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Trademark Appeal Case

品質表示とデザインの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−16863(T2019−16863/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第24類「織物製タオル,タオルケット,タオル地のハンカチ,タオル生地,タオル」を指定商品として、平成30年6月26日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標中、上部の『肌触りがさらっと柔らかく、きめ細かいパイルで吸水速乾に優れたタオル』は、本願の指定商品との関係において、単に品質を表すものである。他方、本願商標中、下部の『さらっと速乾タオル』についてみると、『さらっと』の文字は、『湿り気や粘り気がなく、さわやかなさま。』の意味を有する語であり、『さらっとした手触り』のように用いられている語である。また、『速乾』の文字は、『短時間で乾くこと。』の意味を有する語である。そうすると、本願商標中『さらっと速乾タオル』は、全体として、『湿り気や粘り気がなく、さわやかで、短時間で乾くタオル』程の意味合いを容易に看取させるものである。そして、本願の指定商品を取り扱う業界においては、感触がさらっとしていることを特性とする商品及び速乾性を有する商品が製造、販売されている実情があることからすると、本願商標中、『さらっと速乾タオル』についても、その指定商品との関係においては、『感触がさらっとしていて、速乾性を有するタオル』であると、需要者が認識するにとどまることから、単に商品の品質を表すものである。してみれば、本願商標は、全体として、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における審尋及び請求人の回答の要点

本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について、職権に基づく証拠調べを実施し、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、令和2年9月25日付け審尋で、別掲2ないし6のとおり、その結果を通知するとともに、合議体の暫定的見解について通知したところ、これに対し、請求人は、令和2年12月4日受付の意見書を提出し、要旨、以下のように主張した。

1 本願商標の構成中、「さらっと速乾タオル」の言葉は識別力を有する

「さらっと」の文字部分からは複数の観念が生じること、また、その語順から、「さらっと」の語がいずれを形容しているのか直ちに判然としない。ゆえに、「さらっと速乾タオル」の文字部分は、複数の観念が生じ得る意味合いが漠然とした造語である。

また、提示された引用情報には、「さらっと速乾」の文字が使用されておらず、「さらっと速乾タオル」という語順の文字が「湿り気や粘り気がなく、さわやかで、短時間で乾くタオル」程の商品の品質を単に表示するものとして普通に用いられるものであることまでを裏付けるものとはいえない。

よって、本願商標全体としても、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章「のみからなる」商標には該当しない。

2 本願商標は普通に用いられる程度を超えた特殊なデザインを施した商標である

ア 提示された引用情報には、本願商標のように、曲線を使用し、かつ、文字の大小を交え、文字の位置を波打つように上下に変えたものの使用情報の提示はない。それぞれ切り取ってみれば、一般的に使用される表現方法だとしても、それら表現方法を、工夫して組み合わせて表現することによって、全く異なった印象の外観となることがある。本願商標は、「さらっと速乾タオル」の「サラットソッカン」という、小気味良く発音される称呼から感じる爽やかな印象を、視覚的にも表現したいという出願人の創造性から生じた工夫を凝らした、優れたデザインの商標であって、単に、横線を引いたり、文字の大小を変更するといった単純な工夫からは生まれることのないものである。ゆえに、本願商標は、普通に用いられる程度を超えた特殊なデザインを施した商標である。

イ 別掲5で提示された使用例では、いくつかのパターンの「横線を用いた表示」が使用されている事実は示しているものの、それぞれの「横線を用いた表示」が「自他商品識別機能を発揮していない」ことまで示すものではない。

ウ 別掲6で示されている「波打つように表示された文字」や「大小交えて表示された文字」は、いずれも「チラシのタイトル部分」においてそのような文字デザインが施されている例であるから、これが本願商標の外観的特徴から生じ得る識別力の論点と関連性が高いとはいえない。

第4 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号該当性

(1)本願商標について

ア 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、上部に、長さの異なる2本の線が同程度に僅かに湾曲して表され、それらの線の間に、各線に沿うように、「肌触りがさらっと柔らかく、」及び「きめ細かいパイルで吸水速乾に優れたタオル」の文字を2段で小さく表し、そして、下部に、「さらっと速乾タオル」の文字を、各文字の大きさ及び位置を僅かに変えて大きく表示してなるものである。

そして、本願商標は、指定商品を、第24類「織物製タオル,タオルケット,タオル地のハンカチ,タオル生地,タオル」とするものである。

イ 本願商標の構成中、上部に表された「肌触りがさらっと柔らかく、きめ細かいパイルで吸水速乾に優れたタオル」の文字は、本願の指定商品との関係において、当該文字どおりの品質を記述的に表したものというのが相当である。

また、本願商標の構成中、下部に表された「さらっと速乾タオル」の文字については、「さらっと」の文字(語)は、「湿り気や粘り気がなく、さわやかなさま。」の意味を有する語であり、「さらっとした手触り」のように用いられている語である(「大辞泉第2版」株式会社小学館)。また、「速乾」の文字(語)は、「短時間で乾くこと。」(同掲書)の意味を有する語である。

(2)本願の指定商品を取り扱う業界における取引の実情

ア 職権による調査によれば、例えば、別掲2(1)ないし(11)のとおり、本願の指定商品を取り扱う業界では、インターネット上のウェブサイトにおいて、「さらっと(サラッと)」の語が、商品説明等において、「(触感が)さらっとしたこと」ほどの意味合いを表す語として多数使用されていることが認められる。

また、例えば、別掲3(1)ないし(7)のとおり、本願の指定商品以外の分野においても、「さらっと(サラッと)」の語が、商品説明等において、「(触感が)さらっとしていること」ほどの意味合いを表す語として多数使用されていることが認められる。

そうすると、本願の指定商品を取り扱う業界において、「さらっと(サラッと)」の語は、「(触感が)さらっとしていること」といった商品の品質を表す語として使用され、かつ、取引者、需要者に認識されているというのが相当である。

イ 職権による調査によれば、例えば、別掲4(1)ないし(5)のとおり、本願の指定商品を取り扱う業界では、インターネット上のウェブサイトにおいて、「速乾」の語が、商品説明等において、「短時間で乾くこと」ほどの意味合いを表す語として使用されていることが認められる。

そうすると、本願の指定商品を取り扱う業界において、「速乾」の語は、「短時間で乾くこと」といった商品の品質を表す語として使用され、かつ、取引者、需要者に認識されているというのが相当である。

ウ 前記ア及びイからすると、「さらっと」、「速乾」及び「タオル」の文字を結合させた「さらっと速乾タオル」の文字は、本願の指定商品を取り扱う取引者、需要者に対して、「(触感が)さらっとした、速乾性を有するタオル」といった商品の品質を表したものとして認識されるとみるのが相当である。

エ また、職権による調査によれば、別掲5(1)ないし(8)のとおり、本願の指定商品を取り扱う業界では、インターネット上のウェブサイトにおける広告宣伝において、本願商標と同様に、横線を用いた表示が広く用いられている事実が認められる。

さらに、職権による調査によれば、別掲2(6)及び別掲6(1)ないし(4)のとおり、商品及び役務の広告宣伝において、文字を波打つように表示したり、文字を大小交えて表示したりすることが一般に行われていることが認められる。

オ そうすると、本願の指定商品を取り扱う分野における広告宣伝において、横線を用いることは、一般的に用いられているものであって、当該横線部分が、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとはいえない。また、近時、商標や広告宣伝に用いる各種文字について、需要者の注意をひき、視覚的効果を狙う方法として、様々な表示態様を用いることが一般的になってきていること並びに別掲2(6)及び別掲6(1)ないし(4)を踏まえると、本願商標の文字部分における各文字が、大きさが異なる表示で表され、かつ、僅かに位置を上下に変えて表した部分があるとしても、通常の工夫の範囲を超えるものとはいえない。

したがって、本願商標は、たとえその構成中に横線が表示されたり、文字の大きさを異にして表示されたり、文字の位置を上下に変えて表示されたりしているとしても、これらはいずれも普通に用いられる方法の範囲内にとどまるというのが相当である。

(3)判断

以上からすれば、本願商標の構成中、上部の「肌触りがさらっと柔らかく、きめ細かいパイルで吸水速乾に優れたタオル」の文字部分は、当該文字どおりの品質を記述的に表したものであり、また、下部の「さらっと速乾タオル」の文字部分は、「(触感が)さらっとした、速乾性を有するタオル」といった商品の品質を表したものである。

そうすると、本願商標は、これをその指定商品に使用するときは、その商品が、「肌触りがさらっと柔らかく、きめ細かいパイルで吸水速乾に優れたタオル」であること及び「(触感が)さらっとした、速乾性を有するタオル」であること並びに「当該タオルを生地に使用した商品」であることといった商品の品質を表したものと、需要者、取引者が認識するにとどまるものというのが相当である。

また、本願商標の態様は、普通に用いられる方法の域を脱しない方法で表示するものというのが相当である。

したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 請求人の主張について

(1)請求人は、本願商標の構成中、「さらっと速乾タオル」の文字について、「さらっと」の文字部分からは複数の観念が生じること、その語順から、「さらっと」の語がいずれを形容しているのか直ちに判然としないこと、また、提示された引用情報には、「さらっと速乾」の文字が使用されていないことから、「さらっと速乾タオル」の文字部分は、複数の観念が生じ得る意味合いが漠然とした造語であると主張する。

しかしながら、たとえ「さらっと」の文字自体から複数の観念が生じる場合があるとしても、上記1(2)アのとおり、本願の指定商品を取り扱う業界では、「さらっと(サラッと)」の語が、商品説明等において、「(触感が)さらっとしたこと」ほどの意味合いを表す語として多数使用されており、そのため、当該語が「『(触感が)さらっとした』という品質」を表す語として使用され、かつ、取引者、需要者に認識されているというべきである。

そうすると、たとえ「さらっと速乾」の文字が使用されていないとしても、「さらっと速乾タオル」の文字が本願の指定商品に使用されたときには、これに接する取引者、需要者は、その構成中「さらっと」の文字について「(触感が)さらっとしたこと」の意味合いを認識し、これに続く「速乾」の文字ではなく、その後ろの「タオル」の文字を修飾するものと理解し、全体として「(触感が)さらっとした、速乾性を有するタオル」といった商品の品質を表したものとして認識するとみるのが相当である。

加えて、本願商標は、その構成中、上部に「肌触りがさらっと柔らかく、きめ細かいパイルで吸水速乾に優れたタオル」の文字を有するものであるから、本願商標がその指定商品に使用されたときには、その上部の文字とも相まって、下部の「さらっと速乾タオル」の文字における「さらっと」の文字部分については、「(触感が)さらっとしたこと」の意味合いをなおさら認識されるというべきである。

(2)請求人は、提示された引用情報には、本願商標のように、曲線を使用し、かつ、文字の大小を交え、文字の位置を波打つように上下に変えたものの使用情報の提示はないから、それぞれ切り取ってみれば、一般的に使用される表現方法だとしても、それら表現方法を、工夫して組み合わせて表現することによって、全く異なった印象の外観となることがある旨、及び、別掲6で示されている「波打つように表示された文字」や「大小交えて表示された文字」は、いずれも「チラシのタイトル部分」においてそのような文字デザインが施されている例であるから、これが本願商標の外観的特徴から生じ得る識別力の論点と関連性が高いとはいえない旨を述べ、本願商標は普通に用いられる程度を超えた特殊なデザインを施した商標である旨主張する。

しかしながら、上記1(2)エのとおりの実情が認められることからすれば、本願の指定商品を取り扱う分野における広告宣伝において、横線を用いることは、一般的に用いられているものであって、当該横線部分が、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとはいえないし、近時、商標や広告宣伝に用いる各種文字について、需要者の注意をひき、視覚的効果を狙う方法として、様々な表示態様を用いることが一般的になってきていること及び上記1(2)エの実情を踏まえると、本願商標における文字部分における各文字が、大きさが異なる表示で表され、かつ、わずかに位置を上下に変えて表した部分があるとしても、通常の工夫の範囲を超えるものとはいえない。そうすると、本願商標は、普通に用いられる程度を超えた特殊なデザインを施した商標とはいえない。

(3)請求人は、過去の審決例が存在する旨主張するが、これらの審決例は、本願商標とは、構成文字や構成態様が異なるものであって、かつ、具体的事案の判断においては、過去の登録例等に拘束されることなく、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから、これらの事例の存在によって、上記1の認定判断が左右されるものではない。

(4)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用できない。

3 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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