結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35201号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2656568号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成4年3月31日登録出願、別掲に示すとおり「ベネッセ」の片仮名文字と「BENESSE」の欧文字とを二段に表した構成よりなり、第12類「輸送機械器具,その部品および附属品(他の類に属するものを除く)を指定商品として、同6年4月28日に設定の登録がされたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求める、と申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第10号、同第15号該当について
イ.請求人会社は、昭和30年に「株式会社福武書店」として創業した。平成2年に創業35周年記念事業として新商標「Benesse」を採用し、以降、商標として使用しているが、平成7年に「株式会社べネッセコーポレーション」と商号を変更した(甲第1号証)。大阪証券取引所第1部上場企業であり、教育、語学、文化、生活、福祉の分野で事業を展開する企業として、児童、生徒、家庭、学校、教員等から永年にわたって信用、信頼を得た確固たる名声を有する企業である。
ロ.平成2年に、商標として採用した「Benesse」は、発表時に商標出願をし(甲第10号証)、新聞等で大々的に広報した(甲第2号証)。
また、請求人会社は、発表時に商標「Benesse」を、名刺、パンフレット、名札、ポストカード、手提げ袋、事務用便箋、封筒、トレーナー、ビーチマット、CIコンセプトブック、タオル、記念ビール、ポスター、バナー等で使用し周知をはかった(甲第3号証、第4号証)。その結果、請求人、すなわち株式会社福武書店(当時社名)が教育事業分野で周知著名であったことから、「あの福武書店がべネッセに変わった」旨が多数の報道機関により、新聞等で全国的に報道され(甲第2号証)、全国紙を中心に11紙に全面広告、営団地下鉄及び新幹線の駅における電飾広告等において広告した(甲第11号証ないし甲第12号証)結果、「Benesse」は、早期の内に全国的に周知、著名な商標となった。
ハ.一方、「Benesse」の語は、古くから広く引用されるいわゆる成語ではなく、株式会社べネッセコーポレーション(旧福武書店)が新しく創った創造標章である。すなわち、「Benesse」は、請求人の新しい企業方針であり、「Benesse」は、ラテン語の「bene(良い、正しい)」と「esse(生きる、暮らす)」を結合させた創作語であって、オリジナリティーを持つものである。
ニ.これに対し、被請求人が平成4年3月31日に出願した本件商標は、「ベネッセ」の片仮名文字を上段に、その下部部分に「BENESSE」の欧文字を二段に書してなるものである(甲第14号証)。
してみると、両商標は、互いに「ベネッセ」の称呼において同一であり、外観においても類似であり、「ベネッセ」の観念を同一にする同一又は類似と言うべき商標である。
ホ.本件商標の指定商品は、第12類「輸送機械器具、その部品及び付属品(他の類に属するものを除く)」であるが、ここには子供用を含む自転車やその部品及び付属品、乳母車、車いす、乗物用盗難警報機などが属するが、請求人会社の事業に係わる需要者等、すなわち幼児、児童、生徒、教職員、それらの家族とが購入するものである。
また、近年、各種業界において、経営内容が多角化する事が日常的に行われ、請求人会社においても前記のとおり次々と事業の拡大を計ってきているが、現に請求人会社において平成6年から通信販売を事業としており、その中で、温湿度計、ベビーカー用クッション、コート、ベッド、弁当箱、食器、子供用椅子、カメラ、電動自転車を扱っている(甲第15号証)。
このような状況からすれば、一般消費者において、本件指定商品に係わる商品が、請求人会社ないしグループと業務上、経済上、組織上何らかの直接的あるいは連携的関係にある企業と誤認を生じさせるものと認められる。
ヘ.以上のとおり、本件商標「ベネツセ/BENESSE」は、その登録出願前において、また、登録査定時においても、本件請求人の全国的に周知・著名な商標である「Benesse」と称呼、外観、観念において、同一又は類似のものである。
また、「Benesse」は全国的に周知・著名な請求人の創造標章であり、請求人会社のハウスマークであり、コーポレートブランドであること、そして、請求人会社が多角化を進めてきており、今後、さらに多角経営が見込まれること、さらに、請求人に係る需要者と本件指定商品における需要者との近似性等から考慮すれば、本件商標に接した一般の取引者、需要者は、本件請求人の業務に関わるものとして誤認混同することが明白であるから、商標法第4条第1項第10号、又は、同第15号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第19号該当について
同法条の規定は、「他人の業務に係わる商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。)をもって使用をするもの」と規定し、該当する場合には登録を認められない旨の規定である。
被請求人は、請求人が本件指定商品「輸送機械器具、その部品および付属品(他の類に属するものを除く)」に出願していないこと、及び、請求人が次々と事業拡大していること、あるいは周知・著名となっている商標であることを奇貨として先取りして出願したと認められる。あるいは請求人の周知・著名商標が有する出所表示機能を稀釈化させたり、その周知商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させる目的をもって出願したと言うべきである。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するとすべきである。
(3)商標法第4条第1項第7号該当について
同法条の規定は、「公の秩序または善良の風俗を害するおそれがある商標」と規定しているが、これにはその商標の構成自体が矯激、卑猥、差別的もしくは他人に不快な印象を与えるような文字または図形である場合、及び商標の構成がそうでなくても、指定商品または指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、または社会の一般的道徳観念に反するような場合、そのほかに、商標法の趣旨や、商標法に規定する拒絶理由等からして、商標の登録を認めることが公正な協業秩序を乱すなど社会公共の利益や一般的道徳に反するときは、この規定に該当すると解すべきである。
「Benesse」標章が商標として公表されて後、全国的に周知・著名となった時点で、請求人が本件商標の指定商品「輸送機械器具、その部品及び付属品(他の類に属するものを除く)」に出願していないことを奇貨として先取り的に被請求人が行った同一又は類似の商標出願をした行為及び使用する行為は、請求人が永年に亘る努力によって培われた名声と信用・信頼にただ乗りし、請求人の周知・著名な商標を希釈化しようとする意図を持ってなされたものであり、請求人の事業活動を阻害する行為であると推認できる。
したがって、このような商標を登録しておくことは、公正な競業秩序を乱し、商標制度の趣旨に反するものであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(4)以上のとおり、被請求人が商標権者として請求人の周知・著名な商標と同一・類似の商標である本件商標を使用した場合には、その出所について誤認混同を生ずることが明らかであり、請求人がえている信用、名声、顧客吸引力等を毀損させ、適正な事業活動を阻害して、公正な協業秩序を乱し、商標制度の趣旨に反するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号、同第19号の規定に違反して登録されたものであるから、無効とされるべきである。
被請求人は、何ら答弁するところがない。
請求人の主張の当否について判断するに、請求の理由及びその提出に係る甲各号証より、以下の事実が認められる。
(1)請求人は、昭和30年に「株式会社福武書店」として創業、出版に始まり、教育、美術館、福祉、商品販売へと事業を拡大し、個々の事業において、たとえば出版において、当初は中学生向け図書と生徒手帳販売であったが、一般書籍、雑誌、辞典へと範囲が拡大し、取扱い規模も拡大、また、教育においても、通信教育から模擬試験、外国語学校経営等へと事業内容を拡大すると共に、個別教育事業の内容、対象を拡大していること。すなわち、通信教育においては、高等学校生徒(昭和43年)から中学生(昭和47年)、後に小学生(昭和55年)、そして幼児(昭和63年)、最近では親子(平成6年)へと対象範囲が拡大している。そして、需要者の数も、平成2年には模擬試験において中学生及び高校生で535万人(平成2年)、通信教育で234万人(平成2年)と増加している。被請求人が本件商標を出願した時点までに限定しても、請求人会社は次々と事業の種類、規模、組織等、拡大展開していること(甲第1号証、同第5号証)。
(2)請求人は、平成2年に創業35周年記念事業として新商標「Benesse」(ベネッセ)(以下、「請求人商標」という。)を採用し、以降、当該業務に係る商品又は役務の商標として使用するとともに、平成7年にはその商号を「株式会社福武書店」から「株式会社べネッセコーポレーション」に変更していること(甲第1号証)。
また、請求人は、請求人商標について、本件商標の登録出願前より、「書籍、雑誌等の属する第26類を始め教育関連機器ないしは通信関連機器の属する第9類、第10類、第11類及び第21類等に商標登録出願を行い、登録商標を取得し使用権の確保を図り、さらに、その後においても、その他の区分に属する商品及び役務の分野においても登録商標を取得し、権利の拡充を図ってきた状況が認められる(甲第10号証)。
そして、平成2年に商標として採用した「Benesse」は、新聞等で大々的に広告され(甲第2号証)、また、請求人会社は、発表時に商標「Benesse」を、名刺、パンフレット、名札、ポストカード、手提げ袋、事務用便箋、封筒、トレーナー、ビーチマット、CIコンセプトブック、タオル、記念ビール、ポスター、バナー等で使用していること(甲第3号証、第4号証)。
また、「Benesse」(ベネッセ)は、請求人の会社名称の略称ないしは通称ともいえるものであって、その業とする教育関連事業全体を表彰する代表的出所標識として当業界において広く知られていること。
その結果、請求人商標は、これが創造商標であることも相俟って短期間に、すなわち、教育関連事業分野において本件商標の登録出願時には既に著名性を獲得し得たものであって、その状態は、現在も同様と認められる。
(3)そこで、本件商標についてみるに、本件商標は、「ベネッセ」の片仮名文字と「BENESSE」の欧文字とを二段に書してなるものであって、請求人商標とは「ベネッセ」の称呼において同一であり、外観においてもほぼ同一といえるものであるから、このほか観念の点も併せ考慮すると、両者は、同一または類似の商標と認められるものである。
しかして、本件商標は、第12類「輸送機械器具、その部品及び付属品(他の類に属するものを除く)」を指定商品とするものであるところ、これら商品中には子供用の自転車を含む自転車のほか、その部品及び付属品、乳母車、車いす、乗物用盗難警報機などが属するものと認められる。そして、請求人会社の事業に関わる需要者等、すなわち、その教育関連事業に関わる幼児、児童、生徒、教職員、それらの家族を含む需要者がこれら自転車その他の輸送機器を購入する場合も少なからずあるといえるから、この点で請求人業務に係る需要者と本件商標に係る需要者とは需要者層の範囲を共通にする場合が少なくないものである。また、請求人事業の多角経営化、すなわち、温湿度計、ベビーカー用クッション、コート、ベッド、弁当箱、食器、子供用椅子、カメラ、電動自転車等を扱っている状況も顕著と認められる。
以上によれば、被請求人が本件商標をその指定商品について使用した場合、取引者、需要者は、これを請求人又は請求人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如くその商品の出所について混同するおそれが少なからずあるものといわなければならない。
そして、この点を述べる請求人の主張に対して、被請求人は反論するところがない。
してみれば、本件商標は、請求人のその余の主張の当否について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものと認められるから、同法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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