Trademark Appeal Case
色彩商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2017−12809(T2017−12809/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、色彩のみからなる商標であって、その色彩は、「色彩の組合せとしては、赤紫色(RGBの組合せ:R174、G0、B121)、抹茶ゴールド色(RGBの組合せ:R125、G110、B68)であり、配色は上から順に、赤紫色が商標全体の50パーセント、同じく抹茶ゴールド色50パーセントとなっている。」ものであり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,大学における教授,大学院における教授,語学の教授,国家資格取得講座における教授,大学入学試験の企画又は運営,中学校・高等学校における教育,幼稚園における教育,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,美術品の展示,博物館における資料・文化財の展示,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),運動施設の提供,運動施設の提供に関する情報の提供」を指定役務として、平成27年12月17日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「役務の提供の用に供する物や広告に使用される色彩は、多くの場合、それらの魅力向上等のために選択されるものであって、役務の出所を表示し、自他役務を識別するための標識としては認識し得ないものである。そうすると、本願商標をその指定役務の提供の用に供する物や広告に使用しても、これに接する取引者、需要者は、役務の提供の用に供する物や役務の広告に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標と判断するのが相当である。また、提出された証拠からは、本願商標が、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至っているものと認めることはできない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知及びそれに対する請求人の対応
1 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲5(1)イ、(2)イないしキ及び(3)に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、令和元年9月17日付け証拠調べ通知によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。
2 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)
(1)証拠調べ通知に示された色彩の使用例は、ウェブサイトの背景色や装飾として使用されているものであるところ、本願商標の自他役務の識別力を否定するには、請求人以外の者が、本願商標の2色の組合せを、スクールカラー、あるいはスクールカラーではなくても各校をアピールする色彩として、単なるウェブサイトの背景色等ではなく、取引上一般的に使用していることが必要であるから、証拠調べ通知に示された使用例によっては、本願商標の自他役務の識別力は何ら否定されるものではない。
(2)証拠調べ通知に示された色彩の使用例は、本願商標とは色彩が異なり、これらを同系色としてまとめるのは広すぎるから、適切な引用例とはいえず、証拠調べ通知に示された使用例によっては、本願商標の自他役務の識別力は何ら否定されるものではない。
第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
請求人は、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するおそれがあるとしても、請求人による本願商標の使用の結果、請求人の業務に係る役務を表示するものとして自他役務の識別力を獲得しているから、商標登録を受けることができるものと確信する旨主張し、証拠として、甲第1号証ないし甲第74号証(枝番号を含む。なお、枝番号を有する証拠において、枝番号のすべてを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出しているので、以下において検討する。
また、甲各号証の表記にあたっては、「甲1」のように省略する場合がある。
(1)本願商標の本来的な自他役務の識別力について
ア 本願商標は、上記第1のとおり、赤紫色(RGBの組合せ:R174、G0、B121)及び抹茶ゴールド色(RGBの組合せ:R125、G110、B68)を上下に50パーセントずつ配色した、色彩の組合せからなるものであって、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,大学における教授,大学院における教授,語学の教授,国家資格取得講座における教授,大学入学試験の企画又は運営,中学校・高等学校における教育,幼稚園における教育,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,美術品の展示,博物館における資料・文化財の展示,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),運動施設の提供,運動施設の提供に関する情報の提供」を指定役務とするものである。
イ 「赤紫」は、「赤みをおびた紫色。」(「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)であり、「抹茶ゴールド」は、色彩を表す語として辞書類に載録されていないものの、そのRGBの組合せ(R125、G110、B68)や、「抹茶色」が、「抹茶のような色。柔らかい黄緑色。」の意味を、「ゴールド」が、「金色」の意味を有する語であること(いずれも「デジタル大辞泉」株式会社小学館)からすると、黄緑がかった金色を表すものと認められる。
そして、本願商標の赤紫色と同系統の色彩及び本願商標の抹茶ゴールド色と同系統の色彩の組合せ、本願商標の赤紫色と同系統の色彩、並びに本願商標の抹茶ゴールド色と同系統の色彩は、別掲5の使用例のとおり、本願の指定役務に関連する学校や公共施設に係る業界において、それぞれ、ウェブサイトにおける、図形の色彩、文字や文字の背景色の色彩等、ウェブサイトを装飾する色彩として、あるいは、請求人以外の大学等によって、大学等の象徴(エンブレム)の色彩やスクールカラーとしても、一般に使用されている。
そうすると、本願商標の赤紫色及び本願商標の抹茶ゴールド色の組合せは、指定役務に係る業界において、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるといえるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、自他役務の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
ウ したがって、色彩のみからなる商標であって、赤紫色と抹茶ゴールド色の組合せからなる本願商標は、その指定役務との関係において、本来的に自他役務の識別力を有しているものと認めることはできない。
(2)使用による自他役務の識別力の獲得について
ア 請求人の提出した甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人について
請求人は、平成24年に創立130周年を迎えた、渋谷と横浜・たまプラーザにキャンパスを有する私立大学である(甲2、甲10)。
(イ)請求人による本願商標の使用状況について
A Kマーク(別掲2)についての使用
a 請求人の「ヴィジュアル・アイデンティティ(VI)ガイドライン」(以下「請求人ガイドライン」という。)によれば、請求人は、本願商標と同一性が認められる赤紫色(「以下「本願商標の赤紫色」という。)及び本願商標と同一性が認められる抹茶ゴールド色(以下「本願商標の抹茶ゴールド色」という。)の組合せ(以下「本願色彩の組合せ」という。)を、「K」のデザイン文字と「KOKUGAKUIN Univ.」の文字の組合せからなる「シンボルマーク(Kマーク)」(以下「Kマーク」という(別掲2)。)の「基本配色」及び「ブランドカラー(基準色)」として定めたところ、請求人ガイドラインには「・・・既定のデザインに加工を加えることはできません。特に『K』マークと『KOKUGAKUIN Univ.』は原則として分離使用できません。」と記載されている(甲1)。
もっとも、請求人ガイドラインは、これが頒布された事実は確認できず、また、「國學院大學は、シンボルマーク(上記画像)を平成16年4月2日付けで商標登録しています。」の記載があるものの、その発行・印刷時期は確認できない。
b Kマークは、請求人に係る(a)校章、旗、校内装飾、封筒、クリアファイル、テント(甲3の1〜5、甲69)、(b)会見等で用いるバックパネル(以下「バックパネル」という。)(甲9の1〜3、甲69、甲71)、(c)平成27年度版保護者のための大学ガイドブック(以下「大学ガイドブック」という。)、2016年の入学案内(以下「入学案内」という。)(甲9の4・5)、(d)法学部ガイドブックfor2020(以下「法学部ガイドブック」という。)、令和元年開催の国史学会・経済教養講座・水曜講座・古事記学シンポジウム・渋谷区長への政策提言に関する各掲示物(甲70)、(e)陸上部の公式ホームページ31年度(甲72)に使用されたことが確認できる。
ここで、上記(b)バックパネルについては、平成26年(2014年)7月20日付けの請求人のウェブサイトの画像及び記事から、請求人に係るオープンキャンパスに用いられ、同日に開催されたオープンキャンパスには、渋谷キャンパスに2,243人、たまプラーザキャンパスに648人が来場したこと(甲9の2)、また、同26年(2014年)10月23日付けの請求人のウェブサイトの画像及び記事から、請求人の野球部に係るプロ野球ドラフト会議に用いられ、テレビ局や新聞社がこれを取材したこと(甲9の1)、同31年(2019年)1月14日付けのTwitterのウェブサイトにおける「文化放送大学駅伝独り占め@ekiden1134」の投稿の画像及び記事から、箱根駅伝の報告会において用いられたこと(甲71)が確認できるが、当該いずれのバックパネルにおいても、Kマークは、これと交互に多数表示された、請求人を表すものと推認できる「國學院大學」の文字とともに使用されている。
また、上記(a)については、これらの頒布・掲示・使用の時期・期間・場所・数量(頻度)が明らかではなく、上記(c)及び(d)については、頒布・掲示の事実や頒布・掲示の期間・場所・数量(頻度)が明らかではない。そして、上記(a)のうち校章及び旗に関するものを除く上記(a)ないし(e)のすべてにおいて、Kマークは、請求人を表すものと推認できる「國學院大學」又は「国学院大学」の文字とともに使用されている。
さらに、上記(a)ないし(e)において、本願色彩の組合せが、請求人の業務に係る役務を表すものであることを示す記載はない。
c Kマークは、請求人の業務に係る(a)平成23年又は平成24年の日付の記載がある各ポスター(甲3の6)、(b)平成25年(2013年)10月26日付けの新聞広告(甲3の7)、(c)平成22年度又は平成23年度の「オープンカレッジ」に関する各電車内広告(甲4の2)、「2017年箱根駅伝雑誌広告」の原稿と認められるもの(甲8)、平成30年度入試等に関する東急田園都市線の電車内広告原稿と認められるもの(甲14)、(d)バスの車体広告(甲5の1)、渋谷駅及びたまプラーザ駅構内の広告看板(甲6の1、甲18の2・3)、渋谷区役所周辺案内図における広告(甲18の1)、箱根駅伝に関する百貨店の垂れ幕(甲6の2)、イベント告知のチラシ(甲15)、企業トップとの対談記事を内容とする雑誌広告(甲16)といった各種の広告にも使用されたことが確認できる。
もっとも、上記(a)及び(c)は頒布・掲示の事実や頒布・掲載の期間・数量(頻度)が明らかでなく、上記(b)は、頒布地域、頒布数量が明らかではなく、上記(d)は、頒布・掲載の時期・数量(頻度)が明らかではない。そして、上記(a)ないし(d)のいずれにおいても、Kマークは、請求人を表すものと推認できる「國學院大學」又は「国学院大学」の文字とともに使用されている。
さらに、上記(a)ないし(d)において、本願色彩の組合せが、請求人の業務に係る役務を表すものであることを示す記載はない。
B 130周年ロゴマーク(別掲3)についての使用
a 請求人は、平成24年に創立130周年を迎えたところ(甲10)、本願色彩の組合せは、その際に用いたとされる別掲3のとおりの標章(以下「130周年ロゴマーク」という。)に使用されていることが確認できる。
もっとも、130周年ロゴマークは、別掲3のとおり、中央上部の大きなうさぎのキャラクター図形及びその下部中央に大きく表示した「130th」の文字と、これらを取り囲む円図形の組合せからなるものであり、当該円図形には明朝体に属する書体をもって表した「Anniversary」及び「since1882」の各文字並びにゴシック体に属する書体をもって表した「KOKUGAKUIN Univ.」の文字が白抜きで表示されている。そして、本願色彩の組合せについては、130周年ロゴマークの構成中において、本願商標の抹茶ゴールド色が、上記円図形のうち「Anniversary」及び「since1882」の各文字が白抜きされた部分に使用されており、本願商標の赤紫色が、上記円図形のうち「KOKUGAKUIN Univ.」の文字が白抜きされた部分と中央の「130th」の文字部分に使用されている。また、130周年ロゴマークの構成中のうさぎのキャラクター図形は、黒い線で描かれ、その大部分に白色が使用されているほか、一部に赤色、緑色が使用されている(別掲3)。
b 130周年ロゴマークは、(a)請求人が創立130周年を迎えたことを伝える新聞記事、(b)雑誌の原稿と認められるもの、請求人の130周年記念誌、新聞広告とされるもの(請求人の主張)、請求人の創立130周年に関する広告やポスターの原稿と認められるもの、請求人ウェブサイトの130周年に関するページ、缶バッジ及びシール等に使用されたことが確認できる(甲10)。
もっとも、上記(a)は、その頒布地域、頒布数量が明らかではなく、上記(b)は、掲載・掲示・頒布の事実や、掲載・掲示・頒布の期間・数量(頻度)が明らかでない。また、上記(b)のうち請求人の130周年記念誌、新聞広告とされるもの(請求人の主張)及び請求人の創立130周年に関する広告において、130周年ロゴマークは、請求人を表すものと推認できる「國學院大學」の文字とともに使用されている(甲10の3〜5)。
さらに、上記(a)及び(b)において、本願色彩の組合せが、請求人の業務に係る役務を表すものであることを示す記載はない。
C 140周年ロゴマーク(別掲4)についての使用
a 請求人の「140周年ロゴに関するガイドライン・・・2018年3月」(以下「140周年ガイドライン」という。)によれば、請求人は、本願色彩の組合せを、「140」の数字をモチーフとした図形と「KOKUGAKUIN/UNIVERSITY/140th(/)1882−2022」(決定注:「/」は改行を表す。以下、同じ。)の文字の組合せからなる「國學院大學140周年シンボルマーク」(以下「140周年ロゴマーク」という(別掲4)。)の「カラー表記」の色彩として定めたところ、140周年ガイドラインにおいて、140周年ロゴマークは、「基本形」、「サブ表記」のいずれにおいても、「140」の数字をモチーフとした図形と黒色で書した「KOKUGAKUIN/UNIVERSITY/140th(/)1882−2022」の文字とが一体のものとして表示されている(甲13)。また、140周年ガイドラインの「使用例」の項の「ステーショナリー」及び「チラシ、ポスターWEB等」のいずれの使用例においても、140周年ロゴマークは、請求人を表すものと推認できる「國學院大學」の文字又は「KOKUGAKUIN UNIVERSITY」の文字とともに表示されている(甲13)。
そして、140周年ロゴマークの構成中、本願色彩の組合せが使用された「140」の数字をモチーフとした図形部分において、本願商標の抹茶ゴールド色は、本願商標の赤紫色よりも明らかに多い割合で使用されている(別掲4)。
また、140周年ガイドラインが頒布された事実は確認できない。
b 140周年ロゴマークは、請求人に係る法学部ガイドブック、令和元年開催の経済教養講座・水曜講座・古事記学シンポジウム・渋谷区長への政策提言に関する各掲示物(甲70)に使用されたことが確認できるが、これらの頒布・掲示の事実や頒布・掲示の場所・期間・数量(頻度)が明らかではなく、いずれにおいても、140周年ロゴマークは、請求人を表すものと推認できる「國學院大學」の文字とともに使用されており、また、本願色彩の組合せが、請求人の業務に係る役務を表すものであることを示す記載はない。
D その他の使用
本願色彩の組合せは、請求人が参加した箱根駅伝において選手が着用するたすき、選手の応援グッズ、のぼり及び当該箱根駅伝の電車内広告等にも使用されたことが確認できるが、証拠から、これらの使用時期、使用期間、使用数量(頻度)が明らかではなく、ほぼいずれにおいても、本願色彩の組合せは、請求人を表すものと推認できる「國學院大學」の文字とともに使用されており、また、本願色彩の組合せが、請求人の業務に係る役務を表すものであることを示す記載はない(甲69)。
イ 判断
以上認定した事実を総合すれば、当合議体は、色彩の組合せからなる本願商標が、使用により自他役務の識別力を獲得したとは認められないと判断する。その理由は、以下に述べるとおりである。
(ア)Kマーク(別掲2)について
上記ア(イ)Aによれば、本願色彩の組合せは、請求人のシンボルマークであるKマーク(別掲2)の基本配色等として定められたものであるが、これを定めた請求人ガイドラインは、頒布の事実や発行・印刷時期が明らかではなく、また、Kマークが、「K」のデザイン文字と請求人を表すものと推認できる「KOKUGAKUIN Univ.」の文字の組合せからなること及び「K」のデザイン文字と当該「KOKUGAKUIN Univ.」の文字とが原則として分離使用できないことが明記されていることからすれば、Kマークは、「K」のデザイン文字と「KOKUGAKUIN Univ.」の文字とが常に一体不可分のものとして使用されることが定められたものといえる。
そして、Kマークは、請求人に係る校章、旗、校内装飾、封筒、クリアファイル、テント、バックパネル、大学ガイドブック、入学案内、法学部ガイドブック、令和元年開催の国史学会・経済教養講座・水曜講座・古事記学シンポジウム・渋谷区長への政策提言に関する各掲示物並びに陸上部のウェブサイトに使用され、また、請求人の業務に係るポスター、新聞広告、オープンカレッジに関する電車内広告、バスの車体広告、渋谷駅及びたまプラーザ駅構内の広告看板、渋谷区役所周辺案内図における広告、箱根駅伝に関する百貨店の垂れ幕、箱根駅伝に関する雑誌広告の原稿、入試等に関する田園都市線の電車内広告の原稿、イベント告知のチラシ及び企業トップとの対談記事を内容とする雑誌広告といった各種の広告にも使用されたと認められ、その使用時期が確認できるもののうち最古のものは平成22年度頃であると推認されるものの、一方で、これらの使用例は、バックパネルに関するいくつかの使用例を除き、その使用時期が明らかでないものや、使用時期は確認できるが、頒布・掲示の事実や使用期間、使用数量(頻度)が明らかでないものも多数含まれており、かつ、バックパネルに関する使用例を含むほぼ全ての使用例において、Kマークは、請求人を表すものと推認できる「國學院大學」又は「国学院大学」の文字とともに使用されている。
また、これらのKマークの使用例において、本願色彩の組合せが、請求人の業務に係る役務を表すものであることを示す記載は見当たらない。
そうすると、Kマークにおける本願色彩の組合せは、Kマークの構成中、請求人を表すものと推認できる「KOKUGAKUIN Univ.」の文字及びKマークとともに使用される「國學院大學」又は「国学院大学」の文字と合わせて請求人のシンボルマークを表示しているというべきであって、本願色彩の組合せのみが独立して、請求人の業務に係る役務の出所識別機能を果たしていると認めることはできない。
さらに、Kマークの主な使用地域は、請求人のキャンパスの所在地の近郊に限定されているものといえ、これが全国的に使用されているものと認めるに足りる証拠の提出もない。
してみれば、Kマークを使用したことにより、本願色彩の組合せのみが独立して、請求人の業務に係る役務の出所識別標識として、日本全国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(イ)130周年ロゴマーク(別掲3)について
上記ア(イ)Bによれば、本願色彩の組合せは、請求人が平成24年に創立130周年を迎えた際に用いられたとされる130周年ロゴマーク(別掲3)に使用されていると認められる。
しかしながら、上記認定事実のとおり、130周年ロゴマークは、その構成中、中央の目立つ位置にうさぎのキャラクター図形及び130周年を示すものと認められる「130th」の文字が配置されているところ、黒色の線で描かれた当該うさぎのキャラクター図形には、本願色彩の組合せ以外の色彩(白、赤、緑)が用いられており、本願色彩の組合せのみが使用されているものではない上に、その構成中、ウサギのキャラクター図形と「130th」の文字を取り囲む円図形のうち、本願商標の赤紫色が使用された部分には、請求人を表すものと推認できる「KOKUGAKUIN Univ.」の文字がゴシック体に属する書体で白抜きされ顕著に表示されており、また、本願商標の抹茶ゴールド色が使用された部分にも、「記念日」や「1882年から」といった各語の意味合いから請求人の創立130周年記念を表すものと容易に認識できる「Anniversary」及び「since1882」の文字が明朝体に属する書体で白抜きされ顕著に表示されている。
そして、130周年ロゴマークは、請求人が創立130周年を迎えたことを伝える新聞記事、雑誌の原稿と認められるもの、請求人の130周年記念誌、新聞広告とされるもの(請求人の主張)、請求人の創立130周年に関する広告やポスターの原稿と認められるもの、請求人ウェブサイトの130周年に関するページ、缶バッジ及びシール等に使用されたと認められ、その使用時期は、請求人が創立130周年を迎えた平成24年頃であると推認できるものの、一方で、これらの使用例は、掲載・掲示・頒布の事実や、掲載・掲示・頒布の期間・数量(頻度)が明らかでないものが多数含まれており、かつ、一部の使用例において、130周年ロゴマークは、請求人を表すものと推認できる「國學院大學」の文字とともに使用されている。
また、これらの130周年ロゴマークの使用例において、本願色彩の組合せが、請求人の業務に係る役務を表すものであることを示す記載は見当たらない。
そうすると、130周年ロゴマークにおける本願色彩の組合せは、130周年ロゴマークの構成中、請求人を表すものと推認できる「KOKUGAKUIN Univ.」の文字、目立つ位置に大きく表示されたうさぎのキャラクター図形及び130周年を示すものと認められる「130th」の文字、顕著に白抜きで表示された請求人の創立記念を表すものと認められる「Anniversary」及び「since1882」の文字、本願色彩の組合せとは異なる色彩(黒色、白色、赤色、緑色)と合わせて請求人の創立130周年に用いられるロゴマーク又は請求人を表示しているというべきであって、本願色彩の組合せのみが独立して、請求人の業務に係る役務の出所識別機能を果たしていると認めることはできない。
さらに、130周年ロゴマークの主な使用地域も明らかではなく、これが全国的に使用されているものと認めるに足りる証拠の提出もない。
してみれば、130周年ロゴマークを使用したことにより、本願色彩の組合せのみが独立して、請求人の業務に係る役務の出所識別標識として、日本全国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(ウ)140周年ロゴマーク(別掲4)について
上記ア(イ)Cによれば、本願色彩の組合せは、請求人の140周年のシンボルマークである140周年ロゴマーク(別掲4)の構成中の「140」の数字をモチーフとした図形部分の配色として定められたものであるが、これを定めた140周年請求人ガイドラインは、平成30年(2018年)3月頃に発行されたものと推認できるが、頒布の事実が明らかではなく、また、140周年ガイドラインの記載内容からすると、140周年ロゴマークは、「140」の数字をモチーフとした図形部分と黒色で書した「KOKUGAKUIN/UNIVERSITY/140th(/)1882−2022」の文字とが常に一体不可分のものとして使用され、さらに、「ステーショナリー」や「チラシ、ポスター、WEB」に使用する際には、必ず「國學院大學」の文字又は「KOKUGAKUIN UNIVERSITY」の文字とともに使用されるものとして定められたものと認められる。
そして、140周年ロゴマークは、請求人に係る「法学部ガイドブック」、令和元年開催の経済教養講座・水曜講座・古事記学シンポジウム・渋谷区長への政策提言に関する各掲示物に使用されたことが確認できるが、これらの頒布・掲示の事実や頒布・掲示の場所・期間・数量(頻度)が明らかではなく、いずれにおいても、140周年ロゴマークは、請求人を表すものと推認できる「國學院大學」の文字とともに使用されており、また、本願色彩の組合せが、請求人の業務に係る役務を表すものであることを示す記載はない。
そうすると、140周年ロゴマークにおける本願色彩の組合せは、140周年ロゴマークの構成中、請求人を表すものと推認できる、黒色で書した「KOKUGAKUIN/UNIVERSITY」の文字、140周年を示すものと認められる「140th」の文字及び140周年ロゴマークとともに使用され請求人を表すものと推認できる「國學院大學」の文字と合わせて請求人の140周年のシンボルマーク又は請求人を表示しているというべきであって、本願色彩の組合せのみが独立して、請求人の業務に係る役務の出所識別機能を果たしていると認めることはできない。
さらに、140周年ロゴマークの主な使用地域は明らかではなく、これが全国的に使用されているものと認めるに足りる証拠の提出もない。
その上、140周年ロゴマークの構成中、本願色彩の組合せが使用された「140」の数字をモチーフとした図形部分において、本願商標の抹茶ゴールド色は、本願商標の赤紫色よりも明らかに多い割合で使用されており、さらに、140周年ロゴマークは、当該図形部分と、本願色彩の組合せとは異なる黒色で書した「KOKUGAKUIN/UNIVERSITY/140th(/)1882−2022」の文字とが常に一体不可分のものとして使用することが定められたものであることを考慮すれば、140周年ロゴマークは、「赤紫色が商標全体の50パーセント、同じく抹茶ゴールド色50パーセント」とされている本願商標とは、配色の割合において、社会通念上の同一性を認めることも困難である。
してみれば、Kマークを使用したことにより、本願色彩の組合せのみが独立して、請求人の業務に係る役務の出所識別標識として、日本全国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(エ)その他の使用について
上記ア(イ)Dによれば、本願色彩の組合せは、請求人が参加した箱根駅伝において選手が着用する、たすきや、選手の応援グッズ、のぼり及び当該箱根駅伝の電車内広告等にも使用されたことが確認できるが、証拠から、これらの使用時期、使用期間、使用数量(頻度)が明らかではなく、ほぼいずれにおいても、本願色彩の組合せは、請求人を表すものと推認できる「國學院大學」の文字とともに使用されており、また、本願色彩の組合せが、請求人の業務に係る役務を表すものであることを示す記載はない。
そうすると、これらの使用例における本願色彩の組合せは、請求人を表すものと推認できる「國學院大學」の文字と合わせて、上記たすき、応援グッズ、のぼり及び広告等の出所が請求人であることを表示しているというべきであって、本願色彩の組合せのみが独立して、請求人の業務に係る役務の出所識別機能を果たしていると認めることはできない。
さらに、上記たすき、応援グッズ、のぼり及び広告等の主な使用地域は明らかではなく、これが全国的に使用されているものと認めるに足りる証拠の提出もない。
してみれば、上記たすき、応援グッズ、のぼり及び電車内広告等に本願色彩の組合せを使用したことにより、本願色彩の組合せのみが独立して、請求人の業務に係る役務の出所識別標識として、日本全国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(オ)小括
以上によれば、請求人は、本願色彩の組合せを、平成22年頃からKマークに使用し、平成24年頃から130周年ロゴマークに使用し、平成30年頃から140周年ロゴマークに使用してきたことがうかがえるものの、これらにおける本願色彩の組合せの使用態様や使用期間、使用地域、使用数量といった具体的な使用状況を総合勘案すると、本願色彩の組合せのみが独立して、請求人の業務に係る役務を表示する出所識別標識として、日本全国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないから、本願商標は、その使用により自他役務の識別力を獲得したものと認めることができない。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、証拠調べ通知に示された色彩の使用例は、ウェブサイトの背景色や装飾として使用されているものであるところ、本願商標の自他役務の識別力を否定するには、請求人以外の者が、色彩を、スクールカラー、あるいはスクールカラーではなくても各校をアピールする色彩として、単なるウェブサイトの背景色等ではなく、取引上一般的に使用していることが必要であるから、証拠調べ通知に示された使用例によっては、本願商標の自他役務の識別力は何ら否定されるものではない旨主張する。
しかしながら、別掲5のとおり、請求人以外の大学等が、本願商標の赤紫色と同系統の色彩及び本願商標の抹茶ゴールド色と同系統の色彩の組合せ並びに本願商標の赤紫色と同系統の色彩を、それぞれ、大学等の象徴(エンブレム)の色彩やスクールカラーとしても使用していることからすると、本願色彩の組合せは、大学をアピールする色彩として請求人のみが独占的に使用していたものということはできないから、本願商標は、自他役務の識別力を有するものと認めることはできないことは、上記1のとおりである。
(2)請求人は、証拠調べ通知に示された色彩の使用例は、本願商標とは色彩が異なり、これらを同系色としてまとめるのは広すぎるから、適切な引用例とはいえず、証拠調べ通知に示された使用例によっては、本願商標の自他役務の識別力は何ら否定されるものではない旨主張する。
しかしながら、多少の色味の相違があるとしても、別掲5に示した請求人以外の大学等による使用例における色彩及び色彩の組合せは、上記1のとおり、本願商標を構成する赤紫色及び黄緑がかった金色を表すものと認められる抹茶ゴールド色と同系色の色彩及びその組合せといい得るものであり、また、本願商標を構成する色彩及び色彩の組合せは、これに接した取引者、需要者が、これと上記使用例における色彩及び色彩の組合せとの色味の相違を判別できるほどの特異性を有するものと認め得る事情もないのであるから、別掲5に示した請求人以外の大学等による使用例を踏まえれば、本願商標は、自他役務の識別力を有するものと認めることはできないというのが相当である。
(3)請求人は、過去の立体商標の裁判例を示しつつ、色彩のみの商標の自他役務の識別力の獲得について、色彩以外の要素が含まれていることをもって、その色彩が自他役務の識別力を獲得したと認められないというのは妥当ではない旨主張する。
しかしながら、本願商標が自他役務の識別力を獲得したかどうかについては、本願商標の使用態様が色彩以外の要素(請求人を表すものと推認できる文字等)を常に伴うことのみならず、請求人以外の者による本願商標の色彩と同系統の色彩の使用状況やその他の請求人による具体的使用状況(使用期間、使用地域や使用数量を含む)を総合勘案して判断したものであるから、請求人の主張は妥当なものとはいえない。
(4)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない
3 まとめ
以上によれば、本願商標は、その指定役務との関係において、本来的に自他役務の識別力を有しているものと認めることはできないものであり、かつ、その使用により自他役務の識別力を獲得したものとも認めることができないから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標に該当するものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条1項第6号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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