Trademark Appeal Case
オーガニックの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2020−9562(T2020−9562/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は,「オーガニック」の文字を標準文字で表してなり,第31類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成30年11月21日に登録出願され,その後,指定商品については,当審における令和2年7月7日付け手続補正書により,第31類「飼料用たんぱく,ペットフード(動物を主原料とするものに限る。),おやつ用キャットフード(動物を主原料とするものに限る。),おやつ用ドッグフード(動物を主原料とするものに限る。),獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る)」に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標は『オーガニック』の文字からなるところ,これは『有機農業による生産物であること。』の意味を有する語であり,各種オーガニック製品が取り扱われている実情があることからすると,本願商標を,その指定商品に使用した場合には,これに接する取引者,需要者は,『オーガニック素材で生産された商品(オーガニック素材を飼料として生産された商品を含む。)』ないしは『オーガニック素材を生産するための商品』であること,すなわち,商品の品質,原材料を表示したものとして認識するにとどまり,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとみるのが相当である。また,本願商標を『オーガニック素材で生産された商品(オーガニック素材を飼料として生産された商品を含む。)』ないしは『オーガニック素材を生産するための商品』以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。」旨を認定,判断し,本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ
当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲1,2(1)ないし(3),3ないし7に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,令和3年1月19日付け証拠調べ通知書によって通知し,期間を指定してこれに対する意見を求めた。
第4 証拠調べに対する請求人の意見
請求人は,上記第3の証拠調べ通知書に対し,令和3年3月5日付け意見書を提出し,要旨以下のように述べた。
(1)証拠調べ通知書において引用された商品の販売を示す別掲1,2(1)ないし(3),4及び5は,いずれも,本来であれば「オーガニック」あるいは「Organic」の表示が使用されるべきではない,流通量がごくわずかな海外製品の輸入品であって,輸入代理業者によって,ごく小規模に販売されている事情を類推させるにすぎず,取引の一般的・恒常的な実情を示すものとはいえない。
なお,別掲1(2)と(3)とは同じ商品であって,別掲2(2)及び(3)は,既に販売されていないものである。
(2)別掲3及び6は,読者数や発行元が不明のまとめサイトの記事であって,本来であれば「オーガニック」の表示を使用するべきではない輸入商品を紹介しているにすぎない。また,もし国内事業者が販売する「動物を主原料とするペットフード」,あるいは有機JAS規格の認定を受けていない海外輸入品に関して「オーガニック」の表示が一般的に使用されているような情報が掲載されているのであれば,それは誤った情報であり,このような誤った情報に基づく記事が,指定商品が取り扱われる業界における取引の一般的・恒常的な実情を示す証拠とはなりえない。
(3)別掲7は,ペットフード一般に関する記事であり,本願の指定商品に関する取引実情を示す証拠ではない。
(4)以上のとおり,証拠調べ通知書に記載された証拠は,いずれも「オーガニック」又はこれを英語で表記した「Organic」の文字が,商品の品質を表すものとして,本願の指定商品を取り扱う業界において一般的・恒常的に使用されている事実を示す証拠とはなりえない。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は,「オーガニック」の文字からなるところ,当該文字は,「(「有機の」の意)有機農業による生産物であること。」(「広辞苑 第6版」株式会社岩波書店)の意味を有する語である。
そして,本願の指定商品を取り扱う業界においては,別掲のとおり,「オーガニック」又はこれを英語表記した「ORGANIC」の文字が,「有機栽培した穀物や有機飼育したチキン等,農薬や抗生物質などをできるだけ使用しないで生産した素材を原材料にした商品」を表すものとして使用されている実情がある。
そうすると,本願商標をその指定商品中「飼料用たんぱく,ペットフード(動物を主原料とするものに限る。),おやつ用キャットフード(動物を主原料とするものに限る。),おやつ用ドッグフード(動物を主原料とするものに限る。)」に使用しても,これに接する取引者,需要者は,「有機栽培した穀物や有機飼育したチキン等,農薬や抗生物質などをできるだけ使用しないで生産した素材を原材料にした商品」であることを認識するにとどまるとみるのが相当であるから,本願商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。また,本願商標を,その指定商品中,「有機栽培した穀物や有機飼育したチキン等,農薬や抗生物質などをできるだけ使用しないで生産した素材を原材料にした商品」以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じるおそれがある。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は,「『動物を主原料とするペットフード』に関して『オーガニック』の表示がされていたとしても,そのような商品は,本来であれば『オーガニック』あるいは『Organic』の表示が使用されるべきではない,流通量がごくわずかな海外製品の輸入品に限られ,取引の一般的・恒常的な実情を示すものとはいえない。」旨を主張している。
しかしながら,別掲2(5)ないし(7),8及び9のとおり,国産のドッグフードについても,「オーガニック」の文字が,「有機栽培した穀物や有機飼育したチキン等,農薬や抗生物質などをできるだけ使用しないで生産した素材を原材料にした商品」であるという商品の品質を表す語として,一般に使用されている実情がある。
してみれば,上記1のとおり,本願商標をその指定商品中「飼料用たんぱく,ペットフード(動物を主原料とするものに限る。),おやつ用キャットフード(動物を主原料とするものに限る。),おやつ用ドッグフード(動物を主原料とするものに限る。)」に使用したときには,これに接する取引者,需要者は,「有機栽培した穀物や有機飼育したチキン等,農薬や抗生物質などをできるだけ使用しないで生産した素材を原材料にした商品」であることを認識するにとどまるとみるのが相当である。
(2)請求人は,「別掲1(2)と(3)とは同じ商品である」旨を主張しているが,別掲1(2)は,「PetKind ペットカインド ドッグフード ザッツイット ワイルドサーモン トライプ」という商品であり,他方,別掲1(3)は,「テラプラ オーガニックドッグフード ビーフグルメ」という商品であって,異なる商品である。
(3)請求人は,「別掲2(2)及び(3)とは,既に販売されていないものである」旨を主張しているところ,審決時においては,在庫切れにより販売されていないが,別掲2(4)及び10のとおり,他のウェブサイトにおいて,審決時においてもそれぞれ販売されている(別掲2(4)は,2(2)の内容量が異なる商品である。)。
(4)請求人は,「別掲3及び6は,読者数や発行元が不明のまとめサイトの記事」である旨主張しているが,別掲3のウェブサイトは,「株式会社ディライトクリエイション」が運営するものであり,別掲6は「株式会社サイバーエージェント」及び「株式会社CyberOwl」が運営するものである。そうすると,読者数が不明であるとしても,これらのウェブサイトは,運営会社が確認でき,一般に公開されているものである。
(5)請求人は,「別掲7は,ペットフード一般に関する記事であり,本願の指定商品に関する取引実情を示す証拠ではない。」旨主張しているが,「ペットフード一般」には「ペットフード(動物を主原料とするものに限る。)」等の本願の指定商品も含むものである。
(6)したがって,上記の請求人の主張は,いずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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