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Trademark Appeal Case

「タワー」の識別力と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2020−900334(T2020−900334/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6299453号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第6299453号商標(以下「本件商標」という。)は、「ヒルズレジデンシャルタワー」の片仮名と「HILLS RESIDENTIAL TOWER」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、令和元年9月11日に登録出願、第36類に属する別掲に記載のとおりの役務を指定役務として、同2年9月10日に登録査定され、同年10月2日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第6007148号商標(以下「引用商標」という。)は、「ヒルズレジデンシャル」の片仮名と「HILLS RESIDENTIAL」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成29年10月17日に登録出願、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,建物及び土地の有効活用に関する企画・指導・助言又は情報の提供,建物又は土地の管理に関する情報の提供,不動産賃料の回収代行」を指定役務として、同年12月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証(枝番を含む。)を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標について

ア 本件商標は「ヒルズレジデンシャルタワー」及び「HILLS RESIDENTIAL TOWER」の各文字からなり、その構成中、上段の片仮名文字「ヒルズレジデンシャルタワー」は、下段の欧文字「HILLS RESIDENTIAL TOWER」の読み方を表したものとみるのが相当である。

そして、本件商標の構成中、後半の「タワー」及び「TOWER」の各文字は、「塔」の意味を有するものであるところ、これは、指定役務との関係において、「タワーマンション」の語の「タワー」のように、普通に用いられる用語、かつ、特徴を有さない用語であって、その指定役務の内容を表す語であるから、「タワー」及び「TOWER」の各文字は、役務の出所識別標識としての称呼及び観念が生じるものではない。

イ 「タワーマンション」の語について、SUUMO住宅用語大辞典によれば、「タワーマンション(超高層マンション)」とは、明確な定義はないが、おおむね20階建て以上でタワー(塔)状のものを呼ぶ。」(甲3)との記載があり、インターネット辞書gooによれば、「タワーマンション」とは、「俗に、集合住宅としてつくられた塔状の高層建築物のこと。ふつう、20階以上のものについていうことが多い。タワー型マンション。」(甲4)との記載がある。

ウ 実際に、多くの高層建築物の名称で、「タワー」の用語が用いられており、東京都内の超高層タワーマンション賃貸物件に特化した専門サイトにおいても、かなりの数の「○○タワー」のマンション名が把握でき、ありふれていることが確認できる(甲5)。例えば、「アートヴィレッジ大崎ビュータワー」、「アーバンドックパークシティー豊洲タワー」、「アイマークタワー」、「アウルタワー」及び「アクロス目黒タワー」のような使用例がある。

このように、タワー型マンションの名称には「タワー」の文字が付されることが多い。上記マンションの名称は、語尾に「タワー」の文字が付されるものの一部であるが、語尾に限らず、語中なども含め「タワー」の文字が付されるタワー型マンションの名称の数を計算すると、上記ウェブサイトに掲載された全363件中、約70%に該当する250件に使用されている。「タワー」の文字が付されていれば、マンションがタワー型マンションであることは理解できるところ、指定役務「建物の貸与,建物の売買」等の関係においては、「タワー型マンション」という、役務の内容等を表したものに過ぎず、「タワー」の文字部分は、特徴がない用語であるということができる。

エ 一方で、本件商標の構成中、前半の「ヒルズレジデンシャル」及び「HILLS RESIDENTIAL」の各文字は、辞書等には掲載が見当たらず、また、その他、当該文字から特定の意味合いが想起されるというべき事情も見当たらないことから、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものである。

オ 商標の類否判断において、原則は商標全体で比較検討するものの、例外的に商標の要部で対比観察が許される場合があるところ、本件商標の構成中、「タワー」の文字部分は、「出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合」に該当するものであるから、本件商標において、取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分は、「ヒルズレジデンシャル」及び「HILLS RESIDENTIAL」の文字部分であるということができ、これを要部として抽出し、商標の類否を判断することが許されるものである。

したがって、本件商標は、構成全体から生じる「ヒルズレジデンシャルタワー」の称呼のほかに、要部である「ヒルズレジデンシャル」及び「HILLS RESIDENTIAL」の文字部分に相応して「ヒルズレジデンシャル」の称呼を生じ、また、「ヒルズレジデンシャル」からは特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標について

引用商標は、「ヒルズレジデンシャル」及び「HILLS RESIDENTIAL」の各文字からなり、これより「ヒルズレジデンシャル」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。

(3)本件商標と引用商標の類否について

本件商標と引用商標とは、共に「ヒルズレジデンシャル」の称呼が生じ、観念は対比できないものである。

そして、本件商標と引用商標の指定役務は、同一又は類似のものである。

そうすると、本件商標と引用商標とは、外観部分で近似し、「ヒルズレジデンシャル」の称呼を共通にする場合があり、観念は対比できないものの、商標全体として類似の商標であり、また、その指定役務も同一又は類似のものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

ア 本件商標は、「ヒルズレジデンシャルタワー」の片仮名と「HILLS RESIDENTIAL TOWER」の欧文字を上下二段に横書きしてなるところ、その構成文字は、同書、同大に表されているものであり、外観上、全体がまとまりよく一体的に表されたものと看取、把握されるものである。

そして、本件商標の構成中、上段の「ヒルズレジデンシャルタワー」の片仮名は、下段の「HILLS RESIDENTIAL TOWER」の欧文字の読みを表したものと容易に理解されるものであるところ、その構成文字に相応して生じる「ヒルズレジデンシャルタワー」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。

また、本件商標を構成する「ヒルズレジデンシャルタワー」及び「HILLS RESIDENTIAL TOWER」の各文字は、いずれも一般の辞書等に載録されている語ではない。

イ 本件商標の構成中、後半の「タワー」及び「TOWER」の各文字は、「塔」の意味を有する語(広辞苑 第7版)であるが、本件商標の指定役務との関係において、上記意味を有する「タワー」及び「TOWER」の各文字が、直ちに役務の質等を直接的に表示するものとはいい難い。

また、申立人の提出に係る証拠によれば、マンションを取り扱う業界において、「タワー」及び「TOWER」の各文字が、「タワーマンション」の解説として、「《(和)tower+mansion》俗に、集合住宅としてつくられた塔状の高層建築物のこと。ふつう、20階以上のものについていうことが多い。タワー型マンション。タワマン。」(甲4)と記載され、例えば「ライオンズタワー月島」、「レジディアタワー六本木」、「THE 千代田麹町 TOWER」、「ヨコソーレインボータワーハイツ」及び「ワテラスタワーレジデンス」(甲5)のようにマンションの名称中における使用例があるが、それらの使用例は、「タワー」及び「TOWER」の各文字が必ず他の文字と組み合わされ、マンションの名称の一部に含んで使用されているものであり、「タワー」及び「TOWER」の各文字が、本件商標の指定役務との関係において、出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合に該当する根拠となるものではない。

さらに、当審において職権をもって調査するも、「タワー」及び「TOWER」の各文字が、本件商標の指定役務の業界において、役務の質等を表示するものとして一般的に使用されている事実は発見できないことに加え、本件商標の指定役務の取引者、需要者に、役務の質を直接的に表示するものとして理解されるというべき事実も発見できないから、本件商標は、その構成全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然である。

その他、本件商標の構成中、前半の「ヒルズレジデンシャル」及び「HILLS RESIDENTIAL」の文字部分が、取引者、需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとみるべき特段の事情も見いだせない。

そうすると、本件商標は、その構成中、前半の「ヒルズレジデンシャル」及び「HILLS RESIDENTIAL」、又は、後半の「タワー」及び「TOWER」のいずれかの文字部分が、本件商標の要部として認識されるものではなく、構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが相当である。

したがって、本件商標は、「ヒルズレジデンシャルタワー」の称呼のみを生じ、特定の観念は生じないものである。

(2)引用商標について

引用商標は、「ヒルズレジデンシャル」の片仮名と「HILLS RESIDENTIAL」の欧文字を上下二段に横書きしてなるところ、その構成文字は、同書、同大に表されているものであり、外観上、全体がまとまりよく一体的に表されたものと看取、把握されるものである。

そして、引用商標の構成中、上段の「ヒルズレジデンシャル」の片仮名は、下段の「HILLS RESIDENTIAL」の欧文字の読みを表したものと容易に理解されるものであるところ、その構成文字に相応して生じる「ヒルズレジデンシャル」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。

また、引用商標を構成する「ヒルズレジデンシャル」及び「HILLS RESIDENTIAL」の各文字は、一般の辞書等に載録されている語ではない。

したがって、引用商標は、「ヒルズレジデンシャル」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

(3)本件商標と引用商標との類否について

本件商標と引用商標とを比較すると、両商標の外観は、構成文字数及び「タワー」及び「TOWER」の各文字の有無により、明確に区別し得るものであって、相紛れるおそれのないものである。

次に、称呼においては、本件商標から生じる「ヒルズレジデンシャルタワー」の称呼と、引用商標から生じる「ヒルズレジデンシャル」の称呼とを比較すると、両称呼は、構成音数が明らかに相違し、かつ、「タワー」の音の有無に差異を有することから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が異なり、相紛れるおそれのないものである。

また、観念においては、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較できないものである。

そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、これらが需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両者は、非類似の商標というのが相当である。

(4)本件商標の指定役務と引用商標の指定役務との類否について

本件商標の指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似の役務を含むものである。

(5)小括

以上によれば、本件商標の指定役務が、引用商標の指定役務と同一又は類似の役務を含むとしても、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するという事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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