Trademark Appeal Case
ありふれた位置商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2018−2124(T2018−2124/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は,別掲1(1)のとおり,標章を付する位置が特定された位置商標であって,第9類「レンズ交換式デジタルカメラ」を指定商品とし,商標法第5条第4項に基づく「商標の詳細な説明」を別掲1(2)のとおりとして,平成27年4月1日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標を構成する図形は,単に朱色の円図形であると認められる。そして,本願の指定商品を取り扱う業界において,出願人以外の商品の筐体におけるレンズマウントの外縁近傍に,朱色の図形が採択・使用されている事実がある。そうすると,本願商標を,その指定商品に使用してもこれに接する取引者,需要者は,この商品の筐体のレンズマウントの外縁近傍に普通に使用される朱色の円図形を表示したものと理解するにすぎないことから,本願商標は,きわめて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなるものと判断するのが相当である。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第5号に該当する。また,提出された証拠をみても,本願商標が『永年の間,他人に使用されることなく,独占的排他的に継続使用した実績を有するもの』に該当するとはいえず,単に朱色の円図形で構成される本願商標を,一般の需要者・取引者はもとより,その指定商品に精通する取引者・需要者をしても,本願商標が出願人の業務に係る商品であることを認識することができるとは直ちにはいい難いと判断するのが相当である。したがって,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を具備しない。」旨を認定,判断し,本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ
当審において,本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲2に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,令和2年9月8日付け証拠調べ通知書によって通知し,期間を指定してこれに対する意見を求めた。
第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)
請求人は,上記第3の証拠調べに対し,令和2年10月26日付けの意見書を提出し,要旨以下のように回答した。
1 証拠調べ通知に挙げられた(1)の商品(以下「商品A」という。)について
商品Aは,請求人が,2015年3月に,本願商標の願書提出に先立ち,オリンパス株式会社(以下「オリンパス社」という。)に対して,その販売が不正競争防止法第2条第1項第1号及び第3号に該当するとして,書状により商品Aの販売中止を求めた結果,当該商品に付されていたリング状の図形は取り除かれており,その後オリンパス社から本願商標に類似する図形を付した製品が販売されているという状況は確認していない。
証拠調べ通知において引用されている商品Aが販売されている事実は,オリンパス社が当該製品からリング状の図形を取り除く前に市場に流通した中古品又は在庫品であり,現在,新たに販売されているものはない。
以上の事実はむしろ,請求人が,これまで,本願商標に類似する商標の使用を防除する努力を行ってきたこと,また,商品Aの販売終了後は,同例のような第三者製品が一切新たに発生していないことの証左となるものである。
なお,商品Aがどれほどの販売実績をあげたのかは不明であり,また,現在市場に流通しているものも前記のとおり中古品又は在庫品であって,その量は極めて小さいものである。よって,商品Aは,「ソニーのレンズ交換式デジタルカメラ=シナバー(辰砂)の朱色」という関連需要者による記憶・認識の定着に対して何ら影響を与えていない,また,今後も与えるものではない。
2 証拠調べ通知に挙げられた(2)の商品(以下「商品B」という。)について
商品Bは,青色のリング状の図形が付されたものである。また,商品Bは,レンズ交換式デジタルカメラではなく,レンズ一体型のデジタルカメラであって,レンズ一体型のデジタルカメラに「レンズマウント」は存在せず,商品Bと本願商標の指定商品とは基本的に異なるものである。
したがって,商品Bは,本願商標とは全く異なる態様(異なる色彩,異なる位置)により使用されているものであり,当該例のみをもって,長年かつ大々的な使用の結果周知・著名となった本願商標が獲得してきた識別性が否定されることは,およそ考えることはできない。
3 証拠調べ通知に挙げられた(3)の商品(以下「商品C」という。)について
証拠調べ通知書において示されている商品Cの写真は,そもそも,特定のメーカーが正規に販売・広告しているデジタルカメラの写真ではなく,カメラの販売店が,それぞれ異なるメーカーのカメラ筐体,レンズ,アダプタを独自に組み合わせてカスタム販売しているものである。しかも,赤く塗装されている部分は,レンズでも,カメラ筐体でもなく,それらを接合するアダプタの周囲に施されているにすぎないものである。
したがって,商品Cは,レンズ交換式デジタルカメラの筐体(本体)のレンズマウントの外縁近傍に朱色のリング状の図形が付されている例には,まったくあたらず,これをもって本願商標の商標法第3条第2項適用を否定することは極めて不合理である。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第5号該当性について
(1)本願商標
本願商標は,別掲1(2)のとおりの「商標の詳細な説明」によれば,標章を付する位置が特定された位置商標であり,商品「レンズ交換式デジタルカメラ」の筐体(本体)のレンズマウントの外縁近傍に付された朱色のリング状の図形(以下「本願図形」という。)からなるものである。
(2)本願商標の構成に係る図形について
本願商標を構成する図形は,朱色のリング状の図形(本願図形)よりなるものであるが,本願図形のような形状は,極めて簡単,かつ,ありふれた形状であって,一般には標章の輪郭又は枠を表すためのものとして,普通に採択使用されている実情にあるといえる。
また,本願の指定商品を取り扱う業界においては,商品の美感の向上に資する目的のため様々な色彩が用いられているところ,本願図形に係る朱色ないしそれに近似する色彩については,原査定及び当審における証拠調べにおいて示した例示(別掲2(1),(3),別掲3)のとおり,本願の指定商品の筐体の色彩やレンズマウントの外縁近傍に施された図形の色彩等として,広く一般に用いられている色彩というのが実情である。
そうすると,本願図形は,輪郭図形として普通に採択されている,極めて簡単,かつ,ありふれた形状であるリング状の図形を,広く一般に用いられる赤色の一類型である朱色で着色したものであるから,その色彩を含めた形状は,ありふれた標章と判断するのが相当である。
(3)本願図形を付す位置について
本願図形を付す位置は,上記(1)のとおり,「本願の指定商品のレンズマウントの外縁近傍」であるところ,別掲2及び別掲3のとおり,本願の指定商品を取り扱う業界においては,デジタルカメラのレンズやレンズマウントの外縁近傍に赤や青等の色彩を施した図形を付すことが一般に行われている。
なお,請求人は,別掲2(2)は,本願の指定商品にレンズを取り付ける際,レンズとの間に取り付けるマウントアダプターであり,別掲2(3)はレンズの取り外しのできないタイプのデジタルカメラであって,本願の指定商品そのものではない旨主張する。しかしながら,本願の指定商品にレンズを取り付けた形状と,本願の指定商品にマウントアダプター及びレンズを取り付けた形状又はレンズの取り外しのできないタイプのデジタルカメラとは,略直方体の筐体に円筒形のレンズが垂直に付いているという点で形状が似通ったものである。そして,別掲2(2)及び(3)において,赤又は青の色彩が施されたリング状の図形が付されている場所は,レンズの根元付近であり,本願の指定商品のレンズマウント部分と同様の位置といえる。
そうすると,本願商標に接する需要者,取引者は,本願商標が本願の指定商品のレンズマウント部分の外周部分の一部を一周するように朱色に彩色したものと認識するにとどまるというのが相当であるから,本願図形が付される位置により本願商標が自他商品の識別標識としての機能を有するものとは認められない。
(4)判断
以上からすると,上記(2)のとおり,本願図形の形状は,「極めて簡単で,かつ,ありふれた」形状からなる図形であり,また,その図形に付される色彩も,本願商標の指定商品を取り扱う業界において広く一般に用いられている色彩であるから,本願図形は,「極めて簡単で,かつ,ありふれた標章」といえる。
そして,本願図形が,本願商標で特定される位置に付されても,そのことが自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとは認められないから,これらを総合的に検討すれば,本願商標は,極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなるものであり,商標法第3条第1項第5号に該当する。
2 商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて
請求人は,本願商標が仮に商標法第3条第1項第5号に該当するとしても,同条第2項の要件を具備している旨主張し,原審において参考資料1ないし参考資料198並びに当審において甲第199号証ないし甲第346号証を提出している。なお,原審における参考資料1ないし参考資料198については,甲第1号証ないし甲第198号証と読み替える。
(1)使用による自他商品識別力の獲得について
ア 商標登録出願された商標が,商標法第3条第2項の要件を具備し,登録が認められるか否かは,使用に係る商標及び商品,使用開始時期及び使用期間,使用地域,当該商品の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して,出願商標が使用された結果,判断時である審決時において,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるか否かによって決すべきものであり,商標法第3条第2項の要件を具備するためには,使用商標は,出願に係る商標と同一であることを要するものというべきである(知財高裁平成21年(行ケ)第10388号 同22年6月29日判決参照)。
そこで,以上の観点を踏まえて,本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて,請求人の提出した証拠及び主張を検討する。
イ 請求人の使用に係る商品及び使用開始時期
請求人は,遅くとも2006年(平成18年)より,現在に至るまで,本願商標と同一視される商標をその指定商品に使用している(甲84,甲94ほか)ことは認められる。
ウ 本願商標と同一視される商標を使用した商品(以下「使用商品」という。)の売上高,販売台数及び広告費について
請求人は,2006年の発売から現在に至るまで相当数の販売数を挙げていることを主張するとともに,デジタルスチルカメラ「α」の日本における販売台数は,2006年(平成18年)が5万2864台,2007年(平成19年)が5万4212台,2008年(平成20年)が8万7623台であり,売上高は2006年(平成18年)が62億8100万円,2007年(平成19年)が67億5300万円,2008年(平成20年)が96億5500万円であり,宣伝広告費は2006年(平成18年)が12億3000万円,2007年(平成19年)が13億4100万円,2008年(平成20年)が7億2300万円であったことを,請求人の従業員の作成した陳述書(甲294〜甲296)を示し主張している。また,請求人は,使用商品の販売台数は,発売開始時から2019年(令和元年)6月までの間に,日本国内だけで少なくとも全国の2864の小売店を通じ,累計65万台超販売した旨述べ,請求人関係会社の担当者の陳述書(甲335)を提出している。しかしながら,これらの陳述書は請求人の関係者によるものであって,客観的な証拠とはいえないものである。仮に,上記の売上高,販売台数及び広告費が事実であるとしても,これらの多寡については客観的な証拠はなく,判断することはできない。
エ 使用商品の市場シェアについて
請求人の業務に係るレンズ交換式デジタルカメラ(指定商品)のうち,その全てが使用商品であった年次(2007年(平成19年)〜2009年(平成21年))の本願の指定商品の国内における市場シェアについて,使用商品の2007年(平成19年)の市場シェアは4.2%(第5位),2008年(平成20年)の市場シェアは9.2%(第3位),2009年(平成21年)の市場シェアは7.2%(第4位)であり,ある程度の市場シェアがあることはうかがえる(甲336〜甲338)。
そして,請求人は,同商品の2010年以降の国内販売シェアについては,2010年(平成22年)が13.1%(第3位),2011年(平成23年)が15.5%(第4位),及び2012年(平成24年)が13.8%(第3位)であり(甲77〜甲79),世界シェアは,2016年(平成28年)が11.0%(第3位,甲76)2017年(平成29年)が13.3%(第3位,甲300)である旨主張している。
しかしながら,令和元年7月31日付けの回答書における添付物件や職権による調査によれば,2010年以降の請求人の業務に係る本願の指定商品の中には,本願商標が使用されていない商品(NEX−3,NEX−5ほか)が存在することからすれば,請求人が提出した2010年以降の市場シェアは,本願商標が使用されていない商品も含むものであって,使用商品の市場シェアとは認められない。
そうすると,使用商品のみの2010年(平成22年)以降の市場シェアは不明である。
オ 使用商品が掲載された記事及び宣伝,広告について
使用商品に関する記事や広告が,新聞,雑誌,ウェブサイト,テレビCM等において,2006年(平成18年)以降継続して,相当程度掲載・放映されていることが認められ,これらの中には本願商標が表示されているもの(甲62,甲84,甲108ないし甲110ほか)があるとしても,本願商標は「SONY」の文字や「α」の文字とともに使用されている。そして,提出された記事や広告例の中には,白黒のものであって本願商標の表示が認められないもの(甲203,甲221ほか)や一部が欠けて表示されているなど本願商標との同一性が認められないもの(甲92,甲93ほか),画像が粗く本願商標の表示かどうか不明なもの(甲94,甲95ほか)も少なくない。
そして,請求人は,「かなり高い頻度で主要な新聞や雑誌に広告出稿している」旨述べ,「過去にどのような媒体(新聞・雑誌)にどのような頻度で,そして,どのような内容の広告を,出稿しているかにつき説明した陳述書」(甲297)及び2006年(平成18年)6月ないし2016年(平成28年)7月に広告が掲載された新聞・雑誌のリストを提出している(甲179,甲297の添付物件)ものの,当該陳述書は,請求人関係会社の担当者のものであることから,客観的な証拠とはいえないものである。また,上記リストは作成者や作成日が不明なものであって,客観的な証拠とはいえない。
さらに,テレビCMについては,視聴率の高い人気番組の時間帯に,かつ,高頻度で放送されていたものであると主張し,2006年(平成18年)11月及び同年12月の取引書類(甲163)を提出しており,これらからは,当該期間において相当程度テレビCMが放送されたことは認められるものの,それ以降は不明であるし,当該期間においても,テレビCMがどの程度の需要者の目に触れたかは不明である。なお,甲第163号証のうち,「提供番組ローテーション」と称する書類については,どのような書類か不明であることに加え,作成者も不明であるから,客観的な証拠とはいえないものである。
そして,請求人は,動画投稿サイトにおいてテレビCMを放映しており,その中には,視聴回数が37万回のものや100万回を超えるものがあることを主張し,当該動画投稿サイトのスクリーンショット(甲178,甲298)を提出しているものの,これがいつ時点のスクリーンショットなのか,どの程度の期間での視聴回数なのか不明である。仮に,当該視聴回数が事実であるとしても,その多寡については客観的な証拠はなく,判断することができない。
また,請求人は,使用商品に関するカタログを,本願商標を表示して発行しており,その発行部数は,2016年(平成28年)6月ないし2018年(平成30年)に累計で33万7304部に上り,それを日本国内だけで少なくとも全国の2864の小売店を介して頒布した旨を,請求人の関連会社の担当者の陳述書(甲335)によって主張しており,請求人が使用商品に関するカタログを,本願商標を表示して発行していることは認められる(甲164,甲165,甲168ないし甲169ほか)が,いずれも本願商標は「SONY」の文字や「α」の文字とともに使用されているものである。そして,当該陳述書(甲335)は,上記ウのとおり,請求人の関係者によるものであって,客観的な証拠とはいえないものである。また,仮に上記部数が事実であるとしても,その多寡については客観的な証拠はなく,判断することができないし,これらのうちどの程度の部数が頒布されたのかは不明である。
さらに,請求人は,本願商標のカタログをウェブサイトにおいて,ダウンロードできる状態にし,使用商品のうち「ミラーレス一眼タイプの総合カタログ」は2015年(平成27年)3月1日ないし2016年(平成28年)3月31日に3万513回,また使用商品のうち「α7II」という商品のカタログは2015年(平成27年)3月1日ないし2016年(平成28年)9月30日に5万8651回ダウンロードされたことを主張し,カタログのダウンロード数を裏付ける資料として,「アドビシステム社が提供する統計調査サービスの資料」(甲176,甲177)を提出しているものの,これら資料の作成者や作成日は不明であるし,そもそもこれらの資料がどのようなものであるかも不明であるから,客観的な証拠とはいえないものである。また,仮に上記回数が事実であるとしても,その多寡については客観的な証拠はなく,判断することはできない。その他にウェブサイトを通じて使用商品のカタログがどの程度ダウンロードされたのかを示す客観的な証拠の提出はない。
カ 受賞歴について
請求人は,使用商品の受賞歴として,2006年のグッドデザイン賞,2016年及び2018年のカメラグランプリ等を挙げている。(甲210,甲313〜甲317ほか)。
しかしながら,これらの賞の受賞と本願商標との関連等は不明であるし,これらの受賞によって,本願商標が,どの程度需要者の目に触れることとなったのかも不明である。
(2)判断
前記(1)によれば,請求人は,本願商標を2006年(平成18年)より,現在に至るまで継続して使用していることがうかがえるものの,使用商品の売上高,販売台数及び広告費については,客観的な証拠の提出がなく,不明であるといわざるを得ない。仮に,請求人の主張する使用商品の売上高,販売台数及び広告費が事実であるとしても,これらの多寡については客観的な証拠はなく,判断することはできない。
また,使用商品の市場シェアについては,2007年(平成19年)ないし2009年(平成21年)はある程度のシェアがあったことはうかがえるものの,2010年(平成22年)以降については,客観的な証拠の提出がなく,不明である。
そして,使用商品に関する記事及び広告については,新聞,雑誌,ウェブサイト,テレビCM等を通じて,相当程度行われていることはうかがえるものの,本願商標が表示されているものは,そのうちの一部であり,本願商標が確認できないものも少なくない。しかも本願商標は「SONY」の文字や「α」の文字など他の標章と共に使用されているものであるから,本願商標に係る商品に接する取引者,需要者は,「SONY」の文字や「α」の文字などのより自他商品の識別標識としての機能の強い標章を目印に取引を行うと判断するのが相当である。
また,使用商品が複数の受賞歴を有することは認められるものの,各賞と本願商標との関連や各賞を受賞したことによって,本願商標が,どの程度需要者の目に触れることとなったのかも不明である。
そうすると,請求人が提出した証拠からは,請求人が本願商標を,その指定商品に使用した結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとは認められないから,本願商標は,商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものではない。
(3)請求人の主張について
請求人は,「本願の指定商品は,プロ仕様またはハイアマチュア仕様として販売されることが多い性格のものであり,そういう性格からか従来から,大衆向けのコンパクトデジタルカメラとは異なり,黒・シルバーの二色の組合せからなる比較的モノトーンな外観となることがほとんどである。ましてや,レンズマウントの外縁近傍にリング状の図形を施しているものなど,従来機はもとより現在販売されているものをみても,見当たらないというのが実情である。そして,この非常にビビッドな朱色は,見る者に対して即座に強い印象を与えるものであり,前述した実情のもとにおいては,本願の指定商品の需要者及び取引者は,本願商標に接すれば即座に,使用商品が請求人の出所に係るものであると特定することが可能である。」旨を主張している。
しかしながら,本願の指定商品は,プロ仕様またはハイアマチュア仕様として販売される商品に限られないものであることに加え,上記1のとおり,本願の指定商品の中には,赤色や青色といった色彩が施された商品が一般に存在している。仮にその一部の商品については,現在は販売されていないものであるとしても,過去には,本願商標と同一視できる標章が付された本願の指定商品が存在していた事実もある。
してみれば,本願の指定商品において,黒・シルバーの二色の組合せからなる比較的モノトーンな外観の商品以外のものも一般的であるといえ,また,使用商品と同様に,レンズの根元部分に赤や青の色彩を施した上でリング状の図形を付した商品も一般に存在するといえるから,上記1のとおり,本願商標は自他商品の識別標識としての機能はないと判断するのが相当である。
したがって,請求人の主張は採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第5号に該当するものであり,同条第2項の要件を具備しないものであるから,登録をすることができない。
よって,結論のとおり審決する。
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