Trademark Appeal Case
色彩のみの商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2017−12808(T2017−12808/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、色彩のみからなる商標であって、赤紫色(RGBの組合せ:R174、G0、B121)のみからなるものであり、第41類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務として、平成27年12月17日に登録出願され、その後、指定役務については、当審における同29年10月4日付け手続補正書により、第41類「大学における教授,大学院における教授,大学入学試験の企画又は運営」に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「役務の提供の用に供する物や広告に使用される色彩は、多くの場合、それらの魅力向上等のために選択されるものであって、役務の出所を表示し、自他役務を識別するための標識としては認識し得ないものである。そうすると、本願商標をその指定役務の提供の用に供する物や広告に使用しても、これに接する取引者、需要者は、役務の提供の用に供する物や役務の広告に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標と判断するのが相当である。また、提出された証拠からは、本願商標が、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至っているものと認めることはできない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知及びそれに対する請求人の対応
1 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2(8)ないし(13)に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、令和元年9月17日付け証拠調べ通知によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。
2 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)
(1)証拠調べ通知に示された色彩の使用例は、ウェブサイトの背景色や装飾として使用されているものであるところ、本願商標の自他役務の識別力を否定するには、請求人以外の者が、色彩を、スクールカラー、あるいはスクールカラーではなくても各校をアピールする色彩として、単なるウェブサイトの背景色等ではなく、取引上一般的に使用していることが必要であるから、証拠調べ通知に示された使用例によっては、本願商標の自他役務の識別力は何ら否定されるものではない。
(2)証拠調べ通知に示された色彩の使用例は、本願商標とは色彩が異なり、これらを同系色としてまとめるのは広すぎるから、適切な引用例とはいえず、証拠調べ通知に示された使用例によっては、本願商標の自他役務の識別力は何ら否定されるものではない。
第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
請求人は、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するおそれがあるとしても、請求人による本願商標の使用の結果、請求人の業務に係る役務を表示するものとして自他役務の識別力を獲得しているから、商標登録を受けることができるものと確信する旨主張し、証拠として、甲第1号証ない甲第70号証(枝番号を含む。なお、枝番号を有する証拠において、枝番号のすべてを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出しているので、以下において検討する。
また、甲各号証の表記にあたっては、「甲1」のように省略する場合がある。
(1)本願商標の本来的な自他役務の識別力について
ア 本願商標は、上記第1のとおり、赤紫色(RGBの組合せ:R174、G0、B121)色彩のみからなるものであって、第41類「大学における教授,大学院における教授,大学入学試験の企画又は運営」を指定役務とするものである。
イ 「赤紫」は、「赤みをおびた紫色。」(「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)であることからすると、本願商標は、特異な色彩からなるものであるとはいえない。
また、赤紫色及びその同系統の色彩(例えば、赤みをおびた紫色を表す「古代紫」、赤ワインの色のような濃い赤紫色を表す「ワインカラー」、紫と赤を混ぜたえのぐ等で染めた濃い紅色を表す「えんじ色」等(いずれも「広辞苑第7版」株式会社岩波書店))は、別掲2の使用例のとおり、本願の指定役務に係る業界において、請求人以外の大学のウェブサイトにおける図形の色彩、文字や文字の背景色の色彩、アイコンの色彩等、ウェブサイトを装飾する色彩として、一般に使用されており、また、別掲2(1)ないし(4)及び別掲3のとおり、請求人以外の大学によって、大学のスクールカラーとしても、一般に使用されている。
そうすると、赤紫色の色彩は、指定役務に係る業界において、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるといえるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、自他役務の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
ウ したがって、赤紫色の色彩のみからなる本願商標は、その指定役務との関係において、本来的に自他役務の識別力を有しているものと認めることはできない。
(2)使用による自他役務の識別力の獲得について
ア 請求人の提出した甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人について
請求人は、1920年に(大正9年)に設立された私立大学である(甲9)。
(イ)請求人による本願商標の使用状況について
A 請求人のスクールカラー及びロゴマークについての使用
a 請求人の「ヴィジュアル・アイデンティティ(VI)ガイドライン」によれば、請求人は、平成12年(2000年)11月16日に、本願商標と同一性が認められる赤紫の色彩(「以下「本願商標の赤紫色」という。)をスクールカラーとして定めた(甲1の2)。
もっとも、上記請求人の「ヴィジュアル・アイデンティティ(VI)ガイドライン」が頒布された事実は確認できない。
b 請求人のスクールカラーについては、以下(a)ないし(c)のように請求人以外の者のウェブサイト、個人ブログ記事、「ツイッター」のウェブサイトの個人記事において掲載された(甲1の1、甲9、甲20〜甲23、甲66)。
(a)請求人のスクールカラーが赤紫色であることが、「スクールカラー」と題する「Wikipedia」のウェブサイト(甲1の1)及び「國學院大學」と題する「Wikipedia」のウェブサイト(甲9)に掲載されたところ、そのうち、「スクールカラー」と題する「Wikipedia」のウェブサイト(甲1の1)には、請求人以外にも、多数の大学のスクールカラーが掲載されており、その中には、上記(1)イのとおり、「古代紫」、「ワインカラー」、「えんじ」及び「紫」等の本願商標の赤紫色と同系統と認められる色彩が多数掲載されている(別掲3)。
(b)産経新聞のウェブサイト(平成30年(2018年)9月13日付け)による報道及び「BASEBALL GATE」のウェブサイト(平成29年(2017年)4月21日付け)による報道において、それぞれ、「・・・国学院大のスクールカラーの赤紫をメーンに・・・」(甲20)、「・・・國學院大は、この春から伝統のユニフォームのデザインを少し変えた。ストッキングにスクールカラーの”古代紫”のラインを加えた。」(甲21)のように記載された。
もっとも、上記2件の報道の主たる内容は、それぞれ、請求人による読書を推進するプロジェクトに関するもの(甲20)、大学野球に関するもの(甲21)であって、請求人のスクールカラーを主たる内容とするものではない。
なお、上記報道のうち、大学野球に関するもの(甲21)には、請求人のスクールカラーについて、「赤紫」ではなく、上記のとおり「古代紫」として記載されている。
(c)「logo stock」と称するウェブサイト(掲載年月日は不明)に「新時代へ飛翔する神道系大学のシンボルマーク」の見出しの下、「第50回は、東京都渋谷区に本部を置く國學院大學のシンボルマークです・・・スクールカラーの赤紫(あかむらさき)を取り入れています。」の記載(甲22)、「新世界」と称する個人のブログ記事(平成30年(2018年)10月18日付け)に「國學院大學 基礎データ 象徴」の見出しの下、「スクールカラーは、赤紫である」の記載(甲23)、「ツイッター」のウェブサイト(甲66)において、「寺原きよみ@terahara_kiyomi・7月28日」の記載のある個人記事において、「『國學院』といえば『古代紫』がスクールカラー」の記載、「石井ユウジキャラメルパンチ@jnksyuji・1月27日」の記載のある個人の記事において、本願商標と同系統の色彩を使用したタンブラーの写真と共に、「だって國學院カラーだよ!!?」の記載がある。
c 請求人の「140周年ロゴに関するガイドライン」によれば、請求人は、平成30年(2018年)に、本願商標の赤紫色を創立140周年ロゴマーク(金色と赤紫の線を交互に組み合わせてなる図形と「KOKUGAKUIN/UNIVERSITY/140th/1882−2022」(決定注:「/」は改行を表す。以下、同じ。)の文字及び数字の組み合わせ)で使用する色彩の一つとして定めた(甲11)。
もっとも、上記請求人の「140周年ロゴに関するガイドライン」が頒布された事実は確認できず、当該ロゴマークが実際に使用された事実は確認できない。
B 鉄道の車内広告、バスの車体の一部についての使用
請求人の業務に係る大学のオープンキャンパスやイベント等に関する鉄道の車内広告(東武鉄道、半蔵門線)及びバス(富山地方電鉄バス、立川リムジンバス、立川バス、都営バス等)の車体の一部に、本願商標の赤紫色が使用されていることが確認できる(甲2、甲3、甲60)。
もっとも、これらの鉄道の車内広告及びバスの車体の多くには、目立つ位置に「國學院大學」の文字や欧文字の「K」を図案化したロゴマーク(以下「K」のロゴマークという。)が表示されており、それらにおいて使用されている本願商標の赤紫色は、(a)「國學院大學」の文字自体の色彩として、(b)鉄道の車内広告の背景色や装飾の色彩として、(c)「K」のロゴマーク自体の色彩の一部として、(d)バスの車体の一部の色彩として使用されているものであり、本願商標の赤紫色が、これらの「國學院大學」の文字や「K」のロゴマークと分離して、単独で使用されているものは見当たらない。
そして、これらの「國學院大學」の文字及び「K」のロゴマークは、いずれも、請求人を表すものと推認できる。
加えて、これらの各鉄道車内広告が掲示された鉄道は、東京周辺地域の鉄道に限られること、また、バスについては、富山県、東京都、長野県及び静岡県を中心とする会社のバスに限られることから、全国的な使用とはいえない。
また、これらのバスの車体の広告の掲載日は確認できず、また、鉄道の車内広告のいくつかには、イベントの開催日を示す日付が記載されており、その日付を確認できる最古のものは、「平成22年度」(月日不明)であるものの(甲2の2:1葉目)、本願商標の赤紫色がバスの車体の一部に使用された期間及び本願商標の赤紫色が使用された車内広告の掲載期間は明らかではない。
なお、これらの各広告において、本願商標の赤紫色が、請求人の業務に係る役務を表すものであることを示す記載はない。
C 渋谷駅等の駅構内の広告看板、渋谷駅周辺地域における百貨店の垂れ幕、商業ビルにおけるイベントの掲示物及び駅伝を紹介する雑誌の広告原稿についての使用
請求人の業務に係る渋谷駅構内の広告看板、渋谷駅周辺の百貨店の垂れ幕、商業ビルにおけるイベントの掲示物及び駅伝を紹介する雑誌の広告原稿に本願商標の赤紫色が使用されていることが確認できる(甲4、甲6の1、甲12、甲13、甲14、甲16)。
もっとも、これらの広告看板、百貨店の垂れ幕及び商業ビルにおけるイベントの掲示物の多くには、目立つ位置に、請求人を表すものと推認できる「國學院大學」の文字や「K」のロゴマークが表示されており、それらにおいて使用されている本願商標の赤紫色は、(a)「國學院大學」の文字自体の色彩として、(b)看板広告の背景色や装飾として、(c)「K」のロゴマーク自体の色彩の一部として、(d)イベントの看板の背景色や装飾又はイベントのロゴマーク自体の色彩として、あるいは、(e)「Kokugakuin Shibuya Hikarie Campas」等の文字とともに使用されているものであり、本願商標の赤紫色が、これらの文字や「K」のロゴマーク等と分離して、単独で使用されているものは見当たらない上に、本願商標の赤紫色がこれらの広告看板、百貨店の垂れ幕及び商業ビルにおけるイベントの掲示物に使用された期間は明らかではない。
また、本願商標の赤紫色は、「2017年箱根駅伝雑誌広告」の原稿と認められるもの(甲6の1)において、人物の足を表したデザインの一部の色彩及び「K」のロゴマークの色彩の一部として使用されているものの、当該原稿が、実際に雑誌に掲載され、頒布された事実は確認できない。
なお、これらの広告看板、百貨店の垂れ幕及び商業ビルにおけるイベントの掲示物において、本願商標の赤紫色が、請求人の業務に係る役務を表すものであることを示す記載はない。
D 請求人に係るイベント・行事・部活動に使用する商品、請求人に係るイベントのスタッフ等が着用した衣服類、請求人のウェブサイト及び各種行事の掲示物における使用
a バックパネルについての使用
請求人の大学関係者の記者会見、オープンキャンパス、ホームカミングデー、入学式会場等の請求人のイベント・行事のときに使用しているバックパネルに本願商標の赤紫色を使用していることが確認できる(甲7の1〜甲の7の3、甲17の1、甲17の2、甲60、甲67)。
もっとも、バックパネルには、目立つ位置に請求人を表すものと推認できる「國學院大學」の文字や「K」のロゴマークが表示されており、バックパネルに使用している本願商標の赤紫色は、(a)バックパネルの装飾用の色彩の一部として、(b)「K」のロゴマークの色彩の一部として使用されているものであって、本願商標の赤紫色が当該文字及びロゴマークから分離して単独で使用されているものは見当たらない上に、本願商標の赤紫色がバックパネルに使用された期間は明らかではない。
b その他の請求人に係るイベント・行事・部活動等に使用する商品や請求人に係るイベントのスタッフ等が着用した衣服類等についての使用
(a)校旗、オープンキャンパスの開催旗、駅伝応援用の旗・のぼり、応援団旗、体育祭の旗等の旗やのぼり(以下、これらをまとめて「旗・のぼり類」という。)、腕章、ジャンパー、ポンチョ、イベント開催時のスタッフシャツ等の衣服(以下、これらをまとめて「腕章・衣服類」という。)、駅伝用のたすき、デスクカバー、うちわ、応援ボード、無償配布された手提げ袋等について本願商標の赤紫色を使用していることが確認できる(甲6の2、甲6の3、甲6の4、甲17の2、甲17の3、甲60、甲66)。
また、「國學院大學全應援団@Kokudaiouendan−1月4日」の記載のあるツイッター記事において、「第3回赤紫の契りが開催されます」の記載と共に、本願商標の赤紫色を使用した応援団旗の写真が掲載されている(甲66)。
もっとも、旗・のぼり類、駅伝用のたすき、デスクカバー、うちわ、応援ボードについては、これらの地色に本願商標が使用されているとしても、その多くには、請求人を表すものと推認できる「國學」又は「國學院大學」の文字や「K」のロゴマーク等が目立つ位置に表示されており、本願商標の赤紫色がこれらの文字及びロゴマークから分離して単独で使用されているものは見当たらない上に、本願商標の赤紫色が使用されたこれら商品の具体的数量や使用期間は明らかではない。
さらに、腕章・衣服類については、これらに表示されている文字やロゴマークのすべてがわかる証拠の提出はないものの、腕章の多くには請求人を表すものと推認できる「國學院大學」、衣服類の多くには請求人を表すものと推認できる「国學」又は「國學院大學」の文字や「K」のロゴマークが目立つ位置に表示されていることが確認できるものであって、本願商標の赤紫色がこれらの文字及びロゴマークから分離して単独で使用されているものは見当たらない上に、本願商標の赤紫色が使用されたこれら商品の具体的数量や使用期間は明らかではない。
なお、本願商標の赤紫色が、駅伝用のたすき、のぼりに使用されていることについては、請求人以外の者のウェブサイトによる報道5件に掲載された写真においても、確認できるが(甲70の2〜甲70の5)、当該5件の報道は、いずれも、令和元年(2019年)10月に開催された第31回出雲全日本大学選抜駅伝で、請求人が初優勝したことを内容とするものであって、本願商標の赤紫色は、いずれも、紹介記事とともに掲載された写真において、選手が着用した、たすきの地色、選手の後ろに配置されたのぼりの地色に使用されているものの、それらには請求人を表すものと推認できる「國學院」の文字が目立つ位置に大きく表示されている。
(b)「オフィスレイアウト神戸」と称するブログ(平成31年(2019年)3月15日付け)において、本願商標の赤紫色が使用されている第95回箱根駅伝グッズ(目立つ位置に請求人を表すものと推認できる「國學院大學」の文字が表記された、たすきをデザインしたマグネットしおりが紹介されている(甲66)。
(c)請求人の大学のオープンキャンパス時に無償配布したとされる手提げ袋に本願商標の赤紫色が使用されていることが確認できるが(甲7の4)、当該手提げ袋に使用されている本願商標の赤紫色は、手提げ袋の地色として使用されているものであって、手提げ袋には、請求人を表したものと推認できる「KOKUGAKUIN UNIVERSITY」の文字及び「K」のロゴマークが白抜きで大きく表示されており、本願商標の赤紫色のみが単独で使用されているものではない。
なお、当該オープンキャンパスの来場者は16,214人であるとされるものの(甲7の5)、当該手提げ袋が、来場者全員に配布されたものであるかについては確認できない。
c 請求人のウェブサイトにおける使用
請求人のウェブサイトにおいて、「K」のロゴマークの色彩の一部、請求人を表すものと推認できる「KOKUGAKUIN University/國學院大學陸上部」の文字の背景、他の文字の色彩、ウェブサイトの装飾、ウェブサイトに掲載された写真中の人物が着用した衣服の色彩として、本願商標の赤紫色が使用されていることが確認できる(甲62〜甲64、甲68)。
もっとも、ウェブサイトに掲載された写真中の人物が着用した衣服には、請求人を表す「KOKUGAKUIN」の文字や「K」のロゴマーク等が白抜きで目立つ位置に表示されており、本願商標の赤紫色が請求人を表す文字及びロゴマークから分離して単独で使用されているものは見当たらない。
d 各種行事の掲示物等における本願商標の使用
請求人は、「国史学会 掲示物(2019)」、「ウェブサイト用入学試験要項(2019)」、「法学部ガイドブック 掲示物(2019)」、「経済教養講座 掲示物(2019)」、「水曜講座 掲示物(2019)」、「古事記学シンポジウム 掲示物(2019)」、「渋谷区長への政策提言 掲示物(2019)」及び「入試説明会 掲示物(2019)」において、これらの掲示物等の装飾、文字の色彩に本願商標の赤紫色を使用している(甲61)。
もっとも、これらの掲示物等については、請求人を表すものと推認できる「國學院大學」の文字や「K」のロゴマークが目立つ位置に表示されているものであり、本願商標の赤紫色がこれらの文字から分離して単独で使用されているものは見当たらない。
また、掲示物等がいつ、どこで、どのように掲示されたかは不明である。 e 上記aないしdに記載した請求人に係るイベント・行事・部活動に使用する商品、請求人に係るイベントのスタッフ等が着用した衣服類、請求人のウェブサイト及び各種行事の掲示物における本願商標の使用において、本願商標の赤紫色が、請求人の業務に係る役務を表すものであることを示す記載はない。
E 請求人以外の者の雑誌等における使用
請求人以外の者の雑誌等における、請求人の紹介記事において、記事中の一部の文字や文字の背景の色彩、請求人を表すものと推認できる「K」のロゴマークの色彩の一部等として本願商標の赤紫色が使用されていることが確認できる(甲8、甲15)。
なお、これらの雑誌等の記事は、請求人(学長)と他の企業の代表者や著名人との対談、請求人(教員)のコラムやインタビューを内容とするものであって、記事のいずれにも、本願商標の赤紫色が、請求人の業務に係る役務を表すものであることを示す記載はない。
イ 使用による自他役務の識別力の獲得に関する判断
上記アの認定事実によれば、当合議体は、本願商標が、使用による自他役務の識別力を獲得していると認めることはできない。その理由は以下のとおりである。
(ア)請求人は、1920年に(大正9年)に設立された大学等を運営する学校法人であって、平成12年(2000年)11月16日に、本願商標の赤紫色を、請求人の「ヴィジュアル・アイデンティティ(VI)ガイドライン」において、請求人のスクールカラーとして定め、その後、鉄道の車内広告、バスの車体における広告.駅構内の広告看板、百貨店における垂れ幕による広告、請求人に係るイベント・行事・部活動に使用する商品、請求人に係るイベントのスタッフ等が着用した衣服類、請求人のウェブサイト、各種行事の掲示物及び請求人以外の者の雑誌における学校を紹介する記事等について使用したことが認められるところ、上記、請求人の「ヴィジュアル・アイデンティティ(VI)ガイドライン」は、頒布の事実が確認できず、他の使用において使用時期が確認できる最古のものは、バスの車体における広告(平成22年度)であることからすると、本願商標を現在まで継続的に使用しているとしても、その使用期間は、約10年間である。
また、請求人が、赤紫色を請求人のスクールカラーとしていることは、請求人以外の者のウェブサイト、個人ブログ、「ツイッター」のウェブサイトの個人記事において、複数回掲載されたが、それらの記事の内容は、請求人のスクールカラーについて特化したものではないうえに、いくつかの記事においては、請求人のスクールカラーについて、赤紫色ではなく、古代紫色と記載していること、記事の掲載時期が明らかではないものや、記事の出所が明らかではない個人ブログ・「ツイッター」のウェブサイトの個人記事が相当数含まれていること、別掲3のとおり、「スクールカラー」と題する「Wikipedia」のウェブサイトにおいては、請求人以外にも、多数の大学のスクールカラーが掲載されており、その中には、「古代紫」、「ワインカラー」、「えんじ」及び「紫」等の本願商標の赤紫色と同系統と認められる色彩が多数掲載されていることからすると、本願商標の赤紫色及びこれと同系統の色彩は、大学のスクールカラーとして請求人のみが独占的に使用していたものではなく、かつ、上記の請求人のスクールカラーに関する掲載記事のみをもってしては、本願商標の赤紫色が、指定役務の需要者の間で、請求人のスクールカラーとして、周知であるとまでいうことはできない。
(イ)本願商標の赤紫色の使用態様については、鉄道の車内広告、バスの車体における広告.駅構内の広告看板、百貨店における垂れ幕による広告、請求人に係るイベント・行事において用いた商品や当該イベントのスタッフ等が着用した衣服類、請求人以外の者の雑誌における学校を紹介する記事、請求人のウェブサイト等のほぼすべての使用において、本願商標の赤紫色が、請求人を表すものと推認できる「國學」、「國學院」、「國學院大學」及び「KOKUGAKUIN」等の文字や「K」のロゴマークの色彩又は文字の背景色あるいはこれらの文字とともに使用されていること、これらについての本願商標の赤紫色の使用時に、本願商標の赤紫色が請求人の業務に係る役務を表すものであること示す特段の記載をする等のアピールをしているものではないこと、これらについての本願商標の赤紫色の使用数量(広告回数、広告費用、本願商標の赤紫色を使用した商品の生産数量等)が明らかではないことに照らすと、本願商標の赤紫色は、請求人を表すものと推認できる「國學」、「國學院」、「國學院大學」及び「KOKUGAKUIN」の文字や「K」のロゴマーク等と合わせて請求人の業務に係る役務を表示しているというべきであるから、本願商標の赤紫色のみが独立して、請求人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(ウ)以上を総合すれば、本願商標の赤紫色のみが独立して、請求人の業務に係る役務の出所識別標識として、我が国の需要者の間に広く認識されたものと認めることができないから、本願商標は、その使用により自他役務の識別力を獲得したものとは認めることができない。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、証拠調べ通知に示された、色彩の使用例は、ウェブサイトの背景色や装飾として使用されているものであるところ、本願商標の自他役務の識別力を否定するには、請求人以外の者が、色彩を、スクールカラー、あるいはスクールカラーではなくても各校をアピールする色彩として、単なるウェブサイトの背景色等ではなく、取引上一般的に使用していることが必要であるから、証拠調べ通知に示された使用例によっては、本願商標の自他役務の識別力は何ら否定されるものではない旨主張する。
しかしながら、別掲2(1)ないし(4)及び別掲3のとおり、請求人以外の大学が、本願商標の赤紫色と同系統の色彩を、スクールカラーやシンボルカラーとして使用していることからすると、本願商標の赤紫色は、大学のスクールカラーとして請求人のみが独占的に使用していたものということはできないから、本願商標は、自他役務の識別力を有するものと認めることはできないことは、上記1のとおりである。
(2)請求人は、証拠調べ通知に示された色彩の使用例は、本願商標とは色彩が異なり、これらを同系色としてまとめるのは広すぎるから、適切な引用例とはいえず、証拠調べ通知に示された使用例によっては、本願商標の自他役務の識別力は何ら否定されるものではない旨主張する。
しかしながら、多少の色味の相違があるとしても、別掲2及び別掲3に示した請求人以外の大学による使用例における色彩は、上記1のとおり、本願商標の色彩である赤紫色と同系色の色彩(例えば、赤みをおびた紫色を表す「古代紫」、赤ワインの色のような濃い赤紫色を表す「ワインカラー」、紫と赤を混ぜたえのぐ等で染めた濃い紅色を表す「えんじ色」等)といい得るものであり、また、本願商標の色彩は、これに接した取引者、需要者が、これと上記使用例における色彩との色味の相違を判別するほどの特異性を有する色彩と認め得る事情もないものであるから、別掲2及び別掲3に示した請求人以外の大学による使用例を踏まえれば、本願商標は、自他役務の識別力を有するものと認めることはできないというのが相当である。
(3)請求人は、過去の立体商標の裁判例を示しつつ、色彩のみの商標の自他役務の識別力の獲得について、色彩以外の要素が含まれていることをもって、その色彩が自他役務の識別力を獲得したと認められないというのは妥当ではない旨主張する。
しかしながら、本願商標の赤紫色が自他役務の識別力を獲得したかどうかについては、商標の使用の態様が色彩以外の要素(請求人を表すものと推認できる文字や「K」のロゴマーク等)を伴うことのみをもって、判断したのではなく、請求人以外の者による本願商標の赤紫色と同系統の色彩の使用状況やその他の請求人による使用状況(使用期間や使用数量を含む)を総合して判断したものであるから、請求人の主張は採用することはできない。
(4)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 小括
以上のとおり、本願商標は、その指定役務との関係において、本来的に自他役務の識別力を有しているものと認めることはできないものであり、かつ、その使用により自他役務の識別力を獲得したものとも認めることができないから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標に該当するものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条1項第6号に該当する。
4 むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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