sokuhyo

Trademark Appeal Case

色彩商標の識別力獲得

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−6770(T2018−6770/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、商標法第5条第4項に基づく「商標の詳細な説明」を願書に記載のとおりとし、第36類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成27年4月1日に色彩のみからなる商標として登録出願されたものである。

その後、「商標の詳細な説明」については、原審における平成29年1月10日付けの手続補正書により、別掲2のとおりに補正された。

さらに、指定役務については、原審における平成29年1月10日付け及び当審における同30年8月13日付けの手続補正書により、別掲3のとおりに補正された。

第2 原査定の拒絶の理由(要旨)

本願商標は、別掲1及び別掲2の記載から特定されるものである。

ところで、役務の提供の用に供する物や広告に使用される色彩は、多くの場合、それらの魅力向上等のために選択されるものであって、役務の出所を表示し、自他役務を識別するための標識として認識し得ないものである。

そして、本願商標の指定役務を取り扱う業界において、本願商標のような赤色の色彩が使用されている実情がある。

そうすると、本願商標を、その指定役務の提供の用に供する物や広告に使用しても、これに接する取引者、需要者は、役務の提供の用に供する物や広告に通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、何人かの業務に係る役務であるかを認識することができない。

また、請求人が、本願商標の赤色の色彩を、その指定役務の提供の用に供する物や広告において、37年以上の期間、日本全国で相当規模使用しているが、いずれの使用態様も「MUFG」等の文字が付されており、これらの文字や図形から受ける印象が強い。

さらに、請求人以外の者による本願商標と同一又は類似の色彩の使用も多数ある。

したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であり、商標法第3条第1項第6号に該当する。

第3 当審における審尋

当審は、以下のとおりの審尋(令和元年6月25日付け審尋)を発し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。

1 アンケート調査を実施するのであれば、本願商標の色彩の認識度調査について、客観性及び公平性を考慮したアンケート実施結果を提出されたい。

2 本願商標の識別力獲得に関する資料は膨大であり、当審において提出された資料はその一部であるとのことから、これまで提出した証拠のほかに、識別力獲得に関する資料があれば提出されたい。

第4 審尋に対する請求人の回答

請求人は、上記第3の審尋に対し、証拠方法として、当審において既に提出されている甲A第1号証ないし甲A第14号証(枝番号を含む。)、甲B第1号証ないし甲B第23号証(枝番号を含む。)、甲C第1号証ないし甲C第9号証(枝番号を含む。)、甲D第1号証ないし甲D第11号証(枝番号を含む。)、甲E第1号証ないし甲E第15号証(枝番号を含む。)、甲F第1号証ないし甲F第2号証(枝番号を含む。)、甲G第1号証ないし甲G第10号証(枝番号を含む。)、甲H第1号証ないし甲H第5号証(枝番号を含む。)、甲I第1号証、甲J第1号証ないし甲J第15号証(枝番号を含む。)、甲K第1号証ないし甲K第2号証(枝番号を含む。)及び甲L第1号証ないし甲L第2号証に加え、甲A第15号証ないし甲A第28号証(枝番号を含む。)、甲B第24号証ないし甲B第28号証(枝番号を含む。)、甲D第12号証、甲E第16号証、甲F第3号証及び甲G第11号証を提出し、当該資料の説明を行った。

第5 当審においてした証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲4に掲げる事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に通知し(令和元年6月25日付け証拠調べ通知書)、意見を求めた。

第6 証拠調べの結果に対する請求人の意見(要旨)

1 指摘された使用例は、銀行分野、保険分野、不動産分野で、本願商標と同一又は類似の色彩が、使用されていた又は使用されている事実を指摘したにすぎず、色彩の商標は、特殊な事情のない限り、本来的には自他商品役務識別力を欠いていることの証左を示したにすぎない。

2 指摘された使用例は、赤色の使用が少量であったり、他の色彩と共に使用されサービス提供の際に魅力向上のために装飾的に使用されており、本願商標の長年にわたりコーポレートカラーとして戦略的に使用されている事情とは全く異なる。したがって、指摘された使用例が、需要者・取引者の強く印象に残るとは考えられず、本願商標の識別力を否定する根拠にはならない。

3 指摘された使用例の使用時期、使用量は不明であり、本願商標の識別力を阻害しているか不明である。なお、銀行業務分野については、その業務規模を比較し、その業務規模からしても膨大な使用量は推認されず、よって、本願商標の識別力を否定する根拠にはならない。

第7 当審の判断

1 本願商標の色彩の識別性の有無について

(1)本願商標について

本願商標は、上記第1のとおり、赤色(CMYの組合せ:C 10%、M 100%、Y 100%)のみからなるところ、文字や図形と組み合わせたものではなく、商標を使用する際の形態や使用態様も特定するものではない。

(2)本願指定役務の業界における赤色の使用

役務の提供の用に供する物や広告に使用される色彩は、多くの場合、役務の魅力向上等に資する物や広告の装飾等のために採択されるものであって、役務の出所を表示し、自他役務を識別するための標識としては認識し得ないものである。

そして、上記のとおり、役務の提供の用に供する物や広告には、その美観を向上させるための装飾等として様々な色彩が用いられているところ、赤色は一般に利用されている色彩であって、特異な色彩であるとはいえない。そして、当審における証拠調べ通知において示した例(別掲4)のとおり、本願指定役務を取り扱う業界においても、本願商標の赤色(以下「本願赤色」という。)と同系色の色彩を、ウェブサイトや店舗、看板等に多数使用している実情がある。

そうすると、本願赤色は、その使用の程度や量に多少の差はあるとしても、本願指定役務を取り扱う業界において、多くの事業者によって、役務の魅力向上等に資する装飾として、役務の提供の用に供する物や広告において一般に使用されている赤色の一類型として、何人もその使用を欲するといい得るものであり、これに接する取引者、需要者は、役務の魅力向上のために使用される色彩と認識するにとどまると見るのが相当である。

(3)小括

以上のとおり、本願赤色は、一般的に使用される色彩であって、自他役務の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものである。

したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものであるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。

2 本願商標の使用による識別性の有無について

請求人は、本願商標(本願赤色)は、請求人による継続した使用により、自他役務の出所識別標識としての機能を獲得している旨を主張したため、以下検討する。

(1)証拠及び請求人の主張によれば、以下のとおりである。

ア 請求人及びグループ会社について

請求人は、2001年4月、東京三菱銀行、三菱信託銀行、日本信託銀行の三行の株式移転により、三菱東京フィナンシャル・グループの名で設立され、2005年にUFJホールディングスと合併し、「株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ」に変更された(請求人主張、甲A2、甲B1)。現在、請求人は、連結子会社209社及び持分法適用関連会社56社のグループ会社を有している(甲A3)。

イ 本願赤色の使用状況について

(ア)使用開始時期、使用期間及び使用場所

a 本願赤色は、1980年より、旧三菱銀行、旧東京三菱銀行、旧三菱東京UFJ銀行の看板等において、白抜きで表示された社名の背景色に使用されており、現在においても、同様に使用されていることが認められる(甲B3〜甲B6、甲B23)。

b 三菱UFJ銀行は、2018年3月末において、国内525店舗、海外116店舗、2016年3月末において、254法人拠点、ATM1923か所を有している(甲A4、請求人主張)。

c 三菱UFJ信託銀行は、2018年1月1日現在、国内55店舗、海外6拠点を有する(甲C1)。

d 三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、2018年7月1日現在、国内62拠点を有する(甲E9)。

e 三菱UFJ不動産販売は、2018年8月3日現在、国内に43カ所の営業所を有する(甲G1)。

(イ)銀行業務における使用

a ウェブページ

(a)三菱UFJ銀行は、ウェブページにおいて、社名やグループシンボルマーク(別掲5)、グループメッセージ(ただし、「Quality for You」の欧文字部分。以下同じ。別掲6)、及びキー項目の背景色等に本願赤色を使用している(甲B1)。なお、当該ウェブページは、2015年9月ないし2016年2月において、月間約5000万のアクセス数があったことがうかがえる(甲B2)。

(b)旧三菱東京UFJ銀行及び三菱UFJ銀行は、インターネットバンキングのサイトにおいて、社名やグループシンボルマーク、グループメッセージ、そして、キー項目の背景色等に本願赤色を使用していた(甲B1、甲B13)。

(c)三菱UFJ信託銀行は、ウェブページにおいて、グループシンボルマーク、グループメッセージ、そして、キー項目の背景等に本願赤色を使用している(甲C1)。なお、2013年度ないし2016年度の1年当たりの当該ウェブページのアクセス数は、約3000万であったことがうかがえる(甲C3)。

b 看板・店舗外観

(a)旧三菱銀行、旧東京三菱銀行、旧三菱東京UFJ銀行は、店舗・ATMの袖看板、壁面看板等において、白抜きされた社名の背景色やグループシンボルマークの色彩に、本願赤色を使用していた(甲B3〜甲B6)。

(b)三菱UFJ銀行は、店舗・ATMの袖看板、壁面看板等において、白抜きされた社名の背景色やグループシンボルマークの色彩に、本願赤色を使用している(甲B23)。

(c)三菱UFJ信託銀行は、袖看板、屋上看板、壁面看板等において、白抜きされた社名の背景色、グループシンボルマークの色彩に、本願赤色を使用している(甲C5)。

c パンフレット、チラシ類、経済レポート

(a)旧三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ銀行は、各種サービスパンフレットの表紙やパンフレットにおいて、グループシンボルマークの色彩及び白抜きされたサービスタイトルやキー項目の背景色に、本願赤色を使用していた(甲B7、甲B8)。また、旧三菱東京UFJ銀行の「スーパー普通預金(メインバンクプラス)」のパンフレットについて、2013年度ないし2015年度では、年間約50万部が発行されていたことがうかがえる(甲B8)。

(b)三菱UFJ銀行は、チラシにおいて、白抜きされた社名やタイトル、メニュー等の背景色のほか、グループシンボルマーク等の色彩等に、本願赤色を使用している(甲B9)。

(c)三菱UFJ銀行は、同社が発行している経済レポートにおいて、表題部の幅広帯の白抜きされた「経済レビュー」「内外経済の見通し」「経済マンスリー」の文字、並びに、レポート下部の帯の白抜きされたグループシンボルマーク及び旧社名の背景色、に本願赤色を使用している(甲B14)。

(d)三菱UFJ信託銀行は、パンフレットにおいて、ハート形図形や、グループシンボルマーク、タイトル文字、図柄等に本願赤色を使用している(甲C6)。

d 新聞・雑誌広告

(a)旧三菱東京UFJ銀行は、2007年、2012年、2015年に、日経新聞、朝日新聞等の全国紙において、白抜きされたコピー等の文字、社名やメニュー、説明文等の背景色のほか、グループシンボルマーク及びグループメッセージの色彩に、本願赤色を使用した広告を掲載した(甲B15)。

(b)旧三菱東京UFJ銀行は、2007年9月及び2012年2月に各1回、また2015年に5回、週刊文春や日経ビジネス、潮等のほか、請求人グループ広報誌「マンスリーみつびし」やみどり会発行の会報誌「Midori」において、白抜きされたメニュー、説明文等の文字の背景色のほか、グループシンボルマーク及びグループメッセージ等の色彩に、本願赤色を使用した広告を掲載した(甲B15〜甲B17)。なお、請求人グループ広報誌「マンスリーみつびし」は、2006年ないし2019年の発行部数が約30万ないし40万部であることが認められる(甲B28)。

(c)三菱UFJ銀行は、2019年6月3日付け日経新聞において、グループシンボルマークの色彩に、本願赤色を使用した広告を掲載した(甲B25)。なお、同広告の全面に表された赤色はややグラデーションが施されている。

(d)三菱UFJ銀行は、みどり会発行の会報誌「Midori」の2019年1号ないし3号、同4号ないし6号、同7号ないし9号において、白抜きされた「つみたてNISA」等の文字の背景色のほか、グループシンボルマーク及びグループメッセージ等の色彩に、本願赤色を使用した(甲B26)。そして、当該会報は、約16万部発行されている(甲B26)。

(e)三菱UFJ信託銀行は、タイトルや商品名のほか、グループシンボルマーク、グループメッセージ等の色彩に、本願赤色を使用した新聞広告及び新聞折り込チラシによる広告を行った(甲C7)。そして、2015年12月ないし2016年5月において、新聞広告の回数は、日経新聞7回、読売新聞2回、朝日新聞5回、毎日新聞1回の合計15回であり、その広告費は約1億8000万円で、同時期に新聞折込みチラシによる広告を12回行い、その広告費は約1億5600万円であったことがうかがえる(甲C3)。

(f)三菱UFJ信託銀行は、請求人グループ広報誌「マンスリーみつびし」及びみどり会発行の会報誌「Midori」において、そのページの半分の色彩、白抜きされた社名の背景色や、グループシンボルマーク及びグループメッセージ、図形等の色彩に、本願赤色を使用している(甲C8)。

e テレビCM

(a)旧三菱UFJ銀行は、画面や図形の色彩並びに白抜きされたコピーの文字の背景色や表されたグループシンボルマーク及びグループメッセージ等の色彩に、本願赤色を使用したテレビCMを放映した(甲B15)。なお、同行の「Do Smart」旨のテレビCMでは、グループシンボルマーク及びグループメッセージを除き、本願赤色とは異なる赤色が背景色として使用した(甲B18)。

(b)三菱UFJ銀行は、2019年6月にグループシンボルマーク及びグループメッセージ等の色彩に、本願赤色を使用したテレビCMを放映した(甲B24)。そして、当該CMは、関東、関西、中部、BSの計16放送局から合計950回放送された(甲B24)。

(c)三菱UFJ信託銀行は、2014年12月1日ないし14日に白抜きされたタイトルや社名等の背景図形の色彩に、本願赤色を使用したテレビCMを放映した。なお、同社のウェブページで公開されている過去のテレビCM・動画では、グループシンボルマーク及びグループメッセージの文字の色彩に本願赤色が使用されている(甲C9)。

f 出展

三菱UFJ銀行及び三菱UFJ信託銀行は、「CEATEC JAPAN 2018」(2018年10月、幕張メッセ)において、ブース内に、白抜きされたグループシンボルマーク及び「MUFG」の文字の背景色並びにグループシンボルマークの色彩に、本願赤色を使用している(甲A17)。

g その他(通帳、キャッシュカード、封筒)

旧三菱東京UFJ銀行及び旧三菱UFJ銀行は、通帳、キャッシュカードや利用明細において、白抜きで表された社名やグループシンボルマーク、「MUFG」の文字の背景色に、本願赤色を使用した(甲B10、甲B11、甲B12)。また、旧三菱東京UFJ銀行及び三菱UFJ銀行は、封筒においても、白抜きで表された社名やグループシンボルマーク、「MUFG」の文字の背景色に、本願赤色を使用した(甲B21、甲B22)。

(ウ)証券業務における使用

a ウェブページ

(a)旧三菱東京UFJ銀行は、投資信託を紹介するウェブページにおいて、グループシンボルマーク、グループメッセージ、そして、キー項目の背景色等として本願赤色を使用した(甲B19)。

(b)三菱UFJ証券ホールディングスは、ウェブページにおいて、グループシンボルマーク及びグループメッセージ等の色彩として、本願赤色を使用している(甲E1)。なお、ウェブページの1カ月当たりのアクセス数は、2013年1月は、約5.8万、2016年7月は約11万、2015年後半から2016年にかけては、1カ月当たり約10万のアクセスがあったことがうかがえる(甲E2)。

(c)三菱UFJ国際投信は、ウェブページにおいて、グループシンボルマーク及びグループメッセージの文字等に本願赤色を使用している(甲F1)。

b 看板・店舗外観

(a)三菱UFJ証券は、店舗の壁面看板において、白抜きで表された社名やグループシンボルマークの背景色や「MUFG PLAZA」の文字の色彩に、本願赤色を使用している(甲E4)。

(b)三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、袖看板、屋上看板等において、白抜きされた社名やグループシンボルマークの背景色に、本願赤色を使用している(甲E11)。

c 屋内・屋外広告

(a)三菱UFJ証券は、屋外広告において、グループシンボルマーク及びグループメッセージの色彩に、本願赤色を使用している(甲E5)。

(b)三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、空港や野球場、JR等の駅の広告において、グループシンボルマーク及びグループメッセージ等の色彩に、本願赤色を使用している(甲E12)。

d パンフレット、ポスター類

(a)三菱UFJ証券は、店頭用ポスターにおいて、グループシンボルマーク及びグループメッセージ等の色彩に、本願赤色を使用している(甲E6)。

(b)三菱UFJ国際投信は、パンフレットにおいて、グループシンボルマークの色彩に、本願赤色を使用している(甲F2)。

e 新聞・雑誌広告

(a)三菱UFJ証券は、雑誌において、グループシンボルマーク及びグループメッセージ等の色彩に、本願赤色を使用している(甲E7)。なお、これらの掲載先及び時期は、不明である。

(b)三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、請求人グループ広報誌「マンスリーみつびし」の2019年2月号、4月号及び6月号並びにみどり会発行の会報誌「Midori」の2016年9号及び10号において、グループシンボルマーク及びグループメッセージ等の色彩に、本願赤色を使用している(甲E14、甲E16)。

(c)三菱UFJ国際投信は、雑誌において、グループシンボルマークの色彩に、本願赤色を使用している(甲F3)。しかしながら、掲載先及び時期は不明である。

f テレビCM

(a)三菱UFJ証券は、2006年5月ないし2009年1月にかけて、グループシンボルマーク及びグループメッセージ等に、本願赤色を使用したテレビCMを放映した(甲E8)。また、当該テレビCMの一部は、2007年9月に、東京、大阪、名古屋の49の映画館において放映されたことがうかがえる(甲E3)。

(b)三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、2015年5月ないし10月にかけて、本願赤色で表されたグループシンボルマークの色彩に、本願赤色を使用したテレビCMを放映した(甲E15)。

(エ)保険分野における使用

旧三菱UFJ銀行は、各種保険を紹介するウェブページにおいて、グループシンボルマーク、グループメッセージ、そして、キー項目の背景等の色彩として本願赤色を使用した(甲B20)。

(オ)その他金融業務(クレジット、商品券)における使用

a パンフレット、入会申込書

三菱UFJニコスは、パンフレットや入会申込書において、白抜きされた社名やタイトル、メニュー等の背景色のほか、グループシンボルマーク等の色彩に、本願赤色を使用している(甲D6)。

b テレビCM

三菱UFJニコスは、1987年ないし2013年、2015年ないし2016年にかけて、グループシンボルマーク及びグループメッセージ等に、本願赤色を使用したテレビCMを放映した(甲D7、甲D8)。

c クレジットカード、商品券

(a)三菱UFJニコスは、一部のクレジットカードにおいて、主としてカード右上の白抜きされたグループシンボルマークや「MUFG CARD」、「DC」のロゴの背景色及び「NICOS」の文字の色彩に本願赤色を使用している。(甲D3、甲D4)。

(b)三菱UFJニコスは、商品券において、白抜きされたグループシンボルマークの背景色や「MUFG CARD」、「DC」のロゴ及び「NICOS」の文字の色彩に本願赤色を使用している。(甲D9)。

(カ)不動産業務における使用

a ウェブページ 、パンフレット

(a)三菱UFJ不動産販売は、ウェブページにおいて、グループシンボルマーク、アイコンの色彩に、本願赤色を使用している(甲G1)。そして、当該ウェブサイトは、2016年1月ないし6月実績では、7054千回のアクセス数があったことがうかがえる(甲G3)。

(b)三菱UFJ不動産販売は、パンフレットにおいて、グループシンボルマーク、キー項目の背景等に、本願赤色を使用している(甲G2)。

b 看板・店舗外観

三菱UFJ不動産販売は、壁面看板、袖看板等に、赤地に白抜きで表された社名やグループシンボルマーク、「MUFG」の文字が表示されており、本願赤色を使用している(甲G4)。また、野立て看板において、白抜きされた「売物件」等の文字の背景色や、グループシンボルマークの色彩に、本願赤色を使用している(甲G5)。

c ポスター

三菱UFJ不動産販売は、2014年ないし2016年のポスターにおいて、白抜きで表された社名やグループシンボルマークの背景色、「MUFG」の文字等の色彩に、本願赤色を使用している(甲G6)。

d 新聞・チラシ、雑誌

(a)三菱UFJ不動産販売は、新聞広告用原稿において、グループシンボルマーク等の色彩に、本願赤色を使用している(甲G7)。

(b)三菱UFJ不動産販売は、チラシにおいて、白抜きされた社名の背景色及びグループシンボルマークの色彩に、本願赤色を使用している(甲G8、甲G9)。

(c)三菱UFJ不動産販売は、雑誌において、白抜きされた社名の背景色及びグループシンボルマークの色彩に、本願赤色を使用している(甲G10、甲G11)。しかしながら、掲載先及び時期は不明である。

(キ)リース業務における使用

a ウェブページ及びパンフレット

(a)三菱UFJリースは、ウェブページにおいて、グループシンボルマーク、アイコンの色彩に、本願赤色を使用している(甲H1)。

(b)三菱UFJリースは、パンフレットにおいて、白抜きされた社名の背景色及び、グループシンボルマーク、項目名や図形等の色彩に、本願赤色を使用している(甲H2)。

b 屋外広告

三菱UFJリースは、駅構内の広告において、白抜きされた社名の背景色及びグループシンボルマークの色彩として、本願赤色を使用している(甲H3)。

c 新聞・雑誌広告

三菱UFJリースは、新聞広告において、白抜きされた社名の背景色、グループシンボルマーク及びグループメッセージの色彩として、本願赤色を使用している(甲H4)。なお、掲載先及び時期は不明である。

(ク)その他

請求人は、2007年9月に、週刊文春及びESSEにおいて、グループシンボルマークの色彩に、本願赤色を使用した(甲B15)。

ウ 本願赤色の使用における第三者の評価・認知度について

(ア)週刊ダイヤモンドの2014年5月31日及び2019年7月20日の記事中において、「三菱東京UFJ」及び「三菱UFJFG」、「三井住友」及び「三井住友FG」、「みずほ」及び「みずほFG」の3社の利益等をグラフで表しており、各社のデータ要素においてはそれぞれの社名と共に、三菱東京UFJFGは「赤系色」、三井住友FGは「緑系色」、みずほFGは「青系色」でそれぞれ表している(甲A13、甲A19)。しかしながら、社名も記載されており、色彩のみ区別しているとはいえない。

(イ)週刊東洋経済(2016年3月26日)の記事中において、「三菱UFJ FG」「三井住友FG」「みずほFG」の3社の各種比較項目表において、赤地に白抜きで「三菱UFJFG」、緑地に白抜きで「三井住友FG」、青地に白抜きで「みずほFG」の文字が表されている(甲A14)。また、2017年8月5日の記事では、上記3社の看板画像及び3社のカラーで表されたグループシンボルマークが社名と共にそれぞれ記載されている(甲A18)。しかしながら、社名も記載されており、色彩のみ区別しているとはいえない。

エ アンケート調査

(ア)請求人は、以下のとおり、オリバーワイマングループ会社に依頼して、「株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの色彩商標(商願2015−35616)の認識度調査報告書」を実施した。この調査は、日本全国の20歳から69歳の一般消費者を対象にインターネットを用い、総勢1269人のサンプルを実験群736人と対照群533人に分割した対照実験として実施された。なお、当該調査に際しては、推測で回答しないこと、回答中に印刷物やオンライン上の情報を参照しないこと、前の質問に戻ることを禁止するとともに、回答に当たってスマートフォン又はフィーチャーフォンでの使用を選択した場合にはその時点で調査終了とした(甲A22)。

(イ)本願赤色が、請求人及び請求人グループ企業の色彩であるとの認識度は、サンプル全体では自由回答形式で20.82%、複数選択式で29.31%、サンプルを都市銀行利用者に限定した場合は、38.42%(自由回答式。以下同)と51.84%(複数選択式。以下同)、サンプルを三菱UFJ銀行利用者に限定した場合は50.60%と66.17%であった。

(ウ)また、サンプル全体において、メガバンクを普段見かける者に限定した場合は37.67%と50.61%、メガバンクのテレビCMを見たことがある者に限定した場合は26.27%と37.66%、銀行店舗の訪問頻度が高い者に限定した場合は24.20%と32.38%、銀行口座を4つ以上保有する者に限定した場合は31.11%と37.64%であった。

(エ)なお、単純集計結果において、金融業に関してのアンケートであるとして質問を行ったにもかかわらず本願赤色を見て具体的な企業名、グループ名又はサービス名が思い浮かばない及びわからないと答えた者は実験群(本願赤色のみを示して回答させた者)において合計75.95%であり、対照群(薄い紫を示して回答させた者)において95.5%であった。

(2)判断

以上によれば、請求人は、その前身を含め、1980年以降、継続して、営業標識、役務の提供の用に供する物、広告宣伝等に、本願赤色を使用していることが認められる。

しかしながら、請求人がメガバンクのグループであることからすれば、その使用地域は全国に及ぶことが推認できるが、具体的な使用地域を示す資料は提出していない。

そして、本願赤色は、「三菱UFJ銀行」等の社名等の背景色やグループシンボルマーク及びグループメッセージ(ただし、「Quality for You」の欧文字部分。)と結合して使用されているものであり、本願赤色のみが使用されているということはできない。

さらに、雑誌におけるメガバンク3社の比較記事においては、請求人について赤色が用いられているものの、請求人の名称も併記されているものである。

そうすると、本願赤色のみが独立した識別標識として認識され、その機能を果たしているものとは認められない。

さらに、アンケート調査においても、本願赤色から請求人及び請求人グループ企業を認識する割合は、サンプル全体で自由回答形式が20.82%、複数選択式が29.31%であり、また、サンプル全体において、メガバンクを普段見かける者に限定した場合は37.67%(自由回答式。以下同)と50.61%(複数選択式。以下同)、メガバンクのテレビCMを見たことがある者に限定した場合は26.27%と37.66%、銀行店舗の訪問頻度が高い者に限定した場合は24.20%と32.38%、銀行口座を4つ以上保有する者に限定した場合は31.11%と37.64%であるとしても、本願赤色について具体的な企業名等が思いつかない等とする回答が全体の約76%であるから、本願赤色が、請求人及び請求人グループ会社を示す色彩として、需要者の間に広く認識されているとはいえない。

加えて、本願商標は、輪郭のない単一の色彩であり、これと近似する色彩を使用する請求人以外の者が多数存在することからすれば、色彩の自由な使用を不当に制限することを避けるという公益にも配慮すべきである。

したがって、本願商標は、本願指定役務の提供の用に供する物及び広告宣伝において、長年にわたって使用されているとしても、これがその指定役務について自他役務識別力を獲得したことを認めることはできない。

3 請求人の主張について

(1)請求人は、赤色を使用する第三者について、本願赤色と色相が異なっていること、その使用量が少量であること、他の色彩とともに使用されて装飾的に使用されている等、自他役務の識別標識として機能しておらず、また、請求人との事業規模・顧客基盤からも使用規模が小さいことは明らかである旨主張している。

しかしながら、本願赤色と近似する赤色をロゴマークや店舗の看板において白抜の社名の背景色として使用したり、ウェブページ画面に使用していることは証拠調べ通知書で挙げたとおりであり、それらは、一般に赤色が装飾を目的として使用されている実情として、本件に係る判断において考慮されるべき色彩の使用状況であるというのが相当である。

(2)請求人は、本願赤色がシンボルマークや文字と密接に結びついて認知度・信頼度・イメージが形成され、ブランド価値が高められ、業務上の信用が形成されていくものであるから、本願赤色が文字やマークとともに使用されているからといって、本願赤色の自他役務識別力の獲得を阻害するものではない旨主張する。

しかしながら、赤色は特異な色彩ではなく、また、指定役務を取り扱う業界において、役務の提供の用に供する物や広告宣伝の魅力を向上するための色彩として広く一般に使用されている実情において、甲各号証に示された使用態様からすると、本願商標は、請求人の業務に係る役務の出所標識の文字や図形等と結合しての使用や役務の提供の用に供する物等の装飾と認識されるものであって、本願赤色のみが需要者の目につきやすい強い印象を与えているということはできない。

また、請求人が実施したアンケート調査においても、本願赤色が請求人及び請求人そのグループ会社を示す色彩であると認識するとした者の割合は、低いものである。

(3)請求人は、色彩商標の登録例(色彩の組合せからなる色彩のみからなる商標)を挙げ、それらもロゴマークや会社名とともに使用されている証拠資料を提出しており、請求人も同等以上の使用証拠を提出していること、また、立体商標の登録例を挙げ、他の文字や図形は立体形状の自他商品識別力の獲得を阻害しないとの判断がなされており、同様のことが本願赤色にもいえる旨主張する。

しかしながら、上記登録例は、色彩の組み合わせのみ又は商品(包装容器)の形状のみが、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識するに至ったものであると認められるところ、本願商標は、上記のとおり単一の色彩のみからなる商標であり、本願赤色が、請求人及び請求人グループ会社を認識に至ったものとは認められない。また、請求人の挙げる登録例は、商標の具体的構成等において本願とは事案を異にするものであり、これらをもって、本願の上記判断が左右されることはない。

4 まとめ

以上のとおり、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができる標章ではないから、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。