Trademark Appeal Case
「フリー」結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2020−3657(T2020−3657/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第20類「家具」を指定商品として、平成30年7月23日に登録出願され、その後、指定商品については、当審における令和2年11月2日受付の手続補正書により、第20類「オフィス用ワゴン(家具)」に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、本願商標は、「FREE WAGON」の欧文字及び「フリーワゴン」の片仮名を普通に用いられる方法で二段に書してなるところ、「フリー」及び「FREE」の文字は、「制約から自由なさま」等を意味する語であるから、本願商標は、全体として「用途の制約がないワゴン」の意味合いを容易に認識させることに加え、本願の指定商品を取り扱う業界において、「フリーワゴン」の語が、上記の意味合いで使用されている実情もあることをも踏まえれば、本願商標は、その指定商品中、例えば「用途の制約がないワゴン」に使用するときは、単に商品の用途、品質を表示するにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する旨認定判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審においてした審尋及び請求人の回答の要点
当審は、本願商標の商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号該当性について、職権に基づく証拠調べを実施し、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、令和2年9月9日付け審尋で、別掲2及び3のとおり、その結果を通知するともに、当審の暫定的見解について通知したところ、これに対し、請求人は、前記第1のとおり指定商品を補正するとともに、意見書において、要旨、以下のように主張した。
1 当審が審尋で示した別掲2及び3の使用例は、いずれも、家庭用ないし工場用等のものであり、オフィス用のものではないから、オフィス用のワゴンについて、「フリーワゴン」ないし「FREE WAGON」の語が多目的ないし多用途のワゴンに対して広く使用されている実情は存在せず、また、オフィス用の家具について、「フリー○○」の語が多目的ないし多用途の「〇〇」という商品等に対して広く使用されている実情も存在しない。
2 請求人が製造、販売する「FreeWagon(フリーワゴン)」の名称の製品は、「フリーアドレスに最適で、アクセスのしやすさと軽快なデザインのワゴン」というコンセプトの製品である。
第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性
本願商標は、別掲1のとおり、「FREE WAGON」の欧文字及び「フリーワゴン」の片仮名を上下二段に中央揃えで横書きしてなるところ、これは、普通に用いられる方法で表示するものといえる。
そして、本願商標は、下段の片仮名が上段の欧文字の読みを表してなるものと容易に認識されるところ、それらのうち、「FREE」の欧文字及び「フリー」の片仮名は、「自由なさま。束縛や制約がないさま。」(広辞苑第七版(株式会社岩波書店発行))を意味する語として、一般に広く親しまれており、また、「WAGON」の欧文字及び「ワゴン」の片仮名は、本願の指定商品を取り扱う分野において、家具としての「ワゴン」を意味する語として、広く親しまれている。
さらに、別掲2のとおり、本願の指定商品を取り扱う分野において、「フリーワゴン」又は「FREE WAGON」(大文字か小文字かは問わない。)の文字が、多目的ないし多用途のワゴンに対して広く使用されている実情がある。加えて、別掲3のとおり、本願の指定商品を取り扱う分野において、「フリーボックス」、「フリーラック」、「フリーキャビネット」及び「フリーチェスト」のように、「フリー」の文字と商品名等を意味する「○○」の文字を結合した「フリー○○」の文字が、多目的ないし多用途の「○○」という商品等に対して広く使用されている実情もある。
このように、「FREE」の欧文字及び「フリー」の片仮名が「自由なさま。束縛や制約がないさま。」の意味を有することに加えて、本願の指定商品を取り扱う分野における上記各実情を併せ考慮すれば、本願商標における「FREE」の欧文字及び「フリー」の片仮名は、「目的ないし用途に制約がない」程の意味合いで認識、把握されるといえる。
よって、本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、本願商標が「目的ないし用途に制約がないオフィス用ワゴン(家具)」であるという商品の品質又は用途を表したものと認識、把握するにとどまるというのが相当である。
以上によれば、本願商標は、商品の品質又は用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、当審が審尋において示した別掲2及び3の使用例は、いずれも、家庭用ないし工場用等のものであり、オフィス用のものではないから、オフィス用のワゴンについて、「フリーワゴン」ないし「FREE WAGON」の語が多目的ないし多用途のワゴンに対して広く使用されている実情は存在せず、また、オフィス用の家具について、「フリー○○」の語が多目的ないし多用途の「〇〇」という商品等に対して広く使用されている実情も存在しない旨主張する。
しかしながら、本願商標の登録の可否の検討にあたっては、これに接した取引者、需要者が、これをどのように認識、把握するのかが問題であるところ、別掲2及び3の使用例に係るワゴン等の商品が、家庭用ないし工場用等のものであるとしても、家庭用の当該商品の需要者は、広く一般の需要者であるから、本願の指定商品の需要者を含むといえるし、工場用の当該商品の需要者は、一般に事業所に所属しているから、本願の指定商品の需要者と大きく異なるところはないといえる。
そうすると、前記1で認定判断したとおり、本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、本願商標が「目的ないし用途に制約がないオフィス用ワゴン(家具)」であるという商品の品質又は用途を表したものと認識、把握するにとどまるというべきである。
(2)請求人は、「FREE WAGON」及び「フリーワゴン」の語について、「自由なワゴン」、「無所属のワゴン」又は「無料のワゴン」といった意味合いに理解でき、いずれの意味合いに理解するかは必ずしも明確でない旨、「フリー」の語が、我が国では「無料」の意味合いで使用されることが多いことに照らせば、「無料のワゴン」という意味合いになり、「自由なワゴン」という意味合いにはならない旨、仮に、「自由なワゴン」の意味合いに理解するとしても、いかなる意味において「自由」なワゴンであるかは一義的に明確であるとはいえない旨、「フリーワゴン」の語は、必ずしも「用途の制約がないワゴン」の意味合いで使用されているものではなく、むしろ、これとは異なる意味合いで使用されている例も存在する旨主張した上で、「FREE WAGON」及び「フリーワゴン」の語は、その意味合いが必ずしも一義的に明確ではないことから、本願の指定商品の品質等を示すものではない旨主張する。
しかしながら、別掲2及び3で示した本願の指定商品を取り扱う業界の実情を踏まえ考慮すれば、「WAGON」ないし「ワゴン」の語に結びついた「FREE」ないし「フリー」の語が、「無所属」や「無料」の意味合いで認識、把握されるとはいえず、「多目的ないし多用途」という意味において「自由なさま。束縛や制約がないさま。」を表すものとして認識、把握されるというべきである。
また、請求人は、「フリーワゴン」の語が「高さを調節することができるワゴン」の意味合いで使用されている例については、「用途の制約がないワゴン」の意味合いで使用されているものではない旨主張するが、例えば、別掲2(7)の使用例には「用途にあわせて高さを調節」と記載されているように、「高さを調節することができるワゴン」であっても、高さを調節することを通じて、様々な用途に対応できることになる以上、「用途の制約がないワゴン」であるといえるものである。
そして、前記1で認定判断したとおり、本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、本願商標が「目的ないし用途に制約がないオフィス用ワゴン(家具)」であるという商品の品質又は用途を表したものと認識、把握するといえる。
(3)請求人は、自らが製造、販売する「FreeWagon(フリーワゴン)」の名称の製品は、「フリーアドレスに最適で、アクセスのしやすさと軽快なデザインのワゴン」というコンセプトの製品である旨主張する。
しかしながら、請求人が自らの商品に採用したコンセプトがそうであるとしても、そのことにより、本願商標に接した取引者、需要者の認識、把握の内容が左右されるとはいえない。
(4)請求人は、過去の登録例に基づき本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当しない旨主張するが、これらの登録例は、本願商標とは、構成文字や構成態様が異なるものであって、かつ、具体的事案の判断においては、過去の登録例等に拘束されることなく、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから、これらの事例の存在によって、前記1の認定判断が左右されるものではない。
(5)したがって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
よって、結論のとおり審決する。
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