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Trademark Appeal Case

商標使用証拠の認定

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2018−300718(T2018−300718/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第1241132号商標の指定商品中,第29類「冷凍野菜,冷凍果実」及び第31類「野菜(「茶の葉」を除く。),果実」についての商標登録を取り消す。
審判費用は,被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第1241132号商標(以下「本件商標」という。)は,「フレッシュワン」の文字を横書きしてなり,昭和48年10月12日に登録出願,第32類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品とし,同51年12月13日に設定登録され,その後,平成19年5月30日に指定商品を第29類「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。),かつお節,寒天,削り節,食用魚粉,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」,第31類「食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,野菜(「茶の葉」を除く。),茶の葉,糖料作物,果実,コプラ,麦芽」並びに第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品とする書換登録がされ,現に有効に存続しているものである。

そして,本件審判の請求の登録日は,平成30年9月28日である。

なお,本件審判において,商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは,平成27年(2015年)9月28日ないし同30年(2018年)9月27日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張

請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由,答弁に対する弁駁,審尋に対する回答及び上申において要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第3号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 請求の理由

本件商標は,その指定商品中,第29類「冷凍果実,冷凍野菜」及び第31類「野菜(「茶の葉」を除く。),果実」(以下「請求に係る指定商品」ということがある。)について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)段ボール箱の写真及びなすの写真(乙1)について

これらの写真は,その撮影日時及び撮影場所を確認することができない。また,わざわざ,机の上に段ボール箱を1つ置いて写真撮影をした目的を確認することができない。

写真から確認できる「フレッシュワン」の片仮名は段ボール箱に直接印刷された文字ではなく,段ボール箱に貼付された白地のシールに印刷されたものである。

また,段ボール箱には,「Fresh One」との文字が印刷されているのが確認できるところ,当該文字が直接印刷されている段ボール箱に,わざわざ「フレッシュワン」との片仮名を「長ナス」とともにシールで貼付しているのは,以下の理由から不自然である。

ア 本件商標権者のホームページ(甲2の1)の業務内容に農産物流業があること等及び同ホームページのトラックの写真(甲2の2)において,トラックに「Fresh One」なる文字が付されていることから,本件商標権者は「Fresh One」を農産物流業という役務において使用している。

したがって,段ボール箱に表示されている「Fresh One」は,「ASAMA Group」の農産物流業を表示するマークである。

イ 段ボール箱の写真及びなすの写真(乙1)において,「なす」の文字は,「Fresh One」が記載されている面から90度の角度をもって隣接する面に表示されているから,「Fresh One」を正面から見た需要者は,こん包された商品を全く特定することができない。

したがって,「Fresh One」は「なす」の識別マークとして用いられているものであるとはいえず,また「なす」の識別マークとしての機能を発揮していない。

ウ 本件商標権者がシールを段ボール箱の面に貼付した行為は,本件審判請求を知った上で行ったものであり,本件商標権者は「Fresh One」と「フレッシュワン」との間に商標の同一性がないことを認識しているからこそ,「フレッシュワン」が表示されたシールをわざわざ用いたといわざるを得ない。

エ 本件商標権者は「株式会社浅間」であって段ボールに記載された「ASAMA Group」ではないので,「長なす」は本件商標権者の商品であるとはいえない。

(2)ブルーベリーの写真(乙2)について

ア ブルーベリーの写真は,その撮影日時及び撮影場所を確認することができない。また,わざわざ机の上にパックを1つ置いて写真撮影をした目的を確認することができない。

当該写真では「フレッシュワン」の片仮名等を印刷したシールが,ブルーベリーを収容する透明のパックに貼付されている。

当該パックは,そのまま売り場に置かれることになるであろうから,「フレッシュワン」の片仮名は,合同会社西友LIVINみずほ店(以下「LIVINみずほ店」という。)及び合同会社西友河辺店(以下「西友河辺店」という。)のみならず,実際に商品を購入する消費者に対しても商標としての機能を発揮することが期待されている使用形態であるといえる。

しかしながら,上記(1)アのとおり,本件商標権者は農産物流業を行っており,LIVINみずほ店及び西友河辺店において,本件商標権者が自社の商品として野菜や果物を販売することは確認できない(甲3の2〜4)。

このことからも,本件商標権者がLIVINみずほ店及び西友河辺店において,自社商品の識別マークとして「フレッシュワン」を使用していたとの主張は不自然である。

イ ブルーベリーの写真(乙2)から確認できるシールは,「フレッシュワン」の文字が「ブルーベリー」の文字よりも大きく,他の文字と異なり唯一緑色であって,一般消費者の目に止まる。このようなデザインは,「フレッシュワン」が相当の顧客吸引力を有していなければ,LIVINみずほ店及び西友河辺店において採用し難いものである。

また,当該シールは,一般消費者の購買意欲をそそるようにデザイン化されたものには見えない。

本件商標権者のウェブサイトに表示されているようなデザイン化されたシール(甲2の1)を使用する本件商標権者が,ブルーベリーの写真(乙2)から確認できるデザイン性に乏しいシールを使用することは不自然である。

(3)納品書(乙3)

LIVINみずほ店及び西友河辺店の納品書とする書証(乙3)には,「瑞穂店」及び「河辺店」とあるだけで,納品先を明確に特定することはできない。

また,納品書だけが提示されており,LIVINみずほ店及び西友河辺店の受け取りを証明する証拠がない。したがって,当該納品書は,取引の事実を証明しているとはいえない。

さらに,当該納品書に記載のブルーベリーや長茄子が,段ボールの写真及びなすの写真並びにブルーベリーの写真(乙1,乙2)のものであることは,当該納品書からは確認できない。

さらには,ブルーベリーの数量を示す欄に何も記載されておらず,また合計金額の欄にも何も記載されていない。そうすると,当該納品書の「納品日」に,ブルーベリーは「瑞穂店」及び「河辺店」に納品されていなかった。

一方,納品書に記載されている長茄子の数量と段ボールの写真及びなすの写真(乙1)とがどのような関係にあるのか不明である。

(4)証明書(乙5,乙6)

LIVINみずほ店及び西友河辺店の証明書は,証明日が2018年12月13日であって納品日(同年9月1日)から3か月を超える月日が経過しており,日々多種多様な商品を扱う状況などを総合的に考慮すると,何を根拠に「相違ありません」といえるのか全く不明であり,証明書の信ぴょう性は全くない。

特に,納品書(乙3)は,「ブルーベリー」について2018年9月1日にはLIVINみずほ店及び西友河辺店に納品していない事実を示しており,証明書の内容はこの事実に反している。

したがって,長なすについての証明の信ぴょう性もないといわざるを得ない。

また,当該証明書は人的証拠であって,上記(1)ないし(3)の証拠は不自然であり,これらに基づく証明の信ぴょう性は全くない。

(5)冷凍野菜,冷凍果実について

上記のとおり,「野菜」と「果実」についての使用の事実が証明できておらず,したがって「冷凍野菜」及び「冷凍果実」についても要証期間内に使用していたとはいえない。

3 回答書及び上申書における主張

(1)「フレッシュワン」の片仮名と「Fresh One」の欧文字について

「フレッシュワン」は,連続する文字からなる,特定の観念を想起しない一つの単語であり,「フレッシュ」と「ワン」との間に一呼吸を置くことなく連続して発音される。

一方,「フレッシュワン」に相当する欧文字は「Freshone」である。「フレッシュワン」を「フレッシュ」と「ワン」に二分割し,それぞれに「Fresh」と「One」を当てはめ,しかも「One」の「O」を大文字にして,「Fresh One」などとすることに合理的な理由はない。

そして,「Freshone」には,社会通念上,特定の観念は存在しない。

加えて,「フレッシュ」に相当する欧文字は「Fresh」のみならず,「Flesh」もある。しかも「Flesh」は,「Fresh」とは意味が異なる上,果物の果肉や野菜の葉などの意味もある。本件商標の指定商品からすれば,むしろ「フレッシュ」に相当する欧文字は「Flesh」と解するのが相当である。「フレッシュ」に相当する欧文字が「Fresh」であるとする合理的な理由はない。

以上から,「フレッシュワン」に相当する欧文字は「Freshone」と「Fleshone」との二通りがあると解するのが相当であり,「Fresh One」とは異なるものである。

仮に,「フレッシュワン」を「フレッシュ」と「ワン」に二分割するとした場合,「フレッシュワン」に相当する欧文字が「Fresh One」と「Flesh One」との二通りがあり,「Fresh」と「Flesh」とが異なる意味を持っている以上,「Fresh One」と「Flesh One」とは異なる観念を持つものである。

(2)写真(乙1,乙2,乙5,乙6)について

被請求人が,写真を証拠として,商品の納品を主張するのであれば,撮影日時や場所,撮影者及び撮影の目的を,客観的な証拠をもって明らかにすべきである。写真はデジタルカメラやスマートフォンなどで撮影されたものと思われ,少なくとも撮影日時は写真のプロパティデータに記録されているはずである。

仮に,当該写真が平成30年9月13日よりも後に撮影されたものであるとすれば,それらは,本件審判請求より以前に当該商標を使用していた事実を証明していない。

(3)段ボール箱(乙1)に貼付された「紙片」について

段ボール箱の「紙片」の貼付は,商慣習の観点から不自然である。

ア 段ボール箱に「Fresh One」,「Asama Group」,「すながわの」及び「なす」と大きく印刷されており,LIVINみずほ店及び西友河辺店にとって「紙片」からのみ得られる情報は何もない。「フレッシュワン」と「Fresh One」とが社会通念上同一の標章とするならば,手間と費用がかかる「紙片」をわざわざ段ボール箱に付す理由は見当たらない。

イ 仮に,「紙片」に記載されている「フレッシュワン」をプライベートブランドの商標として使用する意図があるとしても,その貼付方法は不自然である。

段ボール箱の上蓋を大きく開いた状態で需要者に提供されるとした場合(乙1の2),当該「紙片」には,上蓋の一部が覆いかぶさってしまい,需要者は「フレッシュワン」の文字を容易に認識することができない。当該「紙片」に記載の「フレッシュワン」を出所識別標識として機能させようとするならば,段ボール箱のもっと目立つ位置に「紙片」を貼付するのが自然である。さらに,段ボール箱には大きく「Fresh One」の文字が印刷されているのに比べ,「紙片」に記載の「フレッシュワン」の文字はとても小さくて目立たず,自他商品識別機能を発揮する態様で使用されているとはいえない。

ウ 上記(1)のとおり,「フレッシュワン」と「Fresh One」とは社会通念上同一の標章とは認められず,このことを認識した本件商標権者が「Fresh One」と段ボール箱に大きく記載されているにもかかわらず,わざわざ「フレッシュワン」が記載された「紙片」を貼付したと考えられる。

(4)「日々同じ包装で納品されている」ことについて

被請求人は,本件商標権者の商品が「日々同じ包装で納品されている」ことを裏付ける客観的な証拠を何ら提示していない。また,証明書(乙5,乙6)においては,添付の写真の包装が「日々同じ包装で納品されている」ことを具体的かつ客観的な証拠をもって証明しておらず,本件商標権者がこれらに示された長なすやブルーベリーをLIVINみずほ店及び西友河辺店に2018年9月1日に納品したということを証明できていない。

(5)商品売買基本契約書及び事情説明書(乙10〜乙12)について

商品売買基本契約書及び事情説明書は,2018年9月1日に本件商標権者が長なすやブルーベリーを,包装(乙1,乙2)をもってLIVINみずほ店及び西友河辺店に納品した事実を何ら証明していない。

4 むすび

以上のとおり,被請求人から提出された証拠によっては,要証期間内に,本件商標権者が「請求に係る指定商品」について,本件商標を使用していたことは証明されていない。

第3 被請求人の主張

被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,答弁書及び審尋に対する回答において,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。)を提出した。

なお,被請求人が平成31年1月9日に提出した物件提出書に添付された書証には号証番号が付されていないところ,2018年12月13日付け合同会社西友LIVINみずほ店による証明書を乙第5号証,同日付同社西友河辺店による証明書を乙第6号証とする。

1 本件商標権者による商標の使用

本件商標権者は,産地の農産物を「プライベートブランド」(フレッシュワン)の下で,農産物を販売する事業をしている(乙8)。

(1)「野菜」についての使用

本件商標権者は,第31類「野菜」に属する商品である「長なす」の包装に,商標「フレッシュワン」及びこれと社会通念上同一の標章「Fresh One」を付している(乙1,乙9)。

商品「長なす」がこん包された状態の写真(乙1の1)及び開封した状態の写真(乙1の2)には,片仮名で「フレッシュワン」と表してなる商標が付されており,この商標は,本件商標と実質的に同一といえるものである。

したがって,「長なす」がこん包された段ボール箱(以下「本件段ボール箱」という。)に商標を付す行為は,商標法第2条第2項第1号(審決注:第3項の誤記と認める。)に規定する商標の使用に該当し,当該段ボール箱の状態で商品を出荷する行為は,同項第2号に規定する商標の使用に該当する。

なお,この商品が本件商標権者の商品であることは,本件段ボール箱に「ASAMA Group」と表示されていることから理解できる。

(2)「果実」についての使用

本件商標権者は,第31類「果実」に属する商品である「ブルーベリー」に,商標「フレッシュワン」を使用している。

商品「ブルーベリー」が樹脂製パックに包装された状態の写真(乙2)において,当該樹脂製パックに貼付されたシールには,片仮名で「フレッシュワン」と表してなる商標が付されており,この商標は,本件商標と実質的に同一といえるものである。

したがって,当該樹脂パックに商標を付す行為は,商標法第2条第2項第1号(審決注:第3項の誤記と認める。)に規定する商標の使用に該当し,当該樹脂パックで商品を出荷する行為は,同項第2号に規定する商標の使用に該当する。

なお,この商品が本件商標権者の商品であることは,シールに「ASAMA」(ロゴ)と表示されていることから理解できる。

2 流通の事実及び時期

本件商標権者は,協業する「須賀川茄子研究会」で生産する「長なす」(乙7)に,本件商標を付し段ボール箱で包装して,本件商標権者の商品として販売している(乙1,乙3)。

本件商標権者は,本件段ボールに包装された商品「長なす」を,少なくとも,LIVINみずほ店及び西友河辺店に納品(譲渡)している(乙3,乙5,乙6,乙10〜乙12)。

そして,本件商標権者の「長なす(茄子)」及び「ブルーベリー」は,いずれも,要証期間内である2018年9月1日付けでLIVINみずほ店及び西友河辺店に納品している(乙3)。

3 冷凍野菜,冷凍果実について

本件商標は,上記第1のとおり,昭和42年に,第32類を指定して出願され,登録されたものであり(乙4),その後,指定商品の書換登録によって,現在の指定商品となったものである。

本件請求に即していえば,登録時の指定商品「野菜,果実」が,第31類の「野菜,果実」と第29類の「冷凍野菜,冷凍果実」に分かれたものである。

そうすると,登録時における指定商品「野菜」には「冷凍野菜」が含まれ,「果実」には「冷凍果実」が含まれていたと理解することができる。

したがって,書換登録後の「野菜」についての使用により「冷凍野菜」の使用とも認められ,「果実」についての使用により「冷凍果実」についての使用と認められるべきものである。

4 本件商標権者(株式会社浅間)と本件段ボール箱のASAMA Group(浅間グループ)との関連について

本件商標権者は,「青果物の流通」などの事業を行う株式会社であり,有限会社島根商店,株式会社サングリーンなどのグループ会社を有する「浅間グループ」を構成し,「グループ本部」と位置づけられている(乙7)。

浅間グループは,一体となって「青果物の販売」事業に取り組んでいるところ,当該グループには流通事業(輸送)を担うフレッシュワン運輸株式会社も存在するが,同社は,本件商標権者が販売する商品の輸送を主目的とする事業体である。

このように,青果物の販売事業は,本件商標権者を中核とした「浅間グループ」の事業として行われ,プライベートブランドの下で青果物を販売している(乙8)。

そこで,本件段ボール箱には「ASAMA Group」と表示しているのであり,本件商標権者「株式会社浅間」の表示と同視し得るものである。

本件段ボール箱は,本件商標権者が発注し,納品を受けて,商品の包装として使用されたものである。

5 段ボールについて

本件段ボール箱は,本件商標権者が会津パッケージ株式会社(以下「会津パッケージ」という。)に発注し,制作され,納品を受けたものである。

本件段ボールに関する会津パッケージからの請求書(乙9)の宛名に「Fresh One 浅間」とあるのは,本件商標権者の事業部門としての記載である。

なお,本件段ボール箱を福島県会津若松市所在の会津パッケージに発注している理由は,商品「長なす」は福島県須賀川市で生産されるもの(乙1の1,乙7)であることから,産地に近い事業者に段ボール箱の製造を委託しているものである。

なお,当該段ボール箱の取引においては,「発注書」「仕様書」などは存在しない(乙12)。

6 合同会社西友との取引について

本件商標権者と合同会社西友との青果物の取引は,スポットではなく継続的な取引である。

本件商標権者と合同会社西友との契約書では,個別契約は注文書と注文請書の交換により行うことを原則としつつ,ただし書きにおいて「甲乙双方の合意により簡易かつ迅速な方法によることができる」とされている(乙10,乙11)。

そこで,日々生産状況が変化する「長なす」(青果物)の取引においては,注文書・注文請書の交換に頼ることはできず,電話対応で出荷数量(納品量)を決定し,その総括として日ごとの「納品書」(乙3)を作成して納品先店舗に送付している(乙12)。

「納品書」(乙3)の宛て先として,「合同会社西友」の標記がないが,継続的な取引の存在(乙10,乙11),西友担当者の証明(乙5,乙6)により,「納品書」の宛て先が,LIVINみずほ店,西友河辺店であると,特定できるものである。

7 小括

以上のとおり,本件商標権者は,請求に係る商品「野菜」及び「果実」について,本件商標を要証期間内に使用していたものである。

第4 当審の判断

1 被請求人提出した証拠及び同人の主張によれば,以下の事実が認められる。

(1)本件商標権者は,農産物販売・農産物流業・青果物加工・漬物製造等を事業とし,野菜・果物・つま物・冷凍食品等を取り扱う企業である(甲7)。

(2)写真掲載商品について

ア 写真掲載商品(乙1)には,段ボール箱の正面に「すかがわのなす」及びなすの図形が表示され,側面に「Fresf One」の文字及び「AsamaGroup」のロゴが表示され「フレッシュワン 長ナス」等の表示の紙片が貼付されている。また,当該段ボール箱の中には「長なす」がこん包されている。

イ 写真掲載商品(乙2)には,プラスチック容器に「フレッシュワン ブルーベリー」の文字,「ASAMA」のロゴ及び「埼玉県産」の文字等が表示された紙片が貼付され,当該プラスチック容器に,ブルーベリーが封入されている(乙2)。

(3)本件商標権者と合同会社西友との商品売買契約について

本件商標権者と合同会社西友に係る2000年(平成12年)12月20日付けの商品売買基本契約書(青果・畜産・水産用)には,第3条(売買の目的物)に,本契約の目的とする商品は,甲(審決注:本件商標権者)が製造加工しまたは仕入れたうえ,乙(審決注:合同会社西友)に販売する商品とする旨記載がある(乙10)。

(4)本件商標権者と「瑞穂店」及び「河辺店」との取引について

ア 納品日を2018年(平成30年)9月1日とし,本件商標権者が「瑞穂店」に宛てた「地場・契約野菜 納品書」において商品名「ブルーベリー」の数量欄及び金額欄は空欄であり,商品名「長茄子」の数量は「5」,金額は「14,000」である(乙3の1)。

イ 納品日を2018年(平成30年)9月1日とし,本件商標権者が「河辺店」に宛てた「地場・契約野菜 納品書」において商品名「ブルーベリー」の数量及び金額欄は空欄であり,商品名「長茄子」の数量は「5」及び「1」,金額は「14,000」及び「560」である(乙3の2)。

(5)本件商標権者のウェブサイトには本件段ボール箱及び(2)イに係る紙片に表示されている「ASAMA」のロゴと同視できるロゴが表示されている(乙7,乙8)。

(6)会津パッケージは,2018年(平成30年)7月31日付けで,「年月」を「2018年7月17日」,「商品番号・商品名」を「1 なす4Kg入ケース」,「数量」を「1,500」とする請求書を「Fresh One浅間」の社員宛てに送付した(乙9)。

なお,本件段ボール箱と当該請求書に記載の「なす4Kg入ケース」が同一のものと認めるに足りる証拠はない。

2 判断

被請求人は,本件商標権者がなす及びブルーベリーの包装に本件商標を付して,2018年(平成30年)9月1日にLIVINみずほ店及び西友河辺店に納品している旨主張するのでこれについて検討する。

(1)なすの取引について

上記1(2)アのとおり,なすがこん包された段ボール箱(本件段ボール箱)は,なすの包装用の段ボール箱であると認められる。

本件段ボール箱がなすの包装用の段ボール箱であり,2000年(平成12年)12月20日付けの商品売買基本契約に基づいて,本件商標権者が,商品の注文を,LIVINみずほ店及び西友河辺店より受けて,2018年(平成30年)9月1日付けでこれらの店舗になすを納品したことがうかがえるとしても,当該納品において,本件段ボール箱が使用されたことを証する客観的な証拠は提出されていない。

また,会津パッケージが上記に係る納品以前の2018年(平成30年)7月31日付けで「Fresh One浅間」に対し,商品名「なす4Kg入ケース」の請求書を送付し,当該「Fresh One浅間」が本件商標権者であるとしても,当該「なす4Kg入ケース」が本件段ボール箱であることを証する客観的な証拠は提出されていない。

そうすると,2018年(平成30年)9月1日付けの本件商標権者とLIVINみずほ店及び西友河辺店との取引において,本件段ボール箱が使用されたかは不明であり,同日付けの取引において,なすの包装箱として,本件段ボール箱を使用したものと認めることはできないから,本件段ボール箱に本件商標(社会通念上同一のものを含む,以下同じ。)が表示されているとしても,本件商標権者は,要証期間に商品「なす」の包装に本件商標を付した又は商品「なす」の包装に本件商標を付したものを譲渡し,引き渡したものとは認められない。

(2)ブルーベリーの取引について

2018年(平成30年)9月1日付けの本件商標権者とLIVINみずほ店及び西友河辺店との取引において商品名「ブルーベリー」の数量及び金額欄はいずれも空欄であることから,同日付けではブルーベリーの取引は行われなかったものと認められる。

したがって,本件商標権者がブルーベリーの包装容器に「フレッシュワン」の文字を表示したとしても,本件商標権者は,当該容器に係るブルーベリーの取引を要証期間に行ったものと認めることはできない。

3 被請求人が提出した「証明書」及び「事情説明書」について

被請求人は,2018年(平成30年)9月1日に,本件商標権者とLIVINみずほ店及び西友河辺店との間で取引が行われたことを証するとして「証明書」(乙5,乙6)を提出し,また,本件段ボール箱の製造及び本件商標権者と合同会社西友との取引について「事情説明書」(乙12)を提出している。

しかしながら,当該「証明書」(乙5,乙6)においては2018年(平成30年)9月1日に「ブルーベリー」が納品されたとしているが,同日付けの納品書(乙3)においてブルーベリーの納品は確認できない。

また「事情説明書」(乙12)において,本件商標権者は1996年(平成8年)頃から,会津パッケージに段ボール箱を発注し,当該発注は電話で行われているから個別の「発注書」及び「仕様書」は保管していないと主張しているが,本件段ボール箱にはロゴや図形が表示されており,発注当初の仕様書が本件商標権者又は製造委託先の会津パッケージのいずれにもなく,段ボール箱が製造され続けているのは商取引上不自然であるといわざるを得ない。

したがって,当該「証明書」及び「事情説明書」による被請求人の主張は採用することができない。

4 まとめ

以上のとおり,被請求人が提出した証拠からは,本件商標権者が要証期間内に,本件商標を使用して本件請求に係る指定商品の取引を行ったものと認めることはできず,他に被請求人が要証期間に本件商標に係る指定商品について,本件商標を使用していることを証明するものはない。

また,被請求人は,本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をしていることを証明したものということはできず,本件商標の登録は,その指定商品中の「結論掲記の指定商品」について,商標法第50条の規定により登録を取り消すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。

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