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Trademark Appeal Case

商標の称呼・外観類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号判定2020−600035(T2020−600035/J6)
審判種別記載はありません。
結論other

結論テキスト

商品「中東男性用民族衣装用の織物」に使用するイ号標章は、登録第3156544号商標の商標権の効力の範囲に属する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3156544号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成4年12月24日に登録出願され、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバ―クロス,レザ―クロス,ろ過布,布製身の回り品,かや,敷き布,布団,布団カバ―,布団側,まくらカバ―,毛布」を指定商品として、同8年5月31日に設定登録されたものである。

2 イ号標章

特定できない者により輸出される商品「中東男性用民族衣装用の織物」(以下「使用商品」という場合がある。)に使用する標章として、請求人が示した標章(以下「イ号標章」という。)は、別掲2のとおりの構成からなる標章である。

3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の判定を求め、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(以下、証拠の表記については、「甲○」のように記載する。)を提出した。

なお、本件判定請求は、被請求人が存在しないものであるが、その理由として、当審における令和3年3月18日付け審尋に対する同年4月21日付け回答書により、イ号標章は中東諸国等で出回っており、製品の製造元が不明であって、直接の働き掛けができないことから、日本への輸出を停止すべく、税関当局による輸出差止め申立の手続に活用するとの回答を得た。

(1)判定請求の必要性

請求人は、本件商標の商標権者であり、イ号標章を付した使用商品が輸出され市場に流通している事実に接し、輸出差止申立の手続を行う必要が生じたことから、本件商標の商標権の効力の範囲について、専門的知識をもって中立的立場から判断される判定を特許庁に求めるものである。

(2)取引の実情

ア 本件商標の使用

請求人は、1979年2月より、使用商品と同じく中東男性用民族衣装用の織物(以下、請求人が製造販売する前記織物は「請求人商品」とする。)の名称として「SERAMIRAS」(判定注:「SEMIRAMIS」の誤記と認める。)の使用を開始し、現在も継続して使用するものである。請求人商品は、主にアラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア王国等の湾岸諸国向けに輸出、同国よりイラン、イラクなどの中東諸国やモロッコ、アルジェリアなどの北アフリカ諸国に再輸出されており、高品質、かつ、高級感が漂う織物として我が国のみならず現地の取引者、需要者において広く知られ、請求人商品により加工された中東男性用民族衣装も高い評価を得ている。

イ イ号標章の説明

これに対して、使用商品製造販売業者は、遅くとも2019年より、イ号標章が表示された商品タグ(甲3及び甲4)を付した使用商品を日本国内において製造販売し、請求人商品と同様に湾岸諸国向けへ輸出するものであり、使用商品の品質は、請求人商品の品質と比較して粗悪なものといわざるを得ず、かつ、安価に取引されているため、使用商品は請求人商品の模倣品との位置付けにある。

そして、模倣品である使用商品は、現地において加工後主に縫製品として流通するものであるが、加工前の段階、少なくとも使用商品の製造販売時及び輸出時においては請求人商品と同様に「織物」の状態であるから、これに接する我が国及び湾岸諸国の取引者、需要者は、使用商品を請求人商品であるかのごとく誤認混同する可能性が極めて高い。

(3)本件商標とイ号標章とが互いに酷似すること

ア 外観上互いに類似すること

本件商標とイ号標章とは、語頭の「S」と「A」とが相違するものの、これに続く9文字中の8文字が共通するものである。さらに、濃青地に金文字で表示する点、欧文字がすべて大文字で書されている点、書体が共通する点などの具体的構成態様を考慮すると、本件商標とイ号標章とは判然と区別し難く、両者は、外観上互いに類似するものである。

イ 称呼上互いに類似すること

「セミラミス」との称呼が生ずる本件商標と「アエミラミス」との称呼が生ずるイ号標章とは、語頭部分は相違するものの比較的強く称呼され得る「ミラミス」の称呼が共通し、さらに、相違部分である「セ」と「アエ」部分とは互いに非円唇前舌半挟母音「e」が共通するものである。

そうすると、これらの音の差異が両称呼全体に及ぼす影響は小さく、それぞれを一連に称呼する場合は、語韻語調が近似するものであるから、両者は、称呼上互いに類似するものである。

(4)使用商品製造販売業者が本件指定商品と同一又は類似の使用商品についてイ号標章を使用したこと

ア 使用商品が本件商標の指定商品と同一又は類似であること

使用商品「中東男性用民族衣装用の織物」は、本件商標の指定商品である商品の区分第24類「織物」の範ちゅうに含まれるため、本件商標の指定商品と使用商品とは同一又は類似の関係にあることは明らかである。

イ 商標法上の使用であること

イ号標章は、商品タグに表示された状態で使用商品に取り付けられているため、商標法第2条第3項第1号にいう標章の「使用」に該当し、さらに、使用商品は製造販売後に輸出され市場に流通しているため、商標法第2条第3項第2号にいう標章の「使用」に該当する。

(5)まとめ

以上のとおり、イ号標章と本件商標とは互いに類似する標章であり、使用商品も本件商標の指定商品と同一又は類似の商品であるから、使用商品製造販売業者が使用商品に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。

4 当審の判断

(1)本件商標について

本件商標は、別掲1のとおり、「SEMIRAMIS」(語頭から3文字目の「M」の欧文字の上部には、王冠をモチーフにしたと思しき図形が配されている。)の欧文字を特徴的な書体で横書きしてなり、その構成文字に相応して、「セミラミス」の称呼が生じるものである。

また、当該文字は、一般の辞書等に載録がないことから、特定の意味を有しない造語を表したものといえる。

(2)イ号標章について

イ号標章は、別掲2のとおり、「AEMIRAMIS」の欧文字を特徴的な書体で横書きしてなり、その構成文字に相応して、「アエミラミス」の称呼が生じるものである。

また、当該文字は、一般の辞書等に載録がないことから、特定の意味を有しない造語を表したものといえる。

(3)使用商品について

使用商品とされる「中東男性用民族衣装用の織物」は、用途を限定した織物であって、本件商標の指定商品中「織物」に包含される商品であること明らかである。

(4)本件商標とイ号標章との類否について

本件商標とイ号標章との外観を比較すると、いずれも欧文字9字からなり、語頭における「S」と「A」の差異及び語頭から3文字目の王冠をモチーフにしたと思しき図形の有無があるとしても、それ以外の「EMIRAMIS」の8字を共通にするものであって、いずれの文字も同一といい得る特徴的な書体で表してなるものであるから、構成全体としてみれば、同じ文字からなる商標であるかのごとく誤認する可能性も大きく、外観上、酷似した印象を与えるものである。

次に、称呼においては、本件商標は「セミラミス」の称呼が生じ、イ号標章は「アエミラミス」の称呼を生じるから、称呼上、相違するものである。

さらに、観念においては、本件商標とイ号標章ともに特定の観念は生じないものであるから、観念上、比較することはできない。

してみれば、本件商標とイ号標章とは、称呼において相違し、観念において比較できないものの、外観において、同一といい得る特徴的な書体で表してなることより、同じ文字からなる商標であるかのごとく酷似した印象を与えるものであるから、これらの外観、称呼、及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合勘案すれば、両者は、相紛れるおそれのあるものというのが相当である。

そして、イ号標章を使用する使用商品は、本件商標の指定商品の範ちゅうに属する商品である。

(5)まとめ

したがって、使用商品について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。

よって、結論のとおり判定する。

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