Trademark Appeal Case
略称と品質表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2021−900011(T2021−900011/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第6307661号商標(以下「本件商標」という。)は、「レサワの素」の文字を標準文字で表してなり、令和元年8月26日に登録出願、第33類「清酒,焼酎,合成清酒,白酒,直し,みりん,日本酒,発泡性清酒,にごり酒,泡盛,発泡性焼酎,柳陰,濁酒,発泡性濁酒,マッコリ,ソジュ,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒,アルコール飲料(ビールを除く。)」を指定商品として、同2年10月12日に登録査定、同月23日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標の指定商品の分野における使用例
ア 「レサワ」の文字は、「焼酎にレモン果汁又はレモンジュースを加え炭酸で割ったカクテル」である「レモンサワー」の略称として、大手出版社やウェブメディアが発行する記事、酒類・飲食店業界のメディアにおいて広く使用されている(甲1の1〜27)。
また、「レサワ」の文字よりなる登録商標(登録第6030087号商標)があるが、その登録査定時(2018年3月7日)以前から、「レモンサワー」の略称として「レサワ」が取引者、需要者の間で一般的に使用されており、「レサワ」の文字はレモンサワーに関し自他商品識別標識として機能する言葉ではない。
そして、飲食業界及び酒販業界において、「レサワ」の文字は、「レモンサワー」の略称として一般に定着している。仮に「レサワ」の文字が、上記登録商標の登録査定時点で自他商品識別力を有していたとしても、飲食業界及び酒販業界における昨今のレモンサワーブームの下(甲1の28)、「レモンサワー」の略称として「レサワ」の文字が広く使用され、定着していることに鑑みれば、本件商標の登録査定の時点で、「レサワ」の文字は「レモンサワー」について自他商品識別力を既に失っている。
イ また、「素」の文字は、「原料」の意味を有するところ(甲2の1)、「〜の素」の文字が「〜の原料」、「即席」、「調合用にいくつかの原料を混ぜ合わせたもの」を意味する言葉として、飲料分野や食品分野において用いられている(甲2の2〜6)。
そして、「〜の素」の文字、例えば「すだち酒\の素」、「雉酒の素」又は「トーキョーハイボールの素」の文字よりなる商標は、酒類に関して品質表示にすぎないとして拒絶されている(甲3の1〜3)。
ウ さらに、「レサワの素」の文字は、酒類分野において「レモンサワーの原料(原液)」として使用されている(甲4)。
エ 加えて、「レモンサワーの素」の文字は、酒類分野において「レモンサワーの原料(原液)」として使用されている(甲5の1〜9)。
(2)以上によれば、本件商標は、その構成中「レサワ」の文字は「レモンサワー」の略称を表し、「素」の文字は「原料」の意味を有し、「の」の文字は助詞であるから、全体として「レモンサワーの原料」、「レモンサワーを作るための素」ほどの意味合いを容易に理解させる。
そうとすると、本件商標は、その指定商品中「レモンサワー」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「レモンサワーの原料若しくは原液」又は「レモンサワーを作るための素」であること、すなわち、商品の品質を表したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない。
さらに、「レサワの素」の文字は、取引に際し必要な表示として何人もその使用を欲するものであって、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当ではない。
加えて、本件商標は、その指定商品中「レモンサワー」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
(3)むすび
したがって、本件商標は、全体として「レモンサワーの原料若しくは原液」又は「レモンサワーを作るための素」といった意味を容易に想起し得るもので、レモンサワーの品質を表示するにすぎない自他商品識別標識として機能し得ないものであるばかりか、かかる商標について一私人に登録を認めることは公益上の観点(独占適応性)からも妥当ではないから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本件商標は、その指定商品中、レモンサワー以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
3 当審の判断
(1)本件商標について
ア 本件商標は、「レサワの素」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ大きさ及び書体で、間隔なく、横一列にまとまりよく一体的に表されているから、構成文字全体をして一連一体の語を表してなると看取できるものである。
そして、本件商標は、その構成中「レサワ」の文字が、辞書等に掲載された成語ではなく、特定の意味を有する語(略語)であると直ちに理解できるものではないもので、それを「原料」の意味を有する「素」(もと)の文字(甲2の1)と、格助詞の「の」を介して結合したとしても、構成文字全体としても、特定の意味合いを有する語(略語)とはならないから、本件商標は、その指定商品に係る需要者及び取引者をして、通常は、一連一体の造語と認識、理解されるというべきである。
(2)申立人の主張について
申立人は、本件商標と関連する文字(「レサワ」、「レサワの素」、「レモンサワーの素」等)の、新聞や雑誌、インターネット上の記事情報などにおける使用例を提示しつつ、本件商標は、全体として「レモンサワーの原料若しくは原液」又は「レモンサワーを作るための素」の意味を容易に想起し得るもので、商品の品質を表示するにすぎない旨を主張する。
しかしながら、申立人提出の証拠によれば、本件商標に相当する「レサワの素」の文字は、別掲(2)のとおり、雑誌における使用例が一例あるにすぎず、また、別掲(3)のとおり、「レモンサワーの素」(檸檬サワーの素)と称する商品があるとしても、その商品の種別を表記する語(又は略称)として「レサワの素」の表記が取引上普通に採択、使用されている事実までは見いだせない。
なお、本件商標の構成中「レサワ」の文字が、別掲(1)のとおり、雑誌やインターネット上の記事情報において「レモンサワー」の略称として使用される場合があるとしても、主に2017年以降という比較的最近のメディアにおける使用例であること、「レモンサワー」の文字やその略称との説明を伴うことも多く、「レサワ」の文字単独での使用例は少ないことから、略称との理解が定着している程度や範囲は不明であるばかりか、何より、「レサワの素」の表記が「レモンサワーの素」を指称する語として慣用的に使用されている事実は示されていないことを踏まえると、本件商標は、一部の需要者の間において、レモンサワーとの関係を示唆する暗示的な表示と理解される可能性があるとしても、その指定商品に係る一般の需要者及び取引者の間において、商品の品質又は原材料等を表示する語であると直ちに認識、理解されるに至っていると認めるに足りない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、その指定商品について使用されるときは、その需要者及び取引者をして、一連一体の造語(又は暗示的な表示)であると認識、理解されるというべきだから、商品の品質又は原材料を表示するものではなく、商標法第3条第1項第3号に該当せず、また、商品の品質の誤認を生ずるおそれもないから、同法第4条第1項第16号に該当しない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号のいずれの規定にも違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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