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Trademark Appeal Case

著名商標と結合商標の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2019−6143(T2019−6143/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「庵治石工衆」の文字を標準文字で表してなり、第40類「石材の加工,墓石・石塔・石碑・石製彫刻の加工,石材の加工及びこれに関する情報の提供,石材に関する情報の提供,墓石・石塔・石碑・石製彫刻に関する情報の提供」を指定役務として、平成29年11月17日に登録出願されたものである。

2 原査定の理由の要点

本願商標は「庵治石工衆」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「庵治石」の文字は、地域団体商標として、平成19年3月9日に商標登録(商標登録第5030818号)されており、香川県高松市牟礼町所在の讃岐石材加工協同組合が「香川県高松市庵治町・牟礼町において産出された墓用・石碑用石材・自然石を使用してなる庭石,香川県高松市庵治町・牟礼町において産出された石材を使用し同町で加工された灯ろう・墓石・墓標及び墓碑用銘板・石製彫刻」に使用した結果、本願商標出願前から、我が国の需要者間において広く認識されている著名な商標である。

そして、本願商標の指定役務である「石材の加工」等と讃岐石材加工協同組合が使用する著名な商標「庵治石」が取り扱う商品は極めて関連性が高く、商品等の需要者の共通性や取引の実情も同じとみるべきものである。

そうすると、本願商標は、その構成中の一部に、地域団体商標として商標登録されている「庵治石」の文字を有してなるものであり、上記登録商標と商品等の出所の混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。

したがって、本願商標は、これをその指定役務「石材の加工,墓石・石塔・石碑・石製彫刻の加工,石材の加工及びこれに関する情報の提供,石材に関する情報の提供,墓石・石塔・石碑・石製彫刻に関する情報の提供」について使用するときは、あたかも前記組合と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきであるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 当審における証拠調べ通知

当審は、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、相当の期間を指定して令和2年4月21日付けで証拠調べの結果を通知して、これに対する意見の提出を求めた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の概要

(1)本願商標が、「庵治」の文字と「石工衆」の文字を組み合わせて形成された造語であり、その構成全体をもって、一種の造語として認識、理解されることからすると、「庵治石」が本願商標の指定役務に関連する取引者、需要者の間で広く認識されているとしても、本願商標と「庵治石」の文字とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない別異の成語であるというべきであるから、本願商標をその指定役務に使用しても、役務の出所について混同を生ずるおそれはない。

(2)同様の事例で、登録第5495765号商標「宇治茶房」(第30類「茶,菓子及びパン」)が、地域団体商標の登録第5050328号商標「宇治茶」(第30類「京都府・奈良県・滋賀県・三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶」に対して、商品の出所について混同を生ずるおそれはないと判断されており、この事例からも、本願商標は「庵治石」と役務の出所について混同を生ずるおそれはない。

5 当審の判断

(1)本願商標の商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品又は指定役務に使用したときに、当該商品又は役務が他人の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品又は役務が上記他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標が含まれる。そして、上記の「混同を生じるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきものである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁)。

イ 「庵治石」の文字の周知著名性について

別掲で提示した事実によれば、「庵治石」の文字は、「アジイシ」と称呼され、高級墓石材として著名な「香川県高松市庵治町・牟礼町産の花崗岩」を表示するものとして、本願商標の指定役務に関連する墓用石材や墓石等の取引者、需要者の間で広く認識されていると認められる。

そして、当該文字を標準文字で表してなる商標(以下「引用商標」という。)については、讃岐石材加工協同組合、庵治石開発協同組合及び協同組合庵治石振興会(以下、「讃岐石材加工協同組合等」という。)が、その構成員(請求人は、当該構成員ではない。)に使用をさせる商標であって、その商標が使用をされた結果自己又はその構成員の業務に係る商品である第19類「香川県高松市庵治町・牟礼町において産出された墓用・石碑用石材・自然石を使用してなる庭石,香川県高松市庵治町・牟礼町において産出された石材を使用し同町で加工された灯ろう・墓石・墓標及び墓碑用銘板・石製彫刻」を表示するものとして需要者の間に広く認識されていることを理由に、当該商品を指定商品として、平成19年3月9日に地域団体商標の商標登録(登録第5030818号商標)を受けている(なお、当該商標登録は、平成28年11月22日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続している。)。

ここで、上記1によれば、本願商標の指定役務は、石材若しくは墓石等の加工又はこれらの情報提供に係るものといえるところ、当該加工又は情報提供の対象物が、引用商標の指定商品を含む墓用石材や墓石等であるといえる。そうすると、本願商標の指定役務の取引者、需要者は、引用商標の指定商品を含む墓用石材や墓石等に、通常に接しているといえる。

以上によれば、「庵治石」の文字は、「アジイシ」と称呼され、「香川県高松市庵治町・牟礼町産の花崗岩」の観念を生じるものであるとともに、讃岐石材加工協同組合等に係る、香川県高松市庵治町・牟礼町において産出された墓用・石碑用石材・自然石を使用してなる庭石、並びに香川県高松市庵治町・牟礼町において産出された石材を使用し同町で加工された灯ろう・墓石・墓標及び墓碑用銘板・石製彫刻に関する地域ブランドの観念をも生じるものとして、本願商標の登録出願日の時点において、本願商標の指定役務の取引者、需要者の間に広く認識されて、一定の周知性を有していたものであって、その周知性は、現在においても継続しているものと認められる。

ウ 商標の類似度の程度

(ア)本願商標について

本願商標は、上記1のとおり、「庵治石工衆」の文字を標準文字で表してなるものである。そして、上記イのとおり、「庵治石」の文字は、「アジイシ」と称呼されるとともに、本願商標の指定役務の取引者、需要者に、讃岐石材加工協同組合等の周知な商標と認識させるものであるところ、本願商標は、当該「庵治石」の文字を語頭という注意をひきやすい位置に含んだ態様である。

このように、本願商標の構成中、前半部分の「庵治石」の文字部分は、讃岐石材加工協同組合等の周知な商標と同一の文字よりなるものであるとともに、需要者、取引者の目を特に引く部分に位置しているから、当該文字部分の自他役務識別機能は高いものと認められる。

他方、本願商標の構成中、後半部分の「工衆」の文字部分は、特段の意味合いをもつものではなく、また、本願商標である「庵治石工衆」の文字は、全体として一種の熟語を形成するものでもない。

そうすると、本願商標は、これに接する取引者、需要者に、讃岐石材加工協同組合等の「庵治石」を用いた役務その他の「庵治石」と何らかの関連性をもつ役務と理解させるものであり、讃岐石材加工協同組合等と資本上又は経済上の関連性があることを強く示唆するものといえる。

また、本願商標は、上記のとおり、周知な「庵治石」の文字を語頭に含んでいるものであり、当該文字は「アジイシ」と称呼されるから、本願商標に接した取引者、需要者は、本願商標を、「アジイシクシュウ」又は「アジイシコウシュウ」と称呼するというのが相当である。

(イ)引用商標について

引用商標は、上記イのとおり、「庵治石」の文字を標準文字で表してなるところ、「アジイシ」の称呼を生じ、「香川県高松市庵治町・牟礼町産の花崗岩」の観念を生じるとともに、讃岐石材加工協同組合等に係る、香川県高松市庵治町・牟礼町において産出された墓用・石碑用石材・自然石を使用してなる庭石、並びに香川県高松市庵治町・牟礼町において産出された石材を使用し同町で加工された灯ろう・墓石・墓標及び墓碑用銘板・石製彫刻に関する地域ブランドの観念をも生じるものである。

(ウ)本願商標と引用商標の対比

外観について、本願商標は、上記(ア)のとおり、「庵治石」の文字部分の自他役務識別機能が高いところ、この文字部分の漢字が、引用商標の「庵治石」の漢字と同一である。そして、本願商標を構成する5字のうち語頭からの3字が、引用商標と一致する。そうすると、本願商標と引用商標とは、外観上相紛らわしい点を含むといえる。

称呼について、本願商標は、上記(ア)のとおり、「アジイシクシュウ」又は「アジイシコウシュウ」の称呼を生じるところ、これらの称呼は、引用商標の「庵治石」という周知な文字の「アジイシ」との称呼を、語頭という注意をひきやすい位置に含んでおり、しかも、本願商標の称呼のうち語頭からの概ね半分程度が引用商標の称呼と一致するものであることから、本願商標と引用商標とは、称呼上相紛らわしい点を含むといえる。

観念について、本願商標は、上記(ア)のとおり、「庵治石」を用いた役務その他の「庵治石」と何らかの関連性をもつ役務との意味合いを生じることからすれば、本願商標と引用商標とは、観念上相紛らわしい点を含むといえる。

以上からすると、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛らわしい点を含むものであるから、両者の類似度は相当程度高いものというべきである。

エ 引用商標の周知著名性及び独創性の程度

上記イのとおり、引用商標は、本願商標の指定役務の取引者、需要者の間に広く認識されており、一定の周知性を有している商標である。

他方、引用商標は、地域の名称である「庵治」の語と引用商標の指定商品を表す普通名称である「石」の語とを普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる地域団体商標であるから、その構成自体は独創的なものではない。

オ 本願商標の指定役務と引用商標の指定商品との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情

上記イのとおり、本願商標の指定役務は、その加工又は情報提供の対象物を、引用商標の指定商品を含む墓用石材や墓石等とするものであるから、本願商標の指定役務と引用商標の指定商品とは、密接な関連性を有するとともに、取引者、需要者も相当程度で共通にするものといえる。

また、本願商標の指定役務の需要者は、一般需要者を含むといえるところ、このような一般需要者は、特別の専門的知識経験を有するものではない。そして、本願商標の指定役務は、「石材の加工,墓石・石塔・石碑・石製彫刻の加工,石材の加工及びこれに関する情報の提供,石材に関する情報の提供,墓石・石塔・石碑・石製彫刻に関する情報の提供」であるところ、このうち情報の提供に係る役務は、高額な役務であるとは言い難いし、石材等の加工に係る役務も、様々な石材や加工の種類があることから、必ずしも高額な役務であるとは言い難い。そうすると、本願商標の指定役務の需要者において普通に払われる注意力が、殊更に高いものであるとまではいえない。

カ 出所の混同のおそれについて

以上のとおり、本願商標は、他人の表示である引用商標との類似度が相当程度高いこと、引用商標は、独創的な構成からなるものではないものの、本願商標の指定役務の取引者、需要者間において広く認識されている一定の周知性を有する商標であること、本願商標の指定役務と引用商標の指定商品とは、密接な関連性を有するとともに、取引者、需要者を相当程度で共通にするものであること、本願商標の指定役務の需要者において普通に払われる注意力が殊更に高いものであるとまではいえないこと等を総合的に考慮すれば、本願商標をその指定役務に使用した場合は、これに接した取引者、需要者に対し、引用商標の商標権者の業務に係る「庵治石」の表示を連想させて、当該役務が引用商標の商標権者又はその構成員との間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品役務化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る役務であると誤信され、役務の出所につき誤認を生じさせるおそれがあるというのが相当である。

よって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標が、「庵治」の文字と「石工衆」の文字を組み合わせて形成された造語であり、その構成全体をもって、一種の造語として認識、理解される旨主張し、その根拠として、本願商標は、外観上、まとまりよく一体的に表されている旨、「アジイシクシュウ」及び「アジセッコウシュウ」という7音の称呼は、冗長ではなく一息で発音できる旨、「石工」と「衆」は、それぞれの字義からみて、「石工衆」という成語として理解されることから、本願商標は、「庵治」の文字と「石工衆」の文字を組み合わせて形成された造語であり、その構成全体をもって、一種の造語として認識し、理解される旨を挙げる。

しかしながら、「庵治石」の文字は、上記(1)イのとおり、本願商標の指定役務の取引者、需要者の間に広く認識されているものであるとともに、上記(1)ウ(ア)のとおり、本願商標においては、語頭という注意をひきやすい位置に配されているものである。他方で、「石工衆」の文字は、辞書に載録されていない上、本願商標の指定役務の取引者、需要者の間に広く認識されているものともいえない。そうすると、本願商標に接した取引者、需要者が、これを、「庵治石」という文字に注意をひかれることなく、「石工衆」という文字にもっぱら着目して認識、把握するというべき特段の事情は見当たらない。そして、本願商標が、外観上まとまりよく一体的に表されていて、称呼上冗長ではないとしても、上記(1)ウ(ア)の認定を左右するものではない。

さらに、請求人は、本願商標を自らの上記主張のとおり理解することを前提に、「庵治石」が本願商標の指定役務に関連する取引者、需要者の間で広く認識されているとしても、本願商標と「庵治石」の文字とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない別異の成語であるというべきであるから、本願商標をその指定役務に使用しても、役務の出所について混同を生ずるおそれはない旨主張するが、その前提が失当である。

イ 請求人は、本願商標の「庵治石工衆」と引用商標の「庵治石」とは、外観、称呼、観念のいずれも類似しない非類似の商標である旨主張し、その根拠として、本願商標が、全体が同じ字体同じ大きさの商標であり、外観上特に強調される部分も存在しないので、需要者はこれを一体の商標であると判断するとともに、称呼も「アジイシクシュウ」と7音であり冗長ではなく一息で発音できることから、一連一体の商標であって、「庵治の石を加工する集団」という意味を生じる一方、引用商標が、「アジイシ」と称呼され、「庵治の石」という意味しか生じないことを挙げる。

しかしながら、本件では、本願商標の商標法第4条第1項第15号該当性が問われているのであるから、本願商標と引用商標との類否ではなく、上記(1)のとおり、両商標の類似度の程度を含めた総合判断がなされるべきものである。そして、両商標の類似度の程度についてみれば、上記(1)ウのとおり、本願商標と引用商標の類似度は、相当程度高いものである。

そして、請求人は、本願商標からは、「庵治の石を加工する集団」との意味が生じるが、「庵治の石」との意味が生じない旨主張し、その根拠として、本願商標から「庵治石」の文字を取り除くと「工衆」という無意味な言葉が残ることを挙げ、また、本願商標のうち、「庵治」の部分が地名であるので識別性がないと考えた場合には、本願商標の要部は「石工衆」となるとも主張するが、これも、上述のとおりである。

ウ 請求人は、「庵治石」の墓石などの商品を購入する需要者は、一般的な取引者及び需要者に比べて商標等に対する注意力が非常に高い旨主張し、その根拠として、「庵治石」は、その素材自体が非常に大きな価値があり、「庵治石」の墓石などの商品を購入する需要者は、購入する商品の素材が「庵治石」であるかを綿密に吟味して商品を購入することや、一生に一度の取引あるかないかの大きな取引であることを挙げる。

しかしながら、本願商標の指定役務は、「庵治石」の墓石などの商品ではなく、「石材の加工,墓石・石塔・石碑・石製彫刻の加工,石材の加工及びこれに関する情報の提供,石材に関する情報の提供,墓石・石塔・石碑・石製彫刻に関する情報の提供」の役務であり、これらの役務は、上記(1)オのとおり、必ずしも高額であるとは言い難いものである上、その需要者は、特別の専門的知識経験を有しない一般需要者を含むものである。そして、本願商標が他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれのある商標であることについては、上記(1)カで判断したとおりである。

エ 請求人は、本願商標の指定役務である「石材の加工」等は、石材を加工して製品を製造する事業であり、その事業において取り扱う素材、つまり、加工する石材は多岐にわたるのが一般的であって、墓石や石塔等の製造を依頼する場合、その事業者の加工技術やデザイン性等を信頼して依頼することが通常であるから、石材を加工して製品を製造する事業者のホームページなどに「庵治石工衆」の商標が使用されていたとしても、せいぜい「庵治」の地域に関連性のある事業者であると考えることはあったとしても、直ちに「庵治石」を素材とした石材の加工品を製造している事業者であるとは考えないのであり、ましてや、「庵治石工衆」を使用する事業者が、「庵治石」を使用した商品にのみ付される地域団体商標「庵治石」の商標権者の関連企業等これらと何らかの関係ある者とは直ちに認識しないと考える方が妥当である旨主張する。

請求人の主張は、判然としないところはあるが、本願商標の指定役務が「石材の加工」等であることから、その取引者、需要者は、本願商標を「石材の加工」等の観点から観察するはずであり、そうであるならば、本願商標の構成中、「庵治石」の部分に着目するのではなく、「石工」の部分に着目して、本願商標を認識、把握する旨主張しているものと解される。

しかしながら、上記(1)イのとおり、引用商標の「庵治石」の文字は、本願商標の指定役務の取引者、需要者の間に広く認識されており、しかも、上記(1)ウ(ア)のとおり、本願商標は、当該「庵治石」の文字を語頭という注意をひきやすい位置に含んだ態様である。そうすると、本願商標の指定役務の取引者、需要者が、もっぱら「石工」の部分に着目して、本願商標に接するとはいえないというべきである。そして、本願商標が他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれのある商標であることについては、上記(1)カで判断したとおりである。

オ 請求人は、過去の登録例からも、本願商標は引用商標と役務の出所について混同を生ずるおそれはない旨主張するが、請求人の挙げる登録例は、本願商標とは、構成文字や構成態様が異なるものであって、かつ、具体的事案の判断においては、過去の登録例に拘束されることなく、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから、これらの事例の存在によって、上記(1)の認定判断が左右されるものではない。

カ よって、請求人の主張は、いずれも採用できない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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