Trademark Appeal Case
もんじゃ屋形船の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2020−4607(T2020−4607/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,「もんじゃ屋形船」の文字を標準文字で表してなり,第39類「船舶による輸送,企画旅行の実施,旅行者の案内,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ,観光ツアーの企画及び実施,主催旅行の実施における旅行者に対する送迎サービスの提供,船舶の貸与・売買又は運航の委託の媒介,船舶の貸与」及び第43類「飲食物の提供」を指定役務とし,平成28年7月20日に登録出願された商願2016−77831に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として,令和元年5月8日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標の構成中,『もんじゃ』の文字は,『もんじゃ焼き』の料理名を表すものであり,『屋形船』の文字は,『屋形を設けた船』の意味を有する語であるから,本願商標全体からは,『もんじゃ焼きを提供する屋形を設けた船』の意味合いを想起させるものであり,また,新聞記事及びインターネット記事情報によれば,船舶による輸送や飲食物の提供を取り扱う業界において,『屋形船にてもんじゃ焼きを提供する役務』が提供されており,当該役務を『もんじゃ屋形船』や『もんじゃ&屋形船』と称している実情があるため,本願商標をその指定役務に使用しても,これに接する取引者,需要者は,当該役務が『屋形船にてもんじゃ焼きを提供する役務』であると認識し,理解するにとどまるものであるから,本願商標は,単に,役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,上記意味合いに相応する役務以外の役務に使用するときは役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから,商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当することについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲に示す事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,令和2年12月23日付け証拠調べ通知書によって通知し,期間を指定して,これに対する意見を求めた。
4 証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は,上記3の証拠調べ通知に対し,指定した期間内に何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は,「もんじゃ屋形船」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中の「もんじゃ」の文字は,「もんじゃ焼き」の略称として用いられるものであり,このことは別掲に示す事実からも明らかであり,また,構成中の「屋形船」の文字は,「屋形を設けた船」を意味する語(広辞苑第七版)である。そして,別掲2に示すとおり,もんじゃ焼きが屋形船における料理として提供されている事実があると共に,別掲1に示すとおり,もんじゃ焼きを提供する屋形船が,もんじゃ焼きを主力の提供サービスの一つとして前面に掲げ,また,その中には,もんじゃ焼きを提供する屋形船を「もんじゃ屋形船」,「もんじゃ船」等と称し,又は認識されている実情がある。
そうすると,本願商標は,全体として,「もんじゃ焼きを提供する屋形船」ほどの意味合いを理解させるものである。そして,本願商標を,その指定役務に使用をしても,これに接する取引者,需要者は,当該役務が「屋形船にてもんじゃ焼きを提供する役務」であること,すなわち,本願商標が役務の質を表したものと認識するにとどまり,自他役務の識別標識としては認識し得ないものというべきである。また,本願商標を上記内容の役務以外の指定役務に使用をするときは,役務の質の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,多くの屋形船において,天ぷらや刺身等の伝統的な和食を提供しており,もんじゃ焼きを提供している屋形船は極めて稀である旨主張する。
しかしながら,別掲1のとおり,もんじゃ焼きを主力の料理として提供する事業者が複数存在すると共に,別掲2のとおり,もんじゃ焼きが刺身や天ぷらやすし等と並び,屋形船で提供される料理の一つとして紹介されている事実がある。また,別掲2(2)に記載のアンケートにおいて,「品川で屋形船に乗るなら?」との質問に対し,「もんじゃ専用屋形船」と回答する者も一定数ある。さらに,別掲3のとおり,屋形船で提供される料理の種類は,刺身や天ぷら等の伝統的な和食以外に,洋食,バーベキュー,和洋折衷,フレンチ等多様にある。してみれば,もんじゃ焼きは,屋形船で提供される料理として稀とはいい難いどころか,むしろ一定程度認知されているものであるというべきである。
イ 請求人は,本願商標中の「もんじゃ」部分が「もんじゃ焼き」の略称であるとしても,「もんじゃ」の語と「屋形船」の語を組み合わせることに本願商標の特徴があり,本願商標は全体として自他役務等識別機能を発揮し,一種の造語として認識される旨,主張する。
しかしながら,別掲に示すとおり,屋形船におけるもんじゃ焼きの提供が,屋形船を運営する業界で珍しいものではないこと,また同業界においても,もんじゃ焼きを単に「もんじゃ」と略称していること,さらに,もんじゃ焼きを提供する屋形船を「もんじゃ屋形船」,「もんじゃ船」等と称し,又は認識されている事業者が複数あることからすれば,本願商標は,もんじゃ焼きの略称である「もんじゃ」と「屋形船」とを結合し,「もんじゃ焼きを提供する屋形船」であることを表したものであることを容易に理解することができるものであり,特定の事業者の業務を表す自他識別標識又は請求人の造語としては認識し難いものというべきである。
ウ 請求人は,インターネットの主要検索エンジンで,「もんじゃ屋形船」と検索すると,トップに表示されるのは,請求人のグループ会社である「江戸前汽船株式会社」(以下,「江戸前汽船」という。)のものであり,江戸前汽船は,その知名度・事業規模・歴史など,他の事業者を圧倒する旨主張する。
しかしながら,屋形船でもんじゃ焼きを提供する事業を行う事業者等(以下,「事業者等」という。)は,請求人又は江戸前汽船以外にも存在し,中には2000年以前に事業を行っていたとする記録もあり,また,これら事業者等の中には,もんじゃ焼きを提供する屋形船を「もんじゃ屋形船」,「もんじゃ船」等と称しているものもある。
さらに,別掲1に示すとおり,請求人又は江戸前汽船以外の事業者等が,複数の主要な飲食店情報等のウェブサイトに掲載されていることに加え,新聞やテレビ番組でも取り上げられる機会があり,また,テレビ番組で取り上げられたことがさらにインターネット情報で取り上げられていることも確認できる。
加えて,別掲に示すとおり,もんじゃ焼きを提供する屋形船に関する情報のウェブサイトのみならず,屋形船全般におけるランキング等の特集記事に係るウェブサイトや,地域の観光スポットに関する特集記事に係るウェブサイトにおいても,請求人又は江戸前汽船以外の事業者等が取り上げられている事実がある。
そうすると,現在,インターネット検索の結果,江戸前汽船が上位に表示されるとしても,そのことをもって本願商標が自他役務の識別標識として機能するとみるのは妥当ではなく,他の事業者等による屋形船におけるもんじゃ焼きの提供又は「もんじゃ屋形船」等の名称の使用として,取引者,需要者の注目を集める機会は十分にあったとみるべきであるから,「もんじゃ屋形船」の文字が,請求人のみの事業を表す識別標識として認識されるということはできない。
エ 請求人は,過去の商標登録例を挙げ,本願商標も登録すべき旨主張する。
しかしながら,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は,当該商標登録出願の査定時又は審決時において,当該商標の構成態様と指定役務の取引の実情等に基づいて,個別具体的に判断されるべきものであるから,請求人の挙げた商標登録例があることが,本件の判断を左右するものではない。
オ したがって,請求人の主張は,いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
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