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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2020−16965(T2020−16965/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第9類、第37類及び第42類に属する別掲2に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成31年2月5日に登録出願されたものである。

第2 引用商標

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。

1 登録第3140087号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成4年9月18日に登録出願、第9類「光通信用コネクタその他の配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電線及びケ―ブル,防犯用ビデオカメラその他の電気通信機械器具」を指定商品として同8年4月30日に設定登録されたものである。

2 登録第4795047号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲4のとおりの構成よりなり、平成15年11月6日に登録出願、第9類に属する別掲5のとおりの商品を指定商品として同16年8月13日に設定登録されたものである。

3 登録第4892113号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲4のとおりの構成よりなり、平成15年11月6日に登録出願された商願2003−98189に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、平成16年7月20日に登録出願、第41類及び第42類に属する別掲6のとおりの役務を指定役務として同17年9月2日に設定登録されたものである。

以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめていうときは、「引用商標」という。

第3 当審の判断

1 本願商標について

本願商標は、別掲1のとおり、「興」、「電」及び「舎」の3つの漢字を組み合わせ、角張った書体にて、紺色で「興電舎」と横書きしてなるところ、その構成文字は、同書、同大に表されているものであり、外観上、全体がまとまりよく一体的に表されたものと看取、把握されるものである。

そして、「興電舎」の文字は、辞書類に載録がなく、特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものであるから、一種の造語として認識し、把握されるとみるのが相当である。

したがって、本願商標は、その構成文字に相応して「コーデンシャ」の称呼を生じるものであって、特定の観念は生じない。

2 引用商標1について

引用商標1は、別掲3のとおり、左側に、幅の異なる3つの赤色の楕円を組み合わせた図形を配し(以下「図形部分」という場合がある。)、右側に、「KODENSHA」の欧文字を黒色で横書きしてなる(以下「文字部分」という場合がある。)、図形と文字との結合商標である。

そして、引用商標1の構成中、図形部分と文字部分とは、いずれも重なること無く間隔を空けて配置され、視覚的に分離して観察されることに加え、観念的な関連性も見いだすことはできないから、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいい難く、図形部分と文字部分が、それぞれ要部として自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当である。

また、引用商標1の要部の一である「KODENSHA」の文字部分は、辞書類に載録がなく、特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものであるから、一種の造語として認識し、把握されるとみるのが相当である。

そうすると、引用商標1は、構成中の要部の一である「KODENSHA」の文字部分に相応して、「コーデンシャ」及び「コデンシャ」の称呼を生じるものであって、特定の観念は生じない。

3 引用商標2及び引用商標3について

引用商標2及び引用商標3は、別掲4のとおり、下段に、紺色の「KO」の欧文字と黒色の「DENSHA」の欧文字とを組み合わせた「KODENSHA」の欧文字を大きく表し(以下「文字部分」という場合がある。)、その上段に、円弧状に、合計9つの紺色又は黒色にて塗りつぶした円を、下段の左端の「K」の文字の上部から右端の「A」の文字の上部へ向けて、ごく小さいものから大きいものへと、大きさを変化させて配してなる(以下「図形部分」という場合がある。)、文字と図形との結合商標である。

そして、引用商標2及び引用商標3の文字部分は、その図形部分に比して、顕著に目立つ大きさにて表されていることから、その構成中、「KODENSHA」の文字部分が、視覚上、最も強く看者の注意を引くものである。

また、引用商標2及び引用商標3の図形部分は、「KODENSHA」の文字部分を強調する装飾的な図形として理解されるものであるから、それ自体に、出所識別標識としての特定の称呼及び観念が生じるものとはいえない。

そうすると、引用商標2及び引用商標3の構成中、下段の「KODENSHA」の文字部分が、取引者、需要者において強く支配的な印象を与えるものとみるのが相当であって、かつ、上段の図形部分からは、出所識別標識としての称呼及び観念が生じるものとはいえないものであるから、引用商標2及び引用商標3に接する取引者、需要者は、その構成中、「KODENSHA」の文字部分を記憶にとどめ、取引にあたる場合も決して少なくないというのが相当である。

してみれば、引用商標2及び引用商標3から「KODENSHA」の文字部分を要部として抽出し、当該文字部分のみを本願商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。

したがって、引用商標2及び引用商標3は、その要部である「KODENSHA」の文字部分に相応して「コーデンシャ」及び「コデンシャ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

4 本願商標と引用商標との類否

(1)外観について

本願商標と引用商標の要部である「KODENSHA」の欧文字部分との類否について検討すると、本願商標は「興電舎」の漢字からなるのに対し、引用商標の要部は「KODENSHA」の欧文字からなるものであるから、両者は、文字の種類を異にする点において、その外観が異なるものといえる。

しかしながら、両者の外観は、いずれも紺色又は黒色で表され、普通に用いられる書体の範ちゅうからなるものであることに加え、漢字の商標をその読みに対応した欧文字で代替的に表記することは、取引上、広く一般に行われていることであるから、両者における文字の種類の違いが、これに接する取引者、需要者らに対し、外観上の差異として強い印象を与えるとはいえないというべきである。

(2)称呼について

ア 称呼においては、本願商標と引用商標の構成中の「KODENSHA」からは、ともに「コーデンシャ」の称呼を生じるものであって、その称呼を同一にするものである。

イ また、引用商標からは、「コデンシャ」の称呼をも生じるものであるところ、これと本願商標から生じる「コーデンシャ」の称呼とを比較すると、両者は「コ」及び「デンシャ」の音すべてを共通にし、語頭音「コ」における長音の有無において差異があるものの、両者は、語頭の「コ」の音及び中間の「デン」の音が比較的強く発音され、その間の長音は短く、比較的弱く聴取されるものであるから、その差異は明確に聴取されるとはいい難いものであり、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、語調、語感が近似し、互いに聞き誤るおそれがあるものと判断するのが相当である。

(3)観念について

観念においては、本願商標と引用商標からは、いずれも特定の観念を生じないものと認められるから、この点において両者に相違があるものではない。

(4)まとめ

以上のとおり、本願商標と引用商標の「KODENSHA」の文字部分とは、「コーデンシャ」の称呼を共通にし、引用商標から生じる「コデンシャ」の称呼との対比においては、両者は語調、語感が近似し、互いに聞き誤るおそれがあるものである一方、その外観において、称呼の共通性及び類似性を凌駕するほどの顕著な差異があるとはいえず、また、観念においても相違があるものではないことからすると、両者は、互いに相紛れるおそれのある類似する商標というべきである。

5 本願の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品又は指定役務の類否

(1)本願の指定商品及び指定役務中の第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電線及びケーブル,電気通信機械器具,携帯情報端末」と、引用商標1の指定商品は、同一又は類似の商品と認められる。

(2)本願の指定商品及び指定役務中の第9類「携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品」と、引用商標2の指定商品は、同一又は類似の商品と認められる。

(3)本願の指定商品及び指定役務中の第42類の指定役務と、引用商標3の指定役務中、第42類「音声メール用の電子計算機用プログラムの提供,翻訳用・文字読み上げ用の電子計算機用プログラムの提供,その他の電子計算機用プログラムの提供,インターネットを用いて行う検索エンジンの提供,インターネットを用いて行う検索エンジンの提供に関する情報の提供,コンピュータデータベースへのアクセスタイムの賃貸,情報処理システムで使用される機器の設計,情報通信ネットワークシステムで使用される機器の設計,情報処理システムで使用される機器の設計に関する相談・指導又は助言,情報通信ネットワークシステムで使用される機器の設計に関する相談・指導又は助言,電子計算機用プログラムの貸与,サーバコンピュータの記憶装置の記憶領域(エリア)の貸与,その他の電子計算機(中央処理装置及びその他の周辺機器を含む。)の貸与,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,建築物の設計に関する情報の提供,測量に関する情報の提供,ウェブサイトの作成又は保守,その他の電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守に関する相談・指導又は助言,情報処理システムの設計・作成・保守,情報通信ネットワークシステムの設計・作成・保守,情報処理システムの設計・作成・保守に関する相談・指導又は助言,情報通信ネットワークシステムの設計・作成・保守に関する相談・指導又は助言,コンピューターにおけるデータのフォーマットの変換,コンピュータソフトウェアのバージョンアップ,コンピュータデータの回復,電子計算機用データへの変換,電子計算機などを用いて行う情報処理,コンピュータシステムの分析,デザインの考案,デザインの考案に関する情報の提供」は、同一又は類似の役務と認められる。

6 小括

以上のとおり、本願商標と引用商標とは、互いに類似する商標であり、かつ、本願の指定商品及び指定役務は、引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似の商品又は役務について使用するものである。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

7 請求人の主張について

(1)請求人は、本願商標が、「勢いが盛んになる。おこる。おこす。」等の意味を有する「興」と、「電気のこと。」等の意味を有する「電」と、「家屋。建物。」等の意味を有する「舎」の3つの漢字を組み合わせてなることから、本願商標は、全体として「電気産業を盛んにする企業」等の観念が生じること、及び、現在は「電気産業を担い戦災から復興に寄与することを目標としている会社の観念を持った請求人の会社名として広く認知されるまでに至っていることから、本願商標から「電気産業を担い戦災から復興に寄与することを目標としている会社」の観念が生じる旨を主張する。

しかしながら、上記1のとおり、本願商標を構成する「興電舎」の漢字は、辞書類に載録がなく、特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものであるから、一種の造語として認識し、把握されるとみるのが相当であり、本願商標が、現在において、「電気産業を担い戦災から復興に寄与することを目標としている会社」の観念を持った請求人の会社名として広く認知されるまでに至っているとの主張を証する証拠の提出もない。

したがって、請求人の上記主張は採用することができない。

(2)請求人は、他の判決例及び審決例を挙げて、本願商標と引用商標とは非類似の商標である旨を主張する。

しかしながら、商標の類否の判断は、対比する商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ、それらの判決例及び審決例は、商標の具体的構成等において本願とは事案を異にするものであり、本願商標と引用商標については、上記6においてした判断のとおりであるから、それらの判決例及び審決例をもってその判断が左右されることはない。

したがって、請求人の上記主張は採用することができない。

(3)したがって、請求人の主張はいずれも採用することができない。

8 まとめ

以上のとおり、本願商標と引用商標とは、互いに類似する商標であり、かつ、本願の指定商品及び指定役務は、引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似の商品又は役務について使用するものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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