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Trademark Appeal Case

要部抽出と周知商標の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2020−900343(T2020−900343/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6297467号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第6297467号商標(以下「本件商標」という。)は,「雅の柚子小町」の文字を標準文字で表してなり,令和2年4月21日に登録出願,第33類「リキュール,焼酎,清酒,合成清酒,白酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」を指定商品として同年9月2日に登録査定,同月28日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当し,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。

1 申立人が引用する商標

申立人が引用する登録第4650530号商標(以下「引用商標」という。)は,「柚子小町」及び「ゆずこまち」の文字を二段に横書きしてなり,平成14年5月2日に登録出願,第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として,同15年3月7日に設定登録されたものであり,その商標権は,現に有効に存続しているものである。

2 具体的な理由

(1)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標

本件商標は,「雅の柚子小町」であり,「ミヤビノユズコマチ」の称呼を生じるものの,その音数が9音と比較的多いことから,接続詞「の」の前後の「雅」と「柚子小町」とに分離観察される。そして,これら「雅」及び「柚子小町」のうち,取引者及び需要者に対して自他商品識別機能を強く発揮する部分(要部)は,「柚子小町」であって,「ユズコマチ」の称呼を生じる。

また,本件商標の要部からは,「柚子」の部分から柑橘系の「柚子」の観念と,「小町」の部分から小野小町を起源とした「美しい娘」といった観念が生じる。

イ 引用商標

引用商標は,「ゆずこまち」と「柚子小町」と表示した,二段併記の態様であって,「ユズコマチ」の称呼を生じ,柑橘系の「柚子」の観念と,「小町」の部分から「美しい娘」といった観念を生じる。

ウ 対比

本件商標の要部と引用商標とは,共に「ユズコマチ」の共通する称呼を生じ,「柚子」「美しい娘」という共通の観念を生じさせるものである。

そして,本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。

エ むすび

本件商標は,引用商標と類似の商標であり,また指定商品も同一又は類似するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号について

ア 申立人の使用に係る商標

申立人は,本件商標の登録査定以前より,商品「リキュール(果実酒)」について,商標「柚子小町\ゆずこまち」を使用している(甲4〜甲15)。その使用の形態は,左寄りに大きく「柚子小町」の文字が書され,その右側に小さく「ゆずこまち」の文字が書されたラベルを,酒瓶の表面に貼付するものである(甲4〜甲11)。

そして,申立人は,商品「柚子小町」リキュールの販売を,平成13年(2001年)11月19日から開始している(甲14〜甲16)。

イ 本件商標は,申立人が販売する「柚子小町」(リキュール)が既に広く使用され,需要者及び取引者に広く知られているため,その語頭部に「雅の」なる語句を付加したとしても,本件商標が本件指定商品のいずれかに使用された場合,本件指定商品の分野の需要者は,申立人の業務に係る商品と出所の混同を生じるおそれがあることは明らかである。

ウ 申立人の使用に係る商標の周知性

申立人は,商品「リキュール(果実酒)」について商標「柚子小町\ゆずこまち」の使用を,平成13年11月19日(甲14〜甲16)から現在に至るまで継続しており,直近3年の売上本数としては,2019年12月1日から2020年11月30日までに16万8056本,2018年12月1日から2019年11月30日までに23万5993本,2017年12月1日から2018年11月30日に27万1913本と,非常に多くの販売実績を有している(甲8)。

また,申立人は,商品「柚子小町\ゆずこまち」の広告を,主として九州地方に発行される雑誌等に掲載している(甲9〜甲13)。

以上から,申立人の製造・販売に係る商品「柚子小町\ゆずこまち」は,遅くとも2020年4月の時点で,取引者及び需要者に広く知られたものになっている(甲4〜甲12)。

エ むすび

本件商標がその指定商品に使用された場合,需要者が申立人の業務に係る商品であると,その出所について混同するおそれがあるから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第3 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標

本件商標は,前記第1のとおり,「雅の柚子小町」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成文字は,同じ大きさで,間隔なく,横一列にまとまりよく表されており,特定の意味を有する成語として辞書等に採録された語とはいえないことから,一種の造語を表してなるものと認識,看取されるものである。

そして,本件商標は,上記のとおり,まとまりよく表された構成からなるから,特定の文字部分が自他商品の出所識別標識として強い印象を与えるものではなく,また,特定の文字部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じるともいえないから,商標の構成部分の一部を抽出し,その部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは適切ではない。

そうすると,本件商標は,その構成文字全体に相応して「ミヤビノユズコマチ」の称呼が生じ,特定の観念は生じないものである。

(2)引用商標

引用商標は,前記第2の1のとおり,「柚子小町」の漢字と「ゆずこまち」の平仮名を二段に横書きしてなるところ,いずれの文字も,全体として特定の意味を有する成語として辞書等に採録された語とはいえないことから,一種の造語を表してなるものと認識,看取されるものであり,また,下段の平仮名は上段の漢字の読みを特定したものと理解されるから,引用商標は,その構成文字全体に相応して「ユズコマチ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

(3)本件商標と引用商標との類否

ア 外観について

本件商標と引用商標は,それぞれ上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ,両者は「柚子小町」の文字を共通にするものの,「雅の」の文字の有無及び「ゆずこまち」の文字の有無に差異を有しており,当該差異が,両者の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく,外観上,相紛れるおそれはないものである。

イ 称呼について

本件商標から生ずる「ミヤビノユズコマチ」の称呼と引用商標から生ずる「ユズコマチ」の称呼とを比較すると,両者は語頭において「ミヤビノ」の音の有無という差異を有し,両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合には構成音数が明らかに相違するから,称呼上,相紛れるおそれはない。

ウ 観念について

本件商標と引用商標とは,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することができない。

エ 上記アないしウを総合的に考察すると,本件商標と引用商標とは,観念において比較することができないとしても,外観及び称呼において相紛れるおそれはないものであるから,十分に区別することができる非類似の商標というべきである。

その他,両商標が類似するというべき事情は見いだせない。

(4)小括

以上のとおり,本件商標と引用商標は,非類似の商標であるから,両商標の指定商品が同一又は類似であるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)申立人の使用に係る商標の周知性について

申立人提出の証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。

ア 申立人は,組織変更前の平成13年11月19日から,商品「リキュール(果実酒)」について,左側に大きく「柚子小町」の漢字を縦書きし,その右側に小さく「ゆずこまち」の平仮名を縦書きした構成からなる商標(甲4〜甲7ほか:以下「申立人商標」という。)を使用し,当該商品を2019年12月1日から2020年11月30日までに16万8056本,2018年12月1日から2019年11月30日までに23万5993本,2017年12月1日から2018年11月30日までに27万1913本販売した実績を有している旨売上本数の宣誓書(甲8)を提出しているものの,申立人商標を付した商品「リキュール(果実酒)」の市場シェア及び売上高については,客観的な証拠の提出がなく不明であり,提出された宣誓書も申立人により作成されたものであり,売上本数を裏付ける証拠はなく客観性に欠けるといえる。

イ 申立人は,申立人商標を使用した商品「リキュール(果実酒)」の広告を,主として九州地方において発行される雑誌等に掲載している(甲9〜甲13)旨主張しているが,当該雑誌の発行部数,発行期間及び頒布地域等は確認できず,当該広告がどの程度一般消費者の目に触れたものであるかを確認することはできない。

ウ 申立人は,申立人が販売するゆずのリキュール「柚子小町」が,取引者及び需要者の間に広く知られている証拠として4件の「証明書」(甲4〜甲7)を提出しているが,当該証明書は,申立人商標を付した申立人に係る商品の取引先によるものとみられ,写真の商品の配置等が若干異なるとしても,ほぼ同一内容の文章による証明書であり,本件は商品の製造販売元と取引先との関係にあること,また,証明者による説明の記載もなく,証明者がいかなる具体的事実に基づき証明しているかも不明であることから,当該証明書の内容は信ぴょう性に欠けるといわざるを得ず,当該証明書によって当該商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして取引者及び需要者の間に広く知られていたものと判断することはできない。

エ 以上によれば,申立人は,平成13年11月19日から,商品「リキュール(果実酒)」について,申立人商標を使用していることはうかがえるものの,当該商標を使用した商品の売上高や市場シェアなどの販売実績,メディアを通じた広告・宣伝の程度(例えば雑誌の発行部数,頒布地域等),取引状況を示す客観的な証拠の提出はないものであるから,申立人商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,我が国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

(2)本件商標と申立人商標の類似性の程度について

申立人商標は,上記(1)アのとおり,「柚子小町」の漢字及び「ゆずこまち」の平仮名を縦書きで併記してなるところ,縦書きと横書きの違いはあるものの,引用商標と同一の構成文字を併記してなるものであることから,本件商標と申立人商標は,上記1(3)と同様に,非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。

(3)出所の混同のおそれについて

以上から判断すると,本件商標の指定商品が申立人商標に係る商品と,同一又は類似する商品であるとしても,上記(1)のとおり,申立人商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表すものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものであり,また,上記(2)のとおり,本件商標と申立人商標とは別異の商標であり,両商標の類似性の程度が高いとはいえない。

そうすると,本件商標は,商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者をして申立人商標を連想又は想起させることはなく,その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

また,その他に,本件商標が商品の出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。

(4)小括

以上よりすると,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 むすび

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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