報の提供,簡易食堂における飲食物の提供,レストランにおける飲食物の提供,セルフサービス式レストランにおける飲食物の提供,バーにおける飲食物の提供,和食の提供,ケータリング(飲食物)」についての審判の請求は,商標法第56条第1項において準用する特許法第135条の規定により,これを却下すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。