sokuhyo

Trademark Appeal Case

久保田メソッド商標の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2018−890093(T2018−890093/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6043736号の指定役務中、第41類「乳幼児のための技芸・スポーツ又は知識の教授,乳幼児のためのセミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供」についての登録を無効とする。
その余の指定役務についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第6043736号商標(以下「本件商標」という。)は、「久保田メソッド(AKANON)」の文字を標準文字で表してなり、平成29年5月29日に登録出願、第41類「乳幼児のための技芸・スポーツ又は知識の教授,乳幼児のためのセミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,乳幼児のための娯楽施設の提供,おもちゃの貸与」を指定役務として、同30年5月2日に登録査定、同月18日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が本件商標の無効の理由に引用する商標は次のとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。

1 登録第3321541号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の態様 別掲1のとおり

指定役務 第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,図書及び記録の供覧,美術品の展示,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,映写フィルムの貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」

登録出願日 平成5年6月17日

設定登録日 平成9年6月13日

最新更新登録日 平成29年6月20日

2 登録第5693470号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の態様 別掲2のとおり

指定役務 第41類「乳幼児教育及び育児におけるセミナーの企画・運営又は開催,乳幼児教育及び育児における教材の企画・制作,書籍の企画・制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」

登録出願日 平成25年10月28日

設定登録日 平成26年8月15日

第3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第43号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 利害関係について

請求人は、平成29年10月31日に、商標「ピアノdeクボタメソッド」について、商標登録出願(商願2017−143830号)を行った(甲7の1)。

この出願に対し、平成30年6月19日(起案日)に、本件商標を引用商標として商標法第4条第1項第11号を理由に拒絶理由通知を受けた(甲7の2)。

したがって、請求人による上記商願2017−143830号の登録が、本件商標により阻害されている。

また、請求人は、標章「久保田メソッド」及びそれに類似する商標を名称に含む事業の立ち上げや、当該事業に関連する商標登録を行うに際しても、本件商標により重大な支障を来すおそれがある。

よって、請求人は当然に請求の利益を有する。

2 請求の理由

本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第7号及び同第15号に該当するものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録は無効とされるべきものである。

3 請求人について

請求人は、大正5年(1916年)9月に創業の、雑誌・書籍・ムックの発行、コンテンツ販売と関連事業展開等を行う出版社であり(甲4)、請求人の子会社である株式会社主婦の友リトルランド(以下「リトルランド」という。)を通じて、乳幼児・児童対象の各種教室運営、関連書籍の出版を行っている(甲5の1)。

また、そのウェブサイトでは、「クボタメソッドとは?」との表題で、久保田競氏(以下「競氏」という。)及び久保田カヨ子氏(以下「カヨ子氏」という。)を紹介している。

両氏は、リトルランド「クボタメソッド能力開発教室」の理事を務めるとともに、今日まで乳幼児教育プログラムである「クボタメソッド」を請求人と共に開発し、実践するクボタメソッドの創始者である(甲5の2)。

4 被請求人について

被請求人は、幼児の教育プログラムを指導する「AKANONサロン」を運営している(甲6の1〜甲6の3)。

5 本件無効審判を請求するに至った経緯

請求人は、平成9年(1997年)に、引用商標1の商標登録を受け(甲2の1、甲2の2)、久保田メソード能力開発教室を開室した。

一方、カヨ子氏が代表取締役を務める株式会社脳研工房(以下「脳研工房」という。)が、平成26年(2014年)に引用商標2の商標登録を受け(甲3の1、甲3の2)、平成27年(2015年)7月には、競氏及びカヨ子氏の共著により、「頭のいい子を育てる久保田メソッド実践指導書」(久保田競 カヨ子著 請求人刊)を出版した(甲8:以下「久保田メソッド指導書」という。)。

同年6月30日には、請求人及びリトルランドが、「クボタメソッド」、「久保田メソード」について海外における展開権の許諾を競氏から受けた(甲9)。

また、平成28年(2016年)3月7日には、リトルランドが、脳研工房の業務を代行する旨の覚書が交された(甲10)。

なお、同年4月に、請求人は、運営する「久保田メソード能力開発教室」を「久保田メソッド能力開発教室」へと改称している。そして、同年8月25日には、脳研工房と請求人との間に、久保田メソッド脳育法に基づく育脳教育事業に係る一切の業務について請求人が受諾する旨の業務委託契約書(甲11)が交わされると共に、脳研工房名義の全登録商標(登録第4641245号商標、登録第4659813号商標、登録第5693469号商標及び登録第5693470号商標)に関し、請求人に対して専用使用権設定契約書が交わされ(甲12)、請求人に専用使用権が設定されている(甲13の1〜甲13の4)。

平成29年10月31日に、請求人より第28類及び第41類を指定商品・指定役務として商標「ピアノdeクボタメソッド」(商願2017−143830号)を出願し(甲7の1)、同日に脳研工房より、第16類及び第41類を指定商品・指定役務として商標「ピアノdeクボタメソッド」(商願2017−143834号)を出願した(甲14の1)ところ、いずれの商標登録出願についても、本件商標の存在を理由として、商標法第4条第1項第11号を理由とする拒絶理由通知を受けた(甲7の2、甲14の2)。

これらの商標登録出願の登録が認められないことは、請求人の事業運営に重大な支障を来すものであることから、請求人は、上記商標登録出願に対する拒絶理由を解消すべく、本件無効審判請求をするに至った。

6 具体的な理由

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は、漢字及び片仮名からなる「久保田メソッド」及び括弧書きの欧文字「(AKANON)」を、標準文字で表してなり、一見して、「久保田メソッド」と「(AKANON)」との結合商標であって、それぞれの構成部分から「クボタメソッド」「アカノン」の称呼を生ずるものであり、第41類「乳幼児のための技芸・スポーツ又は知識の教授,乳幼児のためのセミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,乳幼児のための娯楽施設の提供,おもちゃの貸与」を指定役務とするものである。

イ 引用商標

引用商標は、請求人が1997年の引用商標1の商標登録を機に、久保田メソード能力開発教室を開講して以降、請求人ないし脳研工房が今日まで長年にわたり、乳幼児の脳の発達を促す幼児能力開発法を示すものとして使用してきた商標であり、引用商標1は、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,図書及び記録の供覧,図書の貸与」ほかを、引用商標2は、第41類「乳幼児教育及び育児におけるセミナーの企画・運営又は開催」ほかを、指定役務とするものである。

ウ 本件商標と引用商標との類否

(ア)称呼の類否

本件商標は、漢字及び片仮名からなる「久保田メソッド」及び括弧書きの欧文字「(AKANON)」を、標準文字で表してなり、一見して、「久保田メソッド」と「(AKANON)」との結合商標であるところ、それぞれの構成部分から「クボタメソッド」「アカノン」の称呼を生ずるものである。

他方、引用商標1には「久保田メソード」「KUBOTA METHOD」の文字が含まれており、「クボタメソード」「クボタメソッド」の称呼を生じるものであって、引用商標2には「クボタメソッド」の文字が含まれており、「クボタメソッド」の称呼を生じるものである。

そうすると、本件商標と引用商標とは、共に「クボタメソッド」の称呼を共通にする称呼上類似する商標である。

(イ)外観の類否について

本件商標と引用商標とは、外観を全体観察すれば相違する。

しかしながら、本件商標は、一見して、「久保田メソッド」と「(AKANON)」との結合商標であり、「(AKANON)」の部分は、括弧書きとされていることから「久保田メソッド」の部分とは明確に分離観察される。

そして、分離観察された「久保田メソッド」と、引用商標1の「久保田メソード」「KUBOTA METHOD」及び引用商標2の「クボタメソッド」とは、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を同じくし、混同を生じやすい。

さらに、引用商標1の「久保田メソード」と引用商標2の「クボタメソッド」は、本件商標の指定役務において、周知著名な商標であること、両商標の指定役務は同一又は類似すること、需要者を共通としていることから、本件商標と引用商標とは外観においてやや相違するとしても、本件商標を第41類の指定役務に使用した場合、引用商標と役務の出所について誤認混同を生じるおそれのある類似の商標であるというべきである。

(ウ)観念の類否について

引用商標1の「久保田メソード」と引用商標2の「クボタメソッド」は、乳幼児教育の分野では周知著名な商標であり、その分野の需要者にしてみれば、本件商標の「久保田メソッド」の部分からは、「乳幼児の脳の発達を促す幼児能力開発法」の観念が生じ、引用商標1の「久保田メソード」「KUBOTA METHOD」と引用商標2の「久保田メソッド」からも、「乳幼児の脳の発達を促す幼児能力開発法」の観念が生じる。

しかも、今日のインターネットを用いた情報検索の一般化にかんがみれば、Google等の検索エンジンにおいて、キーワード「久保田メソッド」を入力すれば、トップページにリトルランドが運営する「クボタメソッド能力開発教室」がヒットすることからしても(甲15)、「久保田メソッド」に基づく乳幼児教育は、請求人及びリトルランドにより実践されていることが、乳幼児教育に触れる需要者にも周知されている。

よって、引用商標と役務の出所について、観念においても誤認混同を生じるおそれのある類似の商標である。

(エ)「久保田メソッド」の識別力について

本件商標中、「久保田メソッド」の部分が識別力を有することについては、商標権者が脳研工房、専用使用権者が請求人である登録第4641245号商標(甲16、甲12)、登録第4659813号商標(甲17、甲12)からも明らかである。

登録第4641245号商標は、片仮名「クボタメソッド」のみで構成されており、乳幼児教育関連のテキストにおいて「クボタメソッド」が識別力を有していることが認められて、登録されたものである。

また、登録第4659813号商標は、アラビア数字、平仮名及び漢字からなる「0才からの能力開発法」と、括弧で括られた片仮名「クボタメソッド」とを構成要素としており、乳幼児教育関連の分野において、識別力は主に「クボタメソッド」の部分にあり、乳幼児教育のテキストにおいて、「クボタメソッド」が識別力を有していることが認められて、登録されたものである。

よって、本件商標においても、乳幼児教育の分野において、「久保田メソッド」の部分が強い識別性を有しているにもかかわらず、それが看過されて登録が認められたものである。

本件商標を構成する「久保田」と「メソッド」とがそれぞれ意味を持つとしても、それらが一体に看取されることで、請求人、脳研工房、競氏、カヨ子氏による乳幼児教育に関する商標として「久保田メソッド」が特別の意味を持つものである。

(オ)被請求人は本件商標の出願経過において、脳研工房による商願第2009−90947号の出願経過に言及し、「クボタメソッド」は第41類の役務との関係で識別性がある旨の意見書を提出している。

なお、被請求人は上記意見書において、その識別性が「非常に弱い」などと主張しているが、この認識は誤りである。

(カ)以上のとおり、本件商標と引用商標とは、その外観において相違するとしても、共に「クボタメソッド」の称呼を共通にする類似商標であって、引用商標の周知著名性、両商標の指定役務の同一性、役務の需要者層の同一性等を総合的に判断すれば、本件商標は、引用商標と役務の出所について誤認混同を生じるおそれのある類似商標である。

エ 登録例について

第41類において「固有名詞(苗字)」と「メソッド」のみからなる結合商標が認められた4件の登録例がある(甲19〜甲22)。

オ 指定役務の類否について

本件商標の指定役務「乳幼児のための技芸・スポーツ又は知識の教授」と引用商標1の指定役務「技芸・スポーツ又は知識の教授」とは、互いに類似する役務であり、本件商標の指定役務「電子出版物の提供」と引用商標1の指定役務「図書及び記録の供覧、図書の貸与」とは、類似する役務である。

さらに、本件商標の指定役務「乳幼児のためのセミナーの企画・運営又は開催」と引用商標2の指定役務「乳幼児教育及び育児におけるセミナーの企画・運営又は開催」も、互いに類似する役務である。

以上のとおり、本件商標と引用商標の指定役務とは、類似する。

カ 小括

本件商標は、一見して、「久保田メソッド」と「(AKANON)」との結合商標であり、「久保田メソッド」の部分と、引用商標とは、称呼、外観、観念のいずれにおいても類似し、かつ、両商標の指定役務は同一又は類似するものである。

また、商標の類否は、対比される両商標がその役務の出所につき誤認混同を生じさせるか否かにより決定され、当該役務に係る取引の実情が考慮されるべきであるところ、請求人は第41類の指定役務である「乳幼児教育及び育児におけるセミナーの企画・運営又は開催」等に引用商標を長年にわたり使用した結果、周知著名な商標となっている。

したがって、本件商標の指定役務中、第41類「乳幼児のための技芸・スポーツ又は知識の教授,乳幼児のためのセミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供」については、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第7号該当性について

ア 本件商標は剽窃的な出願であること、及び、「久保田メソッド」は乳幼児教育の分野において周知著名な商標であること

商標法第4条第1項第7号は、商標自体がきょう激、卑わいな構成等からなるものに限らず、他人の周知著名な商標を剽窃的に出願して登録を受けるなど、その出願の過程において、不正の目的や他人を害する目的をもって商標出願をして登録を受けた場合なども含まれると解される。

本件商標が剽窃的な出願により登録を受けたとする根拠は、被請求人は、請求人の使用する商標「久保田メソッド」が需要者に広く認識されている商標であることを十分に認識していたことにある。

請求人及びカヨ子氏は、長きにわたり、強い信頼関係を築き、請求人及び脳研工房は登録商標の使用許諾を結ぶなどして「久保田メソッド」に基づく乳幼児教育を実践し、「久保田メソッド」の普及に努めており、その経緯は、「久保田メソッド指導書」においても言及されている(甲8)。

カヨ子氏は著名な脳科学者である競氏の妻であり、夫の研究を実際の子育てにおいてどのように実践していけばよいかをまとめた最初の著書「赤ちゃん教育」を、30余年前に出版し、その内容に深く共感した、請求人出版の雑誌「私の赤ちゃん」の当時の編集長が、赤ちゃんと保育士とを集め、そこにカヨ子氏を講師として招き、赤ちゃん教育を実践する機会を設けたことに、「久保田メソッド」が始まるものである。

そして、カヨ子氏は、平成21年(2009年)4月「エチカの鏡〜ココロにキクTV」(フジテレビ系列)に出演したところ(甲23)、子育て論を聞きたいという母親が、カヨ子氏のもとへと赤ちゃんを連れてくるようになったものである。

その後、カヨ子氏は、久保田メソッドについて養成講座を開講し、「久保田メソッド」を実践する教室、幼稚園、保育園の講師に向けた「インストラクター養成講座」の、年一回程度の受講を推奨し、多くの講師たちはこれに参加している(甲24)。

また、請求人は、平成9年(1997年)、引用商標1の商標登録を機に、久保田メソード能力開発教室(後に「久保田メソッド能力開発教室」に改称)を開講し、今日まで長年にわたり乳幼児の脳の発達を促すための幼児能力開発プログラムを、多くの母親に提供している。

現在、リトルランドにより、「久保田メソッド能力開発教室」が運営され(甲5の2)、かつ、脳研工房の全業務も受諾している。

そして、「久保田メソッド能力開発教室」は、競氏、カヨ子氏の両氏を理事に迎え、定期的に競氏による脳科学の講座も実施し(甲25)、本教室に通う父兄に「久保田メソッド」の魅力を広めている。

イ 被請求人が、乳幼児教育の分野における「久保田メソッド」の著名性を十分に認識していること

被請求人は、被請求人が運営するサロン「赤ちゃんの脳を育む会(通称:AKANON)」のウェブサイトにおいて「久保田競・カヨ子師の想いに深く共感し『日本の子ども達の未来を創る仕事を生涯の仕事とする事』を決意し『久保田赤ちゃん教室インストラクター』としての活動を始めました。」などとし(甲6の2)、カヨ子氏との結びつきを強調している。

しかも、同ウェブサイトでは、「久保田カヨ子先生講演会・育児相談会」とのページを掲載し、2011年5月における開催実績を上げているなど(甲6の3)、乳幼児教育の分野における「久保田メソッド」の著名性を十分に認識し、それを自らのサロンの運営に大いに活用している。

しかしながら、被請求人は、カヨ子氏の推奨する「インストラクター養成講座」に、ただ一度参加したのみである(甲24)。

従前より、請求人及び請求人と強い結びつきを持つ脳研工房のみが「クボタメソード、クボタメソッド、久保田メソッド」を含む登録商標を取得、維持する中で、乳幼児教育の分野で「久保田メソッド」が著名となっている事実も当然に知っていたにもかかわらず、被請求人は、請求人、カヨ子氏及び脳研工房の許諾を得ることなく、本件商標登録を行った。

これまでの経緯からも明らかなように、「久保田メソッド」を構成要素に含む商標の登録は、請求人又は脳研工房にのみ認められたものであるから、請求人、脳研工房及びカヨ子氏の許諾を得ることなく、「久保田メソッド」を含む商標の登録を図った、被請求人の行為は断じて許されない。

そもそも、被請求人は、自己の運営するサロン名「AKANON」を含む登録商標(甲26の1、甲26の2、甲27の1、甲27の2)を保有しているにもかかわらず、本件商標には、わざわざ括弧書きで被請求人のサロン名「AKANON」を付記的に表示し、「久保田メソッド」を引き立たせる態様で商標登録したことからしても、「久保田メソッド」の名声による顧客吸引力を利用する意図があることは、容易に推測できる。そして、追加的に本件商標の登録を図ったことも、被請求人は、「久保田メソッド」が需要者に広く認識されている商標であることを十分に認識した上で、「久保田メソッド」の名声による顧客吸引力を利用する意図があっての行動であることは、容易に推測できる。

しかも、本件商標の拒絶対応時(甲1の4)には、「『久保田』は一般的な姓、『メソッド』は方法を意味するものであることから、『久保田メソッド』は識別性がない、若しくはあったとしても非常に弱い」などと主張し、乳幼児教育の分野における「久保田メソッド」の著名性を否定して登録に導いているなど、まさに恩師に対して仇で返すような、不道徳な行為に他ならない。

また、被請求人が運営する「赤ちゃんの脳を育む会(通称:AKANON)」のホームページ上では(甲6の1、甲6の2)、本件商標を一切使用していないことからも、被請求人は、本件商標の登録がカヨ子氏に対する背信行為であると、認識していることが推測される。

ウ 小括

以上のとおりであるから、被請求人は、本件商標に含まれる「久保田メソッド」が、請求人の周知著名な商標であることを熟知しながら、剽窃的にこれを出願・登録したものである。

加えて、被請求人は本件商標と同日出願して登録された、登録第6039977号商標「久保田式育児法(AKANON)」に対して、カヨ子氏の夫である競氏を申立人とする登録異議申立(異議2018−900196号)がなされている(甲28の1、甲28の2)。登録第6039977号商標は、「久保田式育児法」と「(AKANON)」との結合商標であり、「久保田式育児法」の部分を「久保田メソッド」としたものが本件商標と同一商標となる。すなわち、登録第6039977号商標と本件商標とは、登録出願日のみならず商標を構成する要素も意図的に近似したものである。

そして、登録第6039977号商標に対して、競氏名義により異議申立がなされていることからすれば、いずれもカヨ子氏及び競氏の意に沿わない信義則に反した登録であることが、間接的に証明される。

なお、本件商標について、請求人が競氏となっていないのは、上述のごとく、長きにわたり「久保田メソッド」を通じて請求人、競氏及びカヨ子氏は強い信頼関係を築き、請求人及び脳研工房は登録商標の使用許諾を結ぶなどして、請求人がリトルランドを通じて、カヨ子氏から「久保田メソッド」に基づく乳幼児教育の運営全般を受託されていることの左証に他ならない。

このような不正の意図、不正の目的をもって、剽窃的に請求人の周知著名商標である「久保田メソッド」商標を出願し登録を得たものであるから、本件商標は、公序良俗に反して登録されたものといわざるを得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

「久保田メソッド」に基づく乳幼児教育は、請求人が1996年から今日まで長年にわたり、乳幼児の脳の発達を促す幼児能力開発法を示すものとして使用した結果、周知著名な商標となるに至ったことは明らかである。

インターネット上の検索エンジンにおいても、キーワード「久保田メソッド」を入力すれば、トップページにリトルランドが運営する「クボタメソッド能力開発教室」がヒットすることからすれば(甲15)、「久保田メソッド」に基づく乳幼児教育は、請求人及びリトルランドにより実践されていることが、乳幼児教育に触れる需要者にも周知されている。

さらに、請求人と脳研工房とは、指定商品・指定役務を両者で分担するなど、互いにその業務を補完し合うことで、「久保田メソッド」に基づく乳幼児教育を実践するものであり、両社は深い協業関係にあるものである。

そして、本件商標の指定役務である第41類「乳幼児のための技芸・スポーツ又は知識の教授,乳幼児のためのセミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供」は、請求人の登録商標ないし請求人が脳研工房より専用使用権を許諾された登録商標と同一又は類似のものである。

また、第41類「乳幼児のための娯楽施設の提供,おもちゃの貸与」にしても、乳幼児教育に触れる需要者と密接に関連するものである。

このような役務について、請求人の著名商標である本件商標を使用した場合、請求人の業務に係る役務か、あるいは請求人と経済的に関係を有する者の役務であるかのごとく、役務の出所について混同を生じさせるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第7号及び同第15号に該当し、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効にすべきものである。

7 答弁に対する弁駁

(1)「請求人は本件審判請求の利益がない。」との主張について

請求人は、審判請求時にリトルランドを通じて、乳幼児・児童対象の各種教室運営や関連書籍の出版をも行っている(甲5の1)。

したがって、本件商標の存在により、請求人による出願商標「ピアノdeクボタメソッド」(商願2017−143830号)(甲7の1)ほかの登録が阻害され、請求人が不利益を受けていることは明らかであるから、請求人が本件審判請求することについて請求の利益を有することは明白である。

なお、被請求人は、「ア.請求人は出版社であり、本件商標の指定役務とは無関係である。」「イ.久保田メソッドについて知識の教授に使用している事実はない。」「ウ.請求人の子会社がカヨ子氏及び競氏の両者と開発した教育プログラムとの説明はあるが、請求人とは別人格である」などと述べているが、請求人はリトルランドと一体となって、「クボタメソッド」に関する能力開発事業を行っており、競氏らと契約を交わし、「クボタメソッド」の名称を用いた幼児教育教室等を開き活動を行っている。

また、請求人は、「久保田メソッド指導書」の出版社であり、その中で請求人と久保田夫妻とが協力して乳幼児教育に携わってきたことが記載されている(甲29)。

よって、請求人が本件商標を無効とする審判請求を行うことについて、当然に請求の利益がある。

(2)「本件商標は商標法第4条第1項11号に該当しない。」との主張について

ア 第41類において「クボタメソッド」は識別力がないとの主張について

被請求人は、本件商標の審査時の拒絶理由に対する「意見書」において「第9類には識別力がないが、第41類には識別力がないとは断定できない」旨述べている。

そうすると、少なくとも第41類における「クボタメソッド」の識別性については否定していない。

一方、「第9類には識別力がない。」とする根拠は、「商願2002−4772号(商標『クボタメソッド』において特許庁は識別性がないと判断したこと)」を挙げているが、当該出願の経緯をみると、拒絶理由通知に対し、意見を述べた結果、「識別性がない」との最終判断をもって拒絶されたわけではないから、第9類においても「識別性がない」などと断定することはできない。

さらに、被請求人(出願人)は、意見書において、「第41類には識別力がないとは断定できない。」といいつつも、「『クボタメソッド』は、識別性があるとしても、非常に弱い識別性だと考える。」と述べ、その理由として、請求人と脳研工房が第41類において、それぞれ登録商標を有していることを挙げている。

しかしながら、請求人と脳研工房(代表者は競氏)は、共同して「クボタメソッド」を普及、啓蒙活動をしてきたのであり、その商標権についても、互いに第41類の非類似役務について商標権を保有していたのであって、重複登録されているわけではない。

よって、「重複登録されている」との事実誤認に基づいて、第41類において「久保田メソッド」、「クボタメソッド」は識別性がない、などという主張は根拠に欠ける。

さらに、第41類において「クボタメソッド」は識別力を有する商標であると判断されたからこそ、請求人の第41類の役務を指定役務とする商願2017−143830号に対し、本件商標を引用商標とする拒絶理由通知が送付されているのである。

また、第41類において、ありふれた氏姓と「メソッド」の結合商標は多数登録されていることからも上記主張が裏付けられる。

イ 本件商標は結合商標であり、「AKANON」が強く支配的な印象を与え、「久保田メソッド」の部分は識別力が弱いから「AKANON」が商標の要部であるとの主張について

(ア)本件商標と引用商標との類否について

a 本件商標は、後者の英文字は、括弧で囲われ、「久保田メソッド」と「(AKANON)」の2つの語は、視覚上分離して把握される上、両語が結合して熟語を形成するものでもないから、「久保田メソッド」又は「(AKANON)」のそれぞれが独立して商標としての機能を果たすものというべきである。

また、「(AKANON)」は、商標全体のうち重要な位置を占める前半部ではなく、後半部に位置し、かつ、括弧で囲ってなるから、いわゆる副次的、副題的な文字部分との印象を与える。

さらに、商標前半部分の「久保田メソッド」の文字部分は、請求人らの周知・著名商標であることを考慮すれば、本件商標中、「久保田メソッド」の文字部分が強く支配的な文字部分であり、商標の要部として認識されるものである。

したがって、本件商標からは、「クボタメソッドアカノン」の称呼のほか、「クボタメソッド」の称呼をも生じるものである。

b これに対し、引用商標はいずれも文字と図形の結合からなり、そのうち「久保田メソード」、「クボタメソッド」の文字部分は、請求人らが競氏の提唱する幼児教育に使用する商標として長年使用した結果、周知・著名な商標となっている。

一方、引用商標1のうち「赤ちゃんのびのび ママもいきいき」、「赤ちゃん能力開発教室」や、引用商標2のうち「0歳からの脳育法」などの語句は、役務の質、内容等を表す付記的な部分といえる。

また、図形部分も付飾的な図形であるから、需要者に強く支配的な印象を与える部分は「久保田メソード」、「クボタメソッド」の文字部分といえ、引用商標からは、「クボタメソード」又は「クボタメソッド」の称呼をも生じる。

そうすると、本件商標と引用商標とは、「クボタメソッド」の称呼を同一にし、又は「クボタメソード」とは類似するから、両商標は、称呼上、同一又は類似する商標である。

また、本件商標「久保田メソッド」、引用商標「久保田メソード」及び「クボタメソッド」からは、「競氏らが提唱した幼児開発メソッド(方法)」の観念を共通にする類似商標ということができる。

以上のことから、本件商標と引用商標とは、その外観を異にするとしても、「クボタメソッド」の称呼を同一にし、かつ、その観念も共通にするから、両商標は称呼及び観念において類似する商標である。

さらに、両商標の指定役務は、いずれも第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」、「乳幼児教育のセミナーの企画」等を指定するものであるから、同一又は類似する役務である。

また、本件商標の指定役務中「電子出版物の提供」と引用商標1の指定役務「図書の貸与」等とは類似する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

c 被請求人は「本件商標中、『クボタメソッド』の部分には識別力がないので、『AKANON』のみが識別性のある商標である。」などと述べているが、「クボタメソッド」は識別力を有する商標であるから、その前提条件が誤りである。

また、被請求人は、その主張を正当化するため、最高裁平成20年9月8日判決、平成19(行ヒ)223号を引用しているが、この判決の「つつみのおひなっこや」のように同書、同大、等間隔の構成態様からなる商標と本件商標とは、その構成態様が全く異なるだけでなく、本件商標中の「久保田メソッド」の文字部分が判決でいう「出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合」に該当しないことは明らかであるから、上記判決は参考にならない。

したがって、被請求人の主張する「造語である『AKANON』が出所標識として強く支配的な印象を与えるから、『AKANON』を要部として抽出し商標の類否判断を行うこと、換言すると相対的に識別力の弱い『久保田メソッド』を除いたうえで商標の類否をすることは、それ自体が容認されるべきである。」との主張は、その根拠を欠き全く誤りであるといわざるを得ない。

d 小括

以上のとおり、被請求人は、本件商標の審査時において「久保田メソッド」の識別性や結合商標の類否判断について誤った主張を行い、その結果、登録になった可能性が高く、そうとすれば過誤登録であるから、無効審判制度の趣旨に則り、その登録は無効とされなければならない。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)「本件商標は第4条第1項第7号に該当しない。」との主張について

ア 被請求人は、「本件商標に係る出願・登録が『剽窃的に出願したもの』とはいえないことは明らかである。」旨主張すると共に、証拠を提出し(乙2〜乙9)、あたかも被請求人とカヨ子氏とは密接な関係があるかのごとく主張し、「久保田メソッド」等を含む表示について、その許諾を受けている旨述べている。

しかしながら、その許諾を受けた事実を示す証拠を何ら提出していないばかりでなく、上記乙各号証は、単に被請求人のブログ記事にすぎず、その数も数回であり、かつ、2010年から2011年のかなり古いものである。

さらに、被請求人とカヨ子氏が撮影された写真も2012年6月の古いものであって、ごく普通にみられる先生と生徒の関係を示したにすぎず、「久保田メソッド」の使用許諾を与えられたとか、ましてや「久保田メソッド」を含む商標出願の許諾を与えられたなどの証拠となり得ない。

請求人らは、クボタメソッドの普及・啓蒙活動に行うに当たり、全国においてセミナー、講習会、講演会等を開催し、これらの講習等を受けた参加者の中から一定の評価を受け、認定を受けた者に「修了証」を授与している(甲36)。

仮に、被請求人が「久保田メソッド」等を含む表示にかかる許諾も受けていることが事実であるならば、その証拠を提出されたい。

以上のとおり、被請求人の主張の多くは欺瞞に満ちたものであり、到底認められない。

イ 請求人が問題視するのは、本来、カヨ子氏、競氏らから承諾を受けた者しか認められないはずの「久保田メソッド」の文字を含む商標を、被請求人が無断で出願・登録したことにある。

すなわち、請求人らが長年にわたり築き上げてきた「クボタメソッド」という商標(ブランド)を被請求人が無断で自己の商標の一部に含めて出願・登録したことをもって、剽窃的な出願・登録といっているのであり、このことは、例えば、華道、茶道、日本舞踊などの分野において、いわゆる本家、宗家、家元等の名称と称される周知・著名な商標の一部を、生徒・弟子であるからといって、無断で出願・登録することが許されないのと同じことである。

ウ 被請求人は、知財高裁の平成19年(行ケ)10391号を挙げ、請求人の主張は「私的な問題」を主張するものであるから、商標法第4条第1項第7号に該当するとの基礎とはなり得ないなどと主張しているが、上記判決を自己に都合よく解釈しているにすぎない。

上記判決の主旨は、「商標登録を受けることができない要件を、法4条各号で個別的具体的に定めているから、同4条1項8号、10号、15号、19号への該当性の有無と密接不可分な事情については、専ら、当該条項の該当性の有無によって判断すべきであり、特段の場合を除き、私的領域まで法4条1項7号は適用されない」とするものであり、当該判決は、「本来商標登録を受けるべき者が出願を怠っていた場合や、契約等によって他者からの登録出願について適切な措置をとることを怠っていたような場合は、『特段の事情がある例外的な場合』と解するのは妥当でない」として、商標法第4条第1項第7号を適用しなかったのである。

これを本件についていえば、請求人らは「クボタメソッド」の出願を怠っていたわけでもないし、そもそも一生徒である被請求人との間で契約を締結するような関係にもないから、判決で言うところの「特段の場合」に相当し、よって、私的関係にあるとしても、商標法第4条第1項第7号を適用することは何ら差支えない(「のらや事件」判決(平成27年(行ケ)第10023号)参照)。

エ 小括

以上のことから、被請求人は、「クボタメソッド」、「久保田メソッド」の名声による顧客吸引力を利用し、自らの利益を図る不正の目的で競氏、カヨ子氏及び請求人らの承諾を受けずに無断で本件商標を出願し、登録を受けたのであるから、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。

(4)「本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない」との主張について

被請求人は、「知識の教授」等の役務で「クボタメソッド」を周知・著名にしたのは、少なくとも請求人ではないから、商標法第4条第1項第15号には該当しない、などと主張しているが、同号は、「他人の業務に係る商品又は役務と出所について混同を生じさせるおそれのある商標」については、商標登録を受けることができない旨規定するものであって、周知・著名にした者が何人であるかはそもそも問題としていない。

とはいえ、「クボタメソッド」は、請求人らが競氏及びカヨ子氏とともに、長年にわたり幼児能力開発教室を全国的に展開し、活動・普及した結果、周知・著名な商標となるに至ったことは事実であるから、「クボタメソッド」が周知・著名な商標となるに至るまで、請求人が関与してきたことは明らかであり、「周知・著名にしたのは請求人でないから本件商標が商標法第4条第1項第15号には該当しない。」などとする被請求人の主張は根本的に誤りである。

以上のとおり、「クボタメソッド」は、長年にわたり競氏及びカヨ子氏らが幼児能力開発教室を全国的に展開し、本件商標の登録出願時はもとより、登録査定時においても周知・著名な商標となっていたものである。

そうすると、「久保田メソッド」の文字を含む本件商標を被請求人がその指定役務に使用した場合、役務の出所について誤認・混同を生じさせるおそれがあるから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

なお、「クボタメソッド」の周知・著名性については、例えば、インターネット検索エンジンにおいて「クボタメソッド」を検索すれば、競氏及びカヨ子氏など関係者の記事のみが多数掲載され、それ以外の者は皆無であることからも、「クボタメソッド」は、請求人らが長年にわたり幼児能力開発に使用し、周知・著名となったことが裏付けられる。

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(5)その他「答弁書」における被請求人の主張について

被請求人は、「請求人が『クボタメソッド』を『知識の教授』に使用している事実はない」と主張しているが、請求人は、「クボタメソッド能力開発教室」を開設し、「乳幼児の能力開発に関する知識の教授」に「クボタメソッド」を使用している。

被請求人は、「請求人は最近、引用商標1の商標権を第三者に譲渡している」と主張しているが、本件商標が無効理由に該当するか否かの判断時期は、本件商標の登録査定時であるから、登録査定後の権利関係とは直接関係しない。

被請求人は、「『クボタメソッド』が誰に帰属する商標権か不明であり、契約書で何を立証するかも不明である」と主張しているが、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「クボタメソッド」、「久保田メソード」を商標の要部とする商標権は、引用商標の商標登録原簿のとおり請求人ほかである。

(6)不適切な動機について

被請求人は、答弁書中、「不適切な動機」として、「本件請求は、被請求人の正当な業務活動を不当に妨害する意図でなされたものであり、請求人の不適切な動機に基づいてなされたものであるから、それ自体が不当といえる。」旨述べているが、請求人の主張が不当なものではないことは、本件審判請求書の内容、及び答弁書に対する請求人の本弁駁書における主張をみれば、不適切な動機に基づくものでないことは明らかである。

よって、被請求人の上記主張は認められない。

(7)まとめ

以上のとおり、本件商標の存在により、請求人による出願商標(商願2017−143830号)ほかの登録が阻害されていること、及び請求人らが長年にわたり使用してきた結果、需要者間に広く認識されるに至った商標「クボタメソッド」の名声と信用が害され、希釈化されることから、請求人が本件審判請求について、請求の利益を有することは明らかである。

また、本件商標中「久保田メソッド」の文字部分も識別性を有するものであり、本件商標と引用商標とは称呼及び観念において類似し、かつ、その指定役務も同一又は類似するから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

さらに、被請求人は「久保田メソッド」の名声による顧客吸引力を利用し、自らの利益を図る不正の目的で競氏らの承諾を受けずに無断で本件商標を出願し、登録を受けたのであるから、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。

加えて、請求人らが長年にわたり幼児能力開発に使用し、周知・著名となった「久保田メソッド」を含む本件商標をその指定役務に使用した場合、役務の出所について誤認・混同を生じさせるおそれがあるから、本件商標は商標法第4条第1項15号に該当する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第7号、同第15号に違反して登録を受けたものであるから、その登録は同法第46条第1項により、無効とされるべきものである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。

1 請求人について

そもそも本件審判請求は、請求人の不適切な動機に基づきなされた不当なものである。

請求人は、出版社であり、本件商標に係る指定役務の全てと無関係である(甲4)。

また、請求人の子会社が、乳幼児・児童対象の各種教室を行っている旨主張するが、標章「久保田メソッド」について「知識の教授」に使用している事実はない(甲5の1)。

さらに、ウェブサイトでの「クボタメソッドとは?」との表題では、請求人の子会社が、カヨ子及び競氏の両者と開発してきた教育プログラムとの説明があるものの、請求人とは別人格を有する者であることはいうまでもない(甲5の2)。

よって、請求人には、利害関係がない。

2 被請求人について

被請求人は、カヨ子氏から、教育プログラムの監修を経て、現在に至る者である。

3 請求人の利益について

請求人は、商願2017−143830号に対して拒絶理由通知を受けたので(甲7の1、甲7の2)、当然に、請求の利益がある旨を主張する。

しかし、本件商標登録出願も、同様に、拒絶理由通知を受けている(甲1の3)。

引例は、引用商標を含む3件であり、これら3件の商標に共通するのは、「クボタメソッド」であり、この部分に識別性がない旨を被請求人は認識している。

そのため、請求人が商願2017−143830号に係る出願の拒絶理由通知対応の意見書において、この点を丁寧に説明すればよく、本件審判の請求の利益などない。

ましてや、請求人は、最近、引用商標1の商標権を、第三者に譲渡しているところである。請求人自らが、「クボタメソッド」について、譲渡すれば、ますます、識別性がなくなっていくだけの話であり、矛盾している。

4 経緯について

請求人が、引用商標1の商標登録を受けた点は認めるが(甲2の1、甲2の2)、請求人が久保田メソード能力開発教室を開室したとの点は不知。請求人は、出版社と自白しているからである。

また、請求人が出版した「久保田メソッド指導書」(甲8)については、その内容は不知。ただし、「実践指導書」とあるので、幼児教育で使用する教師向け用の指導書の意味と解する。とすれば、出版社が出した本を需要者が購入し、それを教育現場で活かすことは、商標法上、何ら問題はない。

また、リトルランドが「クボタメソッド」、「久保田メソード」について許諾を受けたのは、競氏である(甲9)。少なくとも、独自の脳科学研究に基づく乳幼児育児法である「クボタメソッド」は、競氏が考案したと、請求人は認識している。

そうすると、「クボタメソッド」が、誰に帰属する商標なのか不明であり、この契約書で何を立証したいのかも不明である。海外展開の許諾を受けたことと、本件無効審判とは無関係である。

また、子会社が脳研工房と間で業務委託契約を受けた(甲11)との点については、これをもって何を立証するのかが明らかでない。

さらに、請求人が専用使用権の設定を受けた商標(甲13の1〜甲13の4)は、本件商標とは、非類似の商標であり、被請求人は、依然として、第41類で「クボクメソッド」は、識別性がないと考えている。

また、請求人の商標登録出願の登録が認められないことが請求人の事業運営に重大な支障を来たすものであるとの点については、不知。請求人が「クボタメソッド」について第41類の役務との関係で識別性のない旨の意見書を提出すれば済むだけの話である。

よって、請求人の利益は、認めない。

5 商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標の構成中、「久保田メソッド」の部分には識別性がないので、「AKANON」のみが識別性のある商標である。

請求人は、「クボタメソッド」が商標登録を受けたので識別性がある旨を主張するが、それは「印刷物」であって(甲16)、本件商標の指定役務とは非類似のものである。

また、「0才からの脳力開発法〜<クボタメソッド>」(甲17)は、他の構成要素もあることから、請求人の主張は、失当である。

請求人は独自の役務類似論(印刷物と知識の教授が類似役務である。)を展開するも、これは、類似役務審査基準の問題であり、請求人が意見を述べる立場ではない。

最後の「6)小括」(審判請求書14頁)については、周知著名との主張のようであるが、一体、役務が何かも特定せず、仮に「知識の教授」で著名であるとすれば、それを示す証拠もない。

また、請求人が根拠とする甲第18号証の1に係る商標は、「久保田メソッド」、「クボタメソッド」、「KUBOTA METHOD」の文字を3段併記してなるものであり、この3段併記したものは、それ全体で識別性があっても、それぞれ、単体では識別性があるとの証拠にならない。事実から考慮するに、「識別性が弱い」との反論に、誤りはない。

(1)請求人は、本件商標が「久保田メソッド」と「(AKANON)」との結合商標であることを理由として、本件商標からは「クボクメソッド」及び「アカノン」の称呼を生じる旨主張するが、単なる文字(列)どうしが結合した結合商標において各構成部分からそれぞれの称呼が生じるとのことのみを理由とする短絡的なものにすぎず、本件商標を構成する各部分の需要者、取引者に対する識別力に係る評価・検討を全く行っておらず、本件商標に係る個別具体的判断を欠いているものである。

(2)請求人は、登録第4641245号商標及び登録第4659813号商標を持ち出し、「久保田メソッド」の部分が識別力を有することを主張している。

しかし、(ア)クボタメソッド関連商標における「クボタメソッド」は、本件商標における漢字及び片仮名で表されている「久保田メソッド」とは異なる片仮名のみであり、一連一体に表されていること、(イ)「メソッド」の表示は、「役務」について使用されたときと「商品」に対して使用されたときとでは、それ自体の識別力に顕著な差異が生じ得ること、すなわち、「メソッド」の表示は、「役務」に対して使用されると当該役務の「やり方・作法」との観念を想起させる場合が多く、その識別力が容易に否定され得るが、他方、「印刷物」や「電子出版物」などの「商品」に対して使用される場合には役務に使用される場合に比べてその識別力が発揮されやすいことから根拠付けられるように、クボタメソッド関連商標の登録例があるとしても、そのことは、役務のみを指定した本件商標について、その「久保田メソッド」の部分に識別力があることを示す根拠とはならない。

(3)請求人は、過去の登録例を持ち出し、「第41類において『固有名詞(苗字)』と『メソッド』のみからなる結合商標が認められた」ことを根拠として、「『久保田メソッド』においても識別性が認められてしかるべき」とも主張するが、事案が異なる。

そして、結合商標については、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合には、その部分を要部として抽出した上で、類否判断を行うことが許されるべきである(最高裁平成20年9月8日・平成19(行ヒ)223)。

この点、本件商標については、造語である「AKANON」の部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるから、識別力を強固に有する「AKANON」を要部として抽出した上で商標の類否判断を行うこと、換言すると、相対的に識別力の弱い「久保田メソッド」の部分を除いた上で商標の類否判断を行うことは、それ自体が容認されるというべきである。

したがって、上記登録例があるとしても、そのことは、本件商標において「久保田メソッド」の部分に識別力があることを示す根拠とはならない。

以上のとおり、本件商標については、その構成後半部の「AKANON」の文字部分がその要部というべきであって、その構成前半部の、単に「(ありふれた姓氏である)久保田という者によるやり方・作法」程の意味合いを想起させるにすぎない「久保田メソッド」の部分の識別力はないか、又は、あるとしても、極めて弱いといえる。

(4)また、請求人は、「久保田メソッド」の表示について乳幼児の脳の発達を促す幼児能力開発法を示すものとして長年にわたり請求人が使用して、周知著名な商標であると主張し、甲第15号証等の証拠を提出しているが、そこには上記主張を根拠付ける事実は何ら示されていない。

したがって、本件商標に係る登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても、「久保田メソッド」なる表示が周知著名な商標であったとは到底認められない。

以上のとおり、本件商標において「久保田メソッド」の部分は、識別力がないか、あるとしても弱いものである。また、たとえ請求人が「久保田メソッド」に基づく乳幼児教育を行っているとしても、「久保田メソッド」が乳幼児教育の役務との関係で周知著名な商標であることを認定することもできない。

(5)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標の称呼・観念

本件商標からは、その構成文字全体に相応した「クボタメソッドアカノン」の称呼と共に、本件商標の構成後半部の要部というべき「AKANON」の文字部分に相応した「アカノン」の称呼が生じるものであって、特定の観念は生じない。

イ 本件商標と引用商標との対比

(ア)称呼の類否

上述のとおり、本件商標から生じる称呼は「クボタメソッドアカノン」及び「アカノン」であるのに対し、引用商標は、いずれもかかる称呼を生じるものではないから、本件商標と引用商標とは称呼上非類似の商標である。

(イ)外観の類否

本件商標は、相対的に識別力の弱い「久保田メソッド」の部分を含むから、本件商標の外観に係る類否判断に際しても、かかる部分を除いた上で、引用商標と対比するのが相当であるところ、引用商標のいずれからも、本件商標の構成後半部の要部というべき「AKANON」文字部分に相応する外観を認識することはできないから、本件商標と引用商標とは外観上非類似の商標である。

(ウ)観念の類否

上述のとおり、本件商標からは観念は生じないから、本件商標と引用商標とは観念上非類似の商標である。

(エ)小括

したがって、本件商標が引用商標のいずれともと同一ではなく類似するものでもないことは明らかである。

ウ まとめ

以上のとおり、本件商標は、引用商標と同一ではなく類似するものでもないから、指定役務の類否等を判断するまでもなく、商標法第4条第1項第11号には該当しない。

6 商標法第4条第1項第7号該当性について

被請求人が他人の周知著名商標を剽窃的に出願したとの点については、認めない。ただし、そのような趣旨の審決例があることは認める。

なお、請求人は、被請求人がカヨ子氏の推奨する「インストラクター養成講座」(甲24)に、ただ一度参加したのみであると主張するが、その趣旨が明らかではない上、参加が「ただ一度」との点は不実である。

被請求人は、平成25年5月開催の講座に加えて、少なくとも平成28年(2016年)11月26日開催の「クボタメソッド東京研修会」にも参加している。このことについては、研修会の直前の2016年11月22日に、リトルランドの代表者から被請求人に対して「脳研工房東京研修会にご参集いただき、ありがとうございます。」等の内容の電子メールが送信されたこと(乙1)及び上記研修会(クボタメソッド東京研修会)当日の請求人が写っている写真(乙2)から明らかである。

また、被請求人が本件商標の拒絶対応時の意見書で識別性がない旨を主張したことが「恩師に対して仇で返すような、不道徳な行為」であるとの主張については、明らかな名誉棄損である。

本件商標に係る出願・登録は断じて「剽窃的なものではない」。この点、あたかも被請求人が不正を行っているかのような、「剽窃的」との真実に反する請求人の評価及び主張については、被請求人においてその名誉に関わる事項であり到底看過できるものではない。

本件商標に係る登録出願の出願人でもある被請求人は、赤ちゃんの脳を育む会の運営(通称「AKANON」)の代表者であり、同会の開講する教室「AKANON」において、カヨ子氏監修のプログラムに基づく教育を行っている(甲6の1〜甲6の3)。

被請求人は、かかる教室を開くに際し、教室で使用するプログラムをカヨ子氏に提出して同氏の監修を受け、同氏からその旨を示す表示の使用許諾を受けるとともに、「久保田メソッド」等を含む表示にかかる許諾も受けている。

また、被請求人は、教室を開くに際し、平成22年(2010年)10月に、愛知県犬山に赴き、競氏及びカヨ子氏を訪問し、2日間にわたる両氏の開催する勉強会に参加している(乙3、乙4)。なお、この勉強会は、被請求人が代表を務める「AKANON」の開催に向けて、両氏の働きかけにより実施されたものである(乙4)。

また、平成23年(2011年)4月28日頃には、「赤ちゃんの脳を育む会」姉妹校の教室において、カヨ子氏を招いて「久保田カヨ子先生講演会&育児相談会 in 福岡!」と称する「久保田カヨ子先生講演会」が行われるとともに(乙5)、同年5月28日には、披請求人が代表を務める「AKANON」において、カヨ子氏を招いて「久保田カヨ子先生講演会」が行われ(乙6、乙8)、同月28日及び29日には、同氏による育児相談会が開催されている(乙7、乙8)。

さらに、平成24年(2012年)6月23日にも、同様に同氏の講演会が行われている。

このように、遅くとも平成20年代初頭の頃より、カヨ子氏と被請求人とは互いに深い交流があり、しかも「AKANON」においてカヨ子氏の幼児教育方法を実践してきているのであって、当然に、カヨ子氏は「AKANON」の活動内容を熟知し容認してきたということができ、むしろ、カヨ子氏自らが、その幼児教育方法を世に広めるために「AKANON」の活動に協力してきたというのが真相である。

そして、遅くとも平成20年代初頭より被請求人とカヨ子氏とが互いに親交のあることは、被請求人とカヨ子氏の2人が写っている数々の写真(乙4、乙7〜乙9)の存在からも容易に推認される。

このように、被請求人が代表を務める「AKANON」がカヨ子氏から「久保田メソッド」等を含む表示の使用を許諾されていることは、少なくとも10年弱以上の長期間にわたってカヨ子氏の容易に知り得る状況下で「AKANON」において同氏監修のプログラムに基づく教育が実践されてきていることや、被請求人の「AKANON」の活動をカヨ子氏自身が強力にサポートをしてきたこと、等の事実からも強固に推認される。

この点、請求人は、被請求人がカヨ子氏等の許諾を得ることなく「久保田メソッド」を含む商標の登録を図ったなどと強弁するが、かかる請求人の主張内容は、真実に反する。

また、被請求人は、「久保田メソッド」との表示を、本件商標の構成における「非要部」に用いるにすぎない。

以上のことから判断すれば、本件商標に係る出願・登録が「剽窃的なもの」とはいえないことは明らかである。

ところで、請求人は、その商標法第4条第1項第7号の該当性の主張において、「久保田メソッド」を構成要素に含む商標の登録は請求人又は脳研工房にのみ認められたものであること、被請求人はカヨ子氏及び脳研工房の許諾を受けていないこと、を主張する。

しかし、出願人が本来商標登録を受けるべき者であるか否かを判断するに際して、先願主義を採用している日本の商標法の制度趣旨や、国際調和や不正目的に基づく商標出願を排除する目的で設けられた法4条1項19号の趣旨に照らすならば、それらの趣旨から離れて、同7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは、商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので、特段の事情のある例外的な場合を除くほか、許されないというべきであり、特段の事情があるか否かの判断に当たっても、出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも、当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから、そのような場合にまで「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない(平成19年(行ケ)10391号)。

この点、上記の請求人の主張内容は、「私的な問題」を主張するものであるから、その真偽を検討・判断するまでもなく、いずれにしても商標法第4条第1項第7号の該当性を判断するための基礎とはなり得ない。

そして、このことに加えて、被請求人がカヨ子氏から許諾を受けていること、本件商標において「久保田メソッド」の部分が「非要部」にすぎないことについても併せて考慮すれば、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとの請求人の主張自体が失当であることはより一層明らかとなる。

7 商標法第4条第1項第15号該当性について

請求人の業務に係る役務か、あるいは、請求人と経済的に関係を有する者の役務であるかの如く、出所の混同を生じる点については、認めない。

請求人は、出版社であり、自ら出版した本等も含めて、「クボタメソッド」を世の中に広めるためには、多数の賛同者が必要であることは、理解しているはずである。

賛同者は、具体的にいえば、幼児教室の先生である指導者である。

そうすると、知識の教授等の役務で「クボタメソッド」を周知・著名にしたのは、少なくとも請求人ではないことは明らかである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

8 小括

以上から、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第7号及び同第15号のいずれにも該当しないことは明らかである。

9 不適切な動機

(1)請求の意図

請求人は、審判請求書において、「クボクメソッド脳育法」と称する方法に基づく業務に係る「久保田メソッド」との表示については、あたかも請求人及び脳研工房の両者がこれを独占し得るかのような主張をしている。

このことから、本件審判請求自体が、請求人及び脳研工房のいずれでもない被請求人の商標登録行為を含む一連の業務活動を阻害する意図でなされたものであることを、請求人は自白しているといえる。

そして、請求人は脳研工房との間で「クボタメソッド脳育法」と称する方法に係る業務の委託契約や商標権の専用使用権の設定契約等をしているようであるが(甲11、甲12)、これらの契約前に、被請求人はカヨ子氏の許諾を受けて同氏の監修したプログラムに基づいた教育を現在に至るまで継続して行っている。

したがって、請求人は、上記契約以前に許諾を受けてその業務を継続している被請求人の正当な業務活動を妨害することは許されない。

そもそも、請求人の提出した甲第9号証(契約書)、甲第10号証(覚書)、甲第11号証(業務委託契約書)及び甲第12号証(商標使用権許諾契約書)の内容を見ても、上記契約の第三者が幼児教育について「久保田メソッド」等の表示を使用して業務を行っている場合に、請求人あるいは脳研工房がそれを排除する権原を有すること自体を認めることができない。

請求人は、むしろ、幼児教育用の教師向けの指導書と思しき「久保田メソッド指導書」を出版しており(甲8)、「クボタメソッド脳育法」と称する方法が幼児教育現場において指導者の間で広く積極的に取り入れられること自体を容認しているところ、その中で本件審判請求をなしたということは、被請求人のみを狙い撃ちし、その幼児教育に係る「久保田メソッド」等の表示の使用を排除しようとする請求人の明確かつ不当な意図がうかがえる。

以上のとおり、本件審判請求は、請求人が、被請求人の正当な業務活動を権原なく不当に妨害する意図でなされたものといえる。

(2)重要な関連事実

被請求人は、カヨ子氏の許諾を得た上で同氏監修のプログラムに基づく教育を行っており、このことを「AKANON」等のインターネットホームページ等に掲載しているところ、2017年5月16日に、被請求人のもとに、脳研工房のA氏から、一方的に 「御社HPに出ております最新監修等の文言、およびクボタメソッドという表記は使用できません」、(カヨ子氏は)「カリキュラムの監修はしておりません」との内容の電子メールが送付された(乙10)。

上述のとおり、実際に「AKANON」においてカヨ子氏監修のプログラムに基づく教育が行われていることから、電子メールの「カリキュラムの監修はしておりません」との内容が不実であることはいうまでもない。

なお、被請求人はこの電子メールに対して反論したが回答はなかった。

そもそも、乳幼児教育の役務について披請求人が「クボタメソッド」との表記を使用することに対して、請求人及び脳研工房がそれを排除する権原そのものを有していないことについては上述したとおりである。

したがって、「クボタメソッドという表記は使用できません」との内容を含む乙第10号証の電子メールは、かかる表記を排除する権原を何ら有しない者(つまり無権原者)による一方的なものであるから、もっぱら被請求人を困らせ、不快にする意図で送信された不当なものといえる。

そして、請求人は、脳研工房との間で「クボタメソッド脳育法」と称する方法に係る業務の委託契約を交わすなどし、脳研工房とは長きに渡り協力関係にあるとのことであるから、このような請求人と脳研工房との相互関係にかんがみれば、請求人においても、上記した脳研工房の従業員と同様に、被請求人を困らせ、ひいては「クボタメソッド脳育法」と称する幼児教育を行う事業主体から被請求人を排除しようとの共通の意図を有していることが容易に推認される。

なお、被請求人は、A氏が請求人の会社に所属していたと聞いている。

したがって、上記の事実は、本件審判請求が、請求人により、被請求人の正当な業務活動を権原なく不当に妨害する意図でなされたことを裏付けるものというべきである。

(3)小括

以上のとおり、本件審判請求は、被請求人の正当な業務活動を不当に妨害する意図でなされたものであり、請求人の不適切な動機に基づいてなされたものであるから、それ自体が不当といえる。

したがって、本件請求に対して、速やかに請求は成り立たない旨の審決がなされて然るべきである。

10 弁駁に対する主張

被請求人の答弁は、さきの答弁書において述べたとおりであるが、商標法第4条第1項第7号に関する「『クボタメソッド』の文字を含む商標を被請求人が無断で登録・出願した」との点は否認する。

そもそも、乙第10号証のメールにおける「クボタメソッドという表記は使用できません。」との内容については、同意もなく、一方的な通告である。

商標法第4条第1項第15号に関して、請求人は、インターネット検索を主張するも、それのみで周知・著名との認定は不可能である。

書籍(甲29)を請求人が発行したことが、本件審判の請求に利益があることの結論にはならない。被請求人も、カヨ子氏の指導のもと、当該書籍の編纂を作成した経緯がある。

また、甲第36号証の立証趣旨が不明であり、それ以外に請求人が新たに提出した証拠は、過去の審決例等にすぎない。

請求人は審理再開を申し立てたものの、請求人からは、新たな重要な証拠は提出されなかった。

11 結論

以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第7号及び同第15号のいずれにも該当せず、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効にすることができないことは明らかである上、そもそも本件請求自体が不適切な動機に基づいてなされた不当なものである。

第5 当審の判断

1 本件審判の請求の利益について

本件審判の請求に関し、当事者間において利害関係の有無につき争いがあることから、まず、この点について判断する。

商標登録出願に係る商標が、当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標と同一又はこれに類似し、指定商品若しくは指定役務も同一又は類似するものとして、当該商標登録出願が拒絶され又は拒絶されるおそれがある場合、その商標登録出願は、上記他人の登録商標につき、商標登録の無効審判の請求をする法律上の利益があることは明らかである。

しかるところ、請求人は、構成中に「クボタメソッド」の文字を含む商標について件外登録出願(商願2017−143830号:甲7の1)をしていることが認められ、その登録出願に係る商標について、本件商標を引用した拒絶理由(商標法第4条第1項第11号)を通知され(甲7の2)、当該商標登録出願は現在審査に係属していることが認められる。

そうすると、請求人が、構成中に「クボタメソッド」の文字を含む商標を登録出願し、拒絶の理由が通知されている以上、請求人は、本件審判の請求をすることについて法律上の利益を有するものといわなければならない。

したがって、本件審判の請求は、その請求を不適法なものとして却下することはできない。

2 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は、前記第1のとおり、「久保田メソッド(AKANON)」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中前半部の「久保田メソッド」の文字部分については、「久保田」が、ありふれた姓氏の一つを、「メソッド」が、「方法。方式。」の意味を有する英語「method」の片仮名表記として認識され、「久保田メソッド」の文字部分から「(ありふれた姓氏である)久保田という者による方法」程の意味合いを想起させる場合があるとしても、「姓氏」に「メソッド」の文字を繋げた表記方法が、本件商標の指定役務の分野において、役務の質等を表示するものとして一般的に使用されているとは直ちに認め難いものであるから、本件商標構成中の「久保田メソッド」の文字部分は、その指定役務との関係において自他役務の識別力を有しないとはいえないものである。

一方、「AKANON」の欧文字部分は、辞書等に載録されていない語であるから、一種の造語として認識されるものである。

してみると、本件商標は、その全体の構成文字に相応して「クボタメソッドアカノン」の称呼を生じ、その構成全体としては、特定の観念は生じないものである。

そして、本件商標構成中の「久保田メソッド」と「(AKANON)」の文字は、1)「久保田メソッド」が日本語表記であるのに対し、「AKANON」が欧文字表記であること、2)「AKANON」の欧文字が括弧でくくられていること、3)いずれの文字も、指定役務との関係において、役務の質等を表すものとはいえず、また、それぞれが観念上の結びつきを有するものではないこと、4)構成文字全体から生ずる「クボタメソッドアカノン」の称呼がやや冗長であること等を併せ考慮すると、「久保田メソッド」及び「(AKANON)」の文字部分を分離して観察することが、取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているということはできない。

してみれば、本件商標は、それぞれの文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものというべきであるから、その構成中の前半部に位置する「久保田メソッド」の文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというのが相当である。

そうすると、本件商標からは、当該文字部分に相応して、「クボタメソッド」の称呼も生じ、「(ありふれた姓氏である)久保田という者による方法」程の観念を生ずるものである。

(2)引用商標について

ア 引用商標1について

引用商標1は、別掲1のとおりの構成よりなるところ、その構成中の下部に記載された赤ちゃんとおぼしき図形部分と上段の文字部分は、視覚上分離して看取されるばかりでなく、両者を常に一体不可分のものとしてみなければならない特段の理由も見当たらないものであるから、それぞれの部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。

そして、上段の文字部分において、「赤ちゃん能力開発教室」の文字部分は、その指定役務との関係からして、役務の提供の場所又は質を表したものとして認識され、「赤ちゃんのびのびママもいきいき」の文字部分についても一種のキャッチフレーズであるかのように認識されるというのが自然であり、いずれも自他役務の識別標識としての機能を有さないか、極めて弱いものというのが相当であって、引用商標1においては、中央に顕著に表された「久保田メソード」及び「KUBOTA METHOD」の文字部分が自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものといえることから、当該文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというのが相当である。

そうすると、引用商標1からは、「久保田メソード」及び「KUBOTA METHOD」の文字部分に相応して、「クボタメソード」及び「クボタメソッド」の称呼を生じ、「(ありふれた姓氏である)久保田という者による方法」程の観念を生ずるものである。

イ 引用商標2について

引用商標2は、別掲2のとおりの構成よりなるところ、その構成中、吹き出し部分には「0歳からの脳育法」の文字が横書きで記載され、その下に大きく「クボタメソッド」と記載されている。

そして、「0歳からの脳育法」の文字は、その指定役務との関係からして、役務の質を表したものとして認識されるといえるものであり、かかる構成においては、大きく顕著に表された「クボタメソッド」の文字部分が自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものといえることから、当該文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというのが相当である。

そうすると、引用商標2からは、「クボタメソッド」の文字部分に相応して、「クボタメソッド」の称呼を生じ、「(ありふれた姓氏である)久保田(クボタ)という者による方法」程の観念を生ずるものである。

(3)本件商標と引用商標の類否について

本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標と引用商標は、外観については、それぞれ上記(1)及び(2)のとおりであるから、全体としてみたときには、互いに区別し得るものである。

次に、称呼については、本件商標及び引用商標の要部からは、「クボタメソッド」の称呼が生じるものであるから、称呼を共通にするものである。

なお、引用商標1から生ずる「クボタメソード」の称呼と本件商標から生ずる「クボタメソッド」の称呼との比較においても、両者は、促音又は長音を含めて共に6音からなる音構成において、第5音目における促音と長音という差異を有するにすぎないものであって、他の構成音は同じものであることからすれば、両者をそれぞれ一連に称呼した場合には、全体としての語調、語感が近似し、互いに聞き誤るおそれがあるものと判断するのが相当である。

また、観念については、本件商標及び引用商標の要部からは、「(ありふれた姓氏である)久保田(クボタ)という者による方法」程の観念が生じるものであるから、観念を共通にするものである。

そうすると、本件商標と引用商標は、外観が相違するとしても、称呼において同一又は類似するものであり、「(ありふれた姓氏である)久保田(クボタ)という者による方法」程の観念を共通にするものであるから、互いに相紛れるおそれのある類似の商標であるというのが相当である。

(4)本件商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について

本件商標の指定役務中、「乳幼児のための技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供」と引用商標1の指定役務中、「技芸・スポーツ又は知識の教授,図書及び記録の供覧,図書の貸与」は、同一又は類似する役務である。

また、本件商標の指定役務中、「乳幼児のためのセミナーの企画・運営又は開催」と引用商標2の指定役務中、「乳幼児教育及び育児におけるセミナーの企画・運営又は開催」は、同一又は類似する役務である。

しかしながら、本件商標の指定役務中、「乳幼児のための娯楽施設の提供,おもちゃの貸与」と引用商標の指定役務とは、提供の手段、目的、主とする役務の提供者等が異なっていることから、互いに非類似の役務であると判断するのが相当である。

(5)小括

上記(3)のとおり、本件商標と引用商標は類似の商標であり、上記(4)のとおり、本件商標の指定役務中、「乳幼児のための技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供」と引用商標1の指定役務中、「技芸・スポーツ又は知識の教授,図書及び記録の供覧,図書の貸与」は、同一又は類似する役務であって、かつ、本件商標の指定役務中、「乳幼児のためのセミナーの企画・運営又は開催」と引用商標2の指定役務中、「乳幼児教育及び育児におけるセミナーの企画・運営又は開催」は、同一又は類似する役務であるから、本件商標は、その指定役務中、「乳幼児のための技芸・スポーツ又は知識の教授,乳幼児のためのセミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供」について、商標法第4条第1項第11号に該当する。

しかしながら、本件商標の指定役務中、「乳幼児のための娯楽施設の提供,おもちゃの貸与」と引用商標の指定役務とは、互いに非類似の役務であると判断するのが相当であるから、本件商標は、その指定役務中、「乳幼児のための娯楽施設の提供,おもちゃの貸与」について、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第7号及び同第15号該当性について

(1)引用商標の周知著名性について

ア 請求人は、引用商標に係る「久保田メソッド」は、脳科学者である競氏の妻のカヨ子氏の監修により、請求人及び脳研工房(以下「請求人ら」という。)が提供してきた乳幼児の脳の発達を促す幼児能力開発法を表すものとして、乳幼児教育の分野において、周知著名である旨主張している。

イ そこで、請求人提出の甲各号証についてみるに、リトルランドが「クボタメソッド能力開発教室」を開催していること(甲5の2)はうかがえるものの、その他に、「久保田メソッド」に関する広告宣伝の費用、回数や期間等を量的に把握することができる証拠を含め、請求人らが、「久保田メソッド」の文字を使用し、乳幼児の脳の発達を促す幼児能力開発法を提供してきたことを確認することのできる証拠は提出されていない。

してみると、提出された証拠をもってしては、「久保田メソッド」が請求人らの業務に係る乳幼児教育に関する役務を表示するものとして、本件商標の登録出願及び登録査定の時点において、需要者の間に広く知られていたと認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第7号該当性について

請求人は、「被請求人は、『久保田メソッド』が請求人らに係る周知著名な商標であることを知りながら、請求人、脳研工房及びカヨ子氏の許諾を得ることなく、『久保田メソッド』の文字を含む本件商標を剽窃的に出願し商標登録を受けた」旨主張している。

しかしながら、本件商標構成中に「久保田メソッド」の文字が含まれているとしても、そのことをもって直ちに商標権者が不正の意図をもって、剽窃的に出願したということはできない。

「久保田メソッド」は、上記(1)のとおり、請求人提出の証拠によっては、請求人らの業務に係る乳幼児教育に関する役務を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。

そして、請求人の提出した証拠からは、商標権者が、本件商標を不正の目的をもって出願したと認め得るような事情は見いだせない。

そうすると、上記のとおり、「久保田メソッド」が請求人らの業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認めることもできないから、本件商標は、「久保田メソッド」が周知著名な商標であることを知りながら、剽窃的に出願し商標登録を受けたものであるということはできない。

一方で、請求人と脳研工房との間の商標使用権許諾契約書において、脳研工房が所有する登録第4641245号商標、登録第4659813号商標、登録第5693469号商標及び登録第5693470号商標について、専用使用権許諾契約を結んだこと(甲12)、脳研工房とリトルランドの間の覚書において、「5 クボタメソッド、久保田メソッド、久保田式のブランド使用に関する許諾依頼の受付業務。」「9 クボタメソッド、久保田メソッド、久保田式の無断使用、歪曲、盗用の監視と防止の業務。」をリトルランドが代行すること(甲10)、脳研工房、請求人及びリトルランドとの間における業務委託契約書において、脳研工房が請求人に委託する業務の中に「脳研工房が登録し保有する商標の管理及びこれらを使用して展開する一切の事業」が含まれていること(甲11)は確認できるものの、これらをもって、直ちに「久保田メソッド」を構成要素に含む商標の登録は請求人又は脳研工房のみに認められているとはいい難く、請求人が「久保田メソッド」を構成要素に含む商標について使用許可を与える権原を持っていることは立証されていない。

このような状況を併せ考えれば、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底認容し得ないような場合に該当すると認めることはできない。

さらに、本件商標を、その指定役務について使用することが、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するということもできず、他の法律によってその使用が禁止されているものでもなく、本件商標の構成自体が、非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるような構成態様でもない。

その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足りる証拠の提出はない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

引用商標に係る「久保田メソッド」は、上記(1)のとおり、請求人提出の証拠によっては、請求人らの業務に係る乳幼児教育に関する役務を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。

請求人は、引用商標に係る「久保田メソッド」が周知著名であることを前提に、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する旨主張しているが、本件商標と「久保田メソッド」の類似性の程度が高く、指定役務の関連性が高いものであるとしても、引用商標に係る「久保田メソッド」の周知著名性が認められないことからすれば、商標権者が本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標に係る「久保田メソッド」を連想、想起し、該役務が請求人らと何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのごとく、役務の出所について混同を生ずるおそれはないものとみるのが相当である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

4 むすび

以上のとおり、本件商標は、その指定役務中、「結論掲記の役務」について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであり、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきものである。

しかし、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号のいずれにも該当するものではない上、「結論掲記の役務」以外の指定役務についての登録は、同第11号に該当するものではない。

してみれば、「結論掲記の役務」以外の指定役務についての本件商標の登録は、商標法第4条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。