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Trademark Appeal Case

商標の社会通念上同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2019−300878(T2019−300878/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4140473号商標の指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電池,眼鏡,電気通信機械器具,遊園地用機械器具,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,計算尺」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4140473号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成5年11月16日に登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電池,眼鏡,電気通信機械器具,遊園地用機械器具,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,計算尺」を含む商標登録原簿に記載する第9類に属する商品を指定商品として、同10年5月1日に設定登録され、その後、同20年4月8日及び同30年2月6日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

そして、本件審判の請求の登録日は、令和元年12月13日である。

また、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成28年12月13日から令和元年12月12日までの期間を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判請求書において要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。

本件商標は、その指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電池,眼鏡,電気通信機械器具,遊園地用機械器具,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,計算尺」(以下「本件取消請求にかかる指定商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実を存しないから、その指定商品中の本件登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

第3 被請求人の主張

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。

1 株式会社エアーついて

株式会社エアー(以下「エアー社」という。) は、1983年に誕生以来、各時代の最先端IT技術の吸収、蓄積に努め、各種データベースシステムやサーバーシステムなど、企業の業務を最適化するさまざまな画期的ソリューションを生み出し、エンタープライズ市場に提供してきた。日本初のIMAPメールサーバ「AIR MAIL」はその一つであり、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)であるエアー社は、指定商品「電子応用機械器具及びその部品」に属する「電子メール用ソフトウェア」について、商標「AIR MAIL」(以下「使用商標」という。)を使用してきた(乙1)。

2 本件商標と使用商標の関係について

(1)社会通念上同一について

本件商標が「AIR MAIL」の欧文字の上部に3枚のレター図形を添えた構成からなるのに対し、使用商標は「AIR MAIL」の欧文字のみで構成されているが、使用商標は、以下のとおり、本件商標と社会通念上同一と認められるものである。

(2)称呼について

本件商標からは、「AIR MAIL」の文字部分より「エアーメール」の称呼を生じ、使用商標からも同様に「エアーメール」の称呼を生じることは明らかである。

(3)観念について

本件商標からは、「AIR MAIL」の文字部分より「航空便」の観念を生じ、使用商標からも同様に「航空便」の観念を生じることは明らかである。この点、本件商標は、「AIR MAIL」の欧文字の上部に3枚のレター図形を添えた構成からなるが、かかる3枚のレター図形を加えることをもって、本件商標全体から特段の観念を生じるものではない。

(4)外観について

本件商標と使用商標とは、3枚のレター図形の有無においてのみ外観上相違するものである。3枚のレター図形からは特段の観念を生じないことは上記したとおりであるから、本件商標に接する取引者、需要者は、構成中の「AIR MAIL」の文字部分を自他商品識別標識としての機能を果たす主要部であると看取する反面、3枚のレター図形については、単に「AIR MAIL」の文字を装飾する意味合いで付したものと理解するものである。

(5)小括

以上を前提として本件商標と使用商標をみると、3枚のレター図形の有無の差はあるものの、3枚のレター図形は「AIR MAIL」の文字を装飾する意味合いで付されたものと理解されるものであり、本件商標から3枚のレター図形を除いてその指定商品に使用しても、それは本件商標の識別性に影響を与えない程度の表示態様の変更とみ得るので、本件商標と使用商標の関係は、社会通念上同一の範ちゅうに属する商標である。

(6)過去の審決例

登録商標が「図形および文字」である場合に、使用商標が「文字」のみである場合における過去の不使用取消審判において、上記と同様の判断がなされた結果登録商標と使用商標が社会通念上同一であるとされた事案がある(乙2、乙3)。

3 本件商標権者による本件商標の使用実績を示す資料

本件商標権者が使用している商標「AIR MAIL」は本件商標と社会通念上同一であるから、以下(1)ないし(6)において、使用商標も含めて「本件商標」という。

(1)乙第1号証

乙第1号証は、本件商標権者が顧客等に頒布している自社の会社案内である。乙第1号証に示すとおり、本件商標権者は、1993年のインターネットの一般への解禁と同時に、先進のIMAP4、MIMEに対応したE−mail用の自社開発ソフトウェア「AIR MAIL」の販売を開始している。

すなわち、本件取消請求にかかる指定商品に属する電子メール用ソフトウェアの広告に本件商標が使用されていたことがわかる。

(2)乙第4号証及び乙第5号証

乙第4号証は、本件商標権者がTIS株式会社(以下「TIS」という。)との取引において取引書類として使用した納品書(控)である。乙第5号証は、本件商標権者がTISとの取引において取引書類として使用した請求書である。乙第4号証及び乙第5号証における顧客名、伝票番号、伝票日付、商品番号、商品名、単価、数量及び金額の記載が符合することから、本件商標権者は、2017月3月21日に、顧客であるTISに電子メール用ソフトウェア「AIR MAIL Server UNIX 30」1個(@680,000円)を納品し、その代金680,000円は同日にTISに請求したことがわかる。

すなわち、要証期間内において、本件商標が第9類の「電子メール用コンピュータサーバー」に使用されていたことがわかる。

(3)乙第6号証及び乙第7号証

乙第6号証は、本件商標権者がAIT株式会社(以下「AIT」という。)との取引において取引書類として使用した納品書(控)である。乙第7号証は、本件商標権者がAITとの取引において取引書類として使用した請求書である。乙第6号証及び乙第7号証における顧客名、伝票番号、伝票日付、商品番号、商品名、単価、数量及び金額の記載が符合することから、本件商標権者は、2017年5月16日に、顧客であるAITに電子メール用ソフトウェア「AIR MAIL Support 1」3個(@306,000円)を納品し、その代金918,000円は同日にAITに請求したことがわかる。

すなわち、要証期間内において、本件商標が第9類の「電子メール用電子計算機用プログラム」及びこれに類似する「電子メール用電子計算機用プログラムの提供」に使用されていたことがわかる。

(4)乙第8号証及び乙第9号証

乙第8号証は、本件商標権者がAITとの取引において取引書類として使用した納品書(控)である。乙第9号証は、本件商標権者がAITとの取引において取引書類として使用した請求書である。乙第8号証及び乙第9号証における顧客名、伝票番号、伝票日付、商品番号、商品名、単価、数量及び金額の記載が符合することから、本件商標権者は、2017年6月2日に、顧客であるAITに電子メール用ソフトウェア「AIR MAIL Support 1」1個(@306,000円)を納品し、その代金306,000円は同日にAITに請求したことがわかる。

すなわち、要証期間内において、本件商標が第9類の「電子メール用電子計算機用プログラム」及びこれに類似する「電子メール用電子計算機用プログラムの提供」に使用されていたことがわかる。

(5)乙第10号証及び乙第11号証

乙第10号証は、本件商標権者がユニアデックス株式会社(以下「ユニアデックス」という。)との取引において取引書類として使用した納品書(控)である。乙第11号証は、本件商標権者がユニアデックスとの取引において取引書類として使用した請求書である。乙第10号証及び乙第11号証における顧客名、伝票番号、伝票日付、商品番号、商品名、単価、数量及び金額の記載が符合することから、本件商標権者は、2017年11月29日に、顧客であるユニアデックスに電子メール用ソフトウェア「AIR MAIL 構築 Support」1個(@264,000円)を納品し、その代金264,000円は同日にユニアデックスに請求したことがわかる。

すなわち、要証期間内において、本件商標が第9類の「電子メール用電子計算機用プログラム」及びこれに類似する「電子メール用電子計算機用プログラムの提供」に使用されていたことがわかる。

(6)乙第12号証及び乙第13号証

乙第12号証は、本件商標権者がユニアデックスとの取引において取引書類として使用した納品書(控)である。乙第13号証は、本件商標権者がユニアデックスとの取引において取引書類として使用した請求書である。乙第12号証及び乙第13号証における顧客名、伝票番号、伝票日付、商品番号、商品名、単価、数量及び金額の記載が符合することから、本件商標権者は、2018年12月21日に、顧客であるユニアデックスに電子メール用ソフトウェア「AIR MAIL 構築 Support」1個(@264,000円)を納品し、その代金264,000円は同日にユニアデックスに請求したことがわかる。

すなわち、要証期間内において、本件商標が第9類の「電子メール用電子計算機用プログラム」及びこれに類似する「電子メール用電子計算機用プログラムの提供」に使用されていたことがわかる。

4 まとめ

以上のとおり、本件商標権者が、本件商標を、要証期間内に日本国内において、指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について使用していることは明らかである。

第4 審尋及び被請求人の回答

1 審尋

審判長は、令和2年9月4日付け審尋において、被請求人に対し、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標を使用している事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解に対する回答を求めた。

2 被請求人の回答

被請求人は、上記1の審尋に対し何ら応答もしていない。

第5 当審の判断

1 事実認定

被請求人の主張及びその提出した証拠によれば、以下のとおりである。

(1)乙第1号証について

乙第1号証には、その表面の右下にエアー社の記載とともに、その下段中央部に、「1993 インターネットの一般への解禁と同時に先進のIMAP4、MIME 対応 E−mail ソフトウェア『AIR MAIL』を自社開発、販売開始。多くのファンを集める。」との記載がある。

(2)乙第4号証及び乙第5号証について

乙第4号証の上部には「納品書(控)」との記載、乙第5号証の上部には「請求書」との記載があり、それぞれ、その下の右側に、「2017年3月21日」との日付、エアー社、事業部及び住所についての記載、その左側に、「TIS株式会社」、「管理本部プロキュアメント管理部」、「販売仕入窓口 御中」及び住所の記載がある。

そして、それぞれの中央の商品名の欄には、「AIRMAIL Server UNIX」の記載がある。

(3)乙第6号証ないし乙第9号証について

乙第6号証及び乙第8号証の上部には「納品書(控)」との記載、乙第7号証及び乙第9号証の上部には「請求書」との記載があり、それぞれ、その下の右側に、「2017年5月16日」又は「2017年6月2日」との日付、エアー社、事業部及び住所についての記載、その左側に、「株式会社AIT」、「管理部」、「ご担当者 様」及び住所の記載がある。

そして、それぞれの中央の商品名の欄には、「AIRMAIL Support」の記載がある。

(4)乙第10号証ないし乙第13号証について

乙第10号証及び乙第12号証の上部には「納品書(控)」との記載、乙第11号証及び乙第13号証の上部には「請求書」との記載があり、それぞれ、その下の右側に、「2017年11月29日」又は「2018年12月21日」との日付、エアー社、事業部及び住所についての記載、その左側に、「ユニアデックス株式会社」、「購買マネジメント部サポートサービス購買室」、「ご担当者 様」及び住所の記載がある。

そして、それぞれの中央部の商品名の欄には、「AIRMAIL 構築 Support」の記載がある。

2 上記1からすれば、次のとおり判断できる。

(1)使用者について

本件商標権者であるエアー社が、E−mailソフトウェア「AIR MAIL」(以下「使用商品」という。)を製造・販売している事実は確認でき、使用者は、本件商標権者であるエアー社であると認められる。

(2)使用商品について

使用商品はE−mailソフトウェア「AIR MAIL」であり、当該使用商品は本件取消請求に係る指定商品の「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属するものといえる。

(3)使用商標について

被請求人が提出した乙各号証を見ても、被請求人は、被請求人が提供している使用商品の商品カタログや商品又は商品の包装にどのような商標を付しているのか明らかにしていない。すなわち、使用商品の商標は不明である。

したがって、使用商品の商取引において、実際にどのような態様の商標が表されていたのかが明らかではなく、被請求人が提出した乙各号証によっては、使用商品に、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が使用されている事実は確認できない。

(4)使用商品の使用について

ア 商標法第2条第3項第1号及び同項第2号について

上記(3)のとおり、被請求人は、使用商品又は当該商品の包装に対してどのような商標を付しているのか明らかにしていない。

したがって、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を本件取消請求に係る指定商品に、日本国内において、要証期間内に、商標法第2条第3項第1号及び同項第2号に係る使用したものとは認められない。

さらに、仮に、使用商品又はその包装に、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が付されているとしても、被請求人が提出した取引先(TIS、AIT、ユニアデックス)との間の取引書類(上記1(2)ないし(4))は、いずれも、被請求人が作成したものであり、当該取引先が発行した受領書や代金支払書等の証拠が提出されていないため、譲渡の事実を確認することができない。また、その他、被請求人の主張及び被請求人が提出した乙各号証によっても、上記を立証していない。

イ 商標法第2条第3項第8号について

上記(3)のとおり、被請求人は、使用商品の商品カタログにどのような商標を付して広告しているのか明らかにしていない。

また、被請求人が提出した乙第1号証の会社案内は、その発行部数、作成日、頒布先等が不明であり、使用商品についての広告がなされていることは確認できない。

さらに、その他、被請求人の主張及び被請求人が提出した乙各号証によっても、上記を立証していない。

したがって、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を本件取消請求に係る指定商品に、日本国内において、要証期間内に、商標法第2条第3号第8号に掲げる使用したものとは認められない。

(5)小括

上記(1)ないし(4)に検討したとおり、被請求人が提出した乙各号証によって、本件商標権者が、使用商品であるE−mailソフトウェアを製造・販売していること、及び、当該使用商品が本件取消請求に係る指定商品の「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属することは認められるものの、使用商品に本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていること、及び、使用商品の譲渡や広告に使用されていることは認めることができない。

したがって、被請求人は、要証期間内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件取消請求に係る指定商品について、本件商標を使用していたことを証明していない。

3 被請求人の主張について

(1)被請求人は、審判事件答弁書において、本件商標と使用商標とが社会通念上同一である旨を主張しているが、上記2(3)及び(4)で判断したとおり、被請求人が提出した乙各号証によっては、使用商品又はその包装に、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が使用されている事実は確認できない。

また、上記1のとおり、乙第1号証、乙第6号証ないし乙第13号証には、それぞれ「AIR MAIL」、「AIRMAIL Server UNIX」、「AIRMAIL Support」又は「AIRMAIL 構築 Support」の文字が記載されており、仮に、これらが使用標章であるとしても、本件商標は、文字と図形が結合された商標であり、本件商標中の「AIR MAIL」の欧文字の上部に添えられた3つの波打った四角形が、文字列に対して著しく小さいとか、背景と看做せるとかいうことはなく、本件商標における図形部分(3つの波打った四角形)が自他商品の識別標識としての機能が弱いということはできないため、上記使用標章が、本件商標と社会通念上同一とはいえない。

(2)被請求人は、審判事件答弁書において、乙第1号証から、使用商標が電子メール用ソフトウェアの広告に使用されていた旨、及び、乙第4号証ないし乙第13号証から、使用商標が電子メール用電子計算機用プログラム及び電子メール用電子計算機用プログラムの提供に使用されていた旨を主張しているが、上記2(4)のとおり、取引先が発行した受領書や代金支払書等の証拠が提出されていないため、乙第4号証ないし乙第13号証からは使用商品の譲渡の事実が確認できないし、乙第1号証については、その発行部数、作成日及び頒布先等が不明であるから使用商品についての広告がなされていることは確認できない。

したがって、被請求人の上記主張はいずれも採用することができない。

4 まとめ

以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件取消請求に係る指定商品について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。

また、被請求人は、本件取消請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、本件商標の指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電池,眼鏡,電気通信機械器具,遊園地用機械器具,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,計算尺」については、その登録は取り消すべきものである。

別掲(本件商標)

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