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Trademark Appeal Case

色彩商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−5307(T2018−5307/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第36類,第37類及び第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として,平成27年5月28日に登録出願され,その後,指定役務については,審判請求と同時に提出された同30年4月18日付け手続補正書により,第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守,照明用器具の修理又は保守,配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守,発電機の修理又は保守,電動機の修理又は保守」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は,「役務の提供の用に供する物又は広告に使用される色彩は,多くの場合,それらの魅力向上等のために選択されるものであって,役務の出所を表示し自他役務を識別するための標識としては認識し得ないため,本願商標を,その指定役務の提供の用に供する物又は広告に使用しても,これに接する需要者は,役務の提供の用に供する物又は広告に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるから,商標法第3条第1項第6号に該当する。また,出願人が提出した証拠からは,本願商標のみが独立して自他役務の識別標識として認識されるに至っているということはできない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知

本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲2に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,令和元年8月1日付け証拠調べ通知書によって通知し,期間を指定して,これに対する意見を求めた。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨

請求人は,証拠調べによっては,本願の指定役務と同種の業界において,本願商標と同一の色彩の組合せが使用されている例を発見することができなかったものであり,本願商標に係る色彩の組合せは,配色や色彩の配列及び割合において特有のものであり,かつ,請求人のみにより使用している事実が裏付けられたものであるから,本願商標は何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標には当たらない旨主張する。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第6号該当性について

(1)本願商標について

本願商標は,上記第1のとおり,色彩のみからなる商標であって,上から,青色(マンセル値:5.7PB 4.4/10.0),黒色(マンセル値:N1.0),赤色(マンセル値:6.8R 5.2/14.9)の順に配色してなり,その配色の割合は,青色が75パーセント,黒色が20パーセント,赤色が5パーセントである。

(2)本願指定役務を提供する業界における色彩の使用状況について

ア 役務の提供の用に供する物又は広告の装飾等に使用される色彩は,様々な色彩を組み合わせたものも含め,多くの場合,それらの魅力向上等のために選択されるものであるから,役務の出所を表示し,自他役務を識別するための標識として認識し得ないものである。

イ 当審における証拠調べ通知において示したとおり,本願指定役務を提供する業界において,別掲2のとおり,建設工事現場の仮囲いや工事看板,ネットフェンス,作業員のヘルメット,並びに企業のロゴマーク,社旗,ウェブサイト及び展示ブース等といった役務の提供の用に供する物又は広告において,本願商標を構成する青色,黒色及び赤色の組合せ又は様々な色彩を組合せたものが使用されている事実がある。

ウ 請求人提出の資料において,例えば,赤色,白色及び黄色よりなる大型クレーンが多数の写真に掲載されているほか,資料20(左側頁の右上部写真)及び資料21(左側頁の左中央写真)には,一部に紺色が用いられ全体的には黄色を基調とした機材(ロボット)が,資料28(右側頁の左写真)には,上部が白色で下部が青色よりなる仮囲いが,資料44(左側頁の右上写真)の薄い青色・濃い青色及び白色からなるシートが,資料97(左下写真)には水色を基調としたヘルメット及び新規作業員用のピンクのヘルバンドが,資料141(右下写真)には,青色を基調とした高所作業車が,資料211(両頁にまたがる写真)には,オレンジ色と灰色からなる水平伸縮式クレーンが掲載されているように,建設工事に用いる機材や仮囲い等に様々な色彩を組み合わせたものが使用されている事実がある。

(3)本願商標に接する需要者の認識について

本願商標は,上記(1)のとおりの色彩よりなるところ,当該色彩を構成する青色,黒色及び赤色又は様々な色彩を組み合わせたものが,上記(2)のとおり,本願指定役務を提供する業界において,役務の提供の用に供する物又は広告に使用されている事実がある。

そして,役務の提供の用に供する物又は広告に使用される色彩は,一般にそれらの魅力向上等に資する装飾等と認識されることを踏まえると,青色,赤色及び黒色の組合せからなる本願商標は,役務の提供の用に供する物又は広告の魅力向上等に資する目的で使用される色彩の一種であるというべきである。

また,本願商標を構成する色彩は,原色である青色及び赤色並びに黒色といった基本の色によって構成されており,全体の配色が格別特異な印象を与えるものではない。

そうすると,本願商標をその指定役務について使用をしても,これに接する取引者,需要者は,役務の提供の用に供する物又は広告に通常使用され又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,役務の出所を表示し,自他役務を識別するための標識として認識することはないというべきであるから,本願商標は何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であると判断するのが相当である。

したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。

2 使用による自他役務識別力の獲得の有無について

請求人は,本願商標の構成態様に加え,長期間にわたる継続的かつ反復的な使用が繰り返されることにより,需要者が,本願商標を他の色彩と区別して,役務の出所識別標識として認識できる色彩である旨主張し,その証拠として資料1ないし資料214(枝番号を含む。)を提出しているため,以下検討する。

(1)請求人提出の証拠及び同人の主張について

ア 使用開始時期及び期間

請求人は,1987年11月11日に本願商標を含めたコーポレートカラーを制定し,1988年3月には社内マニュアル「SHIMIZU SYMBOL & LOGOS BOOKS」を発行し,同年3月31日付けで,全国の各支店に対して本願商標の使用を指示したことから,同年4月1日以降,マニュアルに規定されている現場設置基準等に基づいて,本願商標が全国的に使用されるようになった(資料170,資料179,資料180)。

その後,請求人により,同マニュアルは,2002年9月1日付けで「SHIMIZU SYMBOL & LOGO DEDIGN MANUAL」として改訂がなされ,2016年4月には,共同体企業(ジョイント・ベンチャー)向けの「JV LOGO DEDIGN MANUAL」を策定された(資料181,資料182)。

以上によれば,本願商標は1988年頃から,現在に至るまで請求人によって使用されているといえる。

イ 本願商標の使用の対象

請求人は,本願商標又はこれと配色若しくはその割合が異なる色彩を建設工事の現場において,仮囲い,ネットフェンス,工事看板,社旗,建設機材,建設や点検用のロボット,仮囲い用コーナーガード,溶接火花養生シート等に使用をしている(資料5,資料9〜資料11,資料14,資料15,資料19,資料25,資料140,資料146,資料147,資料151,資料187〜資料204ほか)。また,請求人は,自己の支店・営業所等において,本願商標又はこれと配色若しくはその割合が異なる色彩を,看板や手提げ袋,名刺等(資料7,資料72,資料72の2,資料109,資料110)並びに展示会における展示ブース,社員の送迎バス及び移動計測車の車両の一部に使用している(資料148〜資料149)。

なお,これらの資料には,本願商標のほかに「清水建設」若しくは「shimz」の各文字又は楕円形内に斜線が配された図形(以下,「楕円形図形」という。)も表示されている。

ウ 使用地域

請求人は,本願商標又はこれと配色若しくはその割合が異なる色彩を,全国に点在する請求人の工事現場や支店等に使用していることがうかがえる(資料3,資料105〜資料111,資料114〜資料116,資料146,資料147,資料151ほか)。

エ 使用実績及び発注実績

請求人の主張は以下のとおりであるが,資料番号のないものは具体的な証拠の提出がないものである。

(ア)本願商標は,常時約1,400の全国各地の建設現場及び事業所において使用されている。

(イ)本願商標を付した名刺は,1987年11月より使用され,年間約150万枚発行されている。

(ウ)2016年1月から12月まで,本願商標を付した備品(工事名看板を約430枚,社旗を約430枚,仮囲いを約1,700組,垂れ幕・ポスターを合計11,800〜12,600枚程度)を発注している。

(エ)展示会への出展として,「RADIEX(環境放射能対策・廃棄物処理国際展)2012」,「FOOMA(国際食品工業展)2017〜2019」,「ハイウェイテクノフェア2014」,「メッセ名古屋」,「おもちゃショー」,「下水道展」,「国際総合物流展2008」に出展した(資料207)。

オ 請求人の事業規模

請求人は,1804年に創業し大規模な建設工事を施工する事業者であって,従業員数は2016年4月1日時点で10,751人,全国各地に事業所を有し(資料1,資料3),また,請求人の平成27年度の売上高は,61社中最上位5社に入るものである(資料184〜資料186)。

カ 受賞実績

請求人は,一般社団法人日本建築業連合会による「BSC賞」を,昭和36年から平成15年にかけて100件以上,公益財団法人ロングライフビル推進協会による「BELCA賞」を平成3年から平成14年にかけて合計25件,公益財団法人土木学会による「土木学会田中賞」及び「土木学会技術賞」を,昭和52年から平成14年にかけて合計26件,それぞれ受賞している(資料167〜資料169)。

(2)判断

ア 上記(1)からすると,請求人は,1988年頃から,本願商標又はこれと配色若しくはその割合が異なる色彩を,建設工事現場の仮囲い,ネットフェンス,建設機材,建設や点検用のロボット(以下,「ロボット」という。),展示ブース等といった,本願の指定役務中「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備使用」の提供の用に供する物又は広告に使用してきたといえる。

しかしながら,これらの使用の中には本願商標のほかに,「清水建設」若しくは「shimz」の各文字又は楕円形図形も表示されており,このうち本願商標よりも上記各文字や楕円形図形部分が占める割合が大きく顕著に表されているものが多い(資料5,資料9,資料11,資料15,資料17,資料19,資料20,資料23,資料28,資料39,資料44,資料60,資料63他)。

そうすると,請求人による本願商標の使用において,看者の注意を強くひくのは本願商標というよりはむしろ上記各文字や楕円形図形部分であるというべきであって,本願商標が,自他役務を識別するための標識として独立して認識されるものとはいい難い。

イ 請求人が施工する建設工事は大規模なものが多く,例えば建設工事現場の仮囲いにしても,その使用面積,範囲が広大といえる(資料14,資料19,資料74,資料76,資料89,資料93,資料96(右上の写真),資料102,資料132,資料136,資料142,資料144(左下の写真),資料146)ところ,このような広範囲の仮囲いの一部に本願商標が使用されていても,上記のとおり,本願商標が文字や楕円形図形が占める割合よりも大きくはないうえに,本願商標全体の配色が格別特異な印象を与えるものではないことからすれば,取引者,需要者が本願商標のみに着目すると認めることは困難というべきである。

また,請求人による建設工事現場のネットフェンスにおける本願商標の使用は,一般の需要者が認識することが困難なビルの高層の一部に使用している(資料63,資料74,資料76,資料146,資料147)ことに加え,ネットフェンス全体の青の色彩に埋没され(資料19,資料60,資料63,資料65,資料74,資料90,資料99)ているなど,本願商標とは異なる配色である印象を与える使用態様も多く見られる。しかも,ネットフェンス全体における本願商標の使用範囲の割合が極めて小さく,本願商標を視認すること自体が容易でないものもある。

その他,建設工事の規模と比較して本願商標の占める割合が極めて小さいなど,本願商標に着目し難い使用方法があることは,上記以外の資料からもいえる(例えば資料20(左側頁の右下写真),資料28,資料44,資料53,資料55)。

ウ 請求人による展示会への出展において,本願商標と同一視し得る色彩が使用されている事例も見受けられるものの,「RADIX2013」(ii)や「FOOMA2017」(iii)においては,展示ブースの各構成物に,本願商標を構成する各色が使用されているというだけであって,本願商標の配色やその割合とは異なるものであり,「FOOMA2018」(iv),「FOOMA2019」(v)では,青色とわずかな赤色が確認できるのみで黒色の使用が確認できず,「メッセ名古屋」(vii)では黒色と赤色が確認できないなど,全体として,青色又は白色の使用範囲が相当程度多く,黒色や赤色は使用されていないものがあるか使用されていても本願商標と比較して配色の割合が小さく,本願商標とは配色又はその割合が異なる色彩の使用である(資料207)。

また,展示会等における請求人の展示ブースとおぼしきもの(資料17,資料18,資料39,資料42(右側頁の上部写真),資料43,資料48,資料68〜資料70,資料92,資料104,資料112,資料135,資料137(左下写真))において,その多くにおいて青色又は白色を主要な色とし,赤色や黒色は使用されていないか使用されていても本願商標と比較して配色の割合が小さいものであるなど,本願商標とは配色又はその割合が異なる色彩の使用が多い。

エ 請求人は,ロボットに関するプレスリリースを行い,メディアでも取り上げられたと主張しているものの(資料199〜資料203),それらの記事はロボットの技術などに関する話題であって,例えばロボットの色彩がコーポレートカラーを意味するなど,本願商標の色彩に焦点を当てた記載は見当たらないことから,ロボットにおける色彩の使用が自他役務の識別標識として認識されるとはいえない。

オ 請求人提出の資料において,本願商標の色彩に焦点を当てた宣伝広告やメディアでの報道等並びに本願商標がその指定役務中「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備使用」以外の役務に使用されている証拠はない。

(3)小括

以上,アないしオよりすれば,本願商標は,その指定役務中「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備使用」について,使用されているとはいえるものの,自他役務を識別するための標識として独立して認識されるものとはいい難く,また,その使用態様も需要者が認識することが困難であるものや,本願商標とは配色又はその割合が異なるものの使用も多くみられるうえに,本願商標の色彩に焦点を当てた宣伝広告やメディアでの報道等はなく,ほかに本願商標がその指定役務に使用されて役務の出所を表示する又は自他役務の識別標識として認識されていると認めるに足りる事実は見いだせない。

そうすると,本願商標は,その指定役務に使用しても,自他役務を識別するための標識としての機能を果たし得るということはできない。

したがって,本願商標は,使用をされた結果,自他役務識別力を獲得し,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至っていると認めることはできない。

3 請求人の主張について

(1)請求人は,本願商標は,社内外で継続的に使用された結果,本願商標が独立して識別力を有するに至った旨主張する。

しかしながら,請求人提出の証拠及び同人の主張からは,本願商標が自他役務識別力を獲得するに至ったとは認められないことは,上記2のとおりである。また,請求人が提出した資料のうち,資料12以降の資料については,広報活動を示したものであるか,資料そのものが広報活動に用いられたものであるか,その趣旨が不明確なものも多く含まれるところ,いずれにしても,本願商標を構成する色彩に焦点を当てた記事内容を確認することができず,むしろ他の話題に焦点を当てた記事において,結果的に本願商標と同一又はその配色若しくはその割合が異なる色彩が写っているにすぎないと捉えられ得るものが多く,必ずしも本願商標について,特段注目を集める内容であるとはいい難い。

また,当該資料が,本願商標の継続的な使用を示す意図であるとしても,例えばコーポレートカラーを社旗や名刺等に使用するのは,多くの企業でも一般的に行っているものであるといえ,単にコーポレートカラーを使用したというのみで色彩そのものが自他役務識別力を獲得したということは困難というべきである。

そして,上記2で示したとおり,本願商標の使用態様,使用方法,広告活動において,本願商標に注目を集めるようなものとはいえない以上,これらの資料を考慮に入れたとしても,本願商標が,使用をされた結果,自他役務識別力を獲得したと認めることはできない。

(2)請求人は,建設現場では,大型トラック等が頻繁に出入りしており,作業員は,現場入り口に掲げられた大旗や看板,仮囲い,重機に付された本願商標が目印となって,現場の施工主が区別されている旨主張する。

しかしながら,上記2(2)アのとおり,建設工事の現場には,本願商標のほかに,文字や楕円形図形も表示されているうえに,本願商標の割合がそれらに比べて大きくはないこと,広範囲に及ぶ仮囲いの一部に本願商標が使用されていること,加えて必ずしも本願商標と同一視し得る色彩が付されているとは限らないことなどからすれば,現場に出入りする作業員は,本願商標の配色又はその割合を目印とするというよりはむしろ,確実に視認することができる「清水建設」及び「shimz」の各文字や楕円形図形を頼りに施工主を区別するとみるのが自然である。

(3)請求人は,BSC賞,BELCA賞,土木学会田中賞及び土木学会技術賞の受賞を例に挙げて,請求人が多くの賞を受賞した旨主張する。

しかしながら,これらの賞は建設工事の分野における「設計者」又は「施工者」としての技術力が評価されたものにすぎないというべきであり,これらの建設工事が進められる過程において,本願商標の配色又はその割合を,需要者に認識させる機会がどのように提供されたのか定かではないことからすれば,多くの賞を受賞したことをもって,本願商標が請求人の業務に係る役務であると需要者に認識されるに至ったと認めることはできない。

(4)請求人は,売上高が業界で最上位に入るなど事業規模が多く,多数の大規模工事を行ってきた実績がある旨主張する。

しかしながら,建設工事の規模が大きいからといってそれに比例して本願商標が大勢の需要者に認識される機会があったかは明らかではなく,大規模建設工事が実施される現場の中には,完成まで作業員以外の者が立ち入ったり近づいたりすることがないものも考えられるうえに,請求人が主張するように再開発などの大規模工事では他の建設工事が近接して行われているとすれば,工事現場付近に赴く者は限られた者であるといえるから,事業規模や建設工事の規模が大きいことをもって,本願商標が需要者の注目を集め,自他役務識別力を獲得するに至ったと認めることはできない。

(5)請求人は,上記第3の証拠調べによっては,本願商標と同一の色彩の組合せの使用例を発見することができなかったものであり,これにより,本願商標に係る色彩の組合せは,配色や色彩の配列及び割合において特有のものであり,かつ,請求人のみにより使用している事実が裏付けられたものであるから,本願商標は何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標には当たらない旨主張する。

しかしながら,上記1のとおり,請求人以外の者によって本願商標を構成する色彩又は様々な色彩を組み合わせたものが,本願指定役務を提供する業界において役務の提供の用に供する物又は広告に使用されていることからすれば,青色,赤色及び黒色の組合せからなる本願商標は,それらに使用される色彩の一種として需要者に認識されるというべきであるから,本願商標と同一の色彩の組合せの使用例がないことをもって,本願商標が自他役務識別力を獲得するに至ったと認めることはできない。

(6)請求人は,主として「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備」について使用による識別力が獲得されており,必要に応じて,本願指定役務を補正する手続を行う用意がある旨述べている。

しかしながら,上記2のとおり,本願商標はその指定役務中,「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備」に使用しても,自他役務識別力を獲得するに至っているということはできないことから,当合議体は本願指定役務の補正は必要ないと判断した。

(7)したがって,請求人の主張は,いずれも採用することはできない。

4 まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するから,これを登録することはできない。

よって,結論のとおり審決する。

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