結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2020−300342(T2020−300342/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2707038号商標(以下「本件商標」という。)は、「牛とろ」の文字を表してなり、昭和63年8月1日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成7年5月31日に設定登録がされ、同17年10月12日に指定商品を第29類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされた。その後、商標登録の取消し審判により、指定商品中、第29類「牛肉製品」について取り消すべき旨の審決がされ、平成22年7月29日にその確定審決の登録がされたものである。現在、本件商標は、第29類「ビーフカレーのもと,ビーフシチューのもと,牛肉入りふりかけ」及び第30類「牛肉入りべんとう,牛肉入りサンドイッチ」を指定商品として、有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、令和2年6月5日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成29年(2017年)6月5日から令和2年(2020年)6月4日までの期間を、以下「要証期間」という。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
本件商標は、その指定商品中、第30類「全指定商品」(以下「請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用をした事実が存しないものであるから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
(1)提示されている証拠は、いずれも請求に係る指定商品中の「牛肉入りべんとう」についての本件商標の使用を示すものではない。
被請求人が提示しているのは、いずれも「はま寿司」店舗内における表示である(乙8〜乙10)。自ら「レーンメニューにおいての」使用と示すように、「飲食物の提供」における使用ではあっても「牛肉入りべんとう」についての使用を示すものではない。
また、被請求人自ら述べるように、「各店舗において使用されたレーンメニューのプリントアウト画像」(乙4)、「店舗内で使用された広告用のシール」(乙5)及び「店舗内で使用された差込メニューの画像」(乙6)は、いずれも、その形状や「差込メニュー」(注文タッチパネルで表示されるものと推察される)に鑑みれば、飲食を行うテーブル等で表示されるものである。これらもまた、「飲食物の提供」における使用ではあっても「牛肉入りべんとう」についての使用を示すものではない。
(2)テイクアウト等のメニューの中に「牛とろ」が含まれている事実はない。
被請求人が、「はま寿司」において「お持ち帰り(テイクアウト)」や、「ドライブスルー」により商品を販売しているとする証拠(乙11、乙12)には、本件商標の使用が示されていない。
(3)寿司ネタの名称として用いることは、指定商品「牛肉入りべんとう」についての使用には該当しない。
仮に、上記(2)に関して、テイクアウトされる寿司の中に「炙り牛とろ握り」又は「牛とろ炙り」が含まれているケースがあったとしても、それは「中とろ」や「赤貝」、「たまご」といった握り寿司のネタ、つまり商品の内容を示す表示として用いているに過ぎず、「牛肉入りべんとう」についての使用ではない。なお、そもそも、寿司のメニュー名として使用している、として被請求人が各証拠を提示し主張しているのは「炙り牛とろ握り」又は「牛とろ炙り」であって「牛とろ」ではない。
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
そして、本件商標権者は、100%子会社であって通常使用権者である株式会社はま寿司を通じて、日本国内において、本件審判の請求前3年以内に本件商標を使用している。
(1)株式会社はま寿司のウエブ情報「はまナビ」のプリントアウト(乙2、乙3)では、2018年(平成30年)4月26日からのフェア及び2019年(平成31年)5月9日からのフェアにおいて、それぞれ「炙り牛とろ握り」がフェア対象商品として各店舗において提供されていたことが示されている。
(2)2019年(平成31年)11月28日ないし12月11日のフェア期間中に各店舗において使用されたレーンメニューのプリントアウト画像(乙4)には、右端の中央部分に本件商標が表示されている。当該フェア期間内において、店舗内で使用された広告用のシール(乙5)には、右端部分に本件商標が表示されており、同じく当該フェア中に店舗内で使用された差込メニューの画像(乙6)には、中央部分に本件商標が表示されている。当該フェア期間内において、全国で配布された広告チラシ及びポスターの画像(乙7)には、本件商標の対象である「牛とろ灸り」がフェア対象商品として提供されていたことが示されている。
(3)「はま寿司」を訪れた顧客が掲載したYouTube画像とTwitter画像(乙8〜乙10)は、2019年(平成31年)11月29日、同年12月1日及び同月7日に「はま寿司」店内のメニュー及びレーンメニューにおいて、本件商標が表示されていたことを示すものである。
(4)全国の「はま寿司」の各店舗においては、店内で提供される寿司等のメニューは、自由に選んでテイクアウトすることが可能であり、また、お持ち帰りセット(寿司弁当)についても販売している(乙11)。また、いくつかの店舗においては、ドライブスルーにより商品を販売している(乙12)。本件商標の対象である牛とろ炙り握りについても、上記フェア期間内において、寿司セットとしてテイクアウトで販売されており、当該商品は、請求に係る指定商品である「牛肉入りべんとう」に含まれるものである。
(5)してみれば、本件商標が表示されている、レーンメニューのプリントアウト画像(乙4)、店舗内で使用された広告用のシール(乙5)及び差込メニューの画像(乙6)は、「牛肉入りべんとう」の広告又は価格表に商標を付して展示する行為を証明するものであり(商標法第2条第3項第8号)、本件商標の使用の事実を立証するものである。
審判長は、令和2年11月17日付け審尋において、被請求人に対し、被請求人が提出した証拠によっては、本件要証期間に、通常使用権者が、本件審判請求に係る指定商品について本件商標を使用していることを被請求人が証明しているものとはいえない旨の合議体の暫定的見解及び請求人が提出した令和2年9月29日付け審判事件弁駁書に対する回答を求め、相当の期間を指定した。
(1)乙第1号証は、本件商標権者のウェブページの出力物であり、「会社概要」の項に、「基本情報」として「主な事業内容 フードサービスチェーンの経営」等の記載、「関連会社」(2020年3月31日現在)として「株式会社 はま寿司」の記載がある。また、「ブランド一覧」の項に、「はま寿司」の記載の下「・・・回転寿司チェーン」の記載がある。
(2)乙第4号証は、「はま寿司」店舗内のフェア用レーンメニューとするものの写しであり、右端に縦書きの「牛とろ」の文字、寿司の写真、横書きの「牛とろ炙り」の文字及び価格の表示がある。
(3)乙第5号証は、「はま寿司」店舗内の広告用シールとするものの写しであり、右端に横書きの「牛とろ」の文字、寿司の写真、横書きの「牛とろ炙り」の文字及び価格の表示がある。
(4)乙第6号証は、「はま寿司」店舗内の差し込みメニューとするものの写しであり、中央付近に縦書きの「牛とろ」の文字、寿司の写真、横書きの「牛とろ炙り」の文字及び価格の表示がある。
(5)乙第7号証の一葉目は、「はま寿司」のチラシの写しであり、チラシ中央付近には、寿司の写真とともに「牛とろ炙り」の表示がある。また、チラシ下部には「寿司一皿 無料」とする切り取り式の2種類のクーポンが掲載されており、当該クーポンには、それぞれ「有効期限 2019 11/28(木)〜12/4(水)」「有効期限 2019 12/5(木)〜12/11(水)」の記載がある。また、乙第7号証の二葉目は、「はま寿司」のポスターとするものの写しであり、中央付近には、寿司の写真とともに「牛とろ炙り」の表示がある。
しかしながら、乙第7号証には「牛とろ」の表示はない。
(6)乙第8号証は、「YouTube」における動画のスクリーンショット(複数)に、被請求人が説明を記載した書証であり、乙第9号証及び乙第10号証は、「Twitter」におけるツイートのスクリーンショットに、被請求人が説明を記載した書証であるところ、当該スクリーンショットには、それぞれ「2019/11/29」、「2019年12月1日」及び「2019年12月7日」の日付けとともに、「はま寿司」店舗内のメニューと思しき画像が掲載されている。また、当該画像中には、乙第4号証ないし乙第6号証と同じ態様の「牛とろ」の文字、寿司の写真、横書きの「牛とろ炙り」の文字及び価格の表示がある。
(7)乙第11号証は、「はま寿司」のウェブページ(抜粋)のスクリーンショットに、被請求人が説明を記載した書証であり、一葉目には、「はま寿司ではお持ち帰りメニューを販売しています。」「お持ち帰りできます!」の記載及び「2020.04.21 限定お持ち帰りセットも販売!・・・」等の記載があり、二葉目には、「はま寿司のお持ち帰り」を表題とするメニュー(当該メニューには、被請求人により「2019年5月23日よりお持ち帰りメニューを更新」「■関東地方のお持ち帰りメニュー」の説明が付されている。)が掲載されているものの、「牛とろ」の表示はない。
(8)乙第12号証は2020年4月18日付けの「@niftyニュース」のウェブページの出力物であり、「『人との接触』削減にも はま寿司『ドライブスルー』の安心感がハンパじゃない」の見出しがある。
(9)その他、乙第2号証及び乙第3号証は、「はま寿司」のウェブページのスクリーンショットと思しきものであり、「2018.04.20」(乙2)又は「2019.05.07」(乙3)の日付けとともに、「はま寿司」で開催されるフェアにおいて「炙り牛とろ握り」が提供される旨の記載があるものの「牛とろ」の表示はない。
被請求人は、「牛とろ」の文字が表示されている、「はま寿司」店舗内で使用されたレーンメニューのプリントアウト画像(乙4)、広告用のシール(乙5)及び差込メニューの画像(乙6)(以下、これらをまとめて「本件メニュー表」という。)の使用をもって、本件商標を請求に係る指定商品中の「牛肉入りべんとう」に使用している旨主張するので、これについて検討する。
(1)使用者及び使用商標について
株式会社はま寿司は、フードサービスチェーンの経営等を行う本件商標権者の関連会社(子会社)であるから、本件商標権者から本件商標について黙示の使用許諾を受けているものと推認することができ、本件商標の通常使用権者と認められる。
また、本件商標は、上記第1のとおり、「牛とろ」の文字を表してなるものであり、本件メニュー表に表示されている「牛とろ」の文字(以下「本件使用商標」という。)は、縦書きと横書きの相違があるものもあるが、本件商標を構成する文字と同一の文字からなるものである。
そうすると、本件商標と本件使用商標とは、社会通念上同一と認められる商標ということができる。
(2)本件商標の使用が請求に係る指定商品中、「牛肉入りべんとう」についての使用に該当するか否かについて
通常使用権者は「回転寿司チェーン」を展開しており、「はま寿司」店舗内にて「寿司を主とする飲食物の提供」を行っていることが認められる。
また、通常使用権者は、寿司をお持ち帰り用(ドライブスルーを含む)の商品として販売しており、お持ち帰り専用のメニューも提供している。
しかしながら、本件メニュー表は、被請求人の主張並びに「YouTube」及び「Twitter」の投稿に表示されている画像が、本件メニュー表の一部と同じものであると認められることから、「はま寿司」店舗内のみでの掲示と認められる。また、お持ち帰り専用のメニュー表が別途提供されていることもみると、本件メニュー表は、寿司等の飲食物の提供を行うに当たって顧客の便宜に供するために、提供する飲食物のメニューとしてのみ掲示されているにすぎないものであり、持ち帰り用の商品には使用されていないといえる。
そうすると、本件メニュー表は、飲食物(寿司等)の提供のためのみに使用されているといえ、当該飲食物の提供は、請求に係る指定商品中、「牛肉入りべんとう」の範ちゅうのものではない。
したがって、本件メニュー表に表示さている本件使用商標は、請求に係る指定商品中の「牛肉入りべんとう」について使用したということはできない。
また、お持ち帰り専用のメニュー表には、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)の表示はなく、その他、本件商標を使用して「牛肉入りべんとう」を販売等した証拠は提出されていない。
その他、被請求人は、請求に係る指定商品について、本件商標の商標法第2条第3項各号にいう使用があった事実を認め得る証拠を提出していない。
(3)小括
以上よりすれば、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間内に、本件商標権者が、請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしたことを認めるに足る事実を見いだせない。
以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標を使用していることを証明したものということができない。
また、被請求人は、請求に係る指定商品について、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の「結論掲記の指定商品」について、商標法第50条第1項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。