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Trademark Appeal Case

アニマルケアの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2020−3072(T2020−3072/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「アニマルケア」の文字を標準文字で表してなり、第41類、第42類及び第44類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成30年2月27日に登録出願された商願2018−23698に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同年12月5日に登録出願されたものである。その後、指定役務については、原審における平成31年1月30日付け及び当審における令和2年3月5日付け手続補正書により、最終的に第44類「実験用動物の飼育に関するコンサルティング,実験用動物の飼育,実験用動物の臨床検査」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

本願商標は、「『アニマルケア』の文字を標準文字で表してなるところ、『アニマル』の文字は『動物。』の意味を、『ケア』の文字は、『介護。世話。手入れ。』の意味を有するものであり、その構成全体から『動物の世話』の意味合いを理解させ認識させるものである。また、インターネット情報や新聞記事情報においては『動物の世話』程の意味をもって使用されている。したがって、本願商標をその本願指定役務中『動物の世話に関する各役務(例えば、動物の世話に関するセミナーの企画・運営又は開催,動物の飼育における動物の世話に関する知識の教授,動物の飼育,動物の飼育に関するコンサルティング,実験用動物の飼育)』に使用しても、単に役務の質を表示するにすぎないものと認められるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審おける証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、令和2年9月3日付け証拠調べ通知書をもって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。

4 職権証拠調べ通知に対する請求人の意見

証拠調べ通知において示された証拠1、2及び6は、「Animal care」の英語表記であり本願商標とは異なること、証拠3は、使用役務の分野が不明であること、証拠4、5、9及び10は、教育分野の役務における使用であり本願指定役務の分野と異なること、証拠7は「アニマルケアルーム」とのルーム名であること、証拠8は「アニマル ケア ラヴァーズ」であって「アニマルケア」ではなく役務の分野も異なることから、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとの理由にはならない。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、「アニマルケア」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標の構成中「アニマル」の文字は「動物。」を、「ケア」の文字は「介護。世話。手入れ。」を意味する(いずれも岩波書店「広辞苑第七版」)我が国において親しまれた平易な英語「animal」及び「care」の語を片仮名表記したものであるから、これらを組み合わせた当該文字全体から「動物の世話」程の意味合いを需要者、取引者に容易に認識、理解させるものというのが相当である。

また、別掲のとおり、「実験動物飼育管理/LABORATORY ANIMAL CARE・・・実験動物施設の立ち上げから動物飼育管理業務全般に至るまでトータルサポートいたします。・・・動物飼育管理の品質を高度に維持するため、クライアントの要望に応じて定期的に環境検査や実験動物の微生物検査を行います。」(別掲の2.)や「弊社の目標は、適切な飼育や作業方法につき、重きを置く企業文化を構築し、アニマルケアにおけるリーダーとなることです。弊社は会社全体として組織的に行動し、アニマルケアをサステナブル企業としてのベースとしております。」(別掲の3.)のように、「アニマルケア」又は「ANIMAL CARE」の文字が、「動物の世話(飼育)」の意味を表すものとして、実験用動物を含む動物の世話(飼育)の分野において、普通に用いられている実情がある。

そうすると、本願商標を構成する各語の意味や、前記の実情を勘案すれば、本願商標からは「動物の世話(飼育)」の意味合いを容易に理解、認識させるものというべきであり、これを指定役務のうち「実験用動物の飼育に関するコンサルティング,実験用動物の飼育」に使用しても、これに接する需要者、取引者は、実験用動物を含む「動物の世話(飼育)に関するコンサルティング,動物の飼育」であるということ、すなわち、役務の質(内容)を表示したものと認識するにとどまり、自他役務の識別標識とは認識しないものと判断するのが相当である。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)商標法第3条第2項の該当性について

請求人は、本願商標は、補正後の指定役務について長年にわたって使用をされた結果、商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであると主張し、当審において甲第1号証ないし甲第22号証(枝番号を含む。)を提出している。

ア これらの証拠及び請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。

(ア)請求人のパンフレットに、請求人の会社設立は、1974年2月1日との記載がある(甲12)。

(イ)雑誌等における広告について

雑誌「実験動物技術」(日本実験動物技術者協会発行/1995年 VOL.30 NO.1)(甲1)における広告、雑誌「LIBIO21」(公益社団法人 日本実験動物協会発行)(甲2)における広告、「広報」(日本実験動物技術者協会発行/第37号 2013年11月)(甲4)における広告、雑誌「EXPERIMENTAL ANIMALS」(日本実験動物学会発行/VOL.63,No.1JANUARY 2014)(甲5、甲17)における広告、「日本実験動物科学技術/さっぽろ2014」と題した資料(甲7)における広告、「第51回日本実験動物技術者協会総会2017山形大会」、「第52回日本実験動物技術者協会総会/講演要旨集」、「第53回日本実験動物技術者協会総会in松山/講演要旨集」と題した資料(甲8)における広告、「第65回日本実験動物技術者協会総会」及び「第66回日本実験動物技術者協会総会」と題した資料(甲9)における広告に、デザイン化された「株式会社 アニマル ケア」の記載がある。

また、雑誌「LIBIO21」(公益社団法人 日本実験動物協会発行)の「No.49 Jul.2012」(甲2)及び「No.48 APR.2012」(甲16)における広告、雑誌「実験動物と環境」(日本実験動物環境研究会発行/第39号vol.20(1)2012年4月1日発行)(甲3)における広告、「第52回日本実験動物学会総会」及び「第60回日本実験動物学会総会」と題した資料(甲6)における広告、「日本実験動物技術者協会/第44回全国総会in旭川」(2010年9月3日(金)〜4日(土)旭川市民文化会館)と題した資料(甲7)における広告に、上部に見出しとして大きく「ANIMALCARE」の記載、下部にデザイン化された「株式会社 アニマル ケア」の記載がある。

(ウ)展示会への出展について

「第52回日本実験動物学会総会」及び「第60回日本実験動物学会総会」と題した資料(甲6)、「日本実験動物技術者協会/関東支部会報/No.170」(2014年10月20日発行)と題した資料(甲7)、「日本実験動物科学技術/さっぽろ2014」と題した資料(甲7)、「第65回日本実験動物学会総会」及び「第66回日本実験動物学会総会」と題した資料(甲9)において、展示会の出展ブースとおぼしき写真の看板に「(株)アニマルケア」の記載がある。

(エ)自社パンフレットについて

請求人が1988年〜1997年頃に発行したと主張するパンフレット(甲10)において、表紙に大きく「ANIMAL/CARE」の記載、裏表紙にデザイン化された「株式会社 アニマル ケア」の記載がある。また、1998年〜2015年頃に発行したパンフレットと主張する資料(甲11)において、その上部に「ANIMAL CARE」の記載、下部にデザイン化された「株式会社 アニマル ケア」の記載がある。さらに、2016年以降に発行したと主張するパンフレット(甲12)において、表紙及び裏表紙中央に小さくデザイン化された「株式会社 アニマル ケア」の記載がある。

(オ)求人サイトにおける求人広告について

求人サイト「マイナビ」の請求人の求人広告(甲13)において、「株式会社アニマルケア」の記載がある。

(カ)自社ウェブサイトにおける使用について

自社ウェブサイトとされるもの(甲14)においては、左上にデザイン化された「株式会社 アニマル ケア」の記載がある。また、当該ウェブサイトの出力日は左下の記載から2020年2月7日であり、ページ中ほどには「Copyright(c)2012」((c)は欧文字「c」を円で囲んだもの)の記載がある。

(キ)その他

請求人の創業者を偲ぶ特集が掲載された雑誌「アニテックス」(甲15)及び「2002年さよならぜんゆう会祈念 思い出のひとコマと佐藤善一先生追悼寄稿集」(甲21)における、寄稿文中に「アニマルケア」や「株式会社アニマルケア」の記載がある。また、株式会社アニマルケアの取締役であるK氏が書籍「アニマルマネジメントII」(甲22)を執筆したことがうかがえる。

イ 判断

上記(ア)ないし(キ)によると、請求人は、1974年に「株式会社アニマルケア」として設立されたことがうかがえる。また、同人は、1995年ごろより広告等において「株式会社アニマルケア」や「ANIMAL CARE」の文字を使用したことが認められる。

しかしながら、本願商標は片仮名で表された標準文字の「アニマルケア」であるところ、提出された各証拠によると、広告等において使用されている商標はデザイン化された「株式会社 アニマル ケア」や、欧文字の「ANIMAL CARE」が主であって、これらは本願商標と同一のものとはいい難い。

また、提出された雑誌やパンフレット等の発行年、発行部数及び頒布数については、毎年300部ないし約2,600部発行されているとの主張のみであって立証がなされていない上、雑誌における広告掲載回数も不明であるから、これらの証拠からどの程度の需要者が本願商標を請求人の業務に係る役務の識別標識として認識しているかを推し量ることができない。

同様に、展示会への出展については、出展した事実はうかがえるものの、展示会への出展回数、各展示会の規模、請求人ブースへの来訪者数については不明であるから、これらをもって需要者の認識の程度を判断することはできない。

求人サイト「マイナビ」については、広告掲載回数が主張のみで立証されていないことに加え、どの程度の利用者がアクセスしたのかも不明であり、当該求人広告をもって本願商標がどの程度需要者に浸透したのかは不明である。

自社ウェブサイトとされるものについては、本願商標と同一の商標が表示されていた事実が客観的に立証されていない上、本願商標の使用状況、使用期間が確認できず、当該ウェブサイトによって、本願商標の周知性を判断することはできない。

そして、請求人の創業者を偲ぶ特集や請求人の取締役の著書等においては、文中に「アニマルケア」や「株式会社アニマルケア」の記載は確認できるものの、発行部数が不明である。

以上を総合的に判断すると、本願商標は、使用された結果、請求人の業務に係る役務の出所を表示するものとして、又は自他役務の識別標識として認識されるに至っているということはできない。

したがって、本願商標は商標法第3条第2項の要件を具備するものとはいえない。

(3)請求人の主張

ア 請求人は、請求人の業務は、単に動物(愛玩動物、動物園動物、家畜)の世話とは異なり、人々の健康維持・増進、安全、教育のために行われる「動物実験」に使用することを目的に生産された“実験動物”のウエルビーイングに対して責任を持つところにある。請求人は、実験の再現性確保の観点から一定の管理基準を持って、実験動物とその飼育環境の質保証に取り組んでおり、単に愛玩動物を世話しているだけというわけではない旨主張している。

しかしながら、上記5(1)のとおり、本願商標を構成する各語の意味や、別掲の実情を勘案するならば、請求人の使用意図がどのようなものであったとしても、本願商標に接する需要者は、本願商標から「動物の世話(飼育)」の意味合いを容易に理解、認識するというべきであり、これを前記指定役務に使用しても、単に役務の質(内容)を表示したものと認識するにとどまり、自他役務の識別標識とは認識しないものと判断するのが相当である。

イ 請求人は、証拠調べ通知において示された証拠は「Animal care」の英語表記であること、使用役務の分野が不明であること、本願指定役務とは異なる分野の役務における使用であることから、本願商標が商標法第3条第1項第3号で規定する拒絶理由に該当するとの理由にはならない旨主張している。

しかしながら、英語表記の「Animal care」であっても、上記5(1)のとおり、本願商標を構成する「アニマル」及び「ケア」の文字は、我が国において親しまれた平易な英語「animal」及び「care」の語を片仮名表記したものであると容易に理解されるものであり、また、本願指定役務の分野のみならず、他の分野においても当該語から想起する意味は共通して「動物の世話」であるといえることから、本願商標は、特定の意味合いを想起させることのない造語というよりは、当該文字全体から「動物の世話」ほどの意味合いを需要者、取引者に容易に認識、理解させるものというのが相当である。

ウ したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。

(4)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、同条第2項の要件を具備するものでないから、登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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