Trademark Appeal Case
ローマ字数字結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2020−7290(T2020−7290/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「D4000」の文字を標準文字で表してなり、第6類「鉄及び鋼,ステンレス鋼,特殊鋼,非鉄金属及びその合金」を指定商品として、平成30年9月3日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、欧文字の『D』及び数字の『4000』を結合した『D4000』を標準文字で表してなるところ、一般に、欧文字1字又は2字の次に数字を組み合わせたものは商品の管理のための記号、符号等として、あるいは、シリーズ商品を識別するための記号等として普通に採択、使用されている。そうすると、商品の管理のための記号、符号等として、あるいは、シリーズ商品を識別するための記号等として一般に用いられている文字と同様に、その形や組み合わせ方法に特徴があるとは認められない本願商標を本願の指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者に、極めて簡単で、かつ、ありふれた記号、符号の一類型にすぎないものと理解させるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を有しないものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、令和2年9月18日付け証拠調べ通知書において、その結果を請求人に通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。
4 証拠調べの結果に対する請求人の意見(要旨)
(1)商標審査基準の第3条第1項第5号の「ありふれた標章」について
商標審査基準の第3条第1項第5号における「ありふれた」に該当するということは、商品の品番として一般的(特殊な事物・場合についてではなく、広く認められ行き渡っているさま)に使用されているか否かが問題になる。
証拠調べ通知書における新聞記事については、20年も前の証拠であり、これをもって判断することは適切ではなく、仮に20年前に品番として使用されていたとしても、現時点まで継続してこの商品について品番として使用されているとはいえないため、新聞記事には証拠能力がない。
また、同様にインターネット記事については、本願商標と同一の標章は3個、類似の標章は2個、非類似の標章は10個であって、3個の同一の標章及び類似まで範囲を広げたとしても、わずか5個の標章をもって、「一般的に使用されるもの」とまで断言できない。
さらに、インターネット記事3について、商品情報の頁に「D4000シリーズ」の記載があるところ、「シリーズ」は一連の商品群であることを表すために使用され、品番は商品群の中で、個別に区別するために使用されるものであり、「シリーズ」と「品番」は全く正反対の機能を有しているため、「シリーズ」と記載されたものは「品番」ではなく、「ある主旨のもとに企画された傾向の似た一連の事物」という出所表示機能を有するため、商標として機能している。すなわち、商品名は「D4000」であり、別に型番のリストがあることから「D4000」が商品名であることが感得され、「D4000」が商標として機能していることが立証される。
したがって、本願商標「D4000」は、「ありふれた標章」に該当しない。
(2)「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」について
商標審査基準の第3条第1項第5号の「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」に該当するものとして、「(オ)ローマ字と数字を組み合わせたものについて」において、「(i)ローマ字の1字又は2字の次に数字を組み合わせたもの」の記載がある。
本願商標「D4000」は、ローマ字の1字の次に数字を組み合わせたものではあるが、商標審査基準には、ローマ字の数は規定されているのに、数字の数は規定されておらず、数字の数について何文字を想定しているのかが不明である。このような場合には、商標審査基準の(例)を参考にすることが自然であって、(例)における記載が「A2」と「AB2」の、いずれも数字は1字であることから、「(i)ローマ字の1字又は2字の次に数字を組み合わせたもの」は、ローマ字の1字と数字の1字を組み合わせたものを想定して規定されたものと考えるのが自然である。拡大して考えたとしても、この例から許容できる範囲は、数字の2字位までであり、数字の4字までがこの規定に該当すると想起させることは困難である。
したがって、本願商標「D4000」は、「ローマ字の1字又は2字の次に数字を組み合わせたもの」に含まれず、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」に該当しない。
(3)結論
本願商標は、「ありふれた標章」に該当せず、または「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」にも該当しないため、本願商標をその指定商品に使用した場合、商品の出所識別標識として機能するものであり、商標法第3条第1項第5号に該当しない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第5号該当性について
本願商標は、上記1のとおり、「D」の欧文字と「4000」の数字を組合せた「D4000」の文字を、普通に用いられる方法で表してなるものである。
そして、一般に、欧文字と数字の組合せからなる表示は、様々な商品分野において、自己の製造、販売に係る各種商品について、その商品の管理又は取引の便宜性等の事情から、商品の型番、品番等を表示するための記号、符号として、取引上普通に採択、使用されているのが実情である。このことは、別掲の【インターネット記事】及び【新聞記事】に掲げるとおり、実際に商品の型番、品番等として、又は型番、品番等を構成する一部分として、欧文字1字と数字の組合せからなる表示が、広く採択、使用されている事実からも裏付けられるところである。
そうすると、本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、これを上記一般に広く採択、使用されている記号、符号の一類型を表示したものと認識するにとどまるとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標であって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、商標法第3条第1項第5号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、過去の登録例をあげ、個々の商標の指定商品及び指定役務や、取引実情に関係なく、商標の構成で参考にできる旨主張する。
しかしながら、出願された商標が商標法第3条第1項第5号に該当するか否かは、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、これに接する取引者、需要者の認識を基準として判断されるべきであり、当該商標の構成態様と指定商品及び指定役務との関係や商品及び役務の取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではない。
イ 請求人は、「D4000」の文字が品番ではなく、商標として使用され、出所識別標章として機能しており、取引者、需要者に出願人の業務に係る商品であることを認識させるに至っている旨主張し、甲第2号証ないし甲第8号証を提出している。
しかしながら、請求人の提出に係る甲各号証によっては、同人の製造、販売に係る商品について、「D4000」の標章が使用されていることをうかがえるにすぎず、その使用に係る具体的な開始時期、期間、生産及び販売の数量及び売上高、広告宣伝の方法、回数及び内容等は一切明らかでないことから、これをもって、本願商標が、出願人の業務に係る商品であることを表す出所識別標識として、取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていると判断することができない。
ウ 請求人は、当審における証拠調べ通知において開示した新聞記事について、証拠能力がない旨主張し、また、開示したインターネット記事について、同一及び類似のわずか5個の標章をもって、「一般的に使用されるもの」とまで断言できない旨主張する。
しかしながら、当該証拠は、実際の取引の事情において、本願商標のような欧文字1字と数字とを組合せたものが、商品の型番や品番等を表示するものとして採択、使用されている事実があることを例示的に列挙したものである。
そして、当該証拠調べ通知において開示した新聞記事及びインターネット記事の掲載内容からすると、本願商標の登録出願時及び現在において、欧文字1字と数字とを組み合わせたものが、商品の型番や品番等を表示するものとして普通に採択、使用されていると判断できるものであり、かつ、このような取引の事情を否定できる特別な事情は見いだすことができない。
エ 請求人は、商標審査基準の第3条第1項第5号に記載の「(i) ローマ字の1字又は2字の次に数字を組み合わせたもの」について、数字の数が規定されていないことから、例を参考に許容できる範囲は数字2字位までである旨主張し、また、当該例示から数字4字までがこれに該当すると想起させるのは困難である旨主張する。
しかしながら、商標審査基準に示す例は、当該規定に該当するものを例示的に列挙しているにすぎず、欧文字の次に数字の4字を組み合わせた例が記載されていないことをもって、本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当するという判断に影響を与えるものではない。
また、例として挙げられているのが数字1字の例であることをもって、許容できる範囲が数字の2字位までの旨の請求人の主張は、何らの根拠もなく、かかる主張は、失当といわざるを得ない。
したがって、請求人の上記アないしエの主張は、いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上によれば、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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