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Trademark Appeal Case

商標の社会通念上の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2020−300008(T2020−300008/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5224436号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成19年10月19日に登録出願、第36類「建物の管理,建物の貸与,土地の管理,土地の貸与,建物又は土地の情報の提供」、第37類「エレベータ設置工事・その他の機械器具設置工事,建設工事に関する助言」及び第42類「デザインの考案」を含む第7類、第9類、第35類、第36類、第37類、第41類並びに第42類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同21年4月17日に設定登録されたものである。

そして、本件審判請求の登録は、令和2年1月22日にされたものであり、この登録前3年以内の期間を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張の要点

請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第36類「建物の管理,建物の貸与,土地の管理,土地の貸与,建物又は土地の情報の提供」、第37類「エレベータ設置工事・その他の機械器具設置工事,建設工事に関する助言」及び第42類「デザインの考案」(以下「本件審判請求に係る指定役務」という。)を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書、令和2年3月6日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年3月25日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べた。

1 請求の理由

本件商標は、本件審判請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。

2 弁駁の要旨

(1)本件商標の使用の事実への反論

ア 使用に係る商標

乙第3号証は、三菱電機株式会社(以下「三菱電機社」又は「商標権者」という。)のホームページの写しであり、本件商標のうち、「最下部の直線と当該直線右端から末広がりの四角柱程の図形を描くように続く線及び当該四角柱程の図形の中心部分を縦に走る線(以下「本件商標図形部分」という。)を除いた部分(以下「本件商標文字部分」という。)」からなる商標が記載されている。

被請求人は、本件商標文字部分が本件商標と社会通念上同一であると主張しているが、乙第3号証に表示された本件商標文字部分は、本件商標と社会通念上同一の商標ではない。

まず、本件商標において、本件商標図形部分が比較的下部及び右側に寄って表示されてはいるものの、本件商標図形部分の幅及び高さは、本件商標文字部分とほぼ同様であり、本件商標と、本件商標文字部分とは外観において全く相違する。

そして、被請求人は、いつ、どこで、だれが、本件審判請求に係る指定役務に本件商標を使用したのか、主張も立証もしていない。

また、本件商標文字部分からは特定の観念は想起されないが、本件商標図形部分からはタワー状の建造物が想起され得る。

乙第1号証には、その表紙に三菱電機社のエレベータ試験塔の写真が大きく表示され、その右下に「空へ向かってそびえる姿と限りない品質追求の思いを込めて、SOLAE(「E」にはアクサンテギュが付されている。以下同じ。)(ソラエ)と名付けました。世界をリードするエレベータはここから生まれます。」との記載とともに、本件商標が表示されている。

また、乙第2号証には、その表紙の真ん中に本件商標が表示され、その下に「SHOWROOM INFORMATION」、「ショールームのご案内」との表記があり、その「フロアガイド」のページには、三菱電機社のエレベータ試験塔及びショールームに表された立体地図様の図が表示されており、エレベータ試験塔を示す図には「エレベータ試験塔」、「SOLAE」と2段書きでその名称が付されている。

このような商標の使用態様に鑑みれば、本件商標のうち本件商標図形部分は商標権者のエレベータ試験塔を模式的に表したものであるとの印象を需要者に与えるものと思料する。

したがって、本件商標からはタワー状の建造物、特に、エレベータ試験棟なる観念が想起されるが、本件商標文字部分からは特定の観念は想起され得ないため、本件商標と本件商標文字部分とは観念においても相違している。 このように、本件商標と本件商標文字部分とは、称呼において共通するものの、外観及び観念において相違しているため、本件商標と本件商標文字部分とは社会通念上同一の商標ではなく、乙第3号証は本件商標の使用の証拠にはなり得ない。

イ 使用に係る役務

乙第1号証の17頁及び18頁には、エレベータの据え付け技術及び保守技術について記載されている。

しかしながら、乙第1号証において本件商標は、その表紙に、本件商標権者のエレベータ試験塔の写真とともに表示されており、さらに、本件商標の直下には「空へ向かってそびえる姿と限りない品質追求の思いを込めて、SOLAE(ソラエ)と名付けました。世界をリードするエレベータはここから生まれます。」との説明が付されている。

乙第1号証のその他の箇所には本件商標は表示されておらず、また、本件商標と「エレベータ設置工事・その他の機械器具設置工事」との関連性を示すような記載もない。

このような使用態様においては、乙第1号証に表示された本件商標に触れた需要者は、本件商標は、三菱電機社のエレベータ試験塔を示すものであると認識し、「エレベータ設置工事・その他の機械器具設置工事」に係る役務を示すものとは認識し得ない。

また、乙第2号証には、商標権者のショールームにおいてエレベータのメンテナンス・リニューアルについての重要性等を訴求している旨が記載されている。

しかしながら、乙第2号証において、本件商標は、その表紙に、「SHOWROOM INFORMATION」、「ショールームのご案内」なる記載とともに表示され、また、その見開きページには、三菱電機社のエレベータ試験塔の写真とともに、「エレベータ試験棟」及び「SOLAE」と表示されている。

乙第2号証のその他の箇所には本件商標は表示されておらず、また、本件商標と「エレベータ設置工事・その他の機械器具設置工事」との関連性を示すような記載もない。

このような使用態様においては、乙第2号証に表示された本件商標に触れた需要者は、本件商標はエレベータ試験塔を示すものであると認識し、「エレベータ設置工事・その他の機械器具設置工事」に係る役務を示すものとは認識し得ない。

また、被請求人は、三菱電機社の製作所ショールームの壁面に本件商標を表示している旨主張しており、乙第2号証には、建造物の壁面に本件商標が表示された写真があるが、仮にこの建造物がショールームであったとしても、この本件商標に触れた需要者は、本件商標が、「エレベータ設置工事・その他の機械器具設置工事」に係る役務を示すものとは認識し得ない。

さらに、乙第3号証には、三菱電機社によるエレベータ設置工事の実例が示されており、その最終頁に本件商標から本件商標図形部分を削除した本件商標文字部分を表示している。

被請求人は、乙第3号証に表示された本件商標文字部分は、本件商標と社会通念上同一の商標である旨主張しているが、本件商標文字部分は本件商標と社会通念上同一の商標ではなく、本件商標の使用の証拠にはなり得ない。

仮に、本件商標文字部分と本件商標とが社会通念上同一の商標であるとしても、本件商標文字部分は「エレベータ設置工事・その他の機械器具設置工事」に係る役務を示すものではない。

乙第3号証には、「三菱エレベータ・エスカレータ納入事例」なる記載に続き、三菱電機社が行ったエレベータ等の設置工事事例が列挙されている。

その事例に続き、「2017年度発行納入事例集『SOLAE』お申し込み好評受付中!!」なる記載の左側に本件商標文字部分が表示されている。 なお、乙第3号証には、本件商標文字部分とエレベータ設置工事との関連性を示すような記載はない。

このような使用態様においては、乙第3号証に表示された本件商標文字部分に触れた需要者は、本件商標文字部分はエレベータの納入事例集の名称であると認識し、「エレベータ設置工事・その他の機械器具設置工事」に係る役務を示すものとは認識し得ない。

以上より、乙第1号証ないし乙第3号証における本件商標又は本件商標文字部分の使用は「エレベータ設置工事・その他の機械器具設置工事」に係る役務を示すものではなく、商標法第2条第3項第8号「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するものではない。

(2)むすび

被請求人は、乙第1号証ないし乙第3号証において本件商標又は本件商標文字部分の使用を示したものの、その使用は「エレベータ設置工事・その他の機械器具設置工事」に係る役務を示す態様ではない。

したがって、その使用は商標法第2条第3項第8号「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するものではない。

よって、被請求人は、本件商標を、その指定役務中の「エレベータ設置工事・その他の機械器具設置工事」について使用したことを証明できておらず、本件商標の指定商品及び指定役務のうち本件審判請求に係る指定役務について取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。

1 本件商標の使用の事実

(1)商標の使用者

乙第1号証のエレベータの製造・販売・設置工事・保守をおこなう三菱電機社の稲沢製作所の広告物(リーフレット)及び乙第2号証の三菱電機社の稲沢製作所のショールームの広告物(リーフレット)の裏面下部に三菱電機社の商号が記載されている。

また、乙第3号証「エレベータ納入実績を紹介するウェブページ」につきましては、当該ウェブページの最下部に商標権者の商号の英語表記である「Mitsubishi Electric Corporation」が記載されている。

(2)使用に係る役務

乙第1号証の17頁及び18頁において、「Installation & Maintenance【技術開発/据付・保守】」とのタイトルの下、「エレベータ設置工事」に係る役務が訴求されている。

次に、乙第2号証「1F|Elevator & Escalator エレベーター・エスカレーターゾーン」の頁においては、三菱電機社の稲沢製作所のショールーム内にて、エレベータのリニューアル設置工事の重要性や効果を訴求し、「エレベータ設置工事」に係る役務の広告として展開され、「メンテナンス・リニューアルゾーン」との展示について紹介されている。

また、乙第3号証においては、三菱電機社による「エレベータ設置工事」の実例を用いて、「エレベータ設置工事」に係る役務を訴求している。

以上のことから、乙第1号証ないし乙第3号証の使用は、商標法第2条第3項第8号の「商品若しくは役務に関する広告に標章を付して展示し、もしくは頒布し、またはこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するものである。

(3)使用に係る商標

乙第1号証及び乙第2号証のそれぞれの表面に本件商標を付しており、また、乙第2号証の「1F|Elevator & Escalator エレベーター・エスカレーターゾーン」の紹介ページの裏面にて示すとおり、三菱電機社の稲沢製作所のショールームの壁面にも本件商標を付している。

乙第3号証においては、本件商標のうち、最下部の直線と当該直線右端から末広がりの四角柱程の図形を描くように続く線及び当該四角柱程の図形の中心部分を縦に走る線を除いた部分をウェブページ下部に使用している。

当該使用に係る商標についても、本件商標と社会通念上同一の範ちゅうに属する商標と理解されるべきである。

これを見れば、商標権者は、自身の商品及び役務の広告物として頒布されたリーフレット及びウェブページにおいて、本件商標を使用していることが容易に把握できる。

(4)使用時期

乙第1号証及び乙第2号証は2018年に発行され、三菱電機社の稲沢製作所を来訪した国内外の顧客等に広く頒布されたものであり、このことは両証拠の裏面の最下部に「2018 三菱電機株式会社」と記載されていることからも明らかである。

また、乙第3号証にて示すウェブページについては、当該ウェブページ下部にて、「2017年度発行納入事例集『SOLAE』(お申込み好評受付中!!」との記載があることから、遅くともとも2017年に掲載され、電磁的方法により提供されたことが認識される。

2 むすび

商標権者は、乙第1号証ないし乙第3号証として示す商標権者自身の役務の広告において、本件商標と同一の商標を付してこれを頒布又は提供しているので、商標法第2条第3項第8号に照らせば本件商標を使用していることは明らかである。

そして、乙第1号証ないし乙第3号証に示された本件商標の使用に係る役務は、「エレベータ設置工事」であり、乙第1号証及び乙第2号証の使用時期は2018年、乙第3号証の使用時期は2017年である。

してみると、本件商標は、商標権者によって、その指定商品及び指定役務中の「エレベータ設置工事」に相当する役務について、本件審判の予告登録日前3年以内において使用されていた事実があるので、本件審判請求に係る指定役務についての登録を商標法第50条第1項によって取り消されるべき理由は存在しない。

第4 当審の判断

1 被請求人の立証責任

商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。

すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、(1)要証期間に、(2)日本国内において、(3)商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、(4)本件審判請求に係る指定役務のいずれかについての、(5)本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。

2 被請求人の提出した全証拠から以下の事実が認められる。

(1)使用商標について

三菱電機社の稲沢製作所が作成したパンフレット(乙1)(以下「パンフレット」という。)の表紙の右下部分には、別掲2のとおり商標(以下「使用商標」という。)が記載されている。

そして、本件商標と使用商標とは、色彩や大きさに相違点はあるものの、いずれも、「ソラエ」及び「SOLAE」(構成中の「L」は縦棒が長く書されている。「E」には、アクサンテギュが付されている。以下同じ)並びに塔と思しき図形からなり、また、これらの文字及び図形の配置も同じものであることからすると、本件商標と使用商標とは、外観が類似し、「ソラエ」の称呼を共通にする社会通念上同一の商標と認められる。

(2)使用役務について

パンフレット(乙1)の17頁に、「Installation & Maintenance【技術開発/据付・保守】」のタイトルの下に「三菱エレベーターの静かで揺れを感じさせない最上の乗り心地は、何百メートルにも伸びるレールをミリ単位で位置決めするなど、匠のこだわりをもつ据付技術者たちによって支えられています。三菱電機では、全国に優秀な据付技術者のネットワークを有し、定期的な技術研修や最新情報の共有化を推進。現場における安全と確実な施工をサポートしています。また、据付後も、当社および三菱電機ビルテクノサービス(株)を中心とする関連会社のフィールドの匠たちが、安全を見守り、安心で便利な暮らしを支えています。」と記載されていることからすると、商標権者は、エレベータの据付工事を実際に行っていることがわかる。

そして、商標権者が実施する役務「エレベータの据付工事」は、本件審判請求に係る指定役務中の「エレベータ設置工事・その他の機械器具設置工事」の範ちゅうに属する役務である。

また、上記(1)のとおり、当該パンフレットの表紙の右下部分には、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標が使用されていることが確認できる。

(3)使用時期について

パンフレットの裏表紙には、「C2018三菱電機株式会社 MITSUBISHI ELECTRIC CORPORATION」(最初の「C」は丸付き。)の記載があることからすると、当該パンフレットは、要証期間(2017年(平成29年)1月23日〜2020年(令和2年)1月22日)に作成されたことが推認できる。

(4)小括

上記(1)ないし(3)からすると、商標権者は、要証期間である2018年(平成30年)に作成したパンフレットに本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したものと認めることができる。

そして、当該パンフレットには、本件審判請求に係る指定役務中の「エレベータ設置工事・その他の機械器具設置工事」の範ちゅうに属する役務「エレベータの据付工事」について掲載されており、当該パンフレットは、商標権者が実施する役務「エレベータの据付工事」の広告のために作成されたものと推認できることからすると、商標権者による上記行為は、「役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。

3 まとめ

以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者が本件審判請求に係る指定役務中「エレベータ設置工事・その他の機械器具設置工事」の範ちゅうに属する「エレベータの据付工事」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したと認め得るところである。

したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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